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2021年04月17日

国会図書館からメールがきた(四月十四日)



 国会図書館の利用者登録をして、遠隔複写の申し込みをしたのは、四月七日のことだった。ちなみにお願いしたのは、雑誌記事四本。一つは「チェツコ・スロバキヤ大統領マサリツク閣下より日本の少年へ」という講談社の雑誌「少年倶楽部」(1931年7月号)に載った記事。この記事の存在を知ったときには気づかなかったが、たった1ページ分しかないようだ。それでも、どんなことが書かれているのかは気になる。
 二つ目は「教育報知」(第28号、1886年6月)という雑誌の編集部がボヘミアで行われた博覧会に出たときの報告記事。「ヘ育報知墺國ボヘミア小學ヘ育博覽會に出づ」と題されているので、オーストリア内のボヘミア地方という認識があったことは読み取れるが、「小学校教育博覧会」でどんな展示があったのだろうか。会場がどこだったのかも気になる。現在なら国際的な展示会というとブルノといいたくなるのだが、ブルノはモラビアである。常識的に考えるとプラハなのだろうけど、会場がプラハなら、ボヘミアではなくプラハと書きそうである。

 三つ目は、「大日本山林会報」(第184号、1898年4月)の「「ベーメン」國「シエレバッハ」市樂器製造用木材」という記事。林業には全く興味はないが、「シエレバッハ」が現在のどのチェコの町のことなのか、確認できていないのが悔しいので、記事を読んで確定したいと考えたのである。この、地名に「」をつける表記の仕方は、外務省のベルサイユ条約の翻訳なんかでも使用されていたが、政府の公文書のやり方だったのだろうか。そうすると大日本山林会も政府系の組織だったのかな。
 最後は、なぜか俳句雑誌に発表されたチャペクの作品「影」である。「層雲」(第349号、1940年3月)に掲載されているが、訳者も含めてオンラインカタログではさっぱり何もわからないという代物である。読んだからといって、チェコ語の原典が判別できるとは限らないけど、知り合いに聞いてみれば知っている人もいるかもしれない。俳誌に掲載された事情も書かれていると嬉しいのだけどね。
 他にも読んでみたいものはいくつもあるのだが、最初のお試しということで、4つだけにしておいた。到着までにかかる時間とか、値段とか、支払いの方法なんかを確認した上で、今後も継続してどんどん利用するか、本当に必要なものだけにするかを決めなければならない。そこまで真面目に考えているわけではないけど、どの程度使えるかがわからないと気楽に利用もできないのである。

 それで、国会図書館オンラインの「お知らせ」のところに、「遠隔複写製品の発送遅延について」というのがあって、申し込みから発送までに十日から二週間ほどかかると書かれていたから、発送されるのは四月廿日以降だろうと考えていたら、一週間もたたない十三日発送したというメールが届いた。件のお知らせは去年の十月に出されたものだから、状況が改善されたのかもしれない。
 個人的には、チェコに来て長いということもあって、申し込みからら二週間で発送されるなら十分に早いと思うのだが、日本だと不満を述べる人が多いのだろうか。とまれ値段の高くなるEMSは選ばなかったので、普通の航空便で発送されたはずである。となると、一週間ぐらいで到着するだろうか。念のために日本の郵便局のHPで確認すると、表の中にチェコがなかった。ハンガリーとオーストリアが七日になっているから、チェコも同じぐらいだと考えておこう。
 ということは、廿日ごろには配達されるということである。依頼を出してからほぼ二週間、チェコから日本にお願いをしていることを考えると、ものすごく早いじゃないか。PDFで送ってくれたら、いや戦前のものは雑誌でもインターネット公開してくれたら、もっと早いのにと思わなくはないけれども、著作権法上不可能なんだったら仕方がない。到着したらまた中身の確認をして発見があったら紹介しよう。
2021年4月15日18時30分。









posted by olomoučan at 06:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 本関係

2021年04月16日

混乱は終わらない(四月十三日)



 事前の根回しなしに、いきなり外務大臣への就任を求められた社会民主党のザオラーレク文化大臣だが、よほど腹に据えかねたのか、就任のための条件を突きつけた。一つはゼマン大統領の下でロシア関係を担当している特任外交担当官の解任で、もう一つは、文化大臣の後任として、ハマーチェク氏がビルケ氏ではなく、文化行政に携わった経験のある別の候補者を選定して就任させることである。
 この二つは、前者はゼマン大統領が拒否するだろうし、後者はハマーチェク氏の旧態依然の党内運営を考えると実現は難しそうだから、おそらく二つが同時に叶えられることはないだろう。そうなるとザオラーレク氏が文化大臣に留任するのか、新たな造反者として解任して、事前の約束どおりビルケ氏に大臣のポストを与えるのかが注目される。

 ここで、ザオラーレク氏を排除したら、ハマーチェク氏は完全に裸の王様になってしまって、社会民主党の消滅が現実化しかねないと危惧する。だから、おそらくは、対立候補として出馬したペトシーチェク氏の場合とは違って、ハマーチェク氏が何らかの形で譲歩して、ザオラーレク氏を外務大臣に据えるか、文化大臣に留任させるかするだろう。ただ、かつてのソボトカ首相もそうだったけど、社会民主党の党首というのは、追い詰められるとわけのわからないことをしがちである。

