2020年04月14日
自宅監禁日記(四月十一日)
イースター四連休の二日目、白い土曜日である。祝日になっているわけではないので、普段なら午前中は街中の店も開いていて、買い物に行けるのだが、非常事態宣言下の現在、営業を許可された店でも、食料品を扱うスーパー以外は休みにしているのではないかと推測する。郊外のショッピングセンターは、週末休まない店ばかりだから話は別である。
政府はイースター開けの会議で、今後どのようなスケジュールで規制を緩和していくか話し合う予定のようだが、厚生大臣のアダム・ボイテフ氏が先走って、いやおそらくはバビシュ首相の意向に基づいて、自らの見解を発表していた。細かいことは覚えていないが、最後まで継続されそうなのはマスクの着用で、義務がなくなるのは早くとも6月だろうと語っていた。それから1万人を越えるような大イベントは今年の夏は無理じゃないかなんてことも言っていたかな。
それに対して社会民主党の党首で内務大臣、現在はコロナウイルス対策委員会の長も務めているハマーチェク氏が、まだ内閣で話し合ってもいないことを、しかも状況次第で今後どうなるかわからないことをべらぺらとメディアに喋るのは問題だと非難していた。今回のコロナウイルス対策では、与党側が圧倒的な存在感を示して、野党側はないも同然になっているのだが、連立与党内での主導権の争いが激化しつつあると見るべきであろう。
この争いには、控えめながらゼマン大統領も参戦していて、すでに一週間ほど前の話になるが、対策委員会の長の座を疫学の専門家であるプリムラ氏が、政治家であるハマーチェクしに譲ったときに、今年の秋の勲章授与の際に、プリムラ氏に最高位の勲章を授けることを発表していた。これは出身政党とはいえ対立するグループのいる社会民主党に対して釘を刺すと同時に、コロナウイルス対策に成功した功績はハマーチェク氏ではなく、プリムラ氏にあるのだと印象付ける目的もあるのだろう。
ところで、話は全く変わってしまうが、このウイルスの流行が話題になって以来、いや、犠牲者の大半を高齢者が占めるという事実が明らかになって以来、不思議に思っていることがある。すでに食う年も前になってしまうが、2011年の東日本大震災とその後の福島原子力発電所の爆発が起こった際には、オカルトな言説が世界をにぎわせた。
中には、自信を起したのは米軍の秘密兵器。爆弾だったかな? という言い出した人の知性を疑うようなものもあった。外国で教育を受けたならともかく日本で義務教育を受けた人であれば、地震発生のメカニズムはある程度知っていて、あれだけの地震を起こすためにとてつもない量のエネルギーが必要で、それが人間の手で引き起こせるレベルではないことを理解していて然るべきだと思うのだが、その発言を真に受けている人がかなり存在したことに薄ら寒い思いをした。さらに、その情報を発していた人物が、本当かどうかは知らないが、どこかの地方で議員を務める政治家だという話を聞いて、オカルト話を聞かされたときのような空しさを感じた。
これなどはまだ知性がかけらでもあれば、ありえないと理解できる与太話だから、まだ笑い話で済むけど、日本人なら一度聞いただけでは尤もだと思ってしまいかねない蒙説もあってたちが悪かった。簡単に言えば、東日本大震災は自然への敬虔さ、感謝の気持ち忘れた日本人への天罰だというのだが、うちの親までその手の妄言に感動して、どこぞのだれそれの講演の原稿とやらを送ってきたのには閉口した。ここまで蒙昧な人たちではなかったはずなのだけど、歳を取るとこの手の話を信じたくなるものなのかもしれない。
物質文化と精神文化なんてカテゴリーわけも流行ったし、精神的な豊かさを求めようなんてのもあったなあ。世の中、金では買えない豊かさなんてものがあるのは確かだろうが、経済的に困窮していれば、豊かさも糞もあるわけがない。この手の一件尤もな言説に傾倒してしまうのは、現実と折り合いをつけ切れない恵まれた境遇の十代の若者と、自分の人生を振り返って空しさを感じたがる高齢者だと相場は決まっている。家の親も老いたなあと思ったものである。
この自然に対する感謝を忘れた日本人に下された天罰説が成り立たないのは、日本という範囲で考えても、もっとも自然を大事にしていない都市、東京の被害が最大にならなかった時点でおかしいと言えるし、原子力発電が天罰の理由だと言うなら、東北以上に原子力発電所が多い地域が災害に襲われてしかるべきである。世界的に見れば、中国や欧米の自然観の方が、自然への感謝や敬虔さに欠くのは言うまでもないことで、日本が災害に襲われた理由にはなりえないのである。それを一見知性もあって頭もよさそうな人たちが信じてしまうのが救われない。
それで、この手の精神的な豊かさが好きな人たちの思考をたどって、今回のコロナウイルス騒ぎについて考えると、医療の発展という美名の下に命をもてあそぶ現代文明への警鐘だと言い出す人が出るんじゃないかと予想したのだが、現時点では見かけていない。せいぜいロシアの元陸上選手がドーピング疑惑でロシアを排斥する連中に対する天罰だと言っていたのを見かけたぐらいである。
今後、感染症の流行が終息してから、そんなことを言い出す人が出るかもしれないけど、現時点でいないのは、やはりこの手の精神主義的なオカルト言説を主張する人、信じてしまう人の多くが高齢者で、自分たちが天罰の対象になっているなんて思いもしないからだろうと考えた。東北大震災の天罰説でもそんな蒙説を唱えていたのも、信じて周囲に広げていたのも当事者ではない東北以外の人ばかりだったしさ。
2020年4月12日20時。
https://onemocneni-aktualne.mzcr.cz/covid-19
https://www.krajpomaha.cz/
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