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2020年12月26日

冬眠中(十二月廿三日)




P1010051.JPG



 二つ目は、オロモウツの地ビールであるホモウト。さすがにこんなにこった形の看板は、大手の大量に必要になるところでは使えなさそうだ。



ホモウトがあるわけがないので、

キリン ハートランド500ml×20瓶




まだ、あったんだ……。
タグ:ビール 看板
posted by olomoučan at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 休み中

2020年12月25日

冬期休暇中(十二月廿二日)




P1010056.JPG





 お休みとは言っても、何も投稿しないのは、負けた気がするので、二十年前に日本で買ったデジタルカメラを復旧させて撮影して、ケーブルが行方不明でPCに転送できていなかった写真を。
 まず、言わずと知れたチェコ最高のビール、つまりは世界最高のビール、ピルスナー・ウルクエルの看板である。トリミングに失敗してなんだかよくわからなくなってしまったけれども飲み屋の店頭の壁から突き出している看板である。






ピルスナーウルケル [ チェコ 330ml×24本 ]






タグ:ビール 看板
posted by olomoučan at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 休み中

2020年12月24日

冬休み宣言(十二月廿一日)



 オロモウツを離れて更新が難しくなるクリスマスの時期だが、これまでは毎年、出版業界の悪癖である年末進行を真似して、直前に慌てて書き溜めた文章を予約投稿することで、何とか毎日更新を維持していた。書くほうは一定量ではないとは言え、ちまちまと書いてはいたけれども、メリハリのつかなさからか、筆が進まなかったことは否定できない。
 今年は、あらゆることがオンライン化して仕事の効率が大きく低下した弊害で、クリスマス進行に向けて書きためをする時間が取れないだけでなく、書きためをしようという気力もわかない。一年目のように名目上の日付と投稿日に五日、六日の差があれば、すでに書いたものを予約投稿するだけで済むのだけど、今は二日しか差がないから、不在期間をすべてカバーすることはできない。

 考えてみれば、一年三百六十五日毎日書いて毎日更新するという偉業は、質は伴わないけれども、去年2019年に達成しているのである。年頭に今年は休みを入れながらなんてことも書いたような記憶もある。それが今も毎日投稿を継続しているのは、一度サボるとずるずるとサボり続けてしまうという自分に対する信頼のなさに起因する。本来は毎日何かしら文章を書く習慣をつけるための手段としてブログを始めたのに、手段が目的化してしまっているのが現状である。
 何だかんだありつつ習慣化してしまっているので、休みといいつつあれこれ書くことにはなるのだろうけど、書く時間を減らして睡眠時間を増やそう。最近、一年分の疲れが押し寄せてきたのか、週末は、二日とも九時間も寝た上に昼寝までしてしまった。ということで今日から冬休み。だからいつもよりも短いのである。
2020年12月22日15時30分。












タグ:言い訳
posted by olomoučan at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ブログ

2020年12月23日

ファントマス(十二月廿日)



 先日ネズバルの翻訳を刊行してくれたありがたい出版社である風濤社の出版物を検索したら『ファントマ』というフランスの怪盗を主人公にした作品の翻訳が出てきて驚いた。フランスの怪盗というと、日本ではアルセーヌ・ルパンの名前が最初に出てくるが、チェコでは誰がなんと言おうとファントマスなのである。フランス語での読み方は知らないが、チェコではチェコ語の発音の原則に基づいてファントマスと呼ばれる。
 チェコでファントマスが有名なのは、残念ながら小説のおかげではなく、1960年代に制作された映画のおかげである。東西冷戦の時代というと、西側のブルジョワ映画は東側には入っていなかったと思ってしまうが、実はそんなことはなく、かなりの数のフランス映画が、世界最高とも言われる吹き替え技術を駆使して紹介され人気を博していた。映画のタイトルロールが今時の画面にチェコ語の字幕をつけたという形のものではなく、新たにチェコ語版(女性の名字にオバーがつき、吹き替え担当の役者名が併記される)を作っているところからも、力の入れようが見て取れる。

