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2017年04月20日

イースターのできごと(四月十七日)



 イースターの時期には毎年、道路に警察の姿が目に付く。年末年始、夏休みと並んで、普段車を運転しない人が、運転して事故を起こすケースが多く、またイースターのバカ騒ぎでお酒を飲んでそのまま車を運転する人も多いため、事故を減らそうと、厳重な警戒態勢を敷くのである。厳重な警戒体制を敷いて、頻繁に検問で車を止めて飲酒運転の検査を行っても、事故をゼロにすることはできず、今年もイースターの月曜日の夕方の時点で、六人の死者が出ている。
 その原因の多くが飲酒運転にあるということで、チェコテレビのニュースでは、飲酒運転で摘発された件数を紹介していた。数年前に、手軽に血中アルコール度数を計測できる機械が導入されたことで、警察が車を止めた場合にはアルコールの検査を行うことが義務付けられた。その結果、飲酒運転で摘発されて罰金を取られ、免停につながる点数を失う人の数も、一年に三万をこえるまでに増えていたのだが、その後減少し始め、昨年は二万件を割るところまで来ていた。
 人口一千万人ほどの国で、二万件ということは、人口の0.2パーセントということか。この数字が大きいのか、大きくないのか、他の国の状況を知らないので、何とも言えないけれども、自動車免許を持っている人の数を考えたら、多いと言えるような気がする。チェコの道路は怖いという思い込みからの印象かも知れないけど。

 今年のイースターは、土曜日にローマで、いやバチカンでローマ教皇が毎年特別行う洗礼式にチェコ人の女性が選ばれたというのが、大きな話題になっていた。選ばれたのは、シレジア地方はカルビナーの近くのデトマノビツェという小さな町の女性だった。カトリックの洗礼だから、小さな子供だろうと思っていたら、そんなことはなく、たしか40代の女性だった。
 生まれたころは、ちょうど共産党政権による「正常化」の真っただ中で、一番キリスト教に対する弾圧が強かった時代だったので、洗礼を受けることができず、家族やその友人がキリスト教の熱心な信者だったので、信者になったけれども、ビロード革命の後もあれこれあってこれまで洗礼を受けずにきたらしい。
 その女性が洗礼を受けようと決意したときに、デトマノビツェの神父が、ローマ教皇庁に推薦の手紙を書いたら、教皇による洗礼の対象に選ばれたのだという。チェコでは、隣接するポーランドやスロバキアとは違って、キリスト教の信者はそれほど多くなく、特に若い人たちの中で教会に毎週通っているという人は少ない。その状況が、この件で劇的に変わることはないだろうけれども、過去の資産の返還を求めるだけではないキリスト教の一面を知らしめることにはなるのかもしれない。

 土曜日の夜には、毎年恒例になっているチェコテレビとNROSという財団が主催するチャリティーイベント「ポモステ・デテム」が行われる。これはプラハで行われるチャリティーコンサートを中継して、その中継中に寄付を募り受け付けるという番組である。日本で昔やっていた「愛は地球を救う」だったか何だったか、テレビ局が主導してのチャリティー番組と似たようなものである。出演する歌手や俳優などはボランティアだというし。ただ集まった寄付で支援する対象が子供たちに限られているところが、特別といえば特別である。
 マスコットは、春を呼ぶイースターのシンボルの一つでもある黄色いヒヨコで、ヒヨコの着ぐるみを来た人がコンサートの間、ずっと司会者の脇にいて、何もしゃべらずにゼスチャーで自分の意見を表明している。司会者はチェコテレビのアナウンサーのアウグストバーが、俳優のトマーシュ・ハナークトのコンビで長年務めていたのだが、ハナークが芸能界から足を洗ってからは、毎年登場するのはアウグストバーだけになってしまった。
 番組では、出てくる歌手たちが歌を歌う間に、誰が、どんな企業がいくら寄付してくれたかとか、前年に集まった寄付がどのように使われたかとかなどの報告があり。募金活動自体はいろいろな形で一年中行われているようで、その募金活動の様子も紹介される。

 このコンサートの際の募金の方法は、以前は会場に設置された電話に電話をかけて、いくら寄付すると言った後で、銀行振り込みという形が多かったと記憶するが、最近は、携帯電話のSMSを使って、30コルナずつ寄付できるようになっているので、この手軽ないわゆるDMSを使う人が増えているようである。DMSのDはチェコ語の「ダル」、つまり贈物から来ているらしい。
 このDMSでは、ポモステ・デテムのプロジェクトへの寄付だとわかるように、書くべき決められたコードがあるのだけど、それが「KURE」なのである。マスコットになっているヒヨコはチェコ語で言うと「KUŘE(クジェ)」なので、SMS用にハーチェクをとって「KURE」になっているのは、よくわかる。でも、寄付用のSMSに書く言葉が「くれ」というのは、日本人には皮肉が利きすぎていているように思えてしまう。

 チェコに来たばかりの頃は、毎年結構楽しみにしてみていたのだけど、最近はちょっとマンネリ感もあって見なくなってしまった。この手のチャリティー番組は、飽きられないように次々に新しい趣向を考えるというわけにもいかないのだろう。
 この番組を見ていた時期に寄付をしたことがあるかって? 寄付ってのをこの手の大々的なイベントでするのは苦手なので、このチャリティーコンサートを通してしたことはない。寄付なんてこっそりひっそりやるものである。ただイベントにしてしまった方が集まりがいいという事情はあるだろうから、大々的なチャリティーイベントを否定するつもりはない。願わくは集まったお金が少しでも有意義に使われんことを。
4月18日23時30分。





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posted by olomoučan at 07:15| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ
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