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2018年09月27日
リーダー不調その後(九月廿四日)
このブログでリーダーというとソニーが2010年に発売した、電子ペーパーを使用した電子書籍宣陽端末を指すのだが、前回リーダーについて触れたのは今年の四月のことで、リーダーの2号機、3号機の、特認電源の調子がよくないという話だった。あれから症状は悪化はすることはあっても改善されることはなく、さらに別な問題も出てきてしまった。
もともと、リーダーはメモリーの管理が弱いのか、SDカードや本体のメモリーにたくさんの本を入れると本を開いたり閉じたりするときの反応が遅くなる傾向があった。メモリーの使用量ではなく、何冊、正確には、媒体中にいくつファイルが存在するかが重要で、リーダー購入当初に2ギガバイトのSDカードに、電子書籍のXMDFファイルや、ドットブックファイル、テキストデータから作成したPDFファイルなんかを限界まで入れたら、いつまでたってもカードの読み込みが終わらなくなってしまったことがある。数は200を超えていたかなあ。
逆にカードの容量が一杯になるまで記憶させたとしても、1ファイル当たりのデータが大きく、ファイル数が40から50ぐらいまでであれば、読み込みに時間はかかっても、まだ実用に堪えると言える範囲で収まるから、ファイル数が多くなると対応しきれなくなると考えてよさそうだ。その後、あれこれ実験した結果、SDカードには容量は残っていても、100以上のファイルは入れないことにしている。このくらいならまだ待てる。
それに対して、本体のメモリーは最初に使ったSDカードと容量は同じで2ギガだが、数に対する耐性が強いのか、200から250ぐらいまでなら、それなりに使える反応速度で、300を超えると実用には堪えないところまで反応が悪化していた。だから、だんだんSDカードは使わなくなり、ファイル数が増えすぎて反応が悪くなったときには、しばらく読みそうもないものをどんどん削除して数を減らし、久しぶりに読みたくなったらPCで充電する際に、ハードディスクから本体の内臓メモリーに再度コピーするという方法をとっていた。
それが、最近、2号機で、本体メモリーのファイルの数を200ちょっとに維持しているのに、反応が少しずつ悪化してきて、読みかけの本を開くのだけは問題ないが、新しい本を開く場合、開いてある本を閉じる場合に、数分以上の時間がかかるようになった。本を閉じて新しい本を開く間に、お湯を沸かしてコーヒーを淹れられるどころか、下手をすれば飲んでしまえるほどで、そろそろ2号機を廃して、最後の4号機を投入するかと考え始めていた。
そのときに思いついたのが、パソコンの使用中に反応が悪くなったら、とりあえずリセットするし、さらにどうしようもなくなったらOSの再インストールをするから、リーダーもリセット、正確には本体メモリーのリセット、もしくは初期化を試してみることにした。昔使っていたフロッピーも、一度初期化して必要なファイルをコピーし直すと反応がよくなったから、うまくいくかもしれない。
やってみたら、自分でもびっくりするぐらい本の開け閉めに時間がかからなくなった。HDに保存してあったファイルの中から読み直す価値のありそうなものを片っ端からコピーしたのだが、今のところファイル数が90ぐらいで収まっているから反応がよくなったのか、初期化の甲斐があったのかは、現時点では判然としない。それでも快適に読めるようになったのはうれしい。一番の問題は、現実でもPC上でも整理整頓が苦手なので、必要なファイルを膨大な数のファイルの中から探し出すことだった。同じファイルがいくつものフォルダに保存されているって、我ながらどういうことよ。バックアップのつもりだったのかもしれないけど、保存した本人が忘れているのでは、何の役にも立たない。フォルダによって微妙に入っているのが違うなんて問題もあったなあ。
とまれ、3号機も近いうちに同様の処置を施す予定である。問題は普段使っているPCでは3号機が認識されないことだけど、リセットしたら変わるかもしれないし、ダメなら電車に持ち込むのに使っている小さめのノートPCで充電すればいい。こっちに入れるファイルも探すのが大変そうだけど、本を探すのが楽しみではないとは言い切れないのが、活字中毒者の性である。本屋で探すほどではないけど、ネット上の書店もどきで探すよりはずっと楽しい。
これで4号機の投入を延期できるかというとそんなこともなく、以前風呂場でパッキング付きのビニール袋に入れて使用していた3号機の電源スイッチの具合があまりよろしくない。湿気にさらされて内部にさびでも出たのか、スイッチをスライドさせにくくなってしまっている。ちゃんとスライドさせたつもりでも、スリープ状態に入らなかったり、反応が遅くて二度、三度スライドさせることになったり、イライラさせられることが増えている。
繰り返し、繰り返しソニーのリーダー、もしくはリーダー互換機の復活を願っているけど、よく考えたら、SDカードをあまり使わなくなった現在、リーダーでなくても、PDF、XMDF、ドットブック形式の本が読めれば問題はないのか。最悪SDカードから本体にコピーすればいいわけだし。と、他の電子書籍リーダーに手を出しそうな文脈になってしまったが、やはり、ウォークマンと同じで、電子書籍リーダーはソニーの物を使いたいなあと思ってしまう。ウォークマンなんて日本でチェコ語を勉強していたときに再生専用の物を買って使っていただけだから、定着しなかったディスクマンのほうが使っていた時間は長いんだけどさ。
2018年9月26日17時30分。
2018年07月01日
カロウセクに勝った再(七月一日)
以前も書いたように電子書籍と紙の本の両方を扱うhontoで『現代語訳小右記』を購入したのだが、買ったのは最初の二冊で金額にして5600円、重さにして1.4kgほど、日本国内の消費税はかからず、日本からの荷物にかけられるチェコ側の消費税もかからなかった。
この外国からの荷物にチェコの消費税がかかるかからないの境目となる金額があるらしいのだが、その額がいくらなのかはっきりしない。20ユーロという説があったかな。我が畏友は、日本に行ったときに、日本で買ったものをチェコに送る場合には、すべて開封して、販売できない状態にしたうえで箱詰めし、伝表に内容物はゴミのようなものと書き、価値は5000円と書くらしい。それで今まで一度もチェコの消費税を取られたことがないと言うのだが、ゴミなんて書いたら発送を拒否されるんじゃないか。ちょっと信じられない話である。
