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2018年12月06日

ale〈私的チェコ語辞典〉(十二月一日)



 もう少し「a」で始まる言葉を続けよう。ということで「a」と並んでよく使われると思われる典型的なチェコ語の逆接の接続詞の「ale」である。
 この言葉は原則として、日本語の「しかし」と同じような使い方をすると考えておけばいいのだが、文中で二つの文をつないで一文にすることもあるので、そんなときは接続助詞の「が」で訳すことが多い。間違えてはいけないのは、「,」は、「ale」の前に置かなければならないことである。これはチェコ語のできる日本人よりも、日本語のできるチェコ人が注意すべきことかな。
 日本語の「しかし」も、「それは、しかし実現しなかった」というように、文頭に来ないこともあるが、チェコ語でも同様に可能である。その場合、「ale」の前に「,」は不要である。個人的にはこの使い方が苦手で、前の文を逆説で受けるときには、「ale」は文頭で使うようにしている。

 ここにつらつら書いている文章をちょっと読んでもらえばわかると思うが、接続詞の「しかし」はあまり使わない。しかし、逆接であれこれつないで文を長くする傾向はある。それは当然チェコ語で文章を書く際にも現れ、師匠に「ale」の使いすぎだと指摘されたことがある。師匠は「ale」の代わりとして「však」という言葉を教えらてくれたのだが、実際に使ってみたら違うと指摘された。「však」は文頭、節の最初には使えないと言うのである。
 文頭以外でこの手の言葉を使うのは苦手だというと、さらに「však」の前に「a」をつけた「avšak」という言葉を教えられた。これなら前の文を逆接で受けるときに、文頭に使っても問題ないらしい。とはいえ、たったの一文字違いで、使い分けを間違えることも多く、教えてもらった当初はしばしば意識して使っていたのだが、次第に使わなくなった。人間諦めが肝心な部分はあるのである。それで、最近は、言葉の置き換えではなく、むしろ、文章をいじることで、逆接の「ale」が多くなりすぎないように調整している。

 この「ale」は、日本語の「〜だけでなく〜も」という文を訳すのにも使える。これは一見難しそうに見えるが、実は簡単なので、初学のころには濫用していた。使うと自分のチェコ語のレベルが上がったような気になることができたのだ。使い方は、「Včera jsem jel nejen do Brna, ale i do Prahy(昨日はブルノだけでなく、プラハにも行った)」と、「ne」「jen」「ale」「i」という四つの言葉を組み合わせるだけである。「i」の代わりに「také」を使ってもかまわないし、「ne」は「jen」ではなく、動詞につけて否定形にしてもいい。注意するとしたら、文中ではあるけれども、「ale」の前に「,」を打つのを忘れないことだろうか。

 それから、「a」のところでは書き忘れたが、「a」と「ale」は語順を決めるときの要素にはならないというのも忘れてはならない。つまり「ale」が文頭にあっても0番目として、1番目とは数えないのである。どこにでも出てきて、単純接続でほとんど意味のない「a」に関しては、すぐに無視して語順を整えることができるようになったが、逆接の意味を持つ「ale」を数えずに語順を決められるようになるまでには、かなりの時間を要した。
 それで、問題になるのが、「ale」と同じような逆接の接続詞なのだが、「přesto」「i když」なんかは、1番目として数えるのである。では「avšak」はというと、0番目にはならいだろうとしか言えない。自分で意識して使っていないとこんなもんである。その点、「však」は、文頭に来ないから、つまり1番目にも0番目にもなりえないから、語順を考えるときには楽である。じゃあ文中のどこにおくんだということになると、これもよくわからん。動詞の前と言いたいけど、動詞で始める文も多いし。

 この「ale」は、チェコ語を勉強し始めたばかりのころに最初に口癖になる言葉かもしれない。何も考えずにとりあえず「ale」が口から出てしまうのである。少し話すのに慣れてくると今度は「jako」を頻用してしまうことになる。これが間投詞的に使われる「vlastně」「přece」あたりになると、チェコ人的な口癖といってもいいのだけど、そこまでたどり着くのは大変である。でも「vlastně」が口癖とか、そんな人にはなりたくないなあ。
 若者の使う「vole」「ty vole」あたりは、外国人としては避けたほうがいいだろうし、英語と組み合わせた「sorry jako」もやめておこう。これはバビシュ首相の口癖として揶揄の対象になっているのである。
2018年12月2日7時35分。











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