2016年11月21日
ホモウトフのホモウト(十一月十八日)
オロモウツの市街地を離れて北に、ウニチョフなんかのほうに向かう道を何キロか行ったところにホモウトフという地区がある。オロモウツの中心地区とは直接接していないことからもわかるように、かつては独立した村だったのだが、1970年代のオロモウツ市域拡大の一環として、現在ではオロモウツの市街地とつながっているスラボニーンなどと共に、オロモウツに編入されたらしい。
このホモウトフ地区に、モリツ、聖バーツラフ、リーグロフカに次ぐオロモウツ四つ目のミニ醸造所が誕生していることを知ったのは、チェルナー・ホラのビールを購入するのに使っていたピボテーカという店の運営するネットショップで、売られているビールの確認をしていたときのことだ。ペットボトル入りの1.5l以外は、飲み屋で生ビールを注ぐために使う機械につないで使うような20l、30lの樽と言うか、タンクと言うかに入ったものしかなかったので、買う気にはなれなかった。モリツのビールも買えるけど30lとかどうしろと言うのかね。
だから、ホモウトのビールを試すためには、ホモウトフにまで出かける必要があるものと考えていた。交通の便がよくなくバスで出かけるしかないのだが、ビールを飲むためにバスに乗って出かけて、またバスに乗って帰ってくるというのも気が進まない。かと言って自転車で出かけたのでは、思うように飲めないし、無事に帰ってこられるかどうかもわからない。うちのの車で出かけて自分だけお酒を飲むのもなあ。そもそも酒飲んで車に乗るのが苦手なのだ。バスで行って歩いて帰ってくる? それもなあ、酔っ払ってホモウトフの近くにある砂利採取場の跡地にできた池に落ちてしまったら目も当てられない。
そんなアホなことを考えながら、オロモウツ市内を歩いていたら、いくつかホモウトのビールの飲める店があることに気づいた。馬なのかな、デフォルメされた四足の動物をあしらったロゴは結構目立つのだが、ピボテーカで存在を知るまでは目に入ってこなかった。一度気づくと職場に向かう途中の店の前にもロゴのついた日よけのパラソルが置かれていたし。ただ、自分がわざわざ食事に出たり、飲みに行ったりする店ではなかったので、飲む機会はないだろうと考えていた。
それが、先日日本からお客さんが来たときに、パラツキー大学の発祥の地というコンビクトと呼ばれる建物の中に入っているレストランに出かけたら、店の兄ちゃんに、ホモウトの何とかエールがあるよと言われて、思わず席に着く前に注文してしまった。エールだからチェコ発祥のピルスナータイプではないのだろうけど、細かい味の違いがわかるとは思えない。
実際に飲んでみたら、昔よく飲んでいたチェルナー・ホラのクバサルを思い起こさせる濃厚な味で、かすかに甘みのようなものも感じられた。美味しかったけれども、一気にごくごく飲んでしまうようなものでもなかったので、ゆっくり飲んでいたら一杯だけしか飲めなかった。モリツや聖バーツラフのビールを飲んだときのような、飲んだぜーという満足感は感じられなかったから、ピルスナータイプのほうが向いているのかな。何度も飲んでいるうちに癖になりそうな気もしたけど。
それからしばらくして、別件で昔ウ・カプチヌーというカプチン派の修道士をモチーフにしたレストランのあったところに新しくできたアメリカ風?のステーキやハンバーガーをメインにするレストランに出かける機会があった。そこでもホモウトのビールが飲めたのだが、その日は何とかエールはなく、普通の10度のビールを飲むことになった。
その店で出していたのは、ホモウト以外は中国の手に落ちたロプコビッツとその眷属のビールだったから、一杯目に飲むものとしては他に考えられなかった。ピルスナー・ウルクエルですら、南アフリカのビールの傘下に入ったと思って飲むと味が一段下がった気がしたからなあ。ロプコビッツで中国資本と思うと……。チェルナー・ホラならまた違うのだろうけど。
肝心のビールはと言うと、まあ普通のビールだった。後で試したロプコビッツよりはましだったけど、このビールを飲むために飲み屋やレストランを選ぼうという気にはなれない。多分、ホモウトを醸造している店まで行かないと真価は味わえないのだろう。オロモウツ市内の飲み屋で飲むとあまり美味しいと思えないリトベルのビールでも、工場見学の際に現地で試飲すると同じものとは思えないぐらい美味しいから。
と言うことは、ホモウトフまで行かなければならないのか。うーん、10度好きのあいつを久しぶりに引っ張り出すかな。いや、この寒い中出かけるのは無理だから、来年の春になってからだな。
11月19日21時30分。
カテゴリーはオロモウツでもよかったんだけどね。11月20日追記。
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