 最近の世論調査の結果を見ていると、社会民主党の支持率の低下が著しい。前回の2017年の下院の総選挙の際には、約7パーセントの得票率に終わり50もあった議席を15にまで減らしたのだが、その後もバビシュ氏のANOと連立を組んだことで支持を減らして、世論調査では議席獲得の境目である5パーセントを越えるのは希になっていた。
 それで、秋の総選挙では緑の党と組むなんてことを言い出したのだが、保守的というか、考えの古い人が多いと思われる社会民主党の支持者の中には、これを嫌って支持をやめた人もかなりいるはずだ。最新の、党大会の前に行われたと思われる世論調査の結果をチェコテレビが紹介していたが、3パーセントちょっとという結果になっていた。これは、オカムラ党や共産党よりも少ないのはもちろん、バーツラフ・クラウス若が市民民主党をおんでて結成した挙句に逃げ出したトリコローラよりも少ないのである。
 そこに今回の党大会後の外務大臣の解任を巡る大混乱が重なったわけだから、さらに支持を減らしているに違いない。緑の党との関係が切れたことによるプラスでは相殺し切れないだろう。社会民主党の政治家の中には、前回の選挙で支持の低下は底を打ったと考えていた人たちもいたようだが、この秋の下院選挙ではさらに支持を減らして、議席を失う可能性が現実味を帯びてきた。これは、ANOと連立を組んだからというよりは、支持を壊滅的に減らしてなお、変われなかった社会民主党が歴史的な役割を終えたと考えたほうがよさそうだ。

 同じく、90年代以来の大政党である市民民主党は、ネチャス内閣末期の迷走、創設者のバーツラフ・クラウス元大統領との確執によって支持を減らし、2013年の総選挙で、36も議席を減らして16議席しか獲得できなかったときに、壊滅的な惨敗で解党の危機だといわれていた。そのとき党外から非党員として選挙に当選したペトル・フィアラ氏を迎え入れて党首に立てることで、危機を乗り越えることに成功した。党内政治とは関係ないところから党首に選ばれたフィアラ氏の存在が市民民主党の変革の象徴となったのである。今後も、かつての支配的な地位を取り戻すことは難しいだろうが、議席を失うところまで追い詰められることもあるまい。
 それに対して社会民主党は、2017年の下院総選挙で、2013年の市民民主党と同レベルの壊滅的な惨敗を喫しておきながら、変わることができなかった。相変わらず党人政治家たちの間での権力争いが続き、党内政治によって党首や大臣が決められるという90年代以来の因習を排除できなかった。それが、多くの支持者に見放され歴史的役割を終えつつあるという所以である。

 下院の議席を一度は失ったものの次の選挙で議席を獲得した政党にはキリスト教民主同盟がある。この党は、二大政党ほどではないとは言え、1990年代から下院の議席を獲得し続けてきたのだが、2010年の総選挙で得票率が5パーセントに届かず議席を失った後、2013年の総選挙で再度議席を獲得した。ただ2010年の総選挙で議席を獲得できなかったのは、前年の2009年に、カロウセク氏とその一派が、キリスト教民主同盟を脱退して、TOP09党を結成してブームを引き起こしたことが原因になっている。だから、化けの皮がはがれてブームの熱狂が終わった後、一度TOP09党に流れた支持者が、戻ってきたと考えられる。
 社会民主党の支持者が、一番多く流れたのは左傾化するANOだと考えられているから、バビシュ氏が政治の世界にとどまっている間は、社会民主党に支持者が戻ることはあるまい。そうなると、国政政党としての社会民主党の命脈はほぼ絶たれたと言っていい。そして2003年の大統領選挙で身内の裏切りで大惨敗したゼマン大統領の復讐劇も、これにて完結ということになる。
2021年4月14日24時30分。











2021年04月15日

混乱は続く(四月十二日)



 週末、屋外で20人までは集まって活動できるという子供たちのスポーツに関る人たちにとって待ちに待った規制の緩和が撤回されたことに、サッカー協会で要職に就くチェコサッカー界の伝説の一人カレル・ポボルスキーがぶちきれたというニュースが流れた。授業を自宅で受けることで子供たちが運動を全くしなくなっていることに危機感を抱いている人も多く、関係者が厚生省と必死の交渉の結果、引き出した規制緩和を、鶴の一声でぶち壊しにしたのだから、怒りをぶちまけたポボルスキーの気持ちもよくわかる。子供たちが運動不足に陥ることは、チェコのスポーツ界にとってだけでなく、チェコ社会にとっても大きな問題のはずである。

 それで、かどうかは知らないが、アレンベルグル厚生大臣がポボルスキーに手紙を書いて、どんな条件でなら子供たちに練習させてもいいかを説明したらしい。そこで情報が錯綜して、2人なのか、12人なのか、20人なのかわからんなんて記事の見出しも見かけたけど、2人ずつ12人というのが正解だった。つまり12人の子供たちを2人ずつ6つのグループに分けて、それぞれのグループの間に10メートルの距離を置けば、同時に練習してもいいのだとか。
 ということは、指導者も入れれば、同時に12人を超えてもいいと言うことで、細かい指導をするときには、一時的に一箇所にあつまるのが3人になってもいいと言うことか。この規制を考えた人はスポーツのことを知らないに違いない。これならフリニチカが局長を務めるスポーツ庁が中心になって準備していたらしいマニュアルを基にしたほうがましそうである。前任者の決定を覆すことで自分の色を出したかったのだろうが、失敗だったとしかいいようがない。