 旧共産圏の吹き替えというのは、90年代に入っても、手抜きというか、技術不足というかで、不十分なものが多く、チェコスロバキアの片割れであるスロバキアのテレビの吹き替えは、台詞が入るときには、BGMなどの背景音が消えるというものだったし、ポーランドのは、一人の役者が出演者全員分の吹き替えをモノトーンな語りで担当するという代物だった。それに対して、チェコスロバキアの吹き替えは出演している俳優本人からも絶賛されるようなものだったらしい。
 そんなチェコでフランスの映画俳優というと、ジャン=ポール・ベルモンドとルイ・ド・フィネスが双璧で、前者は亡命するまではヤン・トシースカ、後者はフランティシェク・フィリポフスキーという専属の吹き替え担当者が存在した。この二人の主演するさまざまな作品は今でも繰り返し、テレビで放映されているのだが、ルイ・ド・フィネスの出演作品の一つが、全部で三作あるけど「ファントマス」なのである。

 つい、久しぶりに見たくなって昼食時に一作目の「ファントマス(Fantomas)」のDVDを引っ張り出した。見るたびに思うのだが、この映画、見ているうちに何が本当で、何がファントマスの仕組んだことなのかわけがわからなくなってしまう。すべてが仕掛けといえばそのとおりなのだろうけど、ルイ・ド・フィネス演じる捜査官と、ジャン・マレー演じる新聞記者もそれぞれファントマスを引っ掛けるためにあれこれ仕掛けるから、混乱が混乱を呼ぶ。謎は謎のまま、そのどたばた感を楽しむべき映画なのだろう。
 日本でも知られているのかとウィキペディアで調べてみたら、日本でも公開されたらしく、日本語題は一作目から「ファントマ危機脱出」「ファントマ電光石火」「ファントマ ミサイル作戦」となっていて、一瞬目を疑った。ファントマスがファントマになっていることもあって、これじゃあ題名だけ見ても気づけなさそうだ。フランス語の原題は知らんけど、チェコ語だと二作目が「怒りのファントマス(Fantomas se zlobí)」、三作目が「ファントマス対スコットランドヤード(Fantomas kontra Scotland Yard)」。個人的にはこっちのほうが好みだなあ。外国映画の日本語題には、チェコ映画もそうだけど、見る気が失せるものが多い。

 チェコにおけるファントマスの人気を象徴するのが、アイスホッケーの世界選手権の応援に、毎回駆けつけていたファントマスである。もちろん本物ではなくファントマスの被り物を被っているのだけど、名物ファンとして必ずニュースで取り上げられていた。最近は見かけなくなったから、本業が忙しくなって、引退したのかもしれない。

 ところで、実はチェコでは、フランス映画以外にも、イタリアのいわゆるマカロニ・ウェスタンもかなりの知名度を誇っていて、今でも繰り返しテレビで放送されている。西側は西側でも共産党の強い国の映画は受け入れやすかったのだろうか。それとも内容を吟味した上で選んでいたのだろうか。ファントマスなら、ブルジョワ階級に鉄槌を下す、そんな設定はないけど労働者階級出身の怪盗を描いた作品という名目でチェコスロバキアでも公開されたなんて話があってもおかしくはなさそうだ。
2020年12月21日22時。
















2020年12月22日

検査を巡る混乱(十二月十九日)



 十二月に入って、学校の先生たちが優先的に受けられるようになっていたアンチゲンと呼ばれる簡易型の感染検査だが、本来の昨日の金曜日からの予定を前倒しして、水曜日から一般の人にも解放された。政府の説明では、教育関係者以外の希望が多く、予約システムがいっぱいになっているからだということになっているが、教室に生徒のいない学校の先生たちの多くが、学校を抜け出してまで検査を受ける必要性を認めず、検査数が増えなかったこともその原因ではないかと見ている。もちろん学校全体で検査を受けたなんてところもあるようだけどさ。
 その一般に開放された検査は、事前に受付を開始した予約システムからして混乱していた。厚生省の発表では、全国統一の予約システムを構築して、居住地、検査を受ける場所に関らず、同じサイトから予約できるようにするということだったのだが、その発表がでた時点で、いくつかの検査機関では、独自の予約システムが稼動しており、予約の受付を開始していた。恐らくは先生たちを検査するに当たって導入したシステムを継続して使用したのだろうと思うが、この辺にも政府、厚生省側の準備不足が如実に現れていた。

