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2016年12月08日

聖ミクラーシュの日(十二月五日)



 十二月末のいわゆるクリスマスに、サンタクロースが登場するのは、ヨーロッパの文脈の中から言えば、邪道であることをチェコに来てから知った。サンタクロース、すなわち聖ニコラウスは、チェコ語ではスバティー・ミクラーシュとなり、ミクラーシュの日は十二月六日である。つまり本来ニコラウスを祝う祭は十二月の六日前後に行われていたということになる。
 前後というのは、師匠の話によれば、チェコでは名前の日のお祝いを前日の夜に行う習慣があり、ミクラーシュのイベントも六日ではなく、五日の夕方に行われるからである。

 チェコのミクラーシュは、真っ白い髭を伸ばして司教の衣装を身にまとい、頭の上には帽子、手には杖を持って現れる。お供をするのは、白装束の天使と、黒ずくめの悪魔である。本来はこの三人組で、子供たちのいる家庭を回って、一年間いい子にしていたかどうかを尋ね、いい子にしていた場合には、天使がお菓子を、悪い子だった場合には、悪魔が石炭を与えるというほほえましい儀式だったようだ。
 天使にお菓子をもらえたら子供たちは喜び、石炭しかもらえなかったら悲しむわけだけれども、その前にいい子にしていたかどうかを尋ねるのを見ていると、日本の東北地方に残るなまはげを思い出してしまった。あれも悪い子は悲しみ、ときに泣いてしまうわけだし。その印象を強化したのは、後にテレビのニュースで見たオーストリアのウィーンのミクラーシュのイベントだったのだけど、これについては後述する(多分忘れない)。

 近年は、特に都市部では自宅にミクラーシュが来るのを待つのではなく、子供を連れた親たちが、ミクラーシュのイベントの行なわれる、オロモウツならホルニー広場に集まってくることが多くなっている。ミクラーシュたちもイベントの会場だけでなく、その周囲で見かけた子供たちに、問いかけお菓子を配っている。石炭はあまり渡していないような気がする。
 以前は、このミクラーシュのイベントの一環として、ホルニー広場に立てられたクリスマスツリーの電飾にスイッチが入れられていたので、十二月五日の仕事帰りは、滅多にないほどに人でごった返した街中を通る、または珍しく混みに混んだトラムに乗る破目になっていた。今年は十一月下旬にマーケットが、チェコのほかの町より一週間早く始まった時点で、点灯されていたから、どうもルールが変わったらしい。

 うちのの話では、昔大学で授業を受けていたら、突然ミクラーシュと天使と悪魔が教室に乱入してきて、体にまとわせた電飾を光らせるためにコンセントに接続し、出席していた学生たちにお菓子を配り始めたなんて出来事もあったらしい。年末年始の花火にしてもそうだが、チェコの人というのは、こういうイベントに自腹で参加して、あれこれ配るのが好きだという面があるのかもしれない。
 それはともかく、チェコのミクラーシュの仮装は、悪魔役も、恐ろしいというよりは、かわいらしい姿をしているので、石炭をもらってしまっても、お菓子がもらえなかったということ以外には、子供が泣き出す要素はない。しかし、同じハプスブルク家の支配下にあったオーストリアでは、少々事情が違うらしい。

 もう、十年ぐらい前になるだろうか。チェコのニュースで、オーストリアのウィーンのクリスマスマーケットでのミクラーシュのイベントの様子が放送された。そこに描き出されていた情景は、唖然とするしかないものだった。どこのホラー映画だよといいたくなるようなコスチュームと被り物を身につけた大人に迫られて、泣き喚く子供たち、阿鼻叫喚とはこのことだと言いたくなるような状況を作り出していた。
 昔、森雅裕が、アイドル写真集の古本価格の高騰を招いたマニア層の存在を、金の使い方を知らない小金持ちなんて言葉で批判していたけれども、オーストリアの状況も全く同じである。無駄に金をかけて、無駄にリアルで、無駄に恐ろしい悪魔の装束を手に入れて、無駄に子供たちを脅す必要などどこにもあるまい。正直、子どものころに、なまはげの様子をテレビで見て、怖いと思ったけれども、オーストリアのミクラーシュはなまはげ以上に子供の心に傷をつけそうである。
 このニュースではミクラーシュと天使の姿はほとんど見かけなかったので、子供たちはお菓子をもらえないのかもしれない。そういえば、悪魔が石炭を渡しているのも見かけなかったなあ。オーストリア政府も、年々過激化するミクラーシュの仮装を問題視しているとも言っていたので、状況は改善していると思いたいところである。

 今年も、ホルニー広場を通って自宅に向かうときに、何人ものミクラーシュと天使、悪魔を見かけた。特に大々的なイベントが行われている様子はなかったけれども、通った時間の関係もあったのだろう。あちこちからホルニー広場に向かって歩いていく子供づれの姿があった。
 ちなみに、チェコのクリスマスでプレゼントを持ってくるのはイェジーシェクで、これはイエス・キリストの「イエス」のチェコ語版、イェジュシュの指小形(小さく、かわいらしいものを指す形)である。チェコ語のイェジュシュを見ると、日本にキリスト教を伝えた「イエズス会」の名前の由来が、イエスであることが実感を以て理解できるのである。
12月5日23時。


posted by olomoučan at 07:44| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ
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