2019年11月24日
クリスマスマーケット(十一月廿二日)
十一月の半ばから出店の準備が始まって、一部の店ではすでに営業を始めていたオロモウツのクリスマスマーケットだが、この週末から公式にオープンするらしい。今日はそれに先立ってホルニー広場の市庁舎の天文時計の前に立てられたクリスマスツリーの装飾の点灯式が行われた。このクリスマスツリーは、毎年オロモウツ地方の山の中から切り出してくるのだけど、オロモウツだけでなく、他の町でも同様のことをしていることを考えると、かなりの数の木が森から消えることになる。環境保護団体あたりがいちゃもんをつけないのが不思議であり、不満である。
個人の家庭で購入するクリスマスツリー用の木は、最初からその目的で専用の育木場(へんな言い方だけど)で育てられているから、まだましにしても、街の中心の広場に立てられるようなものは、大きさも成長にかかる年数も桁違いである。それを毎年たった4週間のクリスマスマーケットのために切り出し、運び込むのは効率が悪すぎるとは思わないのだろうか。
チェコは近年針葉樹林がキクイムシに襲われて、多くの木が枯死するという事態が発生している。そんな虫害にやられた木を使用すればリサイクルにならなくはないけど、下手にそれをやると害虫の生息域を広げてしまうことになるし、強風で折れてしまう恐れも健康な木を使うとき以上に大きくなってしまう。
一時期、毎年毎年クリスマスツリーに使われる木が大きくなっていた時期がある。木を切り出した山の中からプラハやオロモウツまで苦労して運ぶ様子がニュースになることも多かった。それが、強風でクリスマスツリーがぽっきり折れて、マーケットの出店や買い物客に被害が出るという事故が何度か起こり、巨大化競争は終わりを告げた。オロモウツのクリスマスツリーは、今年は特に小ぶりの物になっているが、これは単に市庁舎が改修工事中で、大きなものを立てる場所の余裕がないからに過ぎない。
大きさが変わらなくなった代わりというわけでもないのだろうけど、最近は装飾の過剰化が進行していて、やりすぎなまでに派手なものが増えている。オロモウツのものも、正直、装飾にスイッチを入れる前の状態の方が風情があっていい。美意識の違いといえばそれまでだけど、クリスマスツリーに取り付けられた電気で光る装飾が明るすぎて、木の変わりに鉄骨かなんかをそれなりの形に組んで、装飾をつけても変わらなさそうである。
公的な資金を、宗教に期限のある行事に無駄に使っている典型例だと思うのだけど、政教分離にうるさい人はチェコにはいないからなあ。こんな大きな街の無駄に大きく無駄に派手なクリスマスツリーと違って、地方の小さな町のなかには、経済的な事情からか、市庁舎の前や、教会の近くに植えられている背の高い針葉樹に飾りをつけてクリスマスツリーにしているところがある。飾りも電気で光るものよりは、周囲の街灯の光を受けて光るものが多い。
大きな街でも、広場に木を植えて育てたほうが、森林保護の観点からもいいし、クリスマスマーケットなんて光にあふれているのだから、クリスマスツリー自体が必要以上に光を発する必要はないと思うのだけどなあ。
クリスマスマーケット自体は、年末の風物詩になっているから、やめてしまえなんて野暮なことを言うつもりはない。ただ年々規模が大きくなっている(ような気がする)のはいい加減にしてほしい。この時期になると、毎年職場への行き帰りが面倒になる。すでにホルニー広場、ドルニー広場に出店が立ち並び始める時点で、広場を思うように歩けなくなる。マーケットが始まったら、朝は準備する人の、夕方は夜と言いたくなる暗さだけど買い物客の合間を縫って歩かなければならない。
おまけに今年は、うちのほうまで来るトラムがとまっていて、トラムを使って混雑を避ける手もない。トラムの線路ではなく道路の改修工事中なので代替バスさえうちの近くには止まらない。健康のためにマーケットの開かれている広場を避けて歩くぐらいしかできることはない。雪が降り出すまではそれで何とかしよう。
それにしても、以前はこのクリスマスマーケットの開始を告げるクリスマスツリーの点灯は、12月5日の聖ミクラーシュの日に行なわれていたと思うのだけど、マーケットの期間を長くしろという業者の圧力に負けたのかねえ。ミクラーシュと点灯が重なっていた時期は、混雑がとんでもないことになっていたから、それを避けようとした可能性もあるか。
2019年11月23日21時。
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