 そして、実際に検査が始まった水曜日以降、それ以前の先生たちを対象にした検査のときには、人数が少なかったおかげか、予約システムが見事に機能して行列などできてなかったのだが、検査会場の前には長蛇の列ができることになった。原因としては、予約した時間に来ない人が多いことがあげられていたが、行列の長さを見るとそれだけとは思えない。一回の検査に想定以上に時間がかかっているのか、予定を変えて予約なしの人の検査も受け入れているのか。
 検査が終わった人たちは、こんなに時間がかかるとは思わなかったと口を揃えていたが、暖冬とはいえ、寒空の下行列を作って検査を待つのが健康にいいとは思えない。それに外出といえば職場と自宅を往復するだけで、他人とはほぼ会わない生活をしている人間からすると、感染を恐れるわけではないけれども、検査を受けにいって行列するほうが感染の恐れが高そうだ。受ける人たちは安心してクリスマスに家族と会うためなんて言っているけれども、今日の陰性が来週の陰性を担保するものではないのだけどねえ。

 逆に陽性の結果が、必ずしも本当に陽性ではないことを示したのが、サッカーのスラビア・プラハを巡る混乱だった。スラビアは、水曜日のズリーンでの試合前に行われた定例の検査で、一度に九人もの選手が陽性だと判定されたことで、プラハの保健所から活動停止を命じられ、ズリーンとの試合は延期されることになった。
 ヨーロッパリーグの試合もあって、毎週最低二回は検査を行ってきたスラビアで一度にこれだけの感染者が出るのは納得行かないとオーナーのトブルディーク氏は主張していたが、活動停止自体は受け入れた。その後、陽性と判定された選手のうちの二人が、家族全員で別の検査機関で検査を受けたところ選手本人も含めて全員陰性だという判定が出た。

 それで、スラビアでは改めてAチームの選手、スタッフ全員の再検査を行うことを決め、先に陽性だと判定した検査機関とは別の検査機関で、しかも念には念を入れて二つの機関で検査を受けたらしい。その結果は、どちらの機関でも、陽性の判定を受けていた選手も含めて全員が陰性の判定で、プラハの保健所も活動停止の命令を撤回した。明日の日曜日のボヘミアンズとのプラハ小ダービーは予定通り開催されることになった。
 それにしても、最初の陽性判定は何だったのだろう。単なる誤判定だったのか、機械が狂っていたのか。とまれ、検査でこれだけの混乱を巻き起こしている現状を考えると、早ければ来年早々にも始まるとされるワクチンの接種も大変なことになりそうだなあ。政府、厚生省の準備不足が医療現場に負担を強いることになるのは間違いない。外国人が受けられるのかどうかは知らんけど、現場に負担をかけるのも申し訳ないから、受けられるとしても遠慮しておこう。
2020年12月20日24時30分。











posted by olomoučan at 08:08| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ

2020年12月21日

シグマ・オロモウツまたまた引き分け(十二月十八日)



 犬システムで危険度が4どころか5に足を踏み入れたということで、規制の再強化が行われて、レストランなどの飲食店の営業が禁止された。その一方で、クリスマス商戦真っ只中の一般の商店の営業は継続し、クリスマスマーケットも閉鎖されていないので、例年よりははるかに少ないとはいえ、町中を歩く人の数は木曜日とそれほど変わっていなかった。人出のない死んだ街を歩くのもあまり気持ちのいいものではないので、このぐらいがちょうどいい。例年のクリスマス時の人手にはうんざりさせられるし、今更東京の人ごみの中には戻れそうもない。