実家から送ってもらうような荷物は、価値が5000円ぐらいになっていても、税金を取られたような記憶もあるので、最近は小分けにして2kg以内で手紙扱いで送ってもらっている。手紙扱いにしたものに関しては税金を取られたことはない。ただ、本来のこの制度の対象であった国外のネットショップで買った商品に関しては、商品の重さにかかわらず課税されることになっていたはずである。
これでは、どういう事情で課税を免れられたかわからない。今後のためにもあれこれ試しておいたほうがいいだろう。ということで、次は値段が高く、重さでは2kgを越えなさそうな本を注文してみることにした。安い本を何冊も買うと2kgを越える可能性が高いし、箱が大きくなって手紙扱いにしてもらえるかどうか不安だから、できれば一冊で一万円を越える本がいい。
結局、かねてからほしいと思っていた小右記研究会が刊行した『小右記註釈』を注文したのだが、考えてみれば、上に書いた試す云々は、この本を買うために必要だった言い訳に過ぎない気もする。ジャパンナレッジの年会費と大差のない本を、今の低収入で購入するには自分を騙すための言い訳が必要なのである。ジャパンナレッジでさえも、いくつも口実を用意する必要があったし。
注文すると、hontoには在庫がなく、版元から取り寄せるので発送まで時間がかかるという連絡があった。版元で絶版になっている場合には買えない可能性もあったのかな。それから一週間ほどして発送完了のメールが来たときにはほっとした。ほっとすると同時にしまったと思ったのは、送料が3300円を越えていて、SAL便の料金表で確認すると、重さも2kgを越えていることが判明したからだ。そいうえばこの本二冊組だったか。研究書はハードカバーで造本もしっかりしているから重くなるのだった。hontoには、海外の顧客向けに本の重さもデータとして提供してほしいものである。
これで重さは手紙扱いのリミットを越え、金額も非課税の額を超えたのは確実である。届いたら、チェコの消費税、へたすりゃ20パーセント取られることになるのを覚悟した。願うのは円での2万円の20パーセント4000円の円をコルナに換えただけの税額にならないことだけである。これまで何度も、どのような計算で出てきたのか理解不能な額の税金を請求されたことがある。時間をお金で買うつもりでクレームもつけずに素直に払ったけど、カロウセク許すまじなのである。
それなのに、あっさりと無税で受け取れてしまった。例によって在宅していたのに不在の連絡票が入っていて郵便局まで取りに行くことにはなったが、税関で停まっているので手続きの代行をするという郵便局からの連絡は入っておらず、取りに言ったら普通に渡してくれた。
カロウセクを出し抜くことに成功したのだが、自分の功績ではない。理由を考えてみると、hontoで使われている梱包のおかげではないかと思えてきた。社名も、店名も入っていない無地のダンボールに、取り立てて特徴のない住所の印刷されたラベルがはってあるだけで、一見通信販売の商品には見えない。専門家が見るとまた違うのかもしれないが、素人目にはそうは見えない。宛名ラベルなんて個人の荷物の発送には使わないといわれればそれまでだけどさ。
どういう規準で税金がかかるのか、かからないのかは相変わらず判然としなかったけれども、日本で買う値段+1500円ほどで、この大部の本を買うことができたのは、何より喜ぶべきことである。日本で買うと本屋までの交通費もかかったはずだと考えれば、お買い得感はさらに大きくなる。
だけど、しばらくは大人しくしていよう。このままずるずると気軽に本を買うようになると、給料が本代だけで消えてしまうということになりかねない。クレジットカードは、お金が見えないだけに高額の買い物をする際に葛藤がなくて危険である。一冊2万円を越えるような本を買う際には、日本で毎月云万円も書籍に費やしていた時代でも、今回よりははるか悩んでいたのに、あっさりと購入に踏み切った自分が恐ろしくなる。
2018年7月1日0時25分
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2018年04月29日
リーダー不調(四月廿六日)
ソニーの電子書籍用端末のリーダーについては、一号機が電源の調子が悪くなって、入浴専用機にしたとか、本体下部のボタンがまったく反応しなくなって本を取り替えるためにいちいち電源を切って再度電源を入れなければならなくなったとか、何度か書いてきたが、二号機、三号機もちょっと調子が悪くなった。使用にはあまり問題はないのだけど、電源の持ちが悪くなってしまったのだ。
以前は充電に三時間以上かかったのが、二時間半ぐらいで充電が済むようになったのは問題ない。問題は使用できる時間が短くなってしまったことである。恐らく読める時間はそれほど短くなっていないと思う。ただ、電源を入れたまま放置しておいた場合にバッテリーが急激に減るようになってしまったのだ。リーダーには省電力設定があって、しばらく操作しないとスリープモードに入るという機能も付いているのだが、読み始めにいちいち操作するのが面倒でオフにしてある。
一号機で確認したところ、スリープモードにしようがしまいが、バッテリーの減り方に大きな違いはなかったこともあって、省電源機能をオフにし主導でスリープモードにすることもやめてしまったのである。スリープモードを使うのは、カバンの中に入れるなどして勝手にページがめくられたりボタンが押されたままになったりすることを避ける必要があるときだけだった。
そんな使い方をしていたせいか、充電して本を開いて読みかけたまま、放置しておくと二日ほどでバッテリーが切れるようになってしまった。頻繁にスリープモードに入れることで多少稼働時間が伸びるけれども、一度身に付いた習慣はなかなか変えがたく、たいていは本を開いたまま放置して、頻繁に充電を繰り返すことになる。
充電もメインで使っているPCとの相性が悪く、二号機はUSBで接続するとPCが勝手にリセットを始めてしまい、三号機にいたってはリセットしても、充電はできるものの、外付けの記憶媒体として認識してくれないので、ハードディスクから本をリーダーにコピーすることができない。だから新しい本を三号機にコピーする必要が出てきたら、別のPCを引っ張り出すしかないのである。