 失敗といえば、社会民主党のハマーチェク党首も、失態をさらした。党首選で造反したペトシーチェク氏の外務大臣解任を決めて、大統領に(恐らくバビシュ首相を通じて)解任を求めたところまでは問題なかった。大統領は喜々として解任の手続きを取ってくれたのだが、後任の外務大臣として予定していた文化大臣のザオラーレク氏が首を縦に振らなかったのだ。以前外務大臣を務めた経験のあるザオラーレク氏だが、突然のことで引き受ける準備ができていないと答えたのだとか。事前に根回ししておけよ。
 さらにひどいのは、ザオラーレク氏に外務大臣就任を打診する前に、文化大臣の後任候補には声をかけていたことである。下院議員とナーホットの市長を務めるというビルケ氏はすでに大臣に就任する気は十分で、大臣としての抱負なんかを記者会見で語ったらしい。この人、アイスホッケーの選手から政界に転じた人で、ザオラーレク氏の前任のスタニェク氏と同じく、文化関係の仕事はしたことがないと言うのだけど、自信満々で文化大臣としての仕事をこなせると思っているようである。文化省と関係のある業界からは反対の声が上がっているけれども、聞き入れられることはあるまい。

 とりあえず、現時点ではハマーチェク氏が外務大臣を兼任、つまりは内務と外務を兼任するというとんでもないことになるようだけど、文化大臣がどうなるのかは、最終的にはザオラーレク氏が外務大臣を引き受ける形でけりがつくような気はするけれども、よくわからない。この人事は、野党も批判しているが、社会民主党が適材適所で大臣を選んでいるのではなく、主要ではない省の大臣には、日本の自民党と同じで年功序列で大臣待ちの議員がいてその中から順番に就任させているということを示している。ということは現在の社会民主党は文化大臣のポストをあまり重視していないということである。以前は、ドスタール氏とか、ヤンダーク氏とか業界出身の政治家を就任させていたんだけどねえ。

 最近の社会民主党は、こんなことを繰り返しているから、支持を失い続け、秋の下院選挙で議席を獲得できなさそうなところにまで追い詰められているのである。ヨーロッパの病理である緑の党と組んで選挙に出るという、頭がいかれたとしか思えないアイデアも絶望的な状況を反映している。今回の件で、緑の党側が社会民主党とは一緒にやれないと交渉を打ち切ったことだけが、社会民主党にとってよかったことである。
2021年4月13日24時。







2021年04月14日

社会民主党党大会(四月十一日)



 昨年末に予定されていたが非常事態宣言のせいで延期されていた、社会民主党の党大会が、延期したかいもなく、オンラインで開催された。党大会では指導部の選挙が行なわれることになっており、ハマーチェク内務大臣が党首の地位を守れるかどうかに注目が集まっていた。結果次第では、現在のANOと社会民主党の連立内閣が、この総選挙まで半年という時期になって解消される可能性もでてくるのである。
 党首選に出馬したのは、ハマーチェク氏と、ゼマン大統領が解任を求めている外務大臣のぺトシーチェク氏、それに元文部大臣のバラホバー氏の三人だったかな。ソボトカ内閣で文部大臣を務めスポーツ界の補助金をめぐる汚職疑惑へのかかわりも噂されたバラホバー氏が立候補したのは意外だったが、当選のチャンスがあるとは思えず、ハマーチェク氏とペトシーチェク氏の一騎打ちだと見られていた。

 特に注目して追いかけていたわけではないけれども、このままでは社会民主党が秋の総選挙で議席を失う可能性が高いと考えたペトシーチェク氏がハマーチェク氏に対して反旗を翻したというのがこの党首選が行われた事情のようだ。大抵、党内に対立が存在しないときには、党首選は、事前の調整、地方支部の推薦の結果などから、信任投票に終わるものである。だから、ペトシーチェク氏にも勝ち目はあるだろうと思っていたのだけど、結果は、あっさりハマーチェク氏の再選だった。
 これは、今でも社会民主党員の中にゼマン大統領を支持している人が多いことを示しているのだろう。そんなゼマン派の社会民主党員にとって、ゼマン大統領から解任を求められている外務大臣を支持することは不可能だったはずだ。ゼマン大統領自身は社会民主党の解体を狙っているようにも見えるから、皮肉ではある。

 党首選で負けたペトシーチェク氏は、副党首選には出馬せず、党の指導部を離れることを決めた。そして同時に、外務大臣に関してハマーチェクしに進退伺いを出したらしい。党首選に出馬したということは、ハマーチェク氏の連立維持策に反対だということだろうから、政府を離れるというのはわからなくもない。ただ、総選挙まで半年となった今の時点で大臣を解任する意味があるのかと言う疑問は残る。厚生大臣の更迭もそうだけど、混乱を拡大するだけに終わりそうである。
 ハマーチェク氏は、最初は慰留するようなことを言っていたと思うのだが、結局ペトシーチェク氏の解任を決めた。これでバビシュ内閣はまた一人大臣を失うことになった。うちのによるとバビシュ内閣で、まともな大臣と言えるのは、文部大臣のプラガ氏と、このペトシーチェク氏の二人だけだというが、そのうち一人は辞任し、もう一人には解任の噂がある。

