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2016年02月21日

スタジアム問題(二月十八日)



 久しぶりにサッカーの試合を90分、テレビでだけど、最初から最後まで見てしまった。ヨーロッパのカップ戦で唯一春まで生き残ったチェコのチーム、スパルタ・プラハと、ロシアのクラスノダルのヨーロッパ・リーグの試合が放送されたので、何気なく見始めたら最後まで見てしまったのである。
 試合は、チェコのチームであるスパルタが優勢で、いくつものチャンスを作っていたと言う点では面白かったが、チェコのサッカーにもロシアのサッカーにも興味のない人が見たらどうなんだろう。あちこちでパスミスを連発し、相手のミスに付け込むこともできず、どちらのチームも試合から遠ざかっていたことがよくわかるような内容だった。ロシアはいまだにリーグが中断中だし、チェコは先週末に再開して一試合こなしたに過ぎない。中断期間中にもキャンプを張って、強化のための練習や試合はしているのだが、公式戦はやはり別物なのだろう。
 スタジアムの芝の状態がよくなかったのもミスが多かった原因かもしれない。今年はまだ暖冬だからマシなほうだと思うが、十二月の前半の試合や、二月のこの時期の試合は、日程上仕方がないとはいえ、芝生も選手たちもかわいそうだと思うことがある。今日も吐く息が白くなっているのがテレビの画面越しにもはっきり見えたし。

 チェコの一部のチームの本拠地のスタジアムは、ここ十年ぐらいの間に、一部リーグの試合に使用するための条件として、夜間の試合ができるレベルの照明設備、芝生に積もった雪を解かすための融雪装置などを設置することが義務付けられるようになっために改修が進んでいる。そのために多少の雪なら問題なく試合は行えるようになっているのだが、それでもたまに大雪のために融雪が間に合わず、試合が延期になることがあるのである。
 ちなみに、この融雪装置は、現在は、芝生の下にパイプを通して、そこに芝に悪影響を与えない温度のお湯を流すことで、雪を解かすシステムが一般的らしいが、チェコで最初に導入された融雪装置は電熱線を芝生の下に通すというもので、時に芝生が焼けこげたり、スイッチを入れるとスタジアムの周囲が停電したりするというかなり危険なものだったらしい。

 この一部リーグで使用する条件を満たしていないために、ホームゲームを本拠地で行えず、よそのチームの本拠地に間借りしなければならないという事態も発生している。例えばボヘミアンズ1905は、スラビアプラハのエデンスタジアムを使い、ズノイモのチームは、ブルノのスタジアムに間借りしていた。
 そして、本拠地のスタジアムを改修する予定が立たなかったり、間借り先が見つからなかったりすると、二部から一部に昇格できないことになっている。昨年も二部で二位に入ったバルンスドルフというチームが、昇格できずに、代わりにズリーンが昇格したのだった。また、バニーク・オストラバが、長年使ってきたバザリというスタジアムを離れて、去年の夏から、ライバルチームだったビートコビツェ(すでに消滅した)の本拠地に引っ越すことになったのも、バザリの改修資金がなく、オストラバ市の支援も受けられなかったからだと言われている。これだけが理由ではないが、チェコで一番過激なファンたちとの間に軋轢を生じて、一部のファンが応援をボイコットすることになった。

 観客を増やすためにスタジアムの改修を進めて、観戦しやすいものにしようというサッカー協会の考え方は間違っていないと思う。ただ、もう少し弾力的に運用してもいいのではないかという気がする。日の長い夏場の試合に照明や融雪装置なんていらないのだから、七月、八月の夏場は条件を満たさない本拠地でのホームゲームを許可して、それ以外は間借り先を探させるとか、もう少しやりようがある気がする。本拠地以外でホームゲームを開催すると、確実に入場者は減るのだから、この規則を杓子定規に運用するのは本末転倒の感がある。ここ数年は幸いなことにそんなことは起こっていないが、観客数が千人以下では、見ているほうもプレーしているほうもたまらないだろう。
 いや、観客を、協会の言うように家族連れの観客を増やしたいのなら、火薬や発煙筒を持ち込んで試合の邪魔をする連中を何とかするべきだろう。以前からスタジアムの入場の際には荷物のチェックなどを行って危険物を持ち込ませないようにしているが、それが完全に機能していないのである。ああいうのを見ると、子供だけでなく、大人でも近づきたくないと思ってしまう。

 去年だったか一昨年だったか、バニーク・オストラバのホームゲームで、ハーフタイムにファンが暴れ始め、座席を破壊したり、破壊した座席をグラウンドに投げ込んだりした挙句に、警察と乱闘を起こすという事件が発生した。実はオストラバのファンの仕業ではなく、ポーランドのカトビツェのファンでポーランドでは試合に入場を禁止されている連中が、暴れるためにオストラバまで出向いてきたのだと言われている。暴れていた連中の多くは覆面をかぶって顔がわからないようにしていた。顔がわからなければ人物を特定できず処罰も受けないという姑息な考えなのだろう。それなら、入場の際の手荷物チェックで覆面も禁止物として没収してしまえばいいのだ。サッカー場で、サッカーを見に来たのではなく、暴れに来た連中の人権に配慮する必要などあるまい。
 いずれにせよ、サッカー協会には、スタジアムそのものの改修よりも、危険物の持ち込みを防止することに力を入れてほしい。何もやっていないわけではないのだろうが、現時点では実効はそれほど上がっていないのである。
 うーん。当初の予定とは全然違う話になってしまった。ちなみに試合の結果は、スパルタが何とか一点取って、1対0で勝った。

2月19日18時。




 思わず、うそーと言ってしまいそうになった。ホーム用の深紅のユニフォームではないのがちょっと残念。スパルタのファンではないのだけれど、ヨーロッパの舞台ではチェコのチームということで応援している。2月20日追記。


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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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