2018年03月06日
スロバキア政府とイタリア・マフィアの親密な関係(三月三日)
風邪で寝込みつつあった間にスロバキアが結構やばいことになっていた。すでに先週のことになるが、スロバキアの北西部の小さな村で、若手のジャーナリストが婚約者と共に自宅で銃殺されるという事件が起こった。
最初はそれほど大きな騒ぎにはなっていなかったと思うのだが、このジャーナリストが生前取材を続けていた事件についての詳細が明らかになるにつれて、単なる殺人事件ではなく、記事が発表されることによって窮地に追い込まれるグループが雇った殺し屋による殺人事件ではないかと言われるようになっている。
ジャーナリストのヤーン・クツィアク氏が仕事をしていたスロバキアのネット上のメディアによれば、ここ一年半ほど追いかけていたのは、イタリアの南カラブリアに本拠のあるイタリア・マフィアのヌドランゲタと、スロバキア政府の上層部とのつながりらしい。どうも、フィツォ首相周辺の人物がヌドランゲタとつながっていて、さまざまなEUの助成金を詐取するのを支援していたのではないかと言われているのである。
スロバキアも、チェコと同じで政治的に分断が進んでいて、親フィツォと反フィツォの対立が進んでいるのだが、この件でも反フィツォ派が政権の責任を追及して辞任を求めるデモなどを行っている。大統領のキスカ氏も、フィツォ内閣の退陣、もしくは国会を解散しての総選挙の実施を求める発言をして、反フィツォ派に同調した。事件が必要以上に政治化して、解決が困難になりそうな予感もある。
フィツォ首相が、犯人逮捕につながる情報に賞金を出すと言って、記者会見の際に脇に置かれたテーブルの上に札束を積み上げたのも茶番だったけれども、事件の全貌が明らかにならないうちから首相の責任を言い立てて辞任を求めるのも短絡すぎる。穏当な方針で犯人逮捕、および背後関係を明らかにできるような捜査体制を確立してもらいたいところである。
すでにこの件で疑惑の舞台となった東スロバキアに居住するイタリア系のヌドランゲタの関係者と見られる人たちが何人か逮捕されている。これがトカゲの尻尾きりにならないことを願う限りなのだが、スロバキアのヌドランゲタの触手はチェコにまで伸びているようで、逮捕された中心人物の一人がチェコの会社を買収して企業活動を始めようとしていたらしい。これがチェコの政界にも根を生やしつつあるということになれば話はできすぎなのだけど、現時点ではそこまでの情報はない。
ただ、スロバキアでの補助金の詐取、農場の近代化のための補助金を申請して補助金を受領したはずの農場が何の改修も受けておらず、補助金が何に使われたのかもわからない、いやそれ以前に、当の農場関係者が補助金の申請がなされていたことも知らない場合があるというのと同じような事例はすでにチェコでも発生しているらしいし、何らかのつながりがあってもおかしくはないのかもしれない。
今日はこれ以上は無理なので、短いけどお仕舞い。しばしリハビリが続く。
2018年3月6日14時。
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