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2019年01月25日
チェコ鉄道事情続三度(正月廿三日)
実は、ペンドリーノ導入後、レギオジェットの前に、プラハ−オロモウツ−オストラバ間を結ぶ路線に参入ようと計画した企業が存在する。たしか2006年ぐらいにリベレツのほうでローカル線を運行している会社が、ドイツから中古の機関車と客車を購入して参入することを計画し、12月に改定される時刻表に載るところまで行ったんじゃなかったか。結局機関車を使用するための認可が下りずに計画を撤回することになった。
当時はまだ、ペンドリーノも空席が目立っていたから、時期尚早ということで、チェコ鉄道を守るための手が動いたのかもしれない。時刻表を見たときに朝のオストラバ行きか、夕方の戻りかに、チェコ鉄道の電車よりもいい時間帯の便があったから、期待したのだけどね。今から考えると、仮に参入が実現していたとしても、採算が取れずに2、3年で撤退していた可能性もある。
そんな事情もあったので、後にスチューデント・エージェンシーが子会社のレギオジェットを設立して鉄道事業への参入を発表し、時刻表に載ったときも、実現はしないだろうと悲観的に見てしまったのを覚えている。しかし、12月の時刻表の変更すぐには実現しなかったものの、翌年の秋ぐらいに初めてのレギオジェットの電車が走ったのだった。これは、タイミングがよかったというのが一番大きいだろう。
レギオジェットが参入したのは、7両編成で1便あたりの座席数を増やせず、車両の数の関係で一日の運行回数にも制限のあるペンドリーノの輸送力に限界が見え始めたタイミングだったというと、現実を理想化しすぎかもしれないが、レギオジェットの参入も、それに少し遅れてのレオ・エクスプレスの参入もこれ以上ないぐらいのタイミングだった。チェコ鉄道がペンドリーノとそれに伴う路線の高速化によって、多少高くても速さと快適さを求めるという客層を開拓することに成功し、レギオジェットやレオ・エクスプレスは、その客層をターゲットの一つにして参入したが、同時に二社の参入によって鉄道の利用客がさらに増えたのも事実である。
さて、黄色い高速バスの運行で知られていたが、実は旅行会社として航空券や宿泊の手配、国外ツアー旅行なども手がけているスチューデント・エージェンシーが、チェコの鉄道に持ち込んだのは、単なる価格競争ではなく、航空業界的な手法で、レオ・エクスプレスも当然のようにそれに追随した。
一つは、ペンドリーノと同様の全席指定である。チェコ鉄道の場合には、ペンドリーノであっても普通の乗車券に、座席指定券を購入するという形をとり、座席指定したペンドリーノに乗り遅れた場合には、乗車券を使って、次の座席指定のいらない特急、急行に乗ることができるのに対して、レギオジェットとレオ・エクスプレスの乗車券では、座席指定した電車以外には乗れず、別の便に乗る場合には、改めて乗車券を買い直す必要がある。
事前に乗車券を買う場合には、予定の変更の可能性も考えると、面倒だけど、駅について空席があったら買うという買い方なら、窓口で適当に席を決めてくれるから面倒はそれほどでもない。空席がない場合もあるけれども、窓口の脇に空席情報が表示されていて、あと何席残っているかわかるようになっているので、なければチェコ鉄道の乗車券を買えばいいだけである。チェコ鉄道なら空席がなくても通路に立っていることができるし。
全席予約を活用しているのはレギオジェットで、予約状況を見ながら客車の数を増やすことがままある。切符を買ったときには8両目が一番後だったのに、実際に乗ろうとしたら9両目、10両目が追加されていたなんてこともあった。さすがに予約を受け付け始めてから車両数を減らすことはないだろうが、便によっては最初は車両を少なめにしておいて、予約が埋まりそうになったら車両を追加するということもありそうである。
それに対して、レオ・エクスプレスはペンドリーノ的に電車の編成が決まっているのか、いつも同じ車両数で走っているような印象がある。以前一度乗ったときに使った座席予約画面で、どの便も同じ座席構成だったような記憶もあるし。チェコ鉄道の場合には、特急、急行は全席予約ではないので、レギオジェットほどの融通は利かないが、長年の利用客の傾向データを持っているので、それに基づいて車両を増やしたり減らしたりしている。増やす数には限界があるので、座れない乗客が出ることもあるけど、逆に言えば席はなくても移動だけは確実にできるのである。これはチェコ鉄道の強みと言っていいのかな。
終わらない。
2019年1月23日23時30分。