 うちに戻ってテレビをつけたら、サッカーの試合が始まるところだった。バニーク・オストラバとシグマ・オロモウツの試合で、場所はオストラバのビートコビツェのスタジアム。当然無観客での試合なのだが、スーパーマーケットなどが、人数制限があるとはいえ営業を許可されていることを考えると、一人当たりの占有面積を大きくした上で、子供連れの家族限定で入場を許可するとかしてもいいような気がする。
 試合のほうは前半しか見ていないのだけど、なかなかいい試合だった。バニークの超ベテランキーパー、ラシュトゥーフカの活躍がなければ、オロモウツが2−0で勝っていてもおかしくなかったのだが、前半は0−0で終わった。これでここまで続いていた1−1での引き分けにはならないのではないかと期待したのだが、結果を見ればまたまた1−1で引き分け。しかも先制して追いつかれるというところまで同じ結果が、これで五試合連続ということになった。

 昨年は、シグマ・オロモウツ設立百周年とカレル・ブリュックネルの八十歳の誕生日を祝うという記念すべきシーズンだったのだが、肝心のチームの成績のほうはあまり振るわなかった。昨シーズンはリーグが不完了扱いで最終順位はつかなかったが、三十節終えた時点での順位は十一位。百周年を祝うには、前年よりも下だし、十分とはいえない結果に終わっていた。
 今シーズンも、監督は代わらなかったし、国外に移籍した選手もいたしで、あまり期待できないかなと思っていたら、開幕当初は快調だった。第一節でリベレツに勝ち、第二節ではスパルタに完敗したものの、ボヘミアンズ、ブルノ、ズリーン相手に三連勝し、プルゼニュとは引き分けに持ち込んだ。その結果、リーグが中断に追い込まれた六節終了時点では、四勝一分一敗という成績で、全勝のスパルタと、五勝一分のスラビアについで、プルゼニュと共に三位に位置していたのである。

 再開後は、スロバーツコと0−0の引き分けの後、カルビナーに3−0で勝利したところまでは、中断前のいい流れが続いている印象だったのだが、次のパルドゥビツェとの試合の後半の最後から歯車が狂い始めた。試合はオロモウツが後半に入って62分に先制した。その後、守りに入ってしまったのか、90+5分に失点してそのまま試合終了。
 ブルノと共に昇格したパルドゥビツェは、ホームスタジアムの改修工事中ということで、ホームの試合をプラハのボヘミアンズのスタジアムに間借りして開催している。この試合もドリーチェクというボヘミアンズのホームで開催されたのだが、パルドゥビツェは、スラビアとも引き分けるなど、このホームで負けなしなのである。

 次の十節は、ホームでのプシーブラムとの試合。昨シーズンはリーグが完了しなかったおかげで降格を免れたけれども、今年も降格候補の一つで、下位に低迷しているから、今年のオロモウツなら問題なく勝てるだろうと思っていたら、前半に先制したのに追加点が取れず、終了間際の88分に失点して、またも1−1の引き分け。
 次の十一節テプリツェでの試合は、開始早々の前半3分に先制。後半に入って57分に失点してそのまま1−1の引き分け。終了直前の同点でなかったのだけが救いである。十二節はホームでチェスケー・ブデヨビツェとの試合。またも前半に先制して、後半77分に同点に追いつかれた。この四試合連続、先制した後、追加点が取れずに同点に追いつかれるという展開に、監督のラータルが選手たちを強く批判して向かえたのがバニークとの試合だったのだけど……。

 これでシグマは、五試合連続1−1での引き分けとなった。ここまで十三試合で引き分けが半分を超える七試合、そのうち五試合が1−1。次は年内最後の試合が火曜日にオロモウツで行われる。相手は最近好調で順位を三位にまで上げているヤブロネツ。この試合も1−1だったら、笑うしかない。
2020年12月19日24時。












2020年12月20日

「スラブ叙事詩」裁判(十二月十七日)



 チェコを代表するアールヌーボーの画家アルフォンス・ムハの大作「スラブ叙事詩」を巡る裁判については、これまでに何度か書いてきた。現時点ではプラハ市への寄贈が有効だという判決が効力を有しておりプラハ市の所蔵物となっている。残念ながらというよりは、プラハ市の怠慢によって展示するべき場所がないため、誰も見ることができない状態になっている。博物館、美術館の類は現在の規制によって例外を除いて閉鎖されているから、仮に会場があったとしても見にいけないのは不幸中の幸いというべきか。

