2020年09月04日
次は誰に?(九月朔日)
安倍首相が辞任するということは、自民党の総裁も辞任するということで、これから自民党の総裁を選ぶ選挙が行われ、選ばれた人が次の首相に就任するということである。ネット上では、候補者と目されている人たちの名前が、いくつか踊っているけれども、自民党の政治家である以上は誰がなっても大差はなく、自民党の人たちが自民党にとって最良だと判断した人を、党の規則にのっとって選んでくれればいい。
ありもしない世論などというものをでっちあげて、特定の候補を応援しようとするマスコミの雰囲気づくりに巻き込まれてはいけない。その先に待っているのは完全な衆愚政治である。理解できないのは、いくつかのマスコミが、世論調査という名の人気投票を行っていることで、その結果がメディアによって結構違うのも笑うけれども、世間一般の人気の高い政治家を自民党の総裁に、ひいては首相にというのは、普段大声で批判しているポピュリズムの発露にしか思えない。ただでさえ最近の日本の選挙は、人気投票に堕しているのだから、政党の党首選ぐらいは能力と政策を基準にして選ぶべきだろう。
そもそも自民党内部の選挙について外野がとやかく言うのが間違っているのである。選ばれた人が首相にふさわしくないと思うのであれば、その過程ではなく結果を批判し、次の選挙で自民党に投票しなければいいだけの話で、それが本来の間接民主主義というものではないのか。それが気に食わないというなら、首相を直接選挙で選ぶように法律なり憲法なりを改正する運動をすればいい。個人的にはとんでもない人が選ばれる可能性が高まるので、避けてほしいとは思うが、そっちの方がいいと考える人がいてもおかしくない。
さて、今回は安倍首相が任期途中での辞任となり、残りの任期だけを務める総裁を選ぶというのだから、80年代に大平首相が亡くなったときと同じような対応でもいいのではないかとも思う。任期が終わるまでは安倍首相の敷いた路線を踏襲する代行みたいな立場にしておいて、任期切れに際して改めて、通常の総裁選挙を行ったほうが、武漢風邪問題で大規模イベントの自粛強要が続いてもいるわけだし、無難じゃないか。その間を利用して立候補の意思のある人たちは、自らの政策をまとめて、自民党関係者に周知することもでき、有権者も時間をかけて熟考できるわけだし。
党首選挙と言えば、再合併する民主党も党首を選ぶことになるから選挙が行われるのだろう。こちらは臨時のではなく正規の党首選になるのかな。出身政党や支援団体のしがらみを外れて、候補者の能力と政策を基準にして選ばれる選挙が行われてほしいと思うのは、自民党の党首選と同じ。ただ、以前の民主党の党首の選び方を見ていると、自民党以上にというか、普通の選挙以上に人気投票の度合いが高かったからなあ。おまけに政策の違いは無視してとりあえず数合わせに組んだ感じだから政策論争なんてやったら合併が反故になりかねないのか。
誰が自民党、再合併民主党の党首になって、誰が首相になるかは、何を言っても左右のしようもないので、結果が出るのを楽しみに見守ることにしよう。これでは、分量が足りなさすぎるので、こんな人が日本の首相だったら嬉しいという願望をまとめておく。
一番望まれるのは世襲議員でないこと。日本も貧富の差だとか、経済格差なんてものが問題になっていて、悪い言い方をすれば、貧乏人の子供は貧乏人、政治家の子供は政治家なんてことになりつつあるようだ。そんな閉塞感を打ち破るには、政治家の子供ではなくても、しっかり勉強して仕事をすれば国会議員、ひいては首相にまで成り上がれるという実例を見せるのが一番である。理想は田中角栄みたいに低学歴を売り物にできる人なんだけど……。経歴は田中角栄的で、政治能力も高く、金銭的な問題を起こさない人ってのは日本の政治家の中には求められないか。
とまれ、その非世襲の首相には選挙区の世襲を禁じる法律を制定してもらいたい。親の七光りの通用しないところで一から苦労して議員に選出されるぐらいの能力は見せてもらわないと、政治家として、国会議員として信用に値しない。
それから、まともな日本語能力の持ち主であってほしい。英語など所詮は外国語なのだから、使えたほうがプラスという評価はあっても、日本の首相としては使えなくても差し支えはない。ただ母語である日本語だけは、字幕なしに聞いても理解できるような文章で発声であってほしい。チェコ語の字幕を読みながら日本語を聞いていると、何言っているのかわからないというのはちょっと悲しくなる。
日本語の正確性については、完璧である必要はないのだ。日本語担当のスタッフを雇ってできる限り正しい日本語で演説してくれればそれで十分。原稿のない質疑応答の場合には、多少崩れてもそれも個性ということになるが、準備原稿のある演説やコメントなんかでは日本語の言葉を正しく使ってほしいものだと、外国に住む日本語至上主義者としては思う。
2020年9月1日24時。
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