最近はテレビのUSB端子から充電するという手が存在することに気付いたので、充電だけでいいときにはもっぱらテレビを使うようにしている。PCが勝手にリセットするというのには、PCへの負担があるような気がして、何度繰り返しても慣れられないのである。ただ、テレビで充電した場合には、充電が終わった後も、PCのときのような接続をとくための手続きがないのがちょっと心配。「この機器は安全に取り外せます」とかいうアナウンスが出るのは使用者に安心をもたらすのである。
充電が頻繁に必要になったとはいえ、読むという一番重要な機能には問題がないし、二台稼働中なので両方同時に電源切れにならないようにすることは可能だから、もうしばらくはこのままでいけそうだが、最近あまり使っていない一号機が完全にお釈迦になったら、より不調な三号機をお風呂用にして、最後の四号機を投入しようと考えている。このままだと宝の持ち腐れになりそうだし。
最近確認していないのだけど、ソニーのリーダーの販売は続いているのだろうか。まったく話題にも上らなくなっているから、新型は投入されていないのだろう。それから、リーダー購入者を顧客として囲い込もうとして失敗した(はずの)リーダーストアはまだ営業しているのだろうか。ソニーみたいなハードで稼ぐべき会社がソフトで稼ごうなんて色気を出してはいけないのだ。それがソニーのリーダーが、ライバルに惨敗した最大の原因である。
この事実を反省した上で、ソニーがリーダーと互換性のある後継機を投入するのは何年後になるだろうか。最悪でもそれまでは四号機を持たせなければならない。そのときには、端末をひも付きの電子書籍販売店で機器認証させることなく、どこの販売店で買ったものでも読めるという、オープンな仕様にしてもらいたいところである。
2018年4月27日23時。
まだあった。通信なんぞ無視して読むことだけに特化したものを出せばよかったのに。
2018年04月28日
自転車漫画終(四月廿五日)
ここまであれこれ自転車漫画とちょっと小説について云々してきたが、『アオバ自転車店』の作者の言うとおり以前から見ると信じられないくらいの自転車漫画が存在するのは確かなことのようだ。少説まで何冊もありそうで、驚きは二倍である。そういえば、高千穂遙も、自転車をテーマにした漫画の原作を書いたり、自転車小説を書いたりしていたなあ。
高千穂遙には自分が趣味にしたものを、出版社をうまく丸め込んで何が何でも小説にして出版しまうところがあるから、特殊例だと考えていたのだが、自転車に関しては特例ではなく、ブームを牽引する一端を担ったというのが正しそうだ。となると、まず最初に手を出すべきは高千穂遙の作品か。これも検討しておこう。ものすごく詳しい説明が出てきそうだけど、まあファンタジーにボディビル用語の筋肉の名前なんかが出てくるのに比べれば耐えられるはずだ。
ところで、ここまで書き継いできて、最初に自転車マンガについて書こうと思ったときに、書きたいと考えたことを書いていないことに気づいてしまった。文脈の分かれ目で別の方向に向かってしまって、戻ってくるのを忘れてしまっていたようだ。それは、『アオバ自転車店』の主要キャラクターの一人、アオバ自転車店特製のロードレーサーに乗るモリオくんの台詞に大賛成だということである。
「男はクロモリ、ホリゾンタル」だったかな。「男は」の部分はともかくとして、自転車、特にドロップハンドルのロードレーサー系の自転車は、アルミじゃなくてクローム・モリブデン鋼のフレームの方が美しい。今は知らず、九十年代末のアルミフレームは強度を確保するためか、クロモリのフレームに比べると不細工なまでに太かった。タイヤも太くて全体的に、ロードレーサーの精悍さとは似ても似つかぬものになっていた。だからと言ってロードレーサーを「カトンボ」なんて言ってしまうのはどうかと思うけれども。
実は、高校に入学に際してお金をかき集めて自転車を購入したときに、注文用のカタログに書かれていた「クロモリ鋼」というのを見て、モリオくんと同じように「黒森」と誤解してしまったことはみとめねばなるまい。そして、これは「黒森」という人か、会社が開発して商標登録をした鋼材だろうと考えていたのである。カタログにもクロームとモリブデンを何パーセント含む鋼材なんてことは書いてあったはずだけど、見た目で選んだ自転車だったからなあ。パナソニックになる前のナショナルの自転車だったかな。
見た目で言えば、当時のいわゆるママチャリではない男の子用の自転車は、フレームの上部のパイプは水平になっていたから、90年代末のマウンテンバイクのフレーム上部の形状も何とも納得しがたいものがあったのだ。当時は「ホリゾンタル」なんて言葉は知らなかったから言葉ではうまく説明できなかったけど。
知らなかったのは他にもあって、『アオバ自転車店』を読む前は、「ランドナー」とか「スポルティーフ」とかいう自転車の細分化された種類は知らなかったから、クロモリのホリゾンタルフレームでドロップハンドルに細いタイヤの自分が買った自転車のことは、ロードレーサーだと思っていたけど、泥除けや荷台、ブレーキの補助レバーなんかが標準装備だったから、ロードレーサーではなく、ランドナーかスポルティーフだったのかもしれない。
だから、チェコに行ったら自転車を買うぞと決めたときに、自転車通勤をしていた知人と、アルミの太いフレームは嫌だなんてことを話していたら、あれこれ調べてチェコのオロモウツには、元軍需企業で自転車のチタンフレームを生産している会社があることを教えてくれた。チタンフレームがアルミと違ってクロモリのように細いのかどうかも、値段がどのぐらいするかも考えずに、地元の製品を買うぞと気分は大いに盛り上がったのだった。
しかし、チェコに来て自転車を買うために入った自転車屋に並んでいるのは、アルミフレームの物ばかりだった。念のために店員さんにチタンフレームってないのと聞いたら、笑われてしまった。レースに出るわけでもない素人が購入するには過ぎたものなのはわかっていたけれども、店員さんの説明によるとフレームだけでも何万コルナになって、それをもとに自転車を組んだら10万コルナじゃ足りないかもしれないということで、こちらが思っていた以上に高値の花であった。早々にチタンフレームはあきらめて、自分でも買えそうな自転車を探したのだけど、クロモリ、ホリゾンタルは見つけられなかった。
探せばあったのかもしれないけれども、つたないチェコ語では何と言っていいかわからなかったし、チタンフレームの件で懲りてもいたので、手に入りやすいもので妥協することにした。結局マウンテンバイクほどごつくない、チェコではトレッキングバイクとか言っていたかな、そんな自転車を購入した。当然チェコのブランドがいいということでAUTORである。でも生産は台湾だった。ちょっと残念。
