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2018年11月24日

チェコ―スロバキア(十一月十九日)



 いまいちその開催意義が理解できないサッカーのネイションズ・リーグも最終節を迎え、チェコ代表はプラハでスロバキアと対戦した。チェコとスロバキアが入っているグループでは、すでにウクライナの優勝が決まっており、この試合にかかっているのはどちらが2位、いや3位になって、よくわからないけど下のカテゴリーに降格するかということらしい。それがヨーロッパ選手権の予選にもかかわるというのだが、説明されてもよくわからんかった。

 試合前の状況を簡単にまとめておくと、ウクライナ、チェコと二連敗を喫したスロバキア代表は、一部の選手たちの振る舞いに怒った監督が辞任してしまった。その後任に選ばれたのは、今年の夏にスパルタの監督を解任されたばかりのハパルだった。チェコ人監督がスロバキア代表の監督に就任したのである。チェコとスロバキアの関係から言うと、リーグでもチェコ人がスロバキアで、スロバキア人がチェコでというのはよくある話なので、よその国から外国人監督を連れてくるほどの大きな意味はなさそうである。
 ハパル自身が、今年の春に、ストラマッチョーニ解任の後を受けて、スパルタに監督として招聘されるまでは、スロバキアのU21代表の監督を務め、チームをヨーロッパ選手権出場に導くなど結果を残していたのだ。もちろん、U21の監督に選ばれたのは、チェコだけでなく、スロバキアのチームでも監督として結果を出して手腕が高く評価されたからである。

 そのスロバキア代表は、チェコ代表と試合をする前に、トルナバでウクライナと対戦している。この試合は、監督交代の効果があったのか、スロバキアが4−1で快勝した。大活躍をしたのが、4点中3点にからんだルスナークなのだけど、この選手の名前は聞いたこともない。恐らく最近増えている若くしてチェコ以外の国外チームに移籍してそこで育った選手の一人なのだろう。こういう10台で国外に買われていった選手がちゃんと育ちつつあるところがスロバキア代表の強さ、選手たちの質の高さにつながっているらしい。チェコは若くしての移籍は失敗ばかりでほとんど戦力になっていない。
 この試合の結果、チェコとスロバキアは、勝ち点3で並び、暫定の順位では得失点差で、スロバキアが2位に順位を上げた。ただ最終的に亜順位は得失点差ではなく、直接対決の結果できまるので、チェコは引き分けでも2位が確保でき、スロバキアは2位になるためには勝つしかないというのが、試合前のグループの状況だった。

 一方チェコ代表は、シルハビーが監督に就任して、初戦のスロバキアとの試合に勝利し、ウクライナには負けたものの、チェコで行なわれた最初の試合に比べれば内容がはるかに改善されていて、チームがいいほうに回転し始めていた。スロバキア戦の前には、ポーランドと親善試合を行なっているが、この二試合のための代表に、怪我で欠場が続いていたダリダが復帰したのも大きい。怪我で今シーズンは絶望とされるクルメンチークの代役としては、こちらも怪我から復帰したばかりのヤブロネツのドレジャルが召集されている。
 ドレジャルは実はオロモウツで育った選手で、活躍が認められて近々代表に呼ばれてもおかしくないといわれ始めた頃にヤブロネツに移籍した。当時の協会会長でヤブロネツのオーナーのペルタ氏から、代表に呼ぶという約束をえたのが移籍の決め手だったんじゃないかという憶測が流れたのも覚えている。とまれ、オロモウツ出身者なので、期待もし応援もしているのだけど、なかなかタイミングが合わず、意外なことにこれが初めての代表召集だという。ヤブロネツに行ってからは、オロモウツでの最後の時期ほどゴールを決められていなかったからなあ。

 ポーランドとの試合は、グダンスクで行なわれ、チェコが後半の初めのヤンクトの得点を守って勝利した。キーパーのパブレンカは、ドイツリーグでは必ずレバンドフスキに得点を決められていて、初めてレバンドフスキにゴールされなかったことを喜んでいた。グループステージが敗退したとはいえ、今年のワールドカップ出場国を0点に抑えて勝てたのは、ディフェンスが全く機能していなかったヤロリーム時代と比べると雲泥の差である。

 そんなチェコ代表も、スロバキア代表も、監督交代が奏功して状態が上向きの中で迎えた、元連邦対決だったのだが、開始当初はスロバキアが一方的に押し込む展開だった。チェコの選手たちほとんどボールを持たせてもらえず、これは厳しいかなと思っていたのだけど、しっかり守って耐えているうちにスロバキアの選手たちに焦りからかミスが見られるようになり、30分ぐらいだっただろうか、スロバキアのディフェンスのミスをついて、シクが見事なゴールを決めた。
 前半のうちにチェコがリードして、スロバキアはグループ2位になるために2点取らなければならなくなったから、攻撃に力を入れて開始早々の時間帯と同じように防戦一方の展開に追い込まれるかと心配していたのだけど、スロバキアの選手たちのミス連発は改善されることなく、チェコが一点を守り切った。チェコの選手たちも、相手のミスに付け込んで、さあカウンターというところでミスを連発して、なかなかチャンスも作れず、追加点は遠かったけど、まあ勝ったからいいや。

 チェコと、スロバキアと、ウクライナの3チームの中で、個々の選手の力で見たら、スロバキアが一番上でチェコが一番下だったのではないかと思う。ヤロリーム時代のチェコはチームになっていないと批判されていたけれども、スロバキアのチームにも、監督が代わってからも同じような問題を感じる。控えに回されて最後まで出番のなかったバイスが試合終了前に退席してしまったなんて話もあるし、就任直後の試合には勝ったとはいえハパル監督も前途多難である。

 それにしても、シクがうまくなっていてびっくりした。チェコにいたときから長身のわりにうまい選手だとは思っていたけど、イタリアに行って一段も二段も技術的にレベルが上がった感じである。イタリアにいて移籍当初だけ活躍してあとは尻すぼみというチェコの選手が多い中、例外的な成長を見せていて今後が楽しみである。ASローマでは、ジェコの陰に隠れて出番が少ないのだけど、イングランドのチームへの移籍がうさわされているのも納得の出来だった。
 来年の春の次の代表の試合でも、今回の出来が継続されることを楽しみにしている。久しぶりにサッカーのチェコ代表に期待ができる時期がやってきたと考えていいのかな。シルハビーってブリュックネル時代はコーチだったというしさ。
2018年11月20日19時25分。












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