2018年08月17日
十八日目、あるいはスロバキアは美味しい?〈LŠSS2018〉(八月十五日)
前日の酒が残っていることを意識しながら勉強するのは久しぶりである。休憩前の課題で、新聞のあるコーナーに出ていたパートナーを求める広告に対する返事を書いている途中にアルコールが消えていくような感じがして、その悪ふざけで書いた内容を発表していたら完全に消えた。その瞬間に自分の書いた内容がとんでもなく恥ずかしくなってしまった。ほとんど全員冗談だらけの回答をしていたから、浮いていたわけではないのだけど、若さが違うから。
今日もテストの訓練として聴解をやったのだけど、映像付きだった。題材が映画「ペリーシュキ」ってこっちは何度も見たから問題なかったけど、それでもシーンの面白さに惹かれすぎて細かいところを聞き落としたりすることがあったから、初見だと結構大変だったかもしれない。スロバキアのシモナがすべて理解していたのはともかく、イタリアのジョバンナが一番難しいと思った問題にも正確に答えられていたのには驚いた。この子やっぱ語彙も多いし、チェコ語能力高いわ。
1968年のプラハの春を背景にしたこの映画、大好きだというチェコ人は多く面白い映画ではあるのだけど、同時にあざとさが強すぎてそこまで好きになれない。チェコでは1968年のプラハの春がワルシャワ条約機構加盟国の軍隊の介入によって押しつぶされた事件は、日本の広島、長崎の原爆と同じような意味を持っている。この事件をテーマにした作品はさまざまな角度から繰り返し制作されるし、このテーマを扱う以上中途半端なことはできないという覚悟がある成果、どれも一定以上のレベルを保っている。
映画「ペリーシュキ」に関しては、続編というか、前日譚に当たる映画も製作されたんじゃなかったかな。主役のドヌティル演じる共産主義を信じる軍人ではなく、その隣家のエキセントリックな父親の子供の頃の話だったか先祖の話だったか。こちらはまだ見ていないのだけど、プラハの春を背景にしていないせいか、一般の人の評判はそれほど高くないようである。
この日の発表は、スロバキアのシモナの番。予想通りというべきか何というべきか、スロバキアについての話だった。まず最初にスロバキアの地方別に区分された地図を示して、一番大事なのはトレンチーン地方だよと自分のふるさとをアピールした後、お城の紹介に移った。戦うためのお城、城塞と言っていいかな、は、城跡も含めてスロバキア全土で400以上、住むための城館は200以上現存していて、この数はヨーロッパでも最大なのだとか。
ブラチスラバの近くのデビーン、世界遺産にもなっているシュピーシュ城、血の伯爵夫人エリザベート・バートリの居城だったチャフティツェ城を紹介したあと、チャフティツェ城に関しては、お城の周りに殺された若い女性の骨が転がっているという伝説があるけど、探しても見つからなかったと実体験を語っていたけど、スロバキアで一番の城としてトレンチーン城を挙げいていた。愛郷心豊かだよなあ。
その後、鍾乳洞、国立公園を紹介して、スロバキアの美味しい物。スロバキアの国民食ハルシュキが挙がっているのは当然としても、スロバキアで一番おいしいビールを二種類紹介してくれた。どうも発表の初日に、スロバキアのスカリツァで最高にまずいビールを飲んだという話をしたが原因で、スロバキアにも美味しいビールがあるんだと主張したかったようだ。
一つはチェコでもスロバキアのビールというと名前の挙がるズラティー・バジャントで南スロバキアのフルバノボという町で生産されている(チェコでライセンス生産されているという話もある)。ただし、ズラティー・バジャントならどれでもいいというわけではなく、「Zlatý bažant 73」という数字のついたビールが最高なのだとか。ズラティー・バジャントは昔飲んだことがあるけど、これは飲んだことがない。もう一つは中央スロバキアのバーンスカー・ビストリツァで生産されているウピルネル。これは名前も聞いたことがなかった。バーンスカー・ビストリツァ行ったこともないからなあ。
午後の講義はチェコの近代建築についてで、実はこれを一番楽しみにしていた。講義の内容は、いつか思い返しながら一つの記事に仕立てようとも考えているので詳しくは書かないけど、「シュムナー・ムニェスタ」と重なる部分も、重ならない部分もあって面白かった。チェコの近代建築の父と呼べるのがウィーンのオットー・ワーグネルだというのは万人の認めるところのようである。
よその国では絵画、彫刻ぐらいで止まったキュビズムが、チェコでは建築にまで導入され、キュビズム建築は内装の家具なんかまでキュビズムでデザインされたものが使用されていたとかいうのは知っていたけれども、プラハだけでなく各地に広がっていたとか、キュビズムの角が丸くなったのがロンドキュビズムと呼ばれる建築様式で、よその国のアールデコに相当すると考えられているとか知らんかったなあ。
オロモウツの建築物としては、サッカーのスタジアムに行く途中のフス派の教会が挙げられていた。前面のギリシャ神殿風の柱と大きな緑色の丸屋根が特徴のこの教会がカトリックではなく、フス派系統の教会であるのは、塔の一番上に金色の酒盃が置かれていることからすぐわかる。チェコスロバキアの独立後にカトリックとは別の教会をということで盛んになったのがフス派の流れをくむ教会だと行っていたかな。他には「芸術家」チェルニーの作品が前面にぶら下がっている美術館の建物、大司教博物館をオロモウツの建築物としては、見ておくといいだろうという話だった。
この日も宿題を同じ喫茶店でやった。やっぱり寒かった。
2018年8月17日7時43分。
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