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2019年08月15日
ブログに異変?(八月十三日)
このブログの過去の記事で、一番閲覧数が多かったのは、森雅裕に関する記事だった。これは恐らく、まだ日本に残っている森雅裕のファンが、森雅裕について書かれた文章を求めて、検索した結果たどり着いたものだと予想される。定期的に「森雅裕」で検索をかけてみるけど、記事はほとんど増えていないのが現状である。
森雅裕ファンというのは、特に近年は、というかここ20年ばかりは、露出が格段に減っているから、どんな些細なことでも森雅裕について書いてあれば喜んで読んでしまうものだ。それで森雅裕関連の記事が比較的定期的に増えるこのブログに読みに来てもらえているのだと考えていた。最近、筆が進まない本ばかりが残ってなかなか書けていないけど。
それが、先月の半ばあたりからだと思うのだが、チェコで起こった「メタノール事件」についての記事の閲覧数がとんでもなく増えている。これもまた「不思議の国チェコ」とか題して、シリーズ化するように見せておきながら、2本か、3本書いただけで、存在を忘れてしまったものの一つだったなあ。
その後の、裁判のことを追記しておけば、この件に関して起訴されたのは、密造酒の生産者から販売者まで全部で61人。主犯格の一人が、司法取引で完全に捜査に協力したこともあって、比較的早く事件の全貌の解明が進み、最高裁まで争った主犯2人の裁判も2018年の3月に結審している。これは事件が起こったのが2012年の9月で、起訴されたのが翌年の11月であることを考えると、かなり早かったと言っていい。注目の大きかった事件だから、警察も裁判所も威信をかけて頑張ったのかな。
メチルアルコール入りのお酒を生産し密売市場に流した、事件の主犯グループ10人については、2014年にズリーン地方裁判所で行われた第一審で、2人が終身刑、残りの8人は懲役8年から21年の判決を受けた。捜査に協力した人物は8年だったかな。終身刑の判決を受けた2人は、控訴したが、翌年オロモウツの高等裁判所での第二審でも終身刑の判決が下り、上告した最高裁判所も終身刑の判決を下した。
この事件で亡くなった人の数が48人、健康被害を受けた人の数が100人以上だったことを考えると、チェコの刑法上最も重い判決が下ったのは当然だと言っていい。日本だったら死刑判決が下っていてもおかしくはなさそうだけど、チェコではビロード革命直後の1990年に死刑は廃止され、憲法で死刑を導入することを禁止している。共産党政権の時代に、政治的な理由で死刑に処される人が多かったから、その反省もあるのだろうし、ヨーロッパの全体的な傾向に合わせたという面もあるのだろう。確か、死刑が存在しないこともEU加盟の条件になっていたはずである。
日本と違って、こんな事件の裁判の際に、犠牲者の遺族に「今のお気持ちは」なんて質問をしてニュースにするようなメディアは存在しないから、死刑を求める声はほとんど上がらないし、チェコ人の多くも死刑がないことを当然のこととして受け止めている。仮に今後日本が、世界的な潮流に倣って、死刑を廃止する方向を目指すとしたら、最大の障害になるのは、無駄に感情をあおって、被害者や遺族の感情的な発言を引き出そうとするマスコミの報道だろうなあと思う。
ところで、疑問なのは、どうしてこのメタノール事件の記事の閲覧数が増えたのかということで、日本でメタノールの事件が起こったのだろうか。書いた本人としては、このメタノール事件よりも、「クジム事件」のほうが、荒唐無稽な小説の設定のようで不思議の国チェコにふさわしいんじゃないかと思うのだけど。まあ、裁判が終わってなお、事件の全貌は全くと言っていいほど解明されていないし、現在わかっている部分だけでも理解不能だし、読んでも?マークが浮かぶだけかな。
今日は、ずるずると引き延ばさないで、久しぶりに簡潔に終わらせよう。ではまた明日。
2019年8月13日23時。