 とまれ、現在の「スラブ叙事詩」が、ムハとの約束を反故にしたプラハ市の手にあるのが許せないようなのが、孫のジョン・ムハ氏で、プラハ市がモラフスキー・クルムロフから裁判で強奪してからも、プラハ市を相手に法廷闘争を繰り返している。状況は錯綜を極めていて、同じ裁判が控訴や上告、差し戻しなどを経て、延々と続いているのか、裁判が結審するたびに新たな裁判を起こしているのかはよくわからないが、ジョン氏の執念には頭が下がる。
 その何度目かも、どのレベルでの裁判なのかも判然としないが、武漢風邪流行による渡航の規制のせいで本人がチェコに来られない中、行われた裁判で、これまでの判決を覆してムハからプラハへの寄贈は無効で、「スラブ叙事詩」はムハの遺族に所有権があるという判決が出たらしい。ただし、これで、実際に「スラブ叙事詩」がジョン氏の手に戻り、ジョン氏の主張するモラフスキー・クルムロフでの展示につながるかというと、話はそう簡単ではない。

 問題の一つは、これまでプラハ市側の主張である、ムハ本人からではなく、ムハの経済的支援者で「スラブ叙事詩」の制作も支えたアメリカ人の実業家から寄贈を受けたのだという主張について、この裁判で判断されたのかどうかわからない点である。そもそも、ムハがプラハに寄贈するとした約束を根拠にしたプラハ市の所有権は、以前の裁判で否定されているのである。
 それで、プラハ市側が持ち出してきたのが、約束を反故にしたプラハ市が受け取れなかったことで宙に浮いた「スラブ叙事詩」の所有権は、経済的支援者のもとに移ったはずであり、プラハ市はその支援者から寄贈を受けたのだという主張だった。それが裁判で認められた結果、「スラブ叙事詩」は、モラフスキー・クルムロフからプラハに移されることになった。このプラハ市の主張が通った裁判と今回の裁判の判決がどのように関係するのかは、ニュースを聞いてもよくわからなかった。

 二つ目の問題は、仮に今回の判決によって、プラハ市の所有権が完全に否定され、ムハの遺族に所有権が認められたとしても、遺族に当たるのがジョン氏だけではないというところにある。ムハの相続権を持つ人物として、もう一人孫娘にあたる人がいるらしい。遺産相続で遺族がもめるというのはよくある話だが、ムハの遺族がもめているという話は聞いたことがない。
 ただ「スラブ叙事詩」に関しては、もめる可能性があるのだ。ジョン氏が専用の展示施設を作っていないプラハに「スラブ叙事詩」を展示することに反対し、「スラブ叙事詩」を救ったモラフスキー・クルムロフでの展示を主張するのに対して、孫娘のほうは、専用の展示施設はなくても、プラハで展示するべきだと考えているらしいのだ。

 プラハではようやく専用の展示施設の建設の計画が具体化しつつあり、遅すぎるとしかいえないけれども、それが完成するまではモラフスキー・クルムロフで展示するということで関係者の間で話し合いがついており、クルムロフでは城館の改修工事が進んでいる。とりあえずは、裁判や遺族間の話し方がどうなるにしろ、最悪の事態は避けられそうだ。願わくは、プラハの建設計画が遅延を続けて「スラブ叙事詩」が一年でも長くモラビアに残らんことを。
 考えてみれば、プラハに専用展示施設が完成していれば、ジョン氏もプラハでの展示にかたくなに反対することはなかっただろうから、先に建設計画を立ててから権利の請求をすればよかったのに、強欲プラハが何の負担もなく、巻き上げようとしたのがすべての発端なのである。
2020年12月18日24時。










posted by olomoučan at 07:56| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ

2020年12月19日

ヤロミール・ヤーグル現役復帰?(十二月十六日)



