2018年01月05日
チェコ語の動詞5過去続き(正月二日)
チェコでは新年で祝日になっているのは、元日だけである。今年は元日が月曜日だったために、新年早々二日から、普通の人たちは仕事が始まる。日系企業ではさすがに正月休みというものがあるところが多いけれどもさ。チェコでもドイツあたりの圧力で幾つかの祝日には店を営業してはいけないという無意味な法律が制定されたので、昨日の元日は営業していなかったショッピングセンターの類も今日から営業を開始して、クリスマスの売れ残り品のバーゲンが続けられるはずである。
だから、このブログで正月二日から、まじめなチェコ語の文法の話をするのも、チェコ的なのだ。というわけで、正月早々中断してしまった動詞の過去形の使い方である。
まずチェコ語が名詞の性別にうるさい言葉であることを思い出してほしい。そのうるささが動詞にも適用されて、過去形を使う場合には、動作主の性、単複の区別をしなければならない。現在人称変化では性の区別はしないのだけど、その分覚えることが減ったと考えて喜ぼう。
性と単複の区別のために「L」分詞に語尾を追加する。ここで再び名詞のことを思い出そう。名詞は男性名詞活動体、男性名詞不活動体、女性名詞、中性名詞の四種類に分類できる。さらに硬変化、軟変化、特殊変化なんて分類もあるのだけど、そこまでの区別はしない。必要なのは硬変化の一格の語尾である。
単数では男性名詞は、活動体も不活動体も語尾なし、女性名詞は「a」で中性名詞は「o」である。複数は、男性飯の活動体は短語尾形で「i」、不活動体は「y」、女性名詞は「y」で中性名詞は「a」となるのは、名詞の勉強が済んだ人は覚えているはずだ。他の格と違って一格は、日本人的には覚えやすいわけだしさ。この名詞の語尾をL分詞につけてやるのが、過去形を実際に使うための第二段階である。「být」を例に挙げると、以下のようになる。
単数 複数
男活 byl byl-i
男不 byl byl-y
女性 byl-a byl-y
中性 byl-o byl-a
複数の「byli」と「byly」は発音は同じだけれども、書くときには何が主語になっているのかを考えてどちらかを選ばなければならない。「i」と「y」の区別はチェコ人でも結構間違えている人は多いから多少の間違いは気にせずに、実際に自分で使ってみるのが大事であることは、他の文法事項と変わらない。
自分の間違いをうまく利用するのが語学の学習には大切である。他山の石と言うように他人の、できればチェコ人の間違いを利用できると最高なのだけど、外国人にはチェコ人の使うのが、間違いなのか、そういう使い方もありなのかの判断ができないのがつらいところである。テレビのニュースなんかの文法的な間違いを許せないという友達がいるといいんだけどね。
第二段階で主語となる名詞の性と単複の区別ができた。ということで第三段階では人称を確定するための要素を追加することになる。そのために使われるのが、「být」の現在人称変化である。L分詞の語尾と「být」の人称変化を組み合わせることによって、動作主が誰なのかがほぼ確定できる。これもチェコ語の文章の中に、人称代名詞も含めて主語が省略されやすい所以であり、チェコ語は日本人にとって親しみやすいと主張する理由である。
注意しなければいけない点は、三人称の場合には「být」は不要で、L分詞だけで表されるということである。組み合わせは以下のようになる。
男性 女性 中性
一単 byl jsem byla jsem ×
一複 byli jsme byly jsme ×
二単 byl jsi byla jsi ×
二単丁 byl jste byla jste ×
二複 byli jste byly jste ×
三単 byl byla bylo
三複 byli byly byla
見慣れないだろう「二単丁」は、一人の相手に対して丁寧に話すときの形である。現在変化の場合には、二人称単数の変わりに複数を使うので、文脈なしには相手が一人なのか複数なのか判別がつかないのだが、過去の場合はL分詞は単数の形を使い、「být」だけ複数を使うので、判別できてありがたい。
実際に分にするときの注意点としては「být」の変化形は、必ず前から二番目の位置に来るということである。だから、「私はプラハに行きました」と、「昨日私はプラハに行きました」というのをチェコ語にすると次のようになる。
Jel jsem do Prahy.
Včera jsem jel do Prahy.
二つ目の文では文頭に「昨日」をつけたために、「Jel」が後ろに回ったのである。
この過去形の「být」は二番目に来る優先順位が高いので、他の二番目に来る言葉、たとえば「se」「si」は、三番目に回されることになる。またこの「se」は、二人称単数では「jsi」と結びついて「 ses」という形に、「si」は同様に「sis」になる。チェコ語を勉強したかどうか、本を買ったかどうかを尋ねる文は次の通り。
Učil jste se česky?(丁寧)
Učil ses česky?
Koupil jste si knihu?(丁寧)
Koupil sis knihu?
これで、動詞の過去形の使い方に関しては、おしまいである。L分詞は、仮定法にも使えるし、L分詞から形容詞を作ってしまうなんて事もあるのだけど、それについてはもう少し話が進んで、初心者向けのテーマがなくなってから取り扱うことにする。次は命令形を扱って、動詞シリーズをいったん閉じることにする。
それにしても、動詞は名詞と比べたら楽だわ。
2018年1月2日22時。
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