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2018年07月02日
第二次バビシュ内閣信任獲得か(七月二日)
一回目の組閣で下院の信任をえられなかったバビシュ氏を首相とする二回目の内閣が、ゼマン大統領によって任命された。前回はANO単独の少数与党の内閣だったが、今回は社会民主党と連立した上での少数与党内閣である。共産党の閣外協力を得て信任に必要な過半数、101以上の票を確保する予定であるという。共産党も最後まで、駆け引きのつもりなのかなんなのか、信任案を支持するかどうか言を左右していたのだが、土曜日に最終決定として支持することを表明した。これで、第二次バビシュ内閣が下院で信任を得られることはほぼ確実になった。造反者がでるかもしれないけど。
そのバビシュ内閣は、何の問題もないと言うわけにはいかず、現時点で最大の問題は、ゼマン大統領が社会民主党の外務大臣候補のポヘ氏を任命するのを拒否したことで、暫定でハマーチェク氏が外務大臣に任命されている。問題はハマーチェク氏が内務大臣に任命されていることだ。ポヘ氏は名目上は相談役か何かの役職について実質的には大臣の仕事をするというのだけど、そんな詐欺満みたいなやり口が許されるのかという疑問にはチェコだからと答えるにしても、内務大臣と外務大臣を同一人物が兼任するというのには無理がありすぎる気がする。
普通、何かの事情で大臣がかけてしまったときには、後任が見つかるまでは首相が暫定で兼任するものだと思うのだが、今回は連立政権で、大統領が任命できないような候補者を出してきたことに対する責任を社会民主党が取るということで、党首のハマーチェク氏が兼任することになったようだ。ANOにしてみれば、連立交渉で散々譲歩させられたのだから、社会民主党の失態の尻拭いをさせられるいわれはないと言うことだろう。バビシュ氏は、外務大臣の件に関しては社会民主党と大統領で決めてくれというスタンスを取り続けている。
そもそも、議席数で言えばANOとは圧倒的な差のある社会民主党なのだが、連立交渉の相手が見つからないというANOの弱みに付け込んで内務大臣と外務大臣という重要な役職をごり押しで獲得したのである。この既存の大政党の悪いところを凝縮したような社会民主党の交渉のあり方は、見ていて気持ちのいいものではなかったから、最近の世論調査でも支持率を上げられていない、むしろ一時期よりは下がっているように見える原因になっている可能性もある。
一方で、ANOのほうも、第一回の組閣では連立交渉に対して、交渉がまとまらないのはANOに交渉する気がないからだと既存政党の側から批判されても、譲歩することなく結局は単独での組閣を選ぶという既存政党とは違う姿勢をみせていたのだが、今回の組閣では社会民主党、共産党にずるずると譲歩させられているようであった。ANOは既存政党とは一線を画しているというのが一番の支持を集めている理由なのに、一部とはいえ既存政党と馴れ合い始めたような印象を与えたのは、今後の支持率の低下につながるのではないかと予想している。
ANOの大臣候補者にも問題があって、元防衛大臣で、第一次バビシュ内閣では外務大臣を務めた俳優のストロプニツキー氏は、外務大臣を社会民主党に譲ることになった時点で政界から身を引くことを表明した。防衛大臣になっていた産業大臣のシュレフトバー氏は、軽薄な言動で顰蹙を買い第二次バビシュ内閣では大臣の座を失うことになった。交通大臣のテョク氏こそ、政界引退の意向を撤回したものの、法務大臣のペリカン氏は、これ以上付き合いきれないと言うことなのか大臣も国会議員の職も辞任してしまった。
その後任となったマラー氏の過去があれこれ問題を引き起こしている。一番最近のニュースは、学位をとった大学の卒業論文が盗作と言うか剽窃というかだったらしい。しかも学位を与えた大学がスロバキアの怪しい私立大学だったのかな。あれこれ、批判されているけれども、この件をつつくと問題になる政治家は、あちこちにいるはずである。
十年ぐらい前にプルゼニュの西ボヘミア大学で、促成栽培によって短時間での卒業した学生がいることが問題になったとき、顧客の大半は政治家だった。ゼマン大統領にすりよりながら今回の連立を批判しているホバネツ氏もその一人で、その上で何事もなかったかのように内務大臣を務めていたのである。亡くなったグロス元首相の卒論もひどかったというしなあ。政治家の能力と学歴なんて全く関係はないのだから、そんなに無理して学歴をでっち上げる必要もあるまいに。「バカ田大学出身」なんて冗談をやってくれる政治家がいたら、それだけで支持してしまいそうである。
2018年7月2日0時15分。