2017年09月02日
チェコ語の名詞(八月卅日)
昨年の一月から積み重ねて600本以上の文章を書き、チェコ語についても、直接間接いろいろな形で触れてきた。ただ、ちょっとマニアックというか、ある程度、いやかなりチェコ語を勉強している人でないと理解できないようになってしまった嫌いがある。ということで、もう少し基本的なチェコ語の文法についての文章を書いてみようかと思う。教科書として書くつもりはないので、それぞれの品詞の特性やら分類やらを一まとめに書くことになる。覚えるときに気を付けたほうがいいことなんかをコメントすれば、チェコ語を勉強している人の役にも立つかもしれない。
まずは名詞から始めよう。チェコ語もドイツ語などと同様に、名詞に性がある。男性、女性、中性だが、男性、女性の区別のある人を表す名詞、オス、メスの区別がある動物の名前を除けば、この名詞はこんな意味だから男性だとか、女性だとか、言葉の指すものから論理的に性を推測することはできない。本(kniha)が女性名詞なら、同じ体裁の辞書(slovník)や雑誌(časopis)も女性だと思いたくなるけれども、この二つの名詞は男性名詞である。
チェコ人ならこの性の区別は感覚的にできるのだろうが、外国人でチェコ語の勉強をしている人間には、名詞が出てきたらその性も覚えるしかない。ただ、名詞の単数一格の語末を見れば、ある程度の推測はすることができる。100パーセント確実ではないのだが、男性、女性、中性のそれぞれに特徴的な語尾があるのだ。
まず、語末が子音で終わる名詞は、上に挙げた男性名詞の雑誌も辞書も子音で終わっているように男性名詞であることが多い。ただし、例外もかなりある。地名でムラダー・ボレスラフ(Boleslav)、ブジェツラフ(Břeclav)のように「ラフ(lav)」で終わるものの中には女性名詞がかなりある。それに対して「オフ(ov)」で終わる地名は男性だと考えてほぼ間違いない。他の子音で言えば、オロモウツ(Olomouc)はcで、プルゼニュ(Plzeň)はňで終わるがどちらも女性名詞である。普通名詞でも夜(noc)、歌(píseň)なんかが子音で終わる女性名詞になる。
「ウム(um)」「ウス(us)」で終わる名詞の多くは中性になる。博物館(muzeum)とか、日本語で何々主義を意味するイズムのチェコ語版「isumus」は
※「博物館(muzeum)」は確かに中性名詞であるが、「isumus」で終わる名詞は男性名詞である。間違いに気づいたので訂正しておく。間違えた事情、気づいた事情についてはいずれ書くつもりである。
形容詞から名詞化した「〜性」という意味を表す名詞はたいていオスト(ost)で終わるのだが、これは絶対に女性名詞である。例えば、軽い(lehký)という形容詞からできる軽さ(lehkost)を挙げておけばいいだろうか。日本でも知られるクンデラの『存在の耐えられない軽さ』に使われている言葉である。形容詞とは関係ないが骨(kost)も女性である。
母音で終わる場合には、母音によって違う。ア段の音で終わる場合には、女性名詞である確率が非常に高い。もちろんこれにも例外がある。一つは「イスタ(ista)」で終わる人を表す名詞であるが、これは男性名詞になる。日本語の外来語で「〜イスト」となるものは、チェコ語では「〜イスタ」となる。日本語のスペシャリストは、チェコ語ではスペツィアリスタになるのである。フォドバリスタ(サッカー選手)のように日本語に対応するものがない場合もあるけど。
中性名詞の可能性もある。ただし、ア段の音で終わる中性名詞は非常に少なく、ドラマ(drama)パノラマ(panorama)ぐらいしか思い浮かばない。滅多にない例外的なものだと考えて問題はなかろう。
イ段、ウ段の音で単数一格が終わる名詞は存在しない。エ段で終わる名詞は、女性の割合が高そうだけれども、男性、中性の可能性もかなり高い。男性になるのは裁判官(soudce)のように人を表す言葉が多い。エ段で終わる中性名詞の例としては、当然海(moře)を挙げておこう。このエ段で終わる名詞の識別が一番大変かもしれない。
オ段で終わる名詞は、ほぼ100パーセント中性だと考えていい。例外は男性の名字でごくまれオ段で終わるものがあるぐらいである。
他にも形容詞型の名詞で、長母音で終わるものがあるが、これについては個々の名詞の性について語るところで触れることにする。
9月1日23時。
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