それからもう一つ、単発のキャラクターが言っていた「ロードバイク」なんて言い方は許せないと言うのも納得。コルナゴというメーカーの自転車がいいかどうかは、乗るどころか見たこともないから知らないけれども。
2018年4月26日24時。
2018年04月27日
自転車漫画4(四月廿四日)
承前
次に気になったのが、『びわっこ自転車旅行記』。題名から小学生か中学生の男の子が、自転車に乗って旅行する話かと思ったら、「東京在住の三姉妹」が滋賀まで自転車で帰省する話だった。帰省ということは大学生か社会人の女性が三人ということか。作者の実体験をもとに描かれた作品だというのには惹かれるけれども、子供が旅先で出会う大人に助けられながら、目的地までたどり着くというお話を題名から期待してしまっただけにちょっとなあ。
そんなことを考えていたら、シリーズには「滋賀→北海道編」というのがあって、こちらは三人姉妹のうちの一人が高校生のころに、夏休みに滋賀から北海道まで自転車で旅をしたお話らしい。さらに「琵琶湖一周編 ラオス編」というのもあって、実家在住の末っ子が姉達と一緒にママチャリでびわ湖一周に挑戦するとあるけど、表紙を見るとママチャリに乗っているのは、末っ子だけのようである。
全部で三冊しかないし、各巻ごとに完結しているようだし、合わなかったら一冊で止められるし、今のところ、これが一番敷居が低いなあ。レンタで読めるようだったら、読んでみようかなと確認してみたら、レンタでは取り扱っていなかった。ヤフーのブックストアで買って読めという表示が出るのだけど、これ以上登録サイトを増やしたくはないので、却下。読むとすれば、hontoを使うことになる。ということでこれも保留。次行こう、次。
次に見つけたのが『Over Drive』。ロードレースを舞台にしたスポ根物らしいから、『シャカリキ!』や『弱虫ペダル』の路線である。出版社は講談社だから大きく外すことはないと思うのだけど、あらすじを読んでいると、少年マンガにありがちの無茶な展開も垣間見えて、ドラマチックに盛り上がる面白さはあるのだろうと思うけど……。試合やレースがなかなか終わらないという少年マンガの最大の欠点を、多分にもれずこの作品も供えているようだし、それを超えるだけの面白さがあるのかどうかだなあ。一巻の表紙を見る限り絵柄的には好きなほうに入るから、ちょこっと読んでみたい気もする。
hontoでは、「ブックツリー」という本の専門家がテーマに沿って本を推薦するという趣旨のサービスをやっている。正直な話、いくつか期待して覗いたブックツリーは、すべてこれで終わり? 言いたくなるような期待はずれなもので、あえて見るまでもないと結論付けていたのだが、自転車漫画に関しても「読めば自転車に乗りたくなる!主人公がのめり込む姿が熱い自転車漫画」というブックツリーが存在して、五つの作品が紹介されている。一つ目はすでに取り上げた『弱虫ペダル』、四つ目に『Over Drive』が入っている。せっかくなので残りの三つも見てみよう。
二つ目に上がっているのは、『ツール!』。題名からツール・ド・フランスを意識させるから、ロードレースがテーマであることは間違いない。自転車レースの専門家が監修についている分、ルールやレース展開は正確で現実的なものになっているだろうが、その分、少年マンガ特有のでたらめさのもたらすドラマ性というものが希薄になっているなんてことがあるかもしれない。実は昔少年サンデーのサイトでWEB連載をしていたころに何回か読んだ記憶がある。子供が主人公でジュニア世代のレースとはいえ、本格的なロードレース漫画は内容的には満足したけれども、これでツール・ド・フランスまでたどり着けるのかなと思っていたら、いつの間にか連載が終わっていた。
三つ目が『かもめチャンス』。仕事と子育てに忙殺される主人公の人生が一台の高価なロードバイクとの出会いで大きく変わるというコピーには、ものすごく惹かれる。これまで取り上げた自転車漫画の中でも一番である。「ビックコミックスピリッツ」の連載作品だから、主人公の能力を除けば設定周りにはそれほどの無茶はないだろうと思うのだけど……。
最後の五つ目は、『サクリファイス』。現在取り扱いできないと書いてあるから、紙の本は絶版で、電子書籍化が済んでいないということのようだ。「ブックツリー」のところにある紹介を読むと、主人公は陸上から自転車に転向してプロになるようなのだけど、高校生なのか大学生なのか。そんな内容よりも気になるのが原作者の存在で、近藤史恵。この人推理小説を書いていなかったかと思って確認したらその通りだった。創元推理文庫でちょっと変わった作品を発表していたのを覚えている。その近藤史恵が新潮社から刊行した小説版の『サクリファイス』をもとに漫画化されたようだ。
小説版のほうはミステリーとしても高い評価を得ているから、純粋な自転車小説ではなく。ロードレース界を舞台にした事件の謎を解く推理小説としての一面が強いのかもしれない。ロードレース界なんてドーピングを筆頭に謎だらけだしさ。
スポーツを題材にした小説はあたりはずれが大きく、スポーツを知らない書評家の評価も当てにならないことが多いのだけど、この小説はどうだろうか。以前どこかで絶賛されていた箱根駅伝を舞台にした小説を読んで、ドラマとしての面白さはあったものの、あまりの現実性のなさにがっかりしたこともあったしなあ。
この近藤史恵の場合には、他にも自転車小説を刊行しているようだから、そこまで心配することはないのかな。こんなことを書いていたら、取り上げた漫画よりもこの小説の方が読みたくなってきた。
2018年4月24日23時。
2018年04月26日
自転車漫画3(四月廿三日)
『アオバ自転車店へようこそ』の最後のほうの巻の巻末のあとがきで、著者の宮尾岳が、連載を始めたころは自転車漫画なんてほとんど存在しなかったのに、今ではいろいろな自転車をテーマにした作品が出てきて嬉しいというようなことを書いていた。確かに『アオバ自転車店』以前の作品では、『シャカリキ!』ぐらいしか知らないけれども、今ではそんなに多いのだろうか。多くなっているとすれば、自転車なんて漫画になりにくそうなテーマを取り上げて、毎回違った形で作品に仕上げてきた『アオバ自転車店』の影響だといってもいいのではなかろうか。いや、自転車ブーム、自転車通勤ブームなんてものにも影響を与えているような気もする。