 サッカーのチェコ代表の屋台骨を長年にわたって支えてきたのが、ペトル・チェフなら、アイスホッケー代表の大黒柱だったのはヤロミール・ヤーグルである。アイスホッケーは、毎年世界選手権があるし、オリンピックに、よくわからないワールドカップなんてものもあるから、代表が出場する大会はサッカーよりもずっと多く、アメリカのNHLのシーズンと重なっていると出場できないこともあるから、すべての大会にヤーグルが出ているわけではないのだけど、いるのといないのとでは大会に対する期待度が大きく違っていた。
 そんなヤーグルが代表を引退したのは何年前だっただろうか。最近はチェコに戻って、自らオーナーを務めるクラドノのチームの運営に腐心しながら、必要に応じて試合に出場していた。昨シーズンはクラドノは一部のエクストラリーガでプレーしていたが、中断前に最下位と降格が決まっていたために、今シーズンは二部リーグに参加している。そのクラドノの試合にヤーグルが出場したらしい。

 ニュースによれば、九ヶ月ぶりの復帰で、クラドノのチーム内で武漢風邪が発生して選手が足りなくなったからということだったので、チェフ同様、一度引退していたのが、チームの窮状を救うために緊急避難的に出場したのだろうと思ったら、そんなことはなかった。緊急出場なのは確かだけど、引退から現役復帰したのではなく、復帰は復帰でも負傷欠場からの復帰だった。もともと来年の一月に復帰する予定だったのを、一月ほど早めたのだという。
 考えてみたらヤーグルは引退宣言なんて出してなかったかもしれない。クラドノの降格が決まったときに、来年二部だったら自分が出る意味があるのか考えなければならないとか、臭わせることはいっていたような気はするけど、断言はしていなかった。チェフのニュースに続いての復帰のニュースだったから、勘違いしてしまったようだ。

 個人的には、ヤーグルが試合に出ているというだけで十分で、できれば一部で見たいけど、結果はわりとどうでもいい。それよりも面白かったのは、ヤーグルが最初に出場する際に相手選手にぶつかってしまったらしのだが、「俺ももう五十近いからねえ、年を取ると止まれなくなるんだ」なんてことを言っていたことだ。スケートなんてしたこともなければ、したいと思ったこともないのだけど、確かにスピードを出して滑った後に、急に止まったり、方向を変えたりするのは大変そうだ。
 ヤーグルはチェコ人の中でも巨体といっていい人なので、ぶつかられた選手はどうなったのか心配になるけれども、特にニュースにはなっていないし問題はなかったのかな。アイスホッケーの場合には怪我の防止に装備をつけているから、スケートのエッジが当たったとかでもない限り、大怪我にはなりにくいはずだ。

 アイスホッケーも一部と二部が、再開を許可されて試合が続いているわけだが、サッカーよりも試合数がはるかに頻繁に行われるために、毎節検査を行うということはできていないようだ。特にクラドノの所属する二部は各チームの経済的な問題もあってそれほど頻繁に検査を行えるわけではない。それがヤーグルの復帰が早まった原因といってもよさそうだ。不幸中の幸いというかなんというか。ヤーグルのことだから、五十歳過ぎても怪我で出場できないなんてことがない限り、プレーを続けそうな気もする。

 頻繁に検査をしているはずのサッカーの一部リーグでも、オストラバとボヘミアンズが、集団感染で隔離されて二試合ほど延期になったし、今日のズリーンとスラビアの試合も、スラビアで感染者が出たことで、プラハ市の保健所が隔離を指示したため、中止となった。この三チームでどれだけの感染者が出たのかは知らないが、オパバの場合には、Aチームで十五人ほどの感染者が出たにもかかわらず、保健所が許可したために、試合を行わなければならなかった。
 オパバは、ほとんどユースチームの選手でリベレツでの試合に臨んで負けてしまったのだが、どんな状態になったらチームに活動停止の指示が出るのか規準がはっきりしないのが一番の問題である。この件に限らず、チェコの役所は一体に担当者個人の裁量で決められる範囲が広すぎて、どういう決定が出るのか予想しにくいところがある。それで助かることもないわけではないのだけど、汚職の温床になっていると言えば言えそうである。
2020年12月17日23時。





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2020年12月18日

サッカー協会の腐敗続報(十二月十五日)