 この結果をもろ手を挙げて喜んでいるのは、三月に外務大臣と厚生大臣の解任をバビシュ首相に求めたゼマン大統領である。厚生大臣はロシア、中国製のワクチンの導入をかたくなに拒んでいたことが理由だったが、外務大臣は原子力発電所の建設に関して、ロシアと中国の業者を入札から廃止すべきだと主張したことが原因になっている。ただし外務大臣の主張は、チェコの情報部のリスク評価に基づくものなので、外務大臣が批判されるのはおかしいのだが、プーチン大統領と親密で、中華共産帝国の中心であるゼマン大統領にとって、ロシアと中国に不利になるような発言をする人間は全て敵なのである。その点では、共産党も立場を同じくしている。

 市民民主党などの野党は、成立時に信任を受けた内閣のうち、過半数の大臣が姿を消している事実と、信任に票を投じた共産党が、内閣支持をやめたことを理由に、バビシュ内閣は改めて下院で信任投票を受けるべきだと主張しているが、法律や憲法に規定されていない以上、バビシュ首相がそれに応じるとは思えない。今更信任決議が否決されたとしても、ゼマン大統領が信任のない暫定内閣でそのまま選挙まで続けるように支持するに決まっているから意味はない。
 いや、本気でバビシュ内閣を倒すことを望んでいるなら野党側が不信任案を提出して決議にかければいいのだ。それをしないのは、感染症対策で国中がてんてこ舞いの中、政府が倒れて混乱が大きくなった原因を作ったと非難されるのを恐れているからだろう。
2021年4月12日20時。










2021年04月13日

厚生大臣は代っても(四月十日)



 イースターの終わりと共に、寒さも終わると期待したのだけど、イースターと共にやってきた寒波は、イースター後も居残り、オロモウツでもしばしば雪を降らせた。その寒波が去って暖かくなったと喜んでいたら、来週また降雪を伴う寒波がやってくるようだ。オロモウツでは、とりあえず雪ではなく雨で、最低気温もマイナスには行かないという予報だけど、天気予報が外れることも多いのは、チェコも日本と変わらない。

 変わらないといえば、感染症対策を巡る混乱も、厚生大臣が代ったとはいえ、全く変わらない。来週の月曜日から予定されていた規制の緩和を突如変更すると言い出して、あちこちから不満の声が上がっている。少学校での授業の再開と共に、一度に集まれる人の数も、屋外が20人、屋内が10人に緩和されることになっており、特にスポーツ界では、アマチュアのスポーツ、子供たちのスポーツ活動がやっと再開できると喜んでいるところだったのだ。
 それが、専門家の意見とかで、現状と同じ屋内でも屋外でも2人までという規制を継続させると言い出したのは、金曜日の夜だっただろうか。すでに最下位の準備も進んでいただろうに、全く以て迷惑な話である。そもそも2人までという規制が、本当に存在していたのかどうかもよくわからない。教会でのイースターのミサは、人数を制限した上で行われていたが、それは決して2人などという数字ではなく、20人だったか、40人だったか、教会の規模によって決められていたはずだ。

 さらに問題なのは、この規制の緩和と密接に結びついているはずの学校での授業の再開については、ブラジル型の変異種が確認されたことを理由に延期されたウースティー地方のデチーン地区を除けば、予定通り実施するといっていることである。しかし2人までという規制が学校での授業にも適用されるのかどうかがはっきりせず、適用される場合には、先制と生徒が1対1でなければ授業ができないことになり、実質的な規制緩和の先送りになる。子供たちが自分で行う感染の検査に関しても、同じ部屋で同時には行なえなくなるから、かかる手間ははるかに大きくなる。
 新大臣は、ニュース番組でインタビューを受けて、あれこれ説明をしていたが、そのわかりにくさは、わかりにくいといわれたブラトニー氏以上で、話を聞いても小学校の教室で2人以上の生徒達が同時に授業を受けていいのかどうか、全く理解できなかった。恐らく規制の例外扱いとなって授業は行われるのだろうけど、新大臣心配である。

 スポーツに関しても、アマチュアのスポーツの禁止は続くのかというアナウンサーの質問に、テニスは二人でプレーするからできるだろうとか、団体スポーツでもグループに分かれて練習はできるとか言っていたけど、ダブルスはどうするんだとか、コーチと1対1で練習、つまりはメンバーの数だけのグループに分かれろということかとか、いちゃもんをつけたいところが山ほどあった。
 バビシュ首相はブラトニー氏の解任の理由を、コミュニケーションが取れていないことだと言っていたが、その点では新大臣のほうがひどそうである。対策の内容はともかく、記者会見やインタビューでわかりやすく伝えるという意味では、最初のボイテフ大臣が一番ましだったんじゃないかと言いたくなるほどである。ボイテフ大臣の場合には、横からバビシュ首相が口を挟むことで、全体的に意味不明になることはあったけど、今回の新大臣ほどひどい説明にはならなかったと記憶する。

 とまれ、月曜日からは小学校だけでなく、文房具店、子供物の服、靴を販売するお店の営業も再開される。小学校では子供たちが週に二回の検査を義務付けられることになり、一般の企業などで週に一回の検査を行わなければならないのは変わらない。オクレス間の移動の禁止も、非常事態宣言の修了と共に解除されることになっている。ただ、規制が強化されても、緩和されても、維持されても、規制をまともに守っている人があまり多くないという現実は変わらない。
2021年4月11日18時。









2021年04月12日

弱きを助け、強きを挫く(四月九日)



