2016年09月16日
チェコ郵便事情(九月十三日)
数年前だっただろうか、チェコの郵便局では、低迷する郵便局への信頼を回復するために、「今日出したら、明日届けます」なんてスローガンを掲げてキャンペーンをやっていた。確かにあの頃は、オロモウツからブルノに送って、届くのに一週間以上かかるなんてことはざらだったし、郵便物が配達されない郵便事故もたびたび起こっていたようだ。
その実態を知っているチェコ人たちにとっては、「今日出したら、明日届けます」というスローガンはお笑い種で、とても信じられるものではなかったようだが、問題を認識して改善する方向に向かい、目標を設定したのがよかったのだろう。最近は国内の郵便に関して郵便局に対する悪口を聞く機会が減った気がする。メールなんかに押されて郵便を使う機会自体が減っていると言えば、それまでだし、「今日出したら、明日届けます」のスローガンも実現不可能であることが判明して、撤回したのだけど。
外国に、特に日本に郵便物を送る場合、チェコの郵便局は素晴らしい。手紙のほうはよくわからないが、小包を送る場合には、航空便で送らなくても、航空便並みの時間で到着するのだ。書物だけを送る場合には、日本にも存在する特別郵袋というものを使えば、さらに廉価で送れる。
以前は郵便局の人も事情が分かっていなかったが、チェコで日本に船便で送るための船を探し確保する手間と経費を考えたら、積み荷に余裕のある飛行機に載せてしまったほうが安上がりになるらしい。それで、船便で、船便と直接言わなくてもエコノミーでなんて言い方で、荷物を送ると、優先的に送られるEMSほどの速さはなくても、一週間から十日ぐらいで日本についてしまうのである。
伝票を確認してみると、飛行機で成田に着いた荷物を、川崎に移動させて、川崎で通関の手続きをしているようである。一応船便で送られたという体裁を合わせる必要があるのだろうか。その分、航空便で送ったときよりも時間がかかるのだが、せいぜい一日二日だから誤差の範囲である。以前、一度だけ、航空便で荷物を送ったことがあるが、そのときには何と一か月以上時間がかかった。それ以来航空便で荷物を送ったことはない。
日本でも同じようにしてもらえないかと思うのだが、周囲を海に囲まれた日本で、船便の郵便物を載せるための船を見つけるのはたいして困難なことではないのだろう。だから日本から船便で送ると、本当に船に載せられて、二か月ぐらいかかることになる。
チェコに送る場合に、気を付けなければならないのが、クリスマス前後で、この時期は郵便物の量が激増するため、配達までにかかる時間も伸びる傾向にある。さらに税関で引っかかって消費税を取られるなんてことになると、そのやり取りも長引くので、航空便で送っても受け取りまでに一か月かかることもある。
一体に税関とのやり取りで時間を取られることを考えると、日本から小包をEMSで送る意味はない。SAL便で十分というか、SAL便で送っても問題ないぐらいの時間的な余裕をもって送らないとEMSだからすぐにつくと油断していると、足元をすくわれることになる。ちなみにEMSをチェコから送る場合には、最低の送料が1000コルナになることは、覚えておいたほうがいい。書類一枚でもEMSで送ると1000コルナなのである。
日本からチェコに荷物を送る場合に、なぜか内容物が書籍の場合には、手紙などを同封してはいけないことになっているらしい。それに中古の衣料品を送るのも禁止だというから普段着ているものを送るのも難しそうだ。この中古の衣料品を郵送できないのは、かつてドイツの廃棄物業者が古着と称して、ごみにしかならないものを大量に輸出し、国境地帯にごみの山をいくつも作りだしてくれたことへの、それを防げなかったことへの反省から生まれたものではないかと推察しているので、仕方がないのかなとは思う。
ただ国際郵便の場合に、商品、または商用の郵便物なのか、個人的な贈り物、場合によっては個人の所有物なのかを、きっちり分けた制度にしてほしい。未だに友人が日本の本屋で購入して、日本政府に消費税を納めた書籍に関して、改めてチェコ政府から税金を請求されるのは納得がいかない。友人から買い取るわけではないのだし。プレゼント送ったと、欲しくもないものを送りつけられた上に、税金まで払わされるという事態も起こりかねないのだから。
9月14日20時。
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