 以前チェコのサッカー界を裏から牛耳っていたベルブルという人物が逮捕されたという話は簡単に紹介した。容疑は特に下部リーグの審判を買収して、もしくは買収させて試合結果に影響を及ぼしていたというのが中心で、同時にプラハのビシェフラットのチームのオーナーと、下部リーグの審判が何人も逮捕されていた。

 そのベルブル氏の電話が捜査の一環として盗聴されていて、その通話の記録がなぜが漏れてきた結果、元選手でスラビアのGMとして活躍していたネズマルがベルブル氏と何度も電話をしていたことが明らかにされた。本人の話では、年に何回か電話で挨拶を交わすぐらいの仲だというのだけど、チームのGMと協会の副会長で影の権力者が、わざわざ電話して挨拶だけと言う事もあるまい。ベルブル氏のせいでプルゼニュびいきの判定が増えているといわれていたわけだから、スラビアを代表して抗議したりしていたんじゃないかとも想像する。
 元選手でありながらフロントの要職を見事に勤め、リベレツでもスラビアでもチームの強化に手腕を発揮していたネズマルには、協会の運営もできるのではないかという期待もあったようだが、本人がベルブル氏との関係について、自分は灰色の領域に足を踏み入れたとして、協会に入ることについて拒否している。しばらくはサッカーとはかかわらないようなことをいっていたような気もする。残念なことである。

 そして、今度は。現在チェコの審判の中で、国際的な評価が最も高いとされるクラーロベツ氏が、ベルブル氏との電話のせいで年内は審判としての活動を禁じられた。今年の夏のMOLカップの決勝スパルターリベレツの試合を担当したクラーロベツ氏のもとにベルブル氏から二度も電話があって、スパルタに有利な笛を吹くように求められたのではないかという疑惑がかけられているのだ。試合はスパルタが2−1で勝ったし、クラーロベツ氏がスパルタが有利になるようなミスをしたのは確かだけれども、退場にすべき反則を見逃したというもので、こんなミスをなくすためにビデオ審判が導入されたんじゃなかったか。この試合にビデオ審判がいたかどうかは覚えていないけど。
 当然買収を疑われたスパルタ側も、クラーロベツ氏本人も買収疑惑に関しては否定している。正直な話、この試合よりもはるかにスパルタよりの判定がなされた試合なんていくらでもあるし、十年以上前のプルゼニュが台頭する前の時代は、それが日常茶飯事だったことを覚えている。だから一つ二つ怪しい判定があったぐらいでは、買収があったとかさわぐ気にはなれない。審判なんて意図的かどうかはともかくとしてミスするものだし、誤審のまったくない試合なんてほとんどないだろう。

 一番の問題は公式に発表されたわけでもないのに、警察の調書の内容がマスコミに漏れ出すことだと思う。政治家のスキャンダルに関しては、警察内の派閥争いから情報がリークされると言われているけれども、サッカー界の汚職に関して情報をリークする警察の意図は何なのだろう。新聞記者が買収しているという可能性もあるか。警察官を買収して手に入れた情報で、サッカーの買収疑惑を糾弾しているのだとしたら救われんなあ。

 さらに救われないのは、ベルブル氏が逮捕されて、今がチャンスだとばかりに、元代表選手のシュミツルが音頭を取って、元選手たちを中心にサッカー界の腐敗を追放する運動を立ち上げたのだが、それに対する反応がほとんどないことである。ベルブル氏は長年(十年ぐらい?)にわたってチェコサッカー界を裏側から支配してきたのだから、現在のチーム関係者の多くは何らかの関係を持っていて、叩けば埃が出るのだろうけど、ここは多少は身を切ってでも改革に進むべきところではないのか。
 以前からベルブル氏を公然と批判し、退陣を求めていたのは、日系企業がオーナーを務めるテプリツェだけだったのも、多くのチーム、サッカー関係者にとっては、ベルブル氏の存在はある意味で都合のいいものだったという事実を示しているのかもしれない。ファンも一部を除けば、あまり反応していないみたいだし。奴らは自分のチームが勝てば、他はどうでもいいというタイプが多いからなあ。いやそれ以前に、騒げさえすれば、試合の結果なんてどうでもいいというもいるし、救いがたい現実である。
2020年12月16日22時30分。