 何週間か前、スラビア・プラハが、ヨーロッパリーグの試合でレンジャーズと対戦したとき、レンジャーズが無敗でスコットランドリーグの優勝を決めたというのが話題になっていたが、それをいうなら、スラビアだって、今シーズンは無敗なのである。それどころか、昨シーズンの最後も12試合負けなしで終えているから、現時点でチェコリーグでは、37試合負けなしという記録を更新中で、2位のスパルタには勝ち点14もの差をつけていて、優勝はほぼ間違いなさそうである。
 ヨーロッパリーグを入れても、12月半ばに行われたグループステージの最終節、レバークーゼンでの試合に負けて以来負けていないから、20試合以上も公式戦無敗を続けている。そもそも今シーズンスラビアが負けたのは、チャンピオンズリーグの予選の第二戦(コラーシュがPKを止めたのにやり直しにされた)と、ヨーロッパリーグの初戦も含めて、3試合だけなのである。負けた相手がレバークーゼンを除けば、あまりぱっとしないチームであるのが今季のスラビアを象徴している。

 そのぱっとしない相手に、負けはしないけれども勝ち点を献上してしまうのが今年のチェコリーグのスラビアプラハで、上位チーム相手にはきっちり勝つくせに、下位の残留争いをしているチーム相手に引き分けてしまうことが多いのである。だから、週末の現在2位のスパルタとの試合は、スラビアの勝ちで間違いないとは思うのだけど、何が起こるかわからない、ときに予想外の結果が出るのがプラハ・ダービーというものである。

 それはともかく、スラビアの「弱きを助く」ぶりを見ていくと、まず、第3節で昇格したばかりで圧倒的な降格候補と見られていたパルドゥビツェ相手に1−1の引き分け。一部リーグの規定を満たすための本拠地スタジアムの改修工事のせいで、ボヘミアンズの本拠地ドリーチェクに間借りしているパルドゥビツェは、今シーズン最大の驚きといっていいぐらいの好成績を残していて、降格争いとは無縁なのだが、この時点では誰もそんなことは予想していなかった。

 続いて第9節でこちらも昇格したばかりのブルノと1−1の引き分け。ブルノは確か昨シーズン二部で2位に終わっており、一部リーグが最後まで開催できず、入れ替え戦がなかったおかげで昇格できたチームである。今シーズンが始まってからも成績は低迷しており、第25節まで終わった時点で勝ち点は17しか獲得していないが、先週の二回目の対戦も引き分けで、そのうちの2点はスラビアから獲得しているのである。順位は降格圏内の16位。

 第18節では、プシーブラムと点の取り合いの末に、3−3で引き分け。第2節の対戦では3−0で、ホームのスラビアの勝ちだったが、プシーブラムでの雪の中行われた試合は大接戦となった。プシーブラムは、昨シーズンほぼ降格が決まっていたところ、残留争いリーグが最後まで行われなかったおかげで残留できたチームである。今シーズンも成績は上がらず、勝ち点14で最下位となっている。

 最後のスラビアと引き分けたチームは、予想外の低迷が続いているテプリツェで、第20節で1−1の結果を残している。現在勝ち点23で14位となっているが、13位のズリーンとは勝ち点6の差があるので、テプリツェまでが残留争いの対象だと考えていい。優勝争いすることはなかったが、つねに上位で安定していたテプリツェが低迷しているのは残念である。日系企業がオーナーだし、オロモウツ出身のクチェラが監督しているし、応援はしてるのだけど、最近以前と違って若手が出てこないんだよなあ。

 それはともかく、下位で残留争いをしているチームで、スラビアから勝ち点をえられなかったのは、勝ち点15で17位のオパバと、勝ち点21で15位のムラダー・ボレスラフの2チームということになる。上位ではすでに現在3位のスロバーツコと、7位のオストラバがスラビアとの対戦を2試合とも終えて2敗している。
 これで、残留争い中の5チームのうち、スラビアと引き分けた3チームが降格となると面白いのだけど、実際はブルノ、オパバ、プシーブラムだろうなあ。
2021年4月10日24時。




プラハダービーは、ホームのスラビアが2−0で予想通り勝利した。









2021年04月11日

スラビアぼろぼろ(四月八日)



 ヨーロッパリーグの準々決勝、アーセナルとの連戦を控えて、スラビアのディフェンスはぼろぼろの状態になっていた。まず、レンジャーズの殺人サッカーの犠牲になったキーパーのコラーシュが治療とリハビリに入り、アーセナルとの試合には間に合わないだろうと見られていた。
 そして、ディフェンスラインの要であるクーデラが、チェコ代表のウェールズとの試合でベイルに明らかに意図的な肘うちを食らって鼻を骨折、発熱が続いて試合に出られる状態にはない。クーデラはレンジャーズとの試合での挑発行為で暫定的な出場停止処分を受けているから、怪我がなくてもアーセナルとの試合には出られなかったのだが、ウェールズ戦でベイルの肘うちに、レッドカードが出なかったどころか、ファイルにさえならなかった事実にヨーロッパのサッカー界にはびこる旧共産圏のチームを下に見る病理が反映されているのだが、それについてはまたいずれ。