考えてみれば、個人スポーツでありながらチームとしての役割分担があってチーム戦略もレースの結果を大きく左右するロードレースは、根性とか友情なんてのが好きな少年マンガには題材として向いているのかもしれない。ただ、その役割分担やらチーム戦略やらがかなりややこしくて、それをちゃんと理解した上で、作品に生かすのが難しいのだろう。その意味では『シャカリキ!』があの時期、90年代の前半に書かれたというのは、凄いことだったのだ。『アオバ自転車店』のほうは、自転車の楽しさを強調するのがテーマだからレースが出てきてもアマチュアのもので、一番大きいのは筑波サーキットでの耐久レースじゃなかったかな。
それはともかく、どんな自転車を題材にした漫画があるのか探してみることにした。舞台は最近お世話になっているhontoである。レンタでもよかったのだが、こっちだと読みたくなってパピレスのポイントを浪費してしまう恐れがあるので、クレジットカードで購入というちょっとハードルの高い、いや実は「ワンステップ購入」という罠が仕掛けられているようだが、罠だとわかっていれば落ちることはそうそうあるまい。
最初は、ロードレースチームになっていたりスポンサーを務めたりしていることで題名だけは知っていた『弱虫ペダル』から。『シャカリキ!』と同じで少年チャンピオンコミックスだった。現時点で55巻まで出ているようだけど、週刊の少年誌に連載された作品は大体一年に5巻前後の刊行であることを考えると、連載開始から10年を越えるところまできているのか。『アオバ自転車店』が20年弱で60巻ちょっとしか出ていないのも、少年誌に掲載された作品と比べると少なく感じられてしまう。
hontoに商品解説がないのは、誰でも知っているような有名作品だからだろうか。並んでいる表紙を見る限りロードレースをテーマにした作品のようである。最初のほうだけでも、現在のロードレース漫画を確認するために読んでみようか。何回も読む必要はないしレンタで48時間なら節約もできるしと考えて確認したら、48時間と無期限では100円分しか差がなかった。48時間は100か200だと思っていたのに……。
レンタには、少し長めのあらすじがついていて、主人公の名前が坂道というのは、少年マンガではよくあるパターンだからいいにしても、各巻のあらすじを読んでいると、きりよく読むのを止められそうなところがない。これは一度手を出したら抜け出せない蟻地獄のようなものだ。一年生のインターハイが終わるまでで30巻近く費やしているからなあ。悩むと読みたくなるから、次に移ろう。
hontoで「自転車」で検索して出てきたのが『南鎌倉高校女子自転車部』。女子高とはいえ、自転車部だからこれもロードレースがテーマになっているのだろう。一巻の表紙は、どう見ても所謂ママチャリだけどさ。二巻からは表紙にロードレーサーっぽのが現れるけど、こちらには付いているあらすじを読む限り、『シャカリキ!』や『弱虫ペダル』ほどロードレースに力を入れた漫画というわけではなさそうだ。舞台が鎌倉というのも、昔寺社や史跡を訪ねて鎌倉を歩き回ったこともあるし、魅力的なのだけど。現時点で10巻というのは、多いのか少ないのか、とりあえずこれも保留。
タイトルと表紙を見て、えっと思ってしまったのが、『かわうその自転車やさん』。自転車屋の店長がカワウソなのかね。あらすじを見ると店の常連さんたちとの交流が描かれているようだけど、登場人物がみんな動物になっているようだ。『アオバ自転車店』的な一話完結の話を積み上げていく形になっているようだから、読み始めても止めやすいとは言えそうなのだけど……。
問題は、登場人物の擬動物化で、アイデアとしてはわかるけど、カワウソみたいな四足で足の短い動物を自転車に乗せるのは無理がないのだろうか。その辺が漫画家の絵描きとしての腕の見せ所ということになるのだろうけど……。現時点で5巻という数の少なさも、魅力的ではあるのだけど、これも保留。
なんだか、次に読む自転車漫画を検討する内容になってきて、当初の目的からは逸脱しているような気もするけど、最近ネタもないし、次回も継続する。当初の予定ではこんなにたくさん自転車漫画ってあるんだねえという話で終わるはずだったのである。本読みとしては、本を発見した以上、内容を確認して読むか読まざるか検討してしまうのが性というものである。
2014年4月23日23時。
2018年04月25日
自転車漫画2(四月廿二日)
『アオバ自転車店』の最新の数冊を読んで思ったのは、変わっていないようで変わっているというものだった。舞台となる自転車店もその一家も昔と変わっていないし、自転車を通じて人生の悩みを一つ少なくするというストーリーも健在だった。でも、いつの間にか常連のように登場するメンバーが増えていて、10年前に自転車旅行に出たまま帰ってきていないという設定のお祖父さんが戻って店にいるようになっていた。
長期連載だから連載が続くにつれて10年前がさす年がずれていって、登場する自転車などの面で違和感が出るようになっていたのだろうか。連載が開始された90年代の終わりは、マウンテンバイクがブームで、自転車通勤なんてものが、話題になり始めたころだったから、ロードレーサー系は流行らないものとして扱われていたような気がするのだけど、最近の巻を読むと逆にロードブームのようにも見える。思い出してみると、90年代の終わり何人かの知り合いが、電車での通勤をやめて自転車通勤に切り替えていた。その足として選んだのは、みんなスピード重視のロードレーサーではなく、マウンテンバイク、しかもサスつきだったし。
個人的には、マウンテンバイクのフレームの形状も、太すぎるタイヤも、サスペンションなんてものもあまり好きではなかったので、マウンテンバイクで通勤というのにはあまり心惹かれなかった。周囲にロードレーサーで通勤している人がいたら、思わず手を出していたかもしれないけどさ。当時は安全上の問題とか、保険がどうとかで企業の側も、自転車通勤を積極的に支援するなんてこともなく知人も苦労していたのだが、最近は企業の側も自転車通勤を推進しているみたいで、隔世の感を感じる。
隔世の感といえば、『だからバイク大好き』なんて本を出すところまでいっていたバイクフリークのSF作家高千穂遙が、いつの間にか自転車人間になっていたことである。90年代の終わりにはもう自転車に手を出していたのかなあ。何年か前に発見した「日々是好日」という日記的ブログを読んでいると、ねたはもうほぼ100パーセント自転車だった。最近は猫も増えているのかな。