2020年12月17日

ペトル・チェフ現役復帰(十二月十四日)



 ペトル・チェフといえば、サッカーのチェコ代表における史上最高の選手の一人で、長年にわたってチェコ代表のゴールを守ってきた選手である。昨年の五月にアーセナルの一員として出場したものの、古巣のチェルシーに負けてしまったヨーロッパリーグの決勝を最後の試合として、現役を引退したのは記憶に新しい。
 その後チェルシーに戻ってフロントの仕事をしていたのだが、その傍らで、子供の頃からの夢だったと言いながらアイスホッケーの下部リーグのチームに所属して、ゴールキーパーとして何試合か出場したというのがニュースになっていた。去年の夏は、現役時代から続けているキーパーを目指す子供たちのためのトレーニングキャンプも実施していたから、引退してもある程度体は動かしていたようだ。

 そんな、ペトル・チェフが現役復帰するというニュースが世間を騒がせたのは、すでに十月のことだっただろうか。イングランドリーグで出場可能な選手として登録されたというのである。当初は手続き上のミスだという説もあったらしいが、チェフ本人が登場して自分は準備ができていると語ったことで、ミスではなく本当に選手として登録されたことが明らかになった。どうも、現在のプロスポーツの運営にも規制がかかっている状況で、ゴールキーパーが足りなくなった場合の保険としての登録だったようだ。保険とは言っても僅かでも出場する可能性がある以上、しっかりとトレーニングを積んで試合に出場できる状態になったというのが本人の発言の真意だろうか。
 その後、チェフが実際に試合に登録されたとか、出場したというニュースはなかったのだが、今日になって、残念ながらAチームではないのだが、Bチームの、リザーブリーグとでもいうのだろうかの、今日の夜の試合に出場するというニュースが入ってきた。対戦相手は同じロンドンのトッテナムで、チェフ出場を知った多くのファンが楽しみにしているらしい。

 チェフが出場するに至った経緯は、感染対策でAチームのメンバーを、いくつかの少人数のグループに分けてそのグループ単位で活動しているため、例年のようにAチームの選手が、Bチームの試合に出場するのが困難になっていることが前提にあるらしい。そして本来Bチームでキーパーとして出場している選手がユース世代の選手で、週末にユースチームの試合に出たため、Bチームのキーパーがいなくなり、チェフに出番が回ってきたということのようだ。ユースの選手を出場させないのは、若い選手には必要以上に無理をさせないということらしい。
 AチームBチーム合わせて、キーパーが3人しかいないなんてことはないはずだし、恐らく怪我で欠場中のキーパーもいるのだろう。いや怪我人が出てこういう事態が起こることが想定できたからこそ、チェフが選手登録されたと考えるのが正しいか。さすがにAチームで試合に出場するというところまで行くとは思えない。思えないのだけれども、チェフなら、そんな非常事態が発生したとしても見事に対処してくれるんじゃないかとちょっと期待してしまう。

 試合のほうは、チェフにとっては悪夢のような始まりだったらしい。開始早々にチェフ本人のミスから失点し、前半は0−2で終了。後半にはいってチェルシーが逆転に成功して、3−2で勝利した。映像を見たわけではないのでチェフのプレーがどうだったかなんてことはわからないのだが、引退から1年半、保険として選手登録して選手としてのトレーニングを開始して2ヶ月弱で、リザーブリーグとはいえ、一試合出場して勝利に導けるところまで持ってくるんだから、やはりチェフはとんでもない人である。

 チェコのサッカー界ではロゼフナルと並ぶ頭脳派だったので、将来は代表監督としてチェコに戻ってきてくれないかとか。ハシェクみたいに協会の会長になって改革を進めてくれないかなんてことを期待していたのだけど、ネドベドがイタリアに残ってフロントの要職を務めているように、チェフはイギリスに残るのだろう。チェコのサッカー協会なんて、IOCなんかと同じで腐敗しきっているから、改革のしようもないのかもしれないけどさ。
2020年12月14日23時。









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