 この冬にレンタルでチームに復帰したデリが、定期検査で陽性の結果が出たために自宅隔離状態に置かれた。それらの結果、先週末にブルノで行われた試合は、レンジャーズ戦で負傷退場したコラーシュに代わって出場した18歳のバーグネルがキーパーで、その前に代表レベルまで成長したとは言え、まだまだ経験の足りないジマと、これまでほとんど出場していないカチャラバがセンターバックでコンビを組んだ。
 これがうまく行けば、アーセナルとの試合でもということになったのだろうが、バーグネルがエリア外でブルノの選手を倒して一発退場。ショックのあまり本人は涙を流していたというから、プレッシャーも大きく、相手のレベルも高くなるアーセナルとの試合で使うのは難しくなった。ジマとカチャラバのコンビも機能しているとはいえず、ジマの隣りに誰を使うかというのも議論の対象となっていた。

 最終的には、キーパーはまだ完全に快復していないコラーシュが無理をおして、頭を守るための防具をつけて出場し、ジマの隣りには、普段は一つ前でプレーしているホレシュが起用された。コラーシュは練習でプレーできることを確認してから試合に臨んだとは言うけれども、あちこちに怪我の後遺症による不安定なプレー、とくパスが定まらずに相手にボールを与えてしまう場面が目立った。ホレシュとジマの急増コンビも、安定していたとは言い難く、前半から何度かヒヤッとするシーンを作り出してた。
 前半は、一言で言えばどちらも慎重になりすぎて、ほとんどチャンスもなかったのだが、後半に入って、怪我から復帰したシェフチークがスラビアの攻撃を活性化したことで、オープンな打ち合いに近い試合になってしまった。自力に勝るアーセナルのほうがチャンスを、決定的なチャンスを作ることが多かったのだが、なぜといいたくなるぐらいシュートの精度を欠き、外してくれたおかげで、試合の終盤まで0−0だった。スラビアも惜しいシュートはあったのだけど、アーセナルの選手がキーパーとの1対1を外したのほどは、決定的なチャンスは作れなかった。あれはもう、駄目だと頭を抱えたのだけど……ふう。

 そしてこのまま引き分けに終わるかと思われた85分過ぎに、スラビアは守備のコンビネーションの乱れから、あっさり失点してしまう。ヨーロッパリーグの春の部が始まってからは初めて先制を許したということになる。時間から言ってこのまま、久しぶりの敗戦となってもおかしくなかったのだが、スラビアの選手たち攻勢に出て、最後の最後90分過ぎに、同点に追いついた。
 最初のプロボトの強烈なシュートは、キーパーがはじいてポストに当たって決まらなかったのだが、その後のコーナーキックから、ゴール前でアーセナルの選手が触ったボールを逆サイドでつめていたホレシュが頭で押し込んだのである。一瞬我が目を疑ってしまった。そして、そのまま引き分け。いやあ、スラビア強いわ。相手が決定的なチャンスで失敗するという運にも恵まれていはいたけど、これは運だけでなしえることでもなさそうである。

 この日のスラビアは、守備だけでなく全体的に低調な感じだった。これについては解説者が、代表三連戦で三試合とも出場していた選手もいて疲れがあったのかもしれないとか、スラビアは大抵体表の試合のあとはちょっと調子を落とすから、来週はまたいつものスラビアに戻っているのではないかなんてことを言っていた。ただ、心配が一つ、今週末のチェコリーグは、スパルタ対スラビアのプラハダービーなのである。この一年で最も大事な試合が、来週のプラハでのアーセナルとの試合に影響を及ぼす可能性はある。いい影響であることを願っておこう。
 ここまでは二年前も到達したのだ、あのときは、同じイングランドのチェルシー相手に敗退したのだった。準決勝までは、前身の大会であるUAFAカップで1990年代半ばに進出したことがある。となえれば、目標は決勝進出である。今のトルピショフスキー監督に率いられたスラビアなら実現してしまいそうなきもする。まあ見てる側としては期待を持って応援するだけである。
2021年4月9日18時30分。









2021年04月10日

またまた厚生大臣更迭(四月七日)



 すでに三月中には噂に上っていた厚生大臣の交替だが、四月に入って一週間、感染症対策の重大なポイントとされたイースターが終了すると共に、実行に移された。三月下旬のインタビューでバビシュ首相は「三月中の大臣の交代はない」と語っていたのだけどね。もう一人、更迭を噂されていた文部大臣のほうは、結局解任されずに留任となった。

 バビシュ首相による公式の解任理由としては、ブラトニー大臣の厚生省内のマネージメントがうまく行っていないこと、コミュニケーションが取れていないことが挙げられているが、信じている人は誰もいない。これが解任の理由になるのであれば、政府内の大臣とのコミュニケーションがまともに取れていないバビシュ首相が真っ先に解任されるべきである。何せ、首相と大臣と言う関係なのに、厚生大臣と文部大臣が話し合って決めた規制の緩和について、手紙で不満を告げるという体たらくである。直接あって話せよというのが普通の反応であろう。
 では、実際の解任理由は何かというと、ブラトニー厚生大臣が、ゼマン大統領周辺からのロシアと中国製のワクチンの使用を認めろという圧力を受けながら、かたくなにEUで認可されていないワクチンの使用は絶対に許可しないと頑張っていることである。すでに、三月半ばの時点で、ゼマン大統領は、ワクチン不認可を理由にバビシュ首相に大臣の更迭を求めていた。どこのワクチンでもいいから接種を進めることが大切だというのだが、もんだいはロシアや中国を信用できるかと言うところにある。ゼマン大統領は国民の大半と反対で、全面的に信用するのだろうけどさ。