話を戻そう。お店の常連で定期的に登場する人たちの人間関係も変わっていた。折りたたみ自転車をきっかけに付き合い始めた二人は、いつの間にか結婚していたし、坂を登るための手段として購入したロードレーサーで自転車に目覚めた高校生の男の子は、競輪選手を目指して弟子入りしていた。うーん。個人的にはこのモリオくん、自転車のロードレースを目指すんじゃないかと期待していたのだけど、坂登りに執着する高校生でロードレースとなると、『シャカリキ!』と重なるのを嫌がったのかなあ。
実はこの『シャカリキ!』が、初めて読んだ自転車漫画である。自転車通勤を始めた知人が、すでに連載が終わっていたこの作品を発見して、貸してくれたのである。この作品を読んで自転車通勤を始めたということはないと思うけど、自転車に興味を持つきっかけにはなっていたようだ。あのころは一般の雑誌でマウンテンバイクの特集なんかをやっていて、それを見てあれがいいこれがいいなんてことをわめいていた。でも、最終的に確かフランスのブランドの自転車を選んだのは、『シャカリキ!』の主要登場人物がフランス製のロードレーサーに乗っていたからじゃなかったか。
『シャカリキ!』は、秋田書店のチャンピオンコミックスだったかな。雑誌「少年チャンピオン」は、大手の「ジャンプ」や「サンデー」、「マガジン」辺りでは取り上げられないような日本的にはマイナーな世界を舞台にした作品も掲載していたからこれもそのうちの一つだったのかもしれない。構成的にも、ものすごくよくできた作品で、面白く読んだのを覚えている。ただ最後の山場となったツール・ド沖縄のレース展開が、序盤から中盤まではともかく、終盤の主人公とライバルの一騎打ちになってからの展開が、二人のライバル関係を作品の終わりに昇華させるにはああいう展開に持っていくのが一番だったのだろうというのはわかった上で、ちょっと無理がありすぎるだろうと思わずにはいられなかった。
これ以上思い出そうとすると、再読したくなりそうだからやめておいたほうがよさそうだ。多分hontoあたりで探せば、電子書籍か紙の愛蔵版かで出てくるだろうけど、昔何度も読んだものを新刊と同じ値段を出してまで読みたいとは思えない。レンタにあれば100円か200円かで読むことは可能だけど、時間が経てばまた読み返したくなるのは当然だから手は出しにくい。一番いいのは読みたいという欲求を押さえ込んでしまうことなのだ。
インターネットの発達のおかげで以前とは比べ物にならないくらい楽になったとは言え、日本語の本がいつでも好きなときに買える書店がない。日本語の古い本を探したり廉価に買えたりする古本屋が存在しない。日本語の本や漫画、雑誌を借りられる図書館がない。という三つの点において、活字中毒者にとって海外で生活するのは辛いのである。お金が湯水のように仕えるのであれば、何も気にせず次から次に買うだけだろうけど、日本にいたときのように毎月何万円も本につぎ込むわけにもいかないし、送料やら手数料やらの関係で、つぎ込んだだけの価値のある本が手に入るわけでもないし。
ということで『アオバ自転車店』を数冊読んだだけで我慢して、『シャカリキ!』は諦めることにする。
2018年4月22日23時。
2018年04月24日
自転車漫画1(四月廿一日)
先日、クレジットカードの実験のために、購入したパピレスのポイントをどうしようか考えて、姉妹サイトのレンタを久しぶりに覗いた。最初は100円か200円で48時間の間は読めるというネット上の貸し漫画屋的なものだったのだが、パピレスで漫画を取り扱わなくなってからは、500円で無期レンタルというのも始まった。実質的には販売ということである。
この辺の経緯は、推測するしかないけれども、機器認証を必要としないパピレスのオープンな販売方法に対して、出版社の側からクレームがついた結果、パピレス本体での漫画の販売を停止してレンタルでオンラインでしか読めないレンタに移行せざるをえなかったのだろうと推測している。他の電子書籍販売サイトが、リニューアルし専用のリーダーを使ってしかも登録済みのPCなどでしか読めないという嫌がらせを始めたころから、パピレスへの書籍の提供が減り始めたのもこの推測を裏付ける。違法コピー対策といえば言葉はきれいだけれども、取次ぎが仕切る電子書籍の販売会社への支援策と見えなくもなかった。
実は、パピレスではそれ以前から、漫画や一部の書籍では、普通のPDFでの販売をやめて、キーつきのPDFというオンラインでしか読めない形で販売していたのだ。一冊しか買ったことがないし、コンピューターに詳しいわけでもないので、あの形式の本がどのぐらいコピーしにくかったのかはわからない。この変更せいで、パピレスで買わずに別のサイトで購入した本が二、三冊ある。他の店ではXMDFで買えた中公の本が、パピレスではキー付きPDFでしか買えなかったのである。
それはともかく、レンタで適当になつかしい漫画を探していたら、『並木橋通りアオバ自転車店』を発見してしまった。自分でもこの漫画を発見した経緯が不明なのだけど、日本を出る前には愛読する漫画の一つになっていた。というほど、当時は単行本が出ていたわけでもないから、連載されていた雑誌を買って読んでいたのかなあ。少年画報社の「ヤング・キング」だか、「ヤング・キング・アワーズ」だかに連載されていたはずだけど、このマンガのためだけに「ヤング・キング」を買っていた可能性は、ないとは言えないのだよなあ。
田舎に居たころは、「キング」なんて名前の雑誌が存在することは、「少年キング」も含めて知らなかったけど、少年画報社の出していた単行本は何冊か読んだことがあると思う。友人から借りた漫画の中に聞いたことも見たこともない出版社の出したものがあって、びっくりしたことがある。それが確か「ヒットコミックス」というレーベルで、少年画報社が出したものだった。借りた作品は、何かの野球漫画だったと思うのだけど、正確に覚えていない。
東京に出てから、古本やめぐりをする中で、いくつかのヒットコミックスの漫画を購入して面白かったことから、その作品の作家が連載をしていたことから、「ヤング・キング」に手を出したという可能性もありそうである。五十嵐浩一というと、『ペリカン・ロード』が有名で評価も高いのだろうけど、個人的には初期の『ピーター葉夢』だったかな、が好きだった。そこから『迷惑荘の人たち』を読むようになって、「ヤング・キング」に載っていた『並木橋通りアオバ自転車店』と出会うという流れが一番納得できそうだ。
