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2016年07月30日

オロモウツスーパー事情(七月廿七日)



 オロモウツで生活を始めたころ、一番よく使っていたのは社会主義的建築の典型だったプリオールの地下にあったデルビタというスーパーマーケットだった。旧市街の中心ホルニー広場のすぐ近くという立地のよさから、いつ行っても買い物客で混雑していた。
 デルビタは確かベルギーの会社で、オオカミのような動物がシンボルマークになっていた。サマースクールのときだったかどうかは覚えていないが、知人に勧められて会員カードを作ってポイントを貯めていたところ、赤字経営だったらしく、いつの間にかチェコから撤退してしまった。旧市街を取り巻く住宅街の中にあったもう一軒の大きな店舗も含めて、オーストリア系のビラというスーパーのチェーンに売却されてしまったのだ。

 そのビラの店舗の中では、サマースクールの一年目に学校から寮への帰り道にあるサッカー場の入り口近くにあるスロバンスキー・ドゥームの店舗をよく使った。このビラの近くには、飛べなくなったソ連製の旅客機が停めてあったので、飛行機のそばのビラなんて呼ばれていた。確か飛行機の中にはバーが入っているような看板が出ていたが、残念ながら営業中のところに行き合わせたことは一度もない。その飛行機も数年前にボヘミアのどこかの町の博物館に引き取られていって、今では見ることはできない。
 ビラはデルビタの店舗を引き受ける前から、市街の南の端ポベル地区のスラボニーンにも近い住宅街の外れに大きな店舗を構えていて、そちらのことビッグ・ビラなんて呼んでいたかな。最近はこっちのビラを使うことが多い。うちから一番近いスーパーというわけではないのだけど。
 一年ぐらい前だっただろうか。行きつけのシェルのガソリンスタンドの売店がビラになってしまっていたのにはびっくりした。店舗を増やしたいビラとスタンドの売店の効率化を図りたかったシェルの思惑が一致したのだろう。ただ、ガソリンスタンドの店舗は、スーパーというより日本のコンビニに近いといったほうがいいかも知れない。
 以前から、理解できないのがガソリンスタンドの売店でビールなどのアルコールが売られていることなのだが、ビラになっても当然状況は変わっていない。チェコでも飲酒運転が問題になっているのだから、車を運転する人がアルコールを購入できる機会はできる限り減らすべきだろうに、法律で禁止なんてことにはなりそうもない。国会内の食堂で格安でアルコールを提供させるのがチェコの国会議員だからなあ。

 サッカースタジアムの北側の客席が完成してその下にプラスというスーパーがオープンしたのは一年目のサマースクールの後半だったかだろうか。宿舎の近くに新しいスーパーが開店するというので行ってみたら、買いたいものがほとんどなくてがっかりしたのを覚えている。何でも普通のスーパーではなく、ディスカウントというタイプで安い代わりに品揃えに難があるのだという。日本のディスカウントショップがスーパーになったようなものと考えればいいのかな。

 二年目のサマースクールでは、宿舎がネジェジーンだったので、一番近くにあるグローブスにも行くようになった。特に週末は、街中まで出るよりは楽だったし、街中のデルビタは土曜の午前中までしか営業をしていなかった。グローブスはデルビタやビラと比べると巨大な平屋建ての建物で、一般のスーパーで買えるものに加えて、園芸用品、家具、電気製品まで取り扱っていた。サマースクールのときには食品ぐらいしか買うものがなかったから、入り口から食品売り場に直行していたけど、オロモウツで生活するようになってからすぐ、ハロゲンの卓上ランプがほしいという知人に付き合って買い物に行った記憶がある。
 グローブスは、大きな駐車場つきの郊外型ショッピングセンターとしてはオロモウツで最初の一つだが、トラムのネジェジーンの一つ手前の停留所からもそれほど遠くないし、街の中心の英雄広場からバスの27番に乗れば終点がグローブスなので、車を買う前にもときどき出かけていた。スパゲッティだったか何だったか、愛用していた食材の中にここでしか買えない物があって、定期的に補給に出かけていた。その後グローブスでも扱わなくなったので、最近はまったく行かなくなってしまった。
 その後グローブスに接してオロモウツ・シティというショッピングセンターが建てられてお店の数は増えたけれども、郊外のショッピングセンターの出店傾向はどこでもほとんど同じなので、わざわざ出かける理由にはならないのである。最後に行ったときには、経営がうまくいっていないのかお店が入っていないところも多かったし、売りに出ているなんて情報もあったなあ。

 こんなテーマで分割することになるとは思わなかったけど、長くなったので以下次号。
7月28日22時。


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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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