2017年06月02日
今シーズンのチェコリーグ(五月卅日)
ハンドボールも今年のシーズンのプレーオフが終了して順位が確定している。我が人生のスポーツであるので、結果を紹介しておく。
男子のエクストラリーガは、去年まで三連覇を果たしていたプルゼニュと、ドゥクラ・プラハの決勝になった。先に三勝した方が勝ちというルールである。レギュラーシーズンでは、プルゼニュが一位だったので、最初の二試合はプルゼニュで行なわれ、次の二試合がプラハ、五戦目までもつれ込んだらまたプルゼニュでという予定になっていた。
結果はドゥクラが三勝一敗で優勝を決めたのだが、最大の要因はプルゼニュでの一試合目に勝ったことだった。二試合目はプルゼニュが立て直して圧勝したものの、プラハではドゥクラがホームの地の利を生かして二連勝して、優勝を決めた。プラハでも一試合目はドゥクラが圧勝したのに、二試合目は一点差だったから、プルゼニュでもプラハでも、一試合目に向けて特別な対策をして、プルゼニュが対応しきれないうちに勝ったということなのだろうか。
選手では、キーパーの差が大きかった。ドゥクラのペトルジェラが好調でディフェンスを支えたのに対して、プルゼニュは三連覇を支えたモトリークを放出してまで獲得したドイツ帰りのシュトフル(代表のシュトフルとは別人。顔が似ているから兄弟かも)がいまいち調子が上がらず、控えに出番を譲ることも多かった。
個人的にはドゥクラはあまり好きではないので、プルゼニュを応援していたのだけど……。ドゥクラって名前からして、共産主義時代的だし。たしかウクライナにある川の名前で、その近くでソ連軍がドイツ軍に勝った戦いが行なわれたのだったかな。来年はプルゼニュ、いやモラビアチームの優勝だ。プラハにチームなんぞに二年連続で勝たせるわけにはいか。ねえ
三位争いは、モラビア勢で唯一準決勝に進んだズブジーと北ボヘミアのロボシツェの対戦で、ズブジーが勝って三位の座を獲得した。ズブジーは安定して上位の成績を残しているのだけど、爆発力がないと言うかなんと言うか、あまり目立たないチームである。何年か前には優勝したこともあるはずなんだけどねえ。
四位に終わったロボシツェは、最強の市役所職員イジー・モトルのチームである。怪我さえなければ、毎年のようにリーグの得点王となるモトルは、基本的にはサイドプレーヤーだが、チーム状況によってはセンターにはいることもある。それほど背が高いわけではないのに、ディフェンスの間をぬってロングシュートを決めることがある。速攻も含めてどこからでも点が取れるからこそ、毎年得点王争いをするのである。
代表にも呼ばれていたし、国外でプレーするチャンスはあったと思うのだけど、モトルはロボシツェに残ることを選び、ロボシツェでプレーし続け、ロボシツェのハンドボールの象徴となっている。これも一つの理想的な選手生活だといえようか。
五位には、フリーデク・ミーステクが入った。このチームは確かカルビナーの全盛期が終わった後に優勝したチームじゃなかったか。現在の中心選手は、かつてカルビナーにいたボイテフ・ペトロフスキーである。この選手、もう少し背が高かったらイーハ的な選手になれたと思うのだけど、ディフェンスの選手を引きずりながらシュートの行くだけの強さを持っているし。
以下、六位はワレンシュタインとルムツァイスの街、イチーン、七位がスポンサーだった石炭企業OKDが倒産してしまったカルビナー。ここまでは上位八チームで行なわれるプレーオフの常連。八位はあまり存在感のないブルノだった。
九位以下は、来季から一部のチーム数が10チームに減らされることから、残留、二部一位とのプレーオフ、降格をかけて追加のプレーアウトが行なわれた。その結果、九位に入って残留を決めたのが、去年一部に昇格したばかりのノベー・ベセリー。イフラバの近くのボヘミア、モラビアの境界地域にある街で、ミロシュ・ゼマン大統領が政界を引退していた時期に住んでいたところとして知られている。
十位に終わったのは、ベテランが多くて年々厳しくなってきたフラニツェ。ちょっと前までは優勝を争っていたはずなのだけど。プレーオフでは二部からの昇格を狙ったストラコニツェを何とか退けて一部残留を決めたけれども、一勝一敗で得失点差での残留決定だった。若い選手を育てるなり、よそからつれてくるなりしないと、来シーズン以降も厳しそうである。とまれオロモウツ地方のチームが一部に生き残ったのはよかった。
十一位はタトラの町として知られるコプシブニツェ。十二位はリトベルでモラビアのチームが二つ降格という結果になってしまった。ボヘミア側に降格しそうなチームがないといえばそのとおりなのだけど、残念な結果である。
女子のスロバキアと共同のインテルリーガのほうは、今年もスロバキアのミハロフツェが優勝。その後チェコ側の順位を確定させるためにプレーオフが行なわれ、ここ数年の最強チームモストがスラビア・プラハを破って優勝。石炭の街のチームだから、「チェルニー・アンデレー」とかいう愛称を持つチームである。日本だったらカタカナで「ブラック・エンジェルス」になるのだろうか。うーん。モストの辺りの石炭は、褐炭なので、茶色でもいいような気がするけど、あんまり強そうじゃないか。
それよりも重要なのは、今シーズンは久しぶりにオロモウツが上位に進み、三位決定戦でオストラバのポルバに勝ったことだ。かつてスラビアやズリーンとチェコ最強の座を争っていた時代の監督が去った後、ポルバやモストの台頭もあって、下位に低迷することが増えていただけにちょっと嬉しい。
次は久しぶりに優勝目指してといいたいところだけど、大きなスポンサーがついているというわけでもないようなので難しいかな。サルチャーコバーに続く代表で主力となれる選手が出てくることも期待したい。オロモウツの選手が多いと応援に力も入ろうというものだ。近々ヨーロッパ選手権か世界選手権の予選の試合があるらしいからチェックしてみよう。
5月31日23時。
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