2021年01月01日
規制強化を巡る喜劇(十二月廿九日)
犬システムによる危険度評価が、4を越えて最悪の状態とされる5に入ってからも、規制レベルは4に強化しただけで、しかも4であれば禁止されるはずの、生活必需品以外を販売する店の営業は継続されていたのだが、クリスマス商戦を終えた日曜日から、規制レベルを5にあげると共に、これらの小売業者の営業も禁止されることになった。
一部では、新規の感染者が増え続け、入院患者や集中治療室に入る患者の数も増えている中、なかなか規制強化に踏み切らず、強化した後も犬システムには存在しない例外を認めたことを批判する向きもあるが、一方では規制を強化してレストランの営業を再度禁止したことを強く批判する声もあるわけで、規制強化を先送りしていたこと自体は悪いとは思わない。
問題なのは、規制強化のやり方が恣意的で場当たり的に見えることだ。これでは何のために犬システムを導入したのかわからない。その意味では、規制レベルを4にあげた際に、レストランなどの飲食店を例外の対象からはずし、営業禁止、否、持ち帰り窓口だけの営業許可にしたのも、ちぐはぐな感じでいただけない。
せっかく、犬システムを基に規制緩和をすることができたのだから、その時点で、クリスマスまでは、状況が悪化しても、商業を守るために、小売店やレストランの閉鎖など規制の再強化はしないと決定しておけばよかったのだ。その上で、犬システムの危険評価が悪化しないように国民に協力を求めれば、ここまでの混乱は起こらなかったのではないかと思う。厚生大臣が何を主張しようと、今の政府では、クリスマス前に規制を強化して小売店の営業を禁止するなんて決定ができたはずがないのだから、最初から規制を強化しないことを決定しておいたほうがましである。
クリスマスの後には、バーゲンセールが始まるわけだが、クリスマス前のプレゼントを求める客の購買量にははるかに及ばないはずである。だから、この時期に生活必需品を販売する店以外の営業を禁止しても、クリスマス前に営業禁止にするほどの影響は与えない。大晦日や元日がもともと営業しないところが多いことを考えると、最初からこの時期は規制を強化して、営業禁止の対象を最大にすることを決めておけば、混乱も少なかっただろうに、散々引っ張った挙句に、クリスマス直前になって規制強化を決めるのだから話にならない。
今回のクリスマス開けの規制強化では、さらに意味不明な決定がなされた。これまで、スーパーマーケットなどの生活必需品を販売するお店では、入店人数以外の規制は課されていなかったのだが、生活必需品に指定されるもの以外の販売が禁止された。つまり、大きなスーパーで扱っているさまざまな商品のうち、服や、本などの販売が禁止されたのである。これは衣料品店や書店などから同じ商品を扱っているのに、片方だけ販売禁止というのは不公平だという批判に引きずられての決定だろうが、政府の方針の一貫性のなさ、いや方針のなさの反映にしか見えない。
何を生活必需品とするのかの指定にも大きな混乱があり客が店ともめたりもしているようだし、規制が強化してから出かけたビラでは、入店制限にかかるほどの人は入っていなかったようだが、場所によっては人間距離2メートルなんて完全に無視して人がたくさんたむろしていた。みんな意味不明な規制の緩和と強化の繰り返しにうんざりして、どんな規制が現在有効なのか気にしなくなっているのだろう。規制に関する発表のやり方がまともなら、ここまでひどいことにはなっていないと思うのだけど、チェコの政府も日本と同じでひどいからなあ。
EUで承認されたワクチンの接種も始まったけれども、ここでも混乱が見られるし、しばらくはこの感染状況が改善されそうもない。規制があってもなくても、半ば引きこもり的な生活を送っている人間には、生活上の変化はあまりないのだけど、精神的にはやはりゆとりがなくなっているのを感じる。日本だと自殺する人も増えているんだろうなあなんてことを考えてしまう。
クリスマス開けに客が減ったら、十月末に行きそびれたおっちゃんの店に寄って、何か買うものがないか探してみるつもりだったのだけど、二月(三月かも)に延期である。それまでに閉店なんてことにならないことを祈ろう。
2020年12月30日11時。
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