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2016年10月15日

チェコサッカー界のバーカ(十月十二日)



 前回、ヨーロッパ選手権にも、ヨーロッパのカップ戦にも、ワールドカップの予選にも関係しない話題で、チェコのサッカーのニュースが日本にまで届いたのは、酔っ払い審判の話だったが、今回も、いいニュースではなく笑いものになるニュースが日本でも広まっているらしい。今回は、誤審をやらかした女性審判に対して、あほな選手が女性差別的な発言をしたというニュースである。
 既に二週間ほど前の話になるが、チェコのサッカーの一部リーグのブルノで行なわれたブルノ―スパルタの試合は、終了間際にブルノが同点に追いつき3対3の引き分けに終わった。ただ、試合終了直後からその同点ゴールを決めたブルノの選手がオフサイドの位置にいたのではないかと言われており、オフサイドの旗を揚げなかった線審を務めていたのが女性だったことが問題をややこしくした。
 チェコのサッカー界は、意外なことに女性の進出が盛んであり、既に2003年には、ダグマル・ダムコバーが一部リーグの試合で主審を務めている。ダムコバーは、オリンピックや世界選手権などの国際大会でも女子の大会の重要な試合で主審を務めていたはずだ。世界的にも数少ない信頼できる女性審判として活躍していたのだが、その後サッカー協会の会長職に立候補しようとした後、審判を引退して、協会の審判部の部長に就任した。それだけでなくUEFAの審判評議会のメンバーにも就任したのかな。その影響なのか、ダムコバーが引退した後も、女性審判の姿を一部リーグでもたまに見かけるのである。

 さて、問題のシーンについては、試合直後のスポーツ紙のネット上の記事では、ゴールはオフサイドだったけど、その前にスパルタの選手がペナルティエリア内で、明らかにハンドの反則をしているから、ゴールを認めずPKにするのが正しかったはずだと書かれていた。PKはほほ得点になることから、引き分けというのは順当な結果だったのだろうと、この記事を読んだときには思った。
 それが、テレビの解説では、ハンドについては触れず、オフサイドの位置にいたブルノの選手のところにボールが届く前に、スパルタの選手が触っているように見えるので、味方からのパスではないと判断して、オフサイドの判定をしなかったのではないかという推測をしていた。それが正しい判定なのかどうかについては、特にコメントをしていなかった。女性に対する配慮だったのか、審判が男性でも同じように扱われたのかは、何とも言えない。
 結局、サッカー協会の審判部長のポーランド人が、誤審だったという判定を下し、本人もビデオで確認した結果、誤審だということを認めたらしく、四節にわたって審判としての活動を停止するというペナルティを受けることになった。他にも処分を受けた審判はいたし、それで終わってしまえば、よくある誤審の後のよくある処分で、特に国外にまで伝わるニュースにはならなかったのだろうけど、バカがいた。

 一人は怪我で欠場しているスパルタの中心選手バーハで、ツイッターに、「女は台所にいろ」というような発言を書き込んだらしい。この男は、チェコサッカー界の中でも、最も典型的な勘違い男で、実力がないとは言わないが、自分を過大評価して軽率なプレーを、スパルタでも代表でも繰り返し、これまで何度も敗戦の原因になってきた。自分のミスは軽く流し、ズルや笛を吹かれなかった反則については絶対に認めないくせに、他人のミスに関しては鬼の首を取ったように批判するのもこの男の特徴か。日本のチェコ語関係者の中には、チェコ語のchaの音を「カ」で表記する人もいるから、例外的に、「バーカ」という表記を採用しようかと思うほどだ。
 以前、現在U21の監督を務めるラビチカがスパルタを率いていたときには、自分と仲のいいセンターバックを試合に出すように強要したという話もあるし、正直バーハがスパルタの主力である間は、チャンピオンズリーグの本戦出場は難しいのではないかと思う。かつて、ジェプカが選手間に君臨して周囲の選手に悪影響を与えているということで、追放されるようにスパルタから移籍したが、バーハもそろそろ見切りどきだろう。すでにチームへの貢献よりも、悪影響のほうが大きくなっている。

 もう一人は当事者の一人、同点ゴールを決められたゴールキーパーのコウベクなのだけど、どんな状況での発言なのか、ネット上に書き込んだのかなんてことはわからない。試合直後の発言であれば、興奮のあまりということで許される面もあるかもしれない。ダムコバーは、かつて女性審判の利点として、面と向かって汚い罵詈雑言を投げられることが少ないと語っていたけれども、面と向かって罵れない分、試合直後のインタビューでぶちまけてしまったというのは理解できなくはない。
 しかし、もしネット上での書き込みであるのなら、明確にバーハの悪い影響を受けたと言えそうだ。そもそも、サッカー選手が、ツイッターやフェイスブックに頭の悪い書き込みをするという行動自体が軽率すぎる。怪我のリハビリ中にそんな軽率なことをして喜んでいる選手の影響を受ける選手がいたら、成績は上がらないだろうなあ。

 暫定監督のホロウベクは、同点ゴールに関して、誤審云々以前に、一点差で勝っている状況で、ロスタイムに入って自陣に押し込められたこと自体が問題だと評価していた。これが同点シーンの評価としては、スパルタ側からできる最上のものだろう。監督の中にも審判の誤審をとやかく言う人が多い中、ホロウベクの姿勢は評価できるし、今後の成績も期待できそうだ。そのためにも、バーハにはずっと怪我で欠場していてもらおう。バーハが出てくると、代表の試合でも、スパルタの試合でも興ざめで、本来なら応援すべき試合でも、その気がなくなってしまうから。
10月13日23時。


 またまた迷走。バーハは、スパルタの女子チームが出場している女子版のチャンピオンズリーグの試合を観戦して、感動したようなことを語っていたが、信じるには値しない。それとも「女子チームのほうがすごい。俺たちがでていないチャンピオンズリーグに出ているから」なんてコメントに、女子サッカーへの敬意を感じるべきなのかね。10月14日追記。


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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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