新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2019年04月01日
スロバキア大統領選挙決選投票(三月卅日)
今日、スロバキアの大統領選挙の決選投票が行われ、第一回投票の結果、またその後の世論調査の結果どおり、チャプトバー氏が当選し、スロバキアでは最初の女性大統領が誕生した。年齢的にもたしかまだ四十台半ばだから、若い大統領の誕生でもある。ただ、スロバキアという国の現状を考えると、若き女性大統領が誕生して万々歳とはいきそうもない。チェコなどの国と同様、様々な面で分断された社会を一つにまとめることができるのか課題は大きい。
チェコも状況は似ているが、うちの大統領、開き直って社会を一つにまとめようなんて気は全くなさそうだからなあ。就任演説では全国民の大統領になるとか何とか一定瀧がするんだけど。それはともかく、チャプトバー氏のスロバキアの大統領としての初仕事の一つが兄弟国とも言うべきチェコ訪問らしいから、大統領同士の会談で影響を受けて、わが道を走りだすなんてことのないように期待しておこう。
スロバキアはポーランドほどではないにしてもキリスト教、特にカトリックの信者の多い、チェコ以上に保守的な国民性の国である。それが女性首相につづいて女性大統領まで誕生させてしまったのだから、驚きではある。ただ、スロバキアの社会というのは保守的でありながら、時に思い切った決断をして周囲を驚かせることがあるような気がする。この辺りの旧共産圏国家では唯一ユーロを導入してしまったのもそうだし、そもそもチェコスロバキアとして、チェコ人と組んで独立することを決めたのも、当時の民族自決主義の流行を考えてもかなり大胆な決断だったはずだし。
第一回投票ではチャプトバー氏が40パーセント超でシェフチョビチ氏に20パーセント以上の差をつけたが、敗退した候補の支持者たちの動向如何では逆転もあるかと期待したのだが、その後行なわれた世論調査でもチャプトバー氏が60パーセント以上の支持を集めて、20パーセント以上の差をつけていたので、これは逆転の可能性はなさそうだと興味を失いかけていたのだが、テレビのチャンネルだけはチェコテレビのニュースチャンネルに合わせておいた。
スロバキアでは、チェコと違って選挙は一日しか行なわれないため、決選投票も土曜日だけである。ただ時間が夜十時まで投票できるようになっている。当然選挙報道もその時間から始まる。驚いたのが、開票の結果の公表が始まる前の、番組の導入の時点で、アナウンサーや解説者たちが口々に、当初の予想よりもはるかに接線になったのではないかという見解を漏らしていた。世論調査結果発表後に何かあったのかもしれない。選挙運動のやり方が問題視されているとかいうニュースがあったけどあれがチャプトバー氏のことだったのかな。
それでちょっと気になって最初の結果発表までテレビに見入ったのだが、開票率1パーセント行かないぐらいの時点で、チャプトバー氏が55パーセントちょっとで、シェフチョビチ氏に10パーセント強の差をつけていた。第一回投票や世論調査の結果ほどの差ではないけれども、接戦と言えるほどの差でもない。日本の選挙報道だったらこの時点で当選確実とか印しつけて、候補者に勝利のインタビューとかやっているだろうなあなんてことを考えてしまった。
その後も、チャプトバー氏が少しずつ差を広げて行くのだが、チェコテレビでは、チャプトバー氏の当選が確実になったなどと軽率なことを言うことはなく、あくまでも現時点では優勢だとか、このまま行けば当選だけどという形の発言を繰り返していた。こちらはそこまでスロバキアの大統領選挙に興味があるわけでもないのと、日曜日の朝から夏時間が始まるのとで、結果が出るまで起きている気にはなれず、チャプトバー氏の当選だろうと思いながら寝ることにした。
朝起きて最終的な結果もチャプトバー氏の勝利であることを知るわけだけれども、同時に日本の無駄に急いで選挙結果を確定させたがる日本の選挙報道を思い出して、チェコの方がまともだよなあなんてことを考えてしまう。出口調査とか、独自の判断で当選を決めるとか、選挙報道で視聴率争いをするなんざ勘違いもいいところである。その争いに一番熱心なのがNHKだというから、話にならない。最近お笑い番組ばっかりやっているというし、もう受信料なんか取る資格はないんじゃないのかねえ。日本にいたころはテレビがなかったから一度も払ったことないけどさ。
2019年3月31日23時。