2016年01月07日
オロモウツ(一月三日)
オロモウツを知らない人が、読みに来てくれるということはなかなか想定しにくいのだが、念のために、ここらでオロモウツについても一文物しておこう。2016年現在の印象が将来変わらないとも限らないので、定点観測的に定期的にオロモウツについて書こうか、などと書き続けられる確証もないのに先走ってしまうのは、我が悪癖である。
とまれ、オロモウツはヨーロッパの中央、チェコの東部モラビア地方の真ん中にあるハナー地方の中心都市である。古代ローマのカエサルによって建設されたという伝説が残っているが、実際にローマ時代の遺跡が発掘されているらしい。ゲルマン人に対する軍事拠点でもあったのだろうか。ちなみに、街中にある七つの噴水に設置された石像(一つはブロンズ像)のうち、他は全てギリシア神話の神の像であるのに、唯一実在の人物としてシーザーの像が置かれた噴水があるのはこの伝説によるものらしい。問題は、この人物の名前を、英語風に「シーザー」、ラテン語風に「カエサル」、それともチェコ語風に「ツェーザル」と書くべきなのかにもあるんだけど。
また、オロモウツは、三つの丘にまたがるように建設された町で教会の数も多いことから、ハナー地方のローマと呼ばれているらしいのだが、ローマは丘の数が七つだし、オロモウツは丘と言うよりは大きな岩の上にある町なので、これをローマと言うのは、ローマに申し訳ないような気がする。ただ、他のハナー地方のベネチア、ハナー地方のエルサレム、ハナー地方のパリなどと比べたら、「ハナー地方の」がつけばローマでもいいのかもしれない。
以前はチェコを知る人たちでも、オロモウツを知らなかったり、何もないところという評価を下したりする人がいたものだが、2000年代に入って、聖三位一体の碑が世界遺産に登録されたおかげで、ガイドブックにも載るようになり、日本でも多少は知られるようになったようだ。本来は、市庁舎にあるチェコには二つしかない天文時計を中心にした世界遺産の指定を目指していたらしいのだが、天文時計の装飾が戦後に社会主義的リアリズムのものに改変を受けており、当初の姿を残していないということで指定されなかったという。天文時計の本当の素晴らしさは、月齢を表したり天体の運行を正確に表示したりした部分にあるのであって、毎正時に音楽と共に出てくる人形たちがみな労働者であったり、鶏が情けない声で時を告げたりする部分にあるわけではないのだが、観光名所としては見栄えのほうが大切ということなのだろう。
オロモウツは、チェコ国内ではプラハについで二番目の歴史的記念物の数を誇る隠れた観光地ではあるけれども、その本当の素晴らしさは、住みやすさ、正確に言えば外国人にとっての住みやすさにある。特に顕著なのはさまざまな役所での対応である。
最近は必要がなくなったのと、管轄が変わったのとで出向くこともなくなったが、オロモウツの外国人警察では、プラハやブルノに住んでいる人にうらやましがられるぐらい親切に対応してくれた。ビザや滞在許可の申請書類に不備があるときに、何が問題なのかを教えてくれるのはもちろん、こちらではどうしようもない問題が起こったときに、関係のほかの役所と連絡を取って解決してくれたこともある。われわれ外国人のために、できることはしようととしてくれる姿勢には、本当に頭が下がる思いだった。お礼の気持ちを表すために、日本からちょっとしたお土産を買ってきたら、規則だからと言って、受け取ってもらえなかったという話も聞いたことがある。チェコの役人がみんなこんなだったらいいのに。
税金の手続きで出向いた税務署の人たちも親切だったし、労働許可の申請をしていた労働局の方々にも本当にお世話になった。ということは、一番問題なのは、他の町で仕事(アルバイト)をしたときには、労働許可に関しては、会社で手続きをしてくれて署名するだけでよかったのに、手続きを全部自分でやらせていた今の職場ということになるのかもしれない。まあ、チェコ語の練習にはなったし、それなりに楽しかったから、いいと言えばいいんだけど。
1月4日11時50分
末尾の右寄せについに成功。ついでに文字も少し大きくしてみる。次は行間を少し広くしたい。
タグ:ハナー地方
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