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2018年11月25日

売られたヤーグル(十一月廿日)



 何気なくテレテキストの記事を読んでいたら、チェコの産んだアイスホッケーのスーパースター、ヤロミール・ヤーグルが、2022年に北京で行なわれる冬季オリンピックのアイスホッケー競技の顔になることが決まったという記事が出てきた。オリンピックのアイスホッケーの顔なんて立場が存在したなんて知らなかった。アイスホッケーがあまり盛んではない中国だから、盛り上げるため、もしくはチーム強化のために必要だという事情があるのかもしれない。そうなると、国外よりは中国国内に向けたアイスホッケーの顔ということになる。
 では、どうしてヤーグルだったのだろうか。チェコという枠内であれば、ヤーグルが選ばれるのは何の不思議もない。長野オリンピックの英雄ということで言えば、もう一人ドミニク・ハシェクの名前も挙がるけれども、引退してすでに久しく、そのネームバリューはチェコ以外ではヤーグルと比較できるものではあるまい。ヤーグル自身は、NHLでの契約を終えてチェコに戻って、現在怪我の治療中で、怪我が治れば自らがオーナーを務めるクラドノのチームで出場する予定らしい。中国のためにアイスホッケーの顔を勤めやすい立場にいると言えば言える。
 しかし、世界に目を広げてみれば、ヤーグルと同程度に高く評価されているアイスホッケー選手は他にもいるだろう。世界最高のNHLの存在を考えれば、アメリカやカナダの選手、元選手から選んでもいいだろうし、最近のアメリカとの対立を考えれば、政治的、軍事的に接近しつつあるロシアからアイスホッケーの顔を選んでもよかったはずである。こんなことを考え合わせると、ヤーグルが選ばれた裏には、やはり近年のチェコと中国の密接な関係があるのだろう。

 これは世界的な傾向だが、中国における人権侵害やら、少数民族の弾圧やらを批判する個人や団体は存在しても、国家としてとなると、経済関係を優先して、そんな問題はなかったことにするか、形式的に批判する振りをするだけに留めることが多い。何かと人権問題にうるさいEUに対しては、それでいいのかといいたくなるのだが、チェコはEUの中でも特にその傾向が強く、この前ダライラマがチェコにやってきたときも、首相を含む何人かの閣僚が中国政府に対して弁解というか、いいわけのコメントを出していたぐらいである。
 そんなチェコを中国も組みやすしとみたのか、EU内における中国の重要な投資拠点として位置づけているようである。その結果、中国からチェコへの投資が進み、さまざまなものが中国資本に買収されている。中国以前には日本、韓国からの投資が盛んだったのだが、当時の日本、韓国よりも、中国からの投資ははるかに優遇されているような印象を受ける。これは巨大で今後も成長していくことが期待される中国市場へのチェコ企業の進出を見越してのことだだろうか。ゼマン大統領も就任以来何度もお供を連れて訪中しているようである。

 チェコで中国資本に買収されてしまったものというと、真っ先に思い浮かぶのがチェコサッカー第二のチームであるスラビア・プラハとその本拠地のエデンのスタジアムである。イギリス資本に買収され、約束された資金の投入もなく長らく低迷していたスラビアが、やっとチェコ人オーナーの手に戻ってきたと思ったら10年ほどで今度は中国資本に買収されたのである。いかに当時無駄遣いの果ての資金難にあえいでいたとはいえ、スラビアファンとしては歓迎できることだったのだろうか。
 個人的には、ビール会社のチェルナー・ホラがロプコビツの傘下に入って、そのまま中国資本に買収されたのがショックだった。中国でチェルナー・ホラのライセンス生産とか始まってしまったら最悪である。このグループのメインのブランドは貴族家の名前を冠したロプコビツだから、ライセンス生産をするならまずそれだと思うけど、グループ内のクラーシュテルというビール会社が韓国に工場を建てたという話もあるし、ないとは言い切れないのである。

 スポーツの世界に目を向けると、金に飽かせて有名選手をかき集めている中国のサッカーリーグに渡ったチェコ人選手はあまりいない。名前が売れていないからだろうか。現在アメリカでプレーするドチカルが一時中国の一部リーグのチームにいてほとんど活躍できないまま移籍してしまったぐらいだろうか。しかし、引退した元選手にまで目を向けると、大物がいるのである。
 何年か前のゼマン大統領の訪中に、なぜかパベル・ネドビェドが同行していたのだが、そこで中国サッカーのアドバイザーみたいな肩書きをもらっていた。もちろんゼマン大統領だけではなく、中国市場を重視するユベントスの意向もあったのだろうが、ゼマン大統領が中国まで業生に出かけてネドビェドを売りつけて帰ってきたような印象を拭うことができなかった。
 そうなのだ。今回のヤーグルの件も、ゼマン大統領が、というよりは、中国資本の力を背景にスラビアのオーナーを務めているトブルディーク氏が中国に売りつけたような印象を持ってしまった。いや売りつけたというよりは、献上して見返りに中国からの更なる投資を求めたと考えると、かつて中国の王朝が属国との間で行なっていた朝貢貿易の再来のような感じさえしてしまう。最近の中国の振る舞いを見ているとそんな印象を受けるのも仕方がなかろう。何せ、ドイツでさえ中国に媚を売っているのだから。

 さて、売られたヤーグル、品行方正なイメージのあるネドビェドと違って、結構気難しそうなイメージがあるのだけど、中国やトブルディークが求めるように大人しくアイスホッケーの顔を務めるのだろうか。ヤーグルと中国は相性がいいなんて意外なことになるかもしれないけど。
2018年11月21日9時30分。









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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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