 辞任を余儀なくされたマトビチ首相が、独断でロシアのワクチンを輸入したスロバキアでは、EUとは別枠でワクチンの認証プロセスが進んでいるのだが、その途中経過で、納入されたワクチンの組成が書類に記されているものとは違うことが明らかになって物議をかもしている。ロシア側からは使わないなら返品しろなどという声も上がっているようで、もう意味不明である。
 こんな、正体不明なワクチンをチェコにも導入することが、正直いいことだとは思えないし、世論調査でロシアのワクチンを信用すると答えた人の割合は5パーセント、中国は1パーセントしかなかったというニュースもある。そうなると、足元を見られてぼったくり価格で輸入しても、接種を拒否する人が続出して、大半は廃棄処分になるのが関の山である。その場合の責任は大統領が取るなんてことはないだろうなあ。チェコだし、ゼマン大統領だし。

 そもそも、下院の総選挙で新しい内閣が半年後には成立することが決まっている現時点で、大臣を代える必然性が理解できない。ブラトニー氏自身は、解任は政治的な理由で、自分は大臣として専門家の意見を元に判断してきたことを恥じるつもりはないと語っていた。ただ、クリスマス前に規制を大きく緩和して、感染拡大につながったことについては失敗を認めている。あのときは、イギリス型の変異種がチェコに蔓延しつつあることがわかっていなかったといういいわけはつけているけど。
 それでも、問題はあれこれあったけれども、自分のなした仕事に対して責任を持とうとする姿勢は、悪くない。バビシュ首相が、全てを他人のせいにして、今回の感染症対策、ワクチン政策の失敗もブラトニー氏の責任にして、自分は悪くないと開き直るのにくらべればはるかにましである。一年前には全ては首相である自分の責任だと断言して喝采を浴びていたが、それを忘れたかのような最近の責任転嫁ぶりには、支持者の中からも見限る人が出てきたようで、世論調査でのANO支持率は、下がり続けている。それでも20パーセントは越えているのかな。

 後任として即座に任命されたのは、プラハのビノフラディにある大学病院の院長を勤めるアレンベルグル氏。就任の際には特に表明はしなかったけれども、恐らくゼマン大統領、バビシュ首相との間でロシアのワクチンを導入する方向で話がついているのだろうと言われている。現場の医師の中にロシアのワクチンを求める人がいるというのは意外であった。

 ところで、ブラトニー氏の解任は、文部大臣とともに、来週の月曜日からの学校での授業の再開と、そのルールについて記者会見をしている裏側で進められていた。そんな部下の背中で陰謀をめぐらすようなやり方も批判されていて、バビシュ政権が末期症状を起していると見る人も多い。今のバビシュ政権以上に評価がひくくなるのは難しそうだから、秋の総選挙で誕生すると見られる新政権にとっては比較のハードルが下がり続けているといってもいい。まともな政権であることを望むのは高望み過ぎるので、チェコに害をもたらさない新政権が誕生することを願っておこう。期待薄だけどさ。
2021年4月8日23時










2021年04月09日

カレル・ポラーチェク(四月六日)



 テレビドラマ「Bylo nás pět」の原作で知られるポラーチェクは、戦前のチェコスロバキアを代表する作家の一人である。チェコ語版のウィキペディアによれば生年は1892年、没年は1945年。亡くなった場所は、ナチスドイツの強制収容所。ユダヤ系のチェコ人だったのである。ポラーチェクは1943年にテレジーンの「模範強制収容所」に収容されるが、その直前に娘をイギリスに逃がすことに成功した。しかし、本人はテレジーンからアウシュビッツに移され、最後はグリビツェというポーランドの町にあった強制収容所で亡くなったという。
 チェコの文学的な伝統に基づいて、新聞記者として働きながら作家活動を行ったポラーチェクの代表作も、日本語に翻訳されている作品も児童文学に含まれるものが多いが、チャペク同様、子供向けの本ばかりを書いていたのではなく、一般向けの作品も執筆していたようだ。名前を聞いたことがあるのは、『Muži v offsidu』というサッカーの世界を舞台にした作品。戦前にフゴ・ハース主演で映画化されているから、それを見た記憶があるのかな。

 とまれ、ポラーチェクの作品で、日本語訳されているのが、国会図書館オンラインで確認できるのは以下の三作。


@小野田澄子訳『魔女のむすこたち』(岩波書店、1969)
 原題は『Edudant a Francimor』で1933年に発表された作品。エドゥダントとフランルィモルというのが主人公で魔女の子供たちということになるのだろうか。ビロード革命後の1993年に子供向けの番組「ベチェルニーチェク」で「三年B組の生徒の日記、もしくはエドゥダントとフランツィモル」と題してアニメ化されて放送されている。後には続編も制作されているから好評をはくしたものと思われる。
 翻訳者の小野田澄子氏は、チェコの児童文学の翻訳を手がけている人のはずだが、「honto」で確認できたのは、ポラーチェクの二作と、ラダの一作だけだった。もっといろんなところで見かけた記憶があるのだけど、古い時代の児童文学、絵本などの翻訳について情報を得るのは結構大変なのである。
 この『魔女のむすこたち』は、現在でも2018年に出た最新の少年文庫版が手に入るようである。いや、それどころか電子書籍も購入できるようになっている。