80年代半ばのNHKによるツール・ド・フランスのダイジェスト中継もあって、それなりの自転車ファンになっていたから、高校の入学祝にもらったお金をつぎ込んでドロップハンドルのロードレーサーっぽい自転車を買ったりもしていたし、それ以後はずっと自転車から離れていたとはいえ、『並木橋通りアオバ自転車店』を読むようになったのは必然であったのだ。
そして、旧友から何か本を贈るからリクエストがあればというありがたい申し出を受けたときに、『並木橋通りアオバ自転車店』を何冊か送ってほしいとお願いしてしまったのである。旧友からは何でこんなものをと言われてしまったけれども、ほかに読みたい本、漫画とか言われても思いつくものがなかったのである。今更昔持っていた漫画を送ってもらうのも何だったし、その意味では、連載開始の最初のところだけ読んでいた『並木橋通りアオバ自転車店』は理想的だったのだ。
送ってもらったのは、最初の数巻分だったかな。一話完結の話を積み上げていく連作作品で、人生における問題が自転車がきっかけになって解決の方向に向かうというパターンは、安心してたのしく読めたけれども、その時点でパターンとしては出尽くした感もあって、無理をしてまで続きを読もうとは思わなかった。忘れた頃に手元の何冊かを再読すればそれなりの満足感を得られたし。特に一巻の最初のスポルティーフの話と巻末の特別編のプジョーの話は、自転車を題材にした漫画の中では最高と言ってもいいだけの出色のできだし、この二つを越える話がそうそう出てくるとも思えなかった。
しかし、この漫画、日本にいたら絶対に書店に直行して既刊の単行本をまとめて購入するだろうことは断言できる。長編連載とは違って一話完結でありながら、一話読み終わると次が読みたくなる漫画なので財布に優しくないのである。財布に優しくないのは連載の長さと巻数の多さもで、レンタで出てきたのは、『並木橋通りアオバ自転車店』が全20巻、第二期らしい『アオバ自転車店』も全20巻、第三期の『アオバ自転車店へようこそ』も全20巻の60巻に、「ケイリンチャレンジ編」、第四期の『アオバ自転車店といこうよ』が1巻で全部で62冊もあるのである。
全部レンタルするとパピレスにあるポイントだけではたりないので最新の数冊を読んでみることにした。古いほうからだと途中でやめられなくなるのがはっきりしているが、残り数冊辺りから始めれば、最新刊まで到達したところで満足して、止められる可能性が高いと判断したのである。ということで第三期の最後の数冊を一冊500ポイントで無期限レンタルして読んでみた。感想は、やっぱり面白い、でも1巻を越えるものはないというものだった。
長くなったので、以下次回。
2018年4月21日24時。
2018年04月16日
hontoからメールが来た(四月十三日)
お昼過ぎにメールの確認をしたら、hontoから商品を出荷したという連絡が来ていた。本代は二冊で合計5600円、送料が1776円ということで、日本で買うよりは約三割の、日本の消費税を考えるともう少し少なくなるか、割高になる。以前、外国にある日本の書店で日本の本を買うと倍ぐらいしてもおかしくないという話を聞いたことがあるから、これぐらいは許容範囲である。これにチェコの消費税を追加で取られる可能性があるのか。これは届いたときのお楽しみである。
hontoの海外発送の料金表でSAL便の送料を確認すると、1776円というのは、ヨーロッパは第二地帯だから、梱包材も入れて1.3〜1.4sになったということのようだ。でもページの上の方には、実費と手数料を取ると書いてある。実費には梱包材とかも入りそうだし、手数料も取られているのだろうか。ただ、メールには送料としか書いてなかったし、送料が最後の一けたまでぴったり合うことを考えると、梱包材とか手数料は無料になっていると考えたほうがよさそうだ。
料金表を見ると、100グラムあたり120円ずつ金額が上がっている。一定の金額づつあがっていくので、特にまとめ買いをしたからといって割安になるということもなさそうだ。冊数が増えれば梱包材も重くなるだろうし、小分けに買っても、まとめて買ってもあまり大きな違いはないのかな。問題はチェコの税金がどんな形で来るかなので、一度小さな安い本を注文して税金を取られるかどうかの確認をしてみてもいいかもしれない。国外からの荷物には一律税金をかけるなんて無茶なことはやめてほしいのだけどね。
表が5sまでしかないのは、それ以上の重さになると、分割して発送するということだろうか。そこまで一度にたくさん本を買うとは思えないからどうでもいいか。よく見たら、料金表の上に、海外への出荷では、商品の代金などが非課税になることが明記してある。フランスやオランダへのSAL便は休止中という情報もある。何か理由があるのか気になるけれども、フランスに住んでいる人が、本を取り寄せようと思ったら、航空便か船便、もしくはEMSを使う必要があるのか。
ということで料金が似ていそうな航空便を確認する。今回も実はどちらにするか悩んだのである。こちらは1sまでは、50グラム刻みで108円ずつ高くなっていて、1sを越えると250グラム刻みで値段が上がっていく。こちらの方がまとめて買ったときの割安感が強そうである。ただ自分で荷造りするならともかく、hontoに値段の変わる境界をぎりぎりで越えないような荷造りはお願いできそうもない。SAL便でいいや。
EMSはチェコから日本に送ると一番安いのでも1000コルナかかるのだが、日本からの場合には、小刻みに値段が変わるので、小さいものを送る場合には日本からのほうが安かったりもする。もちろん、早いだけではなく、追跡が可能で、補償もついている分、送料は高くなって、今回の本二冊だったら、送料が4100円になるようである。EMSは早ければ三日で着くのが売りだけれども、そこまで急いで手に入れるべき本でもないし、SAL便も早ければ一週間で着くからいいや。運の良し悪しもあって長い時間がかかることもあるのは知っているけれども、船便のように三か月もかかることはあるまい。これまで大抵は二週間前後で到着している。
hontoからの今回の買い物についてのメールは、これが最後であろう。注文完了のメールは注文した日にもらったし、今回は出荷済みのメールである。ちょっと不安になるのが、支払いは無事に済んだのだろうかということである。レギオジェットの切符をネット上で予約してカードで支払いをすると、認証のコードを入れるようにというページが現れて、携帯にSMSで送られてきた9つの文字列を入力しなければならないのだが、hontoで電子書籍を買ったときには不要だった。ということは、紙の書籍の購入でも不要だと考えていいのだろうか。クレジットカードでの買い物になれていないから、不安で仕方がない。これもまた浪費に対する抑止力になると肯定的に考えておこう。
