2017年05月15日
サッカー協会も迷走中(五月十二日)
教育省のスポーツに対する補助金を巡る汚職事件のもう一方の当事者であるサッカー協会も、もちろん混乱を極めている。事実かどうかはともかく、政局に影響を受けた摘発だったとも言われているので、それが事実であれば(ある程度までは事実であろうが)、サッカー協会はもちろん、補助金の支給を止められたほかのスポーツ協会にとってもいい迷惑である。
六月に行なわれる総会で会長に選出されることがほぼ確実視されていたペルタ会長の現状から書いておくと、逮捕拘留された後、病気のため、ブルノの受刑者向けの病院へと移送された。そして、協会幹部との話し合いの結果、会長への立候補を取りやめることを決めた。
ラジオの公共放送であるチェスキー・ロズフラスの情報によれば、本来教育省の内部で審査して、どのプロジェクトを採用して、いくら補助金を出すかを決めるはずのところを、サッカーに関しては、担当の事務次官がペルタ会長と話し合って、そのプロジェクトを採用するかを決めていたらしい。それが、サッカー関係者の中で、反ペルタ派の筆頭と目されているテプリツェのオーナーが、「ペルタにべったりのクラブだけが補助金をもらえる」と批判していた所以なのだろう。
協会長が誰になるかについては、今週初めの時点では、実質的な協会のナンバーツーであるベルブルという人物が、ペルタ氏の代わりに立候補を考えていると言っていた。このベルブル氏は、人によっては、今のサッカー協会の黒幕的人物であって諸悪の根源だと評価する人もいる。共産主義の時代に秘密警察とかかわりがあったとかいう話も漏れてきたけれども、真相は藪の中である。
この人物が最初に暗躍を噂されたのを聞いたのは、審判の配置について影響力を行使しているのではないかというものだった。当時、協会の審判部の部長は、チェコの女性審判の草分け的存在で、女子の世界選手権やオリンピックでも主審を務めて評価の高かったダムコバー氏だった。審判を引退した後、審判部の部長に就任したのである。このダムコバー氏の私生活上のパートナーがベルブル氏で、ダムコバー氏を通じて誰がどの試合で笛を吹くか、決定していたのではないかと噂されていたのである。
ダムコバー氏も、審判をやっていたころは、好印象の人物だったのだけど、ペルタ氏に対抗してサッカー協会の協会長の選挙に立候補するとか言い出したあたりからおかしくなった。結局立候補せずに、サッカー協会の審判部長みたいな役職に就いたのだけど、その仕事ぶりもしばしば批判の対象になっていた。どうも、秘密主義的なところがあったらしい。同時にUEFAだったか、FIFAだったかの審判関係の役職にも就いていて、現在はチェコのサッカー協会の審判関係の仕事からは離れているようである。
結局、このベルブル氏は、一部リーグのチーム関係者との話し合い、特にスパルタのオーナーであるクシェティンスキー氏との話し合いの後、会長職には立候補しないことにしたようである。その代わりに、教会の有力スポンサーの一つであるミネラルウォーターのオンドラーショフカ社の人間を立候補させようとしていた。
この人物が会長になったら、ベルブル氏の操り人形になるのは目に見えているので、反感はあったのだろうけれども、明確に反対の意を表したのはリベレツのGMネズマルだけだった。2000年代初頭にリベレツがリーグ初優勝を遂げたときから長らく中心選手だったネズマルは、伏字にしなければならないような下品な言葉まで使って、強い言葉で不快感を表明したのだった。その結果なのかどうかは不明だが、結局この人物は、一度提出した立候補の届出を取り下げたらしい。
ベルブル氏本人は、現時点では副会長のポストに立候補することにしているようだが、インタビューの中で、サッカー界を離れることも考えているようなことも語っていた。ここ数年のサッカー協会を主導してきたペルタ―ベルブル体制の終焉が、チェコのサッカーに何をもたらすのかが問題である。脱税の容疑で捕まりそうになって国外逃亡したフバロフスキー時代、よく言っても君臨すれども統治せずで、ほとんど存在感のなかったモクリー時代に戻ることがなければいいのだけど。
5月13日21時。
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