A 小野田澄子訳『ぼくらはわんぱく5人組』(岩波書店、1990)
 言わずと知れた『Bylo nás pět』の翻訳。原作がチェコスロバキアで刊行されたのは、著者の没後、第二次世界大戦後の1946年のことだった。この作品、子供向けの本だと思って読んでみたら、普段は使わないような難しい、古い表現が頻出して投げ出してしまった。主人公の子供が背伸びして、気取った表現を使ったという設定だったのだろうか。日本語訳がどうなっているかも気になるところだけど、残念ながら絶版で手に入らない。
 チェコでは1995年にチェコテレビで放映されたドラマが人気で、今でもしばしば再放送される。この前は、外に出られないお年より向けのチェコテレビ3で放送していて、びっくりした。日本でも放送されたらしい連続ドラマ「ラビリント」の監督を務めたイジー・ストラフが、主人公の兄役で出演している。このころはまだ俳優としてのキャリアが中心だったのである。


B元井夏彦訳「医者の見立て」『ポケットのなかの東欧文学 : ルネッサンスから現代まで』(成文社、2006)
 日本語訳の収められた成文社のアンソロジーはすでに何度か収録作品を紹介したことがあるはずである。原題は「Můj lékař mně poradil」だと思われるが、作品についても役者についてもよくわからない。

2021年4月7日15時30分。












2021年04月08日

非常事態宣言の終わり(四月五日)



 イースターの時期に規制を緩和すると、感染の拡大が起こるのは明らかだとして、規制緩和を拒否してきたチェコ政府だが、イースター開けの規制のあり方を巡って、駆け引きが始まった。一つは、学校への子供たちの登校の再開で、現在の非常事態宣言が切れる四月十二日月曜日からという方向で調整が進んでいるようだ。

 問題は、どのような条件で学校での授業の再開を認めるかで、文部省と厚生省の間で行われている調整にバビシュ首相が不満をたれて、実現するかどうかが怪しくなっている。当初の予定では、義務教育九年のうち、前半の五学年だけを対象に通学を再開し、一学年おきに隔週で通学させるということになっていた。つまり、今週、一年、三年、五年の子供たちが学校に出たら、来週は二年、四年の子供たちが学校で授業を受けるという形なのかな。隔週の振り分けは違うかもしれないし、各学年日とクラスしかないような小さな学校は、五年生まで全員一度に登校できるようだ。
 これに対して、バビシュ首相が、通学する子供たちは定期的に検査を受けることになっているのだから、隔週にする意味がわからないと言い出した。実は、この検査に関しても教育現場からは問題が指摘されている。検体の採取から自分でやる簡易検査キットを使うことになっているのだが、小学校の低学年の子供たちが、特に最初のうちは自分ひとりでできるかどうか心配だというのである。教員が指導、補助するにしてもクラスの子供たちの数を考えると、時間がかかりすぎるし対応し切れるとも思えない。

 それで、案として上がっているのが、保護者が、どうせ学校まで子供を送ってくるのだから、自分の子供の検査の補助を行うというものである。特例として検査のために保護者が教室に入るのを認めるなんて話も出ていた。問題は、子供たちには検査を受けて陰性であることを確認する義務があるけれども、保護者が感染していないことを確認するすべがないことである。もちろん、職場で検査を受けさせられたとか、すでにワクチンの接種を受けたとかいう保護者はいるだろうが、大半は子供が在宅授業のため、自分も仕事を休んで子供の面倒を見ている人たちである。陰性の検査結果を有しているとは思えない。
 また検査自体も、現時点で義務付けられているのはアンチゲン方式の簡易検査キットを使うことで、その精度に疑問がもたれている。どうせ、安全のためと称して検査を導入するなら、手間はかかるけれども精度の高いPCR検査を実施したほうがいいのではないかという意見もある。ブラトニー厚生大臣は、今は検査のキャパシティの問題でできないけれども、いずれは切り替えたいというようなことを言っていた。簡易検査キットを納入する予定の会社と縁のある政治家が異を唱えそうだけど。

 そして、現状では、非常事態宣言の延長が下院で認められる見込みがないことから、バビシュ首相は、延長を求めない方針を固めたようである。R指数が1以下となり、新規の感染者の数も、平日で七、八千、休日で千から二千と、一番多かったころと比べると半数以下に減っていることも、非常事態宣言を終わらせる理由になっているのだろうが、これまで閣外支援をしてきた共産党が、バビシュ政権への対応を見直そうとしていて、支持が得られなさそうなのも原因となっている。二度も、非常事態宣言の延長を求めて否決されるというのは、秋の選挙に向けては避けたいはずである。
 非常事態宣言が終結しても、規制の多くは継続されることだろう。ただ、オクレス間の移動の禁止だけは、非常事態宣言なしには不可能だというから、これは撤回されると見られている。ただ、これまでも警察の能力の限界でそれほど厳密に移動を阻止できていたわけではなく、実質的にはほとんど変わるまいと予測しておく。週一の検査の義務付けも残るだろうから、こちらの在宅勤務は続く。

 最後に、この件に関するチェコ人の冗談を紹介しておこう。バビシュ首相の非常事態宣言の「延長」はなしだと断言したのだが、それに対して、「nájezdy」にならないか心配だとコメントした人がいて、うちのは大笑いしていた。説明を受けるまでわからなかったのだけど、非常事態の「延長」も、スポーツの試合の「延長」も同じ言葉を使うことから、延長はなくても、アイスホッケーで延長でも決着がつかなかったときに行われる「nájezdy」、つまりはサッカーのPK戦みたいなものになると困るねということだったようだ。流石はアイスホッケー大国チェコである。
2021年4月6日18時30分。












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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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