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2018年11月22日

人称代名詞の格変化二人称(十一月十七日)



 人称代名詞の二人称単数の形は「ty」で、一人称とは違って格変化させても語頭の音は「t」で変化しない。これは所有を表す形にした場合も同様である。

 1 ty
 2 tebe / tě
 3 tobě / ti
 4 tebe / tě
 5 ty
 6 tobě
 7 tebou

 一見、一人称単数の格変化とは大きく違うように感じられるかもしれないが、よく見ると共通性は高い。2格と4格、3格と6格が共通であるという点では、男性名詞活動体の格変化を踏襲しているし、7格が「ou」で終わるのも同じである。それから、二つの形のある2格、3格、4格の語尾が、順に「e / ě」「ě / i」「e / ě」となるのも一人称の格変化と共通している。問題は一人称単数と違って、最初の音節が「to」になったり、「te」になったりすることで、慣れるまでは混乱することがある。
 2格、3格、4格における2音節の長い形と、1音節の短い形のある短い形の使い分けは、原則として一人称単数の3格と同じなのだが、2格の「tě」はあんまり使わない気がすると書いたら、テレビから、「スター・ダンス」の司会者が「Ptám se tě」と言うのが聞こえてきた。一般的に使われないのではなくて、自分自身が使わない、いや使えないのだった。「Mohl bych se tebe zeptat?」とか、「Bojím se tebe」とか言ってしまうのだけど、間違いなのかなあ。間違いだと指摘されたことはないから、許容範囲内だと思いたい。

 日本人学習者が気をつけるべきことは、3格の「ti」の発音だろうか。チェコ語関係者が大声で「ti」の発音は「ティ」ではなく、「チ」だと喧伝しすぎたせいで、完全に「チ」、つまりチェコ語の「či」で発音してしまう人が多い。この言葉の発音が「ティ」ではないのはたしかだが、「チ」もないのだ。長い言葉の一部ならともかく、一音節の言葉なので発音が違うことに気づかれやすい。「ti」の発音が苦手で発音の間違いを指摘されたくない人は、ティカットは避けて、二人称単数に複数形を使う丁寧なビカットを使うしかない。「V」の音も問題ではあるのだけど、「ti」よりは身につけやすい。
 あっ、チェコ人と知り合いになって、ティカットしようと言われたときに、「ty」の格変化を覚えていないからとか、発音が苦手だからと言って断るのも面白いかもしれない。最初に師匠に言われたときにそう言って断っていればよかったのか。ティカットしようと言われてからも、先生だからという意識が強くて、ついついビカットをしてしまっていたのだよなあ。あれも実は、人称代名詞の二人称単数の格変化を覚えきれていなかったのが原因だったのかもしれない。今はもうほぼ問題なく使えるけどね。

 変化だけでなく発音も厄介な単数とは違って、二人称複数の格変化は簡単である。ことに普通は一人称を覚えてから二人称を勉強すると考えると、こんなに楽でいいのかと言いたくなるぐらい簡単である。

 1 vy
 2 vás
 3 vám
 4 vás
 5 vy
 6 vás
 7 vámi

 ご覧の通り、一人称複数の「n」を「v」に変えてやるだけで完成である。だから、二人称単数でも複数を使って丁寧にはなす方が簡単なのである。最近ティカットする相手を増やしていないのは、これも原因のひとつかもしれない。自分からティカットしようねと申し出るやり方がいまいちよくわからないからというのもあるんだけど。

 この二人称複数の変化形に関しては、特に丁寧さを表すために単数の代わりに使う場合に覚えておいたほうがいいことが一つある。それは手紙やメールを書く場合に、語頭の「v」を大文字で書くということである。これも敬意を表すための表現だと思うのだけど、所有を表す「váš」とその派生形は、人称代名詞ではないからか適用されない。わざわざ書くのは、何度も間違えたことがあるからに決まっている。
 二人称は書くことが少ないからこれでお仕舞い。
2018年11月17日23時55分。









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