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2016年02月10日

ベルナルト――チェコビール列伝(二月七日)



 もう十五年ほど前の話になるが、初めてサマースクールに参加したときに、よく出かけた飲み屋の一つが、ドルニー広場にあるポッド・リンポウだった。この地下蔵のようなお店は、雰囲気がよくビールも美味しいせいか、いつ行っても込んでおり、当時は飲み屋を禁煙にするなんて考える人もほとんどいなかった時代のことで、喫煙者が多く、服に煙の匂いがつくのには閉口させられた。

 このポッド・リンポウで飲めていたビールが、フンポレツという町で生産されているベルナルトだった。このベルナルトというビール会社は、ロディニーという家族のと訳せる言葉を枕につけていることが多いのだが、これは「家族のためのビール会社」ではなく、「家族経営のビール会社」と理解したいところだ。ベルナルトという社名、およびビールのブランド自体が、経営者の名字から取られたものであるし。
 この会社ベルナルトは、チェコの中小ビール会社の雄とでも言うべき存在で、外資に買収されていないチェコ資本のビール会社で、年間生産量が規定量(20万ヘクトリットルだったと記憶している)以下の企業は税制上優遇を受けるという法律があるのだが、この法律の制定に際して、決定的役割を果たしたのが、オーナーのスタニスラフ・ベルナルト氏だと言われている。
 また、生き残りの戦略として高級化路線を選び成功させたことでも、知られている。日本で言うラガービールは、チェコ語でレジャークと呼ばれるのだが、これが各ビール会社で生産する普通のビールの中では、もっとも値段が高く、いわゆるフラッグシップの役割を果たしている。ベルナルトでは、このレジャーク用の瓶に、一般の王冠を使うタイプのものではなく、古風な金具で瓶につながれた栓を使うタイプの専用の瓶が採用されている。一般の瓶よりもデポジットの額が高くなっているのだが、一度は試してみたい、一本手元に置いておきたいと思うのがビール好きの性というものであろう。また、瓶を入れるケースも、一般にはプラスチック製で、24本入りのものが使われるのだが、ベルナルトでは、半分の大きさの12本入りのなかなかしゃれたデザインの木のケースを採用している。これも、デポジットが戻ってこなくていいから一つぐらいは、自分のものにしたくなってしまう。

 そんなベルナルトが、もう限界だと言って、外資を受け入れたのが、2000年代の初頭のことで、チェコのビール業界に詳しい知人が、非常に残念がっていたのを思い出す。確かベルギーのインターブルーの出資を仰いだのではなかったかと思っていたら、昨年末にインターブルーの後身であるインベブと、SABミラーの合併が報じられたときには、インベブがチェコ国内に保持しているブランドはないことになっていた。不思議に思って確認してみたら、インターブルーではなく、ベルギーの別の、ベルナルトと同じく「家族経営の」と枕の付くビール会社であるDuvel Moortgatem社(読み方がわからん)の出資を受けたようである。国際的な大企業ではなく同じような経営理念のところと手を結ぶ当たり、外資の受け入れはしても、ベルナルトの戦略は変わらないということなのだろう。
 最近は、ベルナルト氏自身の顔をラベルにあしらったノンアルコールのビールを発売して、なかなか評判がいいようである。ビールの名前が、日本語に無理に訳すと「さっぱりした頭」というのは、飲んでも酔わないということなのだろう。このオーナー(社長?)自身が表に出て来て、積極的に発言をすることで、ベルナルトのブランドイメージを作るというのも、この会社の戦略の特徴といえるかもしれない。

 ところで、スタニスラフ・ベルナルト氏は、国会議員にも選出されて、日々、チェコのビールのために戦っているはずである。この前、財務大臣のバビシュが、チェコの会社が生産しているビールのうち、レストランや居酒屋で樽から注がれて飲まれる生ビールに関しては、消費税の税率の低い低い基礎的食品のカテゴリーに入れようなどと選挙向けに発言していたけれども、こんなあほな提案の裏にはベルナルト氏はいないと信じたい。

 ちなみに、会社の所在地であるフンポレツは、フリニークという人物で、若しくはフリニークという人物が引っ越した先として有名なので、フンポレツに行く機会があったら、聞いてみると、記念館に連れて行ってもらえるかもしれない。実はフリニークという人物は、チェコ映画「マレチェクくん、ペンを貸してくれたまえ」(仮訳)に名前だけ登場する人物で、夜間学校で先生が出席を取るときに、「フリニーク」と呼ぶと、ある学生が顔も上げずに「フリニークはフンポレツに引っ越しました」と答えるシーンが、何度が繰り返されることで有名になったものである。チェコ人にとっては笑える場面らしいが、私にはあまり笑えない。この非実在人物に関する記念館みたいなのがフンポレツにできたというニュースを見たような気もするので上のようなことを書いたのだが、うーん、チェコ人ならやりかねないんだよなあ。

2月8日18時30分。



 このビール事典、よく見ると表紙にブドバルがある。ベルナルトは、でも載っていないだろうなあ。ベルギーのDuvel Moortgatem社のビールはあるかも。2月10日追記。



ビール事典


posted by olomoučan at 08:03| Comment(0) | TrackBack(0) | Pivo
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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



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