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2020年11月22日

形容詞の作り方1(十一月十九日)



 代名詞に続いて、形容詞について書いた文章をまとめたリストを作ろうと考えて、何を書いたかチェックしていたのだが、一つ大事なことを書き忘れていたことに気づいた。他の品詞から作られた形容詞の話である。形容詞の中には、最初から形容詞というものもあるが、名詞や動詞から作られた形容詞も多く、その作られ方には、ある程度の規則性がある。いくつかはすでに簡単に触れたが、ここで改めてまとめておく。
 まずは名詞から作られる形容詞から。以前名詞から作られる形容詞には軟変化のものが多いと書いたことがあるが、名詞に「-í」もしくは「-ní」をつけて形容詞にすることが多い。もちろん名詞の後ろにそのままつけることは滅多になく、微妙に形が代わることも多いのだが、慣れてくるとある程度は考えなくてもできるようになる。ここまでたどりつくのだ大変なのはその通りだけど、不可能ではない。

 名詞から語尾をつけて形容詞にする場合に覚えておいたほうがいいのは、@末尾に母音がある場合には取り去る。A形容詞化するための語尾をつける子音が、「c」「k」の場合には「č」に変えるなどの子音交代が起こる。B出没子音の「e」がある名詞の場合には、複数二格の末尾の母音を取った形に、形容詞の語尾をつける。C名詞の長母音が形容詞では短母音化する。の4点だが、付け加える語尾によっては適用されないこともある。


@「í」を付ける。
・koza → kozí ヤギの
・kohout → kohoutí 雄鶏の
・kočka → kočičí 猫の
・slepice → slepičí 雌鶏の
・pes → psí 犬の
・lev → lvíライオンの
・pták → ptačí 鳥の

 この形で形容詞を作るのは動物の名前から作るものが多い。ただし、動物の子供を表す名詞には「cí」を付けることがある。「tele→telecí(子牛の)」「kuře→kuřecí(雛鶏の)」などである。


A「ní」を付ける。
・voda → vodní 水の
・kostel → kostelní 教会の
・kniha → knižní 本の
・radnice → radniční 市役所の
・divadlo → divadelní 劇場の
・léto → letní 夏の

 おそらくこれが最も一般的な名詞から形容詞を作る方法である。


B「ový」をつける。
・vlak → vlakový 電車の
・čaj → čajový お茶の
・počítač→ počítačový コンピュータの
・čokoláda→ čokoládový チョコレートの

 この形は比較的新しい、新しく使われ始めた名詞の場合に使う印象がある。いや、「časový(時間の)」なんかもあるから、そうでもないか。


C「ský/cký」をつける。
・lázeň → lázeňský 温泉の
・kuchyň → kuchyňský キッチンの
・učitel → učitelský 先生の
・žena → ženský 女性の
・čarodějnice → čarodějnický 魔女の
・prezident → prezidentský 大統領の

 この形を使うのは、人を表す名詞と地名を形容詞化する場合が多い。「ský/cký」のどちらを使うかは、すでに地名の形容詞化のところで書いたのでそちらhttps://fanblogs.jp/takzolomouce/archive/1185/0を参照。


D「(n)atý」をつける。
・voda → vodnatý 水の豊かな
・hora → hornatý 山がちの
・skála → skalnatý 岩だらけの
・lidé → lidnatý 人口の多い
・vlasy → vlasatý 髪の豊かな
・huba → hubatý 口数の多い

 この形で作られた形容詞は、基になった名詞がたくさんあることを意味する。ただし、どんな名詞でも使えるというわけではない。


F「ovitý」をつける。
・kopec → kopcovitý 丘のような
・pes → psovitý 犬のような
・kočka → kočkovitý 猫のような

 使われることはあまり多くないのだが、動物や植物などの呼び名や、どんな動物なのかを説明するときに使われることがあるので、覚えておくと役に立つ。例えば、日本からヨーロッパに輸出された帰化動物であるタヌキは、チェコ語で「mýval psovitý」、つまり「犬のようなアライグマ」というと思っていたのだが、チェコ語のウィキペディアによると、実は反対で「psík mývalovitý」、つまり「アライグマのような小さな犬」と名付けられているらしい。

 以上で名詞から作られた形容詞のすべてのタイプを網羅しているとは言えないのだが、これぐらい知っていると、チェコ語を読むのも自分で使うのも楽になる。適当に形容詞化してみて、違うといわれたら別の方法を使ってみればいいわけだしさ。そこで日本語はほとんど「の」を使って名詞を形容詞的に使うだけなのになあなんて考えては、チェコ語の勉強はできないのである。
2020年11月20日23時30分。










タグ:名詞 形容詞
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