それにしても、このhonto のホームページ、もう少しなんとかならないものだろうか。これでは本を探す気になれない。現代書館のこのページのほうが、並んでいる本に興味を引かれると思うのは、古いタイプの本読みだからだろうか。どこかの本屋で何段組みかで背表紙の並んだ本棚タイプのページから本を探せるようにしてくれないかなあ。画像データとして表紙の部分しかとっていなくて背表紙は表示できないなんてことなのかもしれない。
現代書館のホームページは、もう少し整理して、本棚を最低でも二段組みにしてくれれば左側に平積みの本があると思えるから、理想に近づくんだけどね。本当に本当の書店みたいなネット上の本屋を見たいものである。あちこちのネット上の本屋で、実際の書店感覚でとか、うたい文句にしているのは、どう考えても誇大広告である。このブログにも背表紙を並べたいんだけどねえ。
2018年4月13日24時。
2018年04月15日
hontoで紙の本を買った(四月十二日)
正確には買ったではなく注文したというのが正しいかな。まだ送料の関係で支払いは終わっていないような感じだし。
それはともかく、まずチェコに発送してもらう紙の本を選ばなければならなかった。エンターテイメント系の本を買うために、ここまでする気はないので、最初から硬い本にするのは決まっている。電子書籍があればと考えた『御堂関白記』の現代語訳も候補には挙げたのだけど、やはり実資ファンとしては『小右記』を買うべきであろう。文庫版ではないからちょっと高いけれども『小右記』の現代語訳を買うことにした。
ここで、今考えればバカの考え休むに似たりなことをしてしまったのだが、hontoでは発送方法をいくつか選べるらしいと聞いていたので、税関で引っかからない手紙扱いで送れるように、一回の発送に付きパッケージも入れて2キロ以内に納まるようにしたほうがいいのではないかと考えたのだ。そこまでたくさん買うつもりがあったのかといわれると、何とも言えないのだけど、全何巻になるのかは知らないが、現時点で六巻まで出ている『現代語訳小右記』ぐらいは全部買おうかと思っていた。
日本に暮らしていたら、本屋に出かけて内容をじっくり確認してから購入するかどうかを決められるのだが、ネットを通じたいわば通信販売ではそうもいかない。一冊だけ買ってそれ次第で二冊目以降もとも考えたが、送料がもったいない。我ながらみみっちいことに、できれば2キロぎりぎりになるような冊数にしたいと考えてしまった。それで二冊にするか三冊にするか、悩んで安全策で二冊買ってみることにした。
本をカートに入れて購入手続きに進んだら、日本の住所を入れるページが出てきた。これではチェコに届けてもらえそうにないと一旦中断して、ヘルプを探した。なかなか見つからなかったのだが、一番下の青いところにひっそりと存在したのを発見した。けっこう悩む人はいると思うから、ヘルプは目立つところにあった方がいいんじゃないかなあ。
ヘルプでもなかなかこちらの希望の説明がデコず、手間取ったけれども、「Myページ」→「アカウント」→「アドレス帳情報」の順番で入ってというので、「Myページ」をさがす。右上の自分の名前の前にある人形みたいなののしたに「Myメニュー」というのがあったので、そこにカーソルを合わせたら「Myページ」が出てきた。同じ一覧に「アカウント」もあるんだけどどっちから行くのがいいのだろう。結論はどちらでもよかった。
「アカウント」から入るとすぐに身に側に並んでいるメニューの中に「アドレス帳情報」が発見でき、「Myメニュー」を使うと、左に並んでいるメニューの一番下にある「会員情報」にカーソルを合わせると「アドレス帳情報」が出てきた。最初の時点では登録した住所はないので、「新規登録」を押すしかない。出てきたページで「海外」のタブを選んで住所登録である。「通常使うアドレスにする」のチェックボックスにチェックを入れるのは忘れないほうがいいようだ。
住所の登録は、問題があった。最初はチェコ語のハーチェクとかチャールカを使って住所を書き、電話番号の国番号を「+420」で記入したら、これでは登録できないといわれてしまった。そこを修正して、国番号は「+」を「00」にして、再度登録、今度は問題なかった。ふう。
再びカートに戻って購入手続きを進める。海外の住所を登録したはずなのに、日本の住所の登録を求められてしまった。本当に必要なのか? 疑問に思いつつ実家の住所で登録する。実家に送られた場合には郵送してもらおう。送料の負担がなくなるからいいやなどと考えてしまった。それは実は杞憂で、次に進んだらチェコの住所が出てきて、発送方法を選ぶことになる。同じページではなくて確認した後のページだったかもしれないし、支払い方法の選択と同じだったかもしれない。今となっては確認できないのである。
とにかく支払いは登録済みのクレジットカードで、発送方法はEMSは書籍代よりも高くなるので、SAL便を選択。さすがに船便でいつ届くのかわからないのを待ちたくはない。チェコからの船便は飛行機という名前の船に載せるけど、日本からの船便は本当の船に乗せるから時間がかかる。送料は本をパッケージに入れてからでないと確定しないはずなので追加で送料を請求されるのだろうか。それとも送料が確定してからまとめてクレジットカードから支払われるという形になるのか。とにかく手続きはすべて済んだ。
その時点で気が付いたのが、値段が変わっていることだった。一冊3000円ちょっとだったのが、2800円になっている。海外宛ということで日本国内の消費税は取らないということのようだ。ということは、どんな形の発送であれ、チェコの税関で引っかかってチェコの消費税を取られるということなのだろうか。消費税を取られる下限の金額があるという話もあるし、一冊から試してみるべきだったか。まとめて買ったときに安くなるはずの送料と、10パーセントの書籍にかかるチェコの消費税(計算がおかしいと思うこともあるけど)、どちらがましなのか、そんなことを考えなければならないと思うと、買い物をする気が失せる。無駄遣いをしないという意味ではいいことである。
次は届いたときの報告である。途中経過も書こうかな。題名はまだ本当に買えたかどうかはわからないので、ちょっと変えたほうがいいかもしれない。
2018年4月12日24時。
さすがにこれには手が出せない。影印本だから読めない可能性も高いなあ。