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2021年05月11日

子育て世代職員にはステップアップの道筋を示す

「再任用職員には最初に引導を渡しておく」の続きです)

幼い子供さんを抱えて仕事をするのはとても大変。
子育てを終えた職員にとってはかつて自分が経験した道。
子供さんのいない職員にとっては、これから自分が直面するかもしれない状況でもあり、たとえそうならなかったとしても、今後自分の仕事を強力に支えてくれるパートナーとなるかもしれない存在。
お互い様なんだからと、一致団結して臨まなくてはなりません。

各自治体では職員に対し、さまざまな子育て支援策を打ち出しています。
本記事では子育て支援と職場の仕事マネジメントのバランスをいかにとるかがテーマなので、特に時間外勤務や休日出勤を中心に書いていきます。

各自治体の職員への子育て支援では、生まれた子が小学校に入学するまでは時間外や休日出勤をさせるな、とする自治体が多いようです。なので育休明けから数年程度、時間外勤務や休日出勤を免除することになります。
本記事ではこの期間、時間外や休日出勤を免除してもらっている職員のことを「子育て職員」と呼ぶことにします。
また、所属する自治体が時間外や休日出勤を免除している期間を「支援期間」と呼ぶことにします。

数年に及ぶ支援期間。本人としても組織としても、決して短い時間ではありません。
各職場の管理職は支援期間中、残された職員の負担をなるべく小さくすると同時に、子育て職員に上手く職場復帰してもらえるよう仕掛けておかなければなりません。

1 残された職員の負担軽減策
@急な休みの時のバックアップ要員
子供は病気やケガをするのが仕事。そのたびに子育て職員は急に休みをとらないといけなくなります。
だからと言って、軽い仕事や誰でも代わりが勤まる仕事ばかりを預けてはいけません。
責任のある重い仕事をきちんと背負ってもらうのです。
子育て職員に急な休みが入った時のために、子育て職員を補佐するサブリーダーを必ず付けます。子育て職員に急な休みが入った場合、サブリーダーが第一義的にピンチヒッターとなるのですが、サブリーダーが代われない場合は、各公所の管理職やその次のポストの者が率先してバックアップ要員を担うのです。要は食肉衛生検査所なら「所長や次長」、保健所なら「課長や課長補佐」ですね。

私の現役時代は、「所長は現場に出させるな!」とよく言われたものです。
まあ色んなニュアンスを含んでそう言ってたのだと思いますが、どの職場もギリギリのスタッフで回している昨今、所長だろうがイワシの頭だろうが、使えるものは使うのです。
所長と一緒に組む係の担当者も、気い使っちゃうし変な所を見られても困るから組むのやだな、なあんて言わないで、人手が足りないんだからお前も仕事しろ、と、どんどんやってもらおうとする気構えが大事です。
組織で仕事してるんですよ。
全部自分達で被ろうとするから追い込まれるのです。

A時間外対応要員の確保
子育て職員は毎日、夕方には帰宅しないといけません。しかし様々な有事案件が日常的に突発する保健所では、時間外勤務が避けられません。
サブリーダーがフォローしきれない時間外勤務は、管理職がバックアップします。
なので保健所の管理職の権限を行使し、子育てで夕方帰らないといけない職員の数を、管理職がカバーしきれる人数まであらかじめ減らしておくのです。

手段は人事異動。そして、よく使われるやり口は2つです。
ひとつ目は、子育ての時期、食肉衛生検査所のような時間外勤務の発生しにくい公所に異動させる。二つ目は、生活支援を期待できる近親者の生活圏に異動させる。このふたつは、すでにいろんな職場で支援策としてやられていますね。

いずれにせよ保健所の管理職は、自分がバックアップしきれない人数の子育て職員を抱え込んではいけないのです。

2 支援期間の過ごし方を共有
ここからがこの記事の本題です。
子育て職員は保健所や検査所で何年かの経験を積んでくれた、貴重な即戦力。育児しながら仕事を続けたいと考えてくれる職員の復帰は大歓迎です。

しかし、子育て支援を受けている人の中には、子育てを理由にしさえすれば、そのままずっと組織から守ってもらえるんだ、と勘違いする人が必ず出てきます。
肝心なのは、子育て支援を開始する一番最初の時期、つまり女性職員なら産前休暇の前、男性職員なら育児休業の前に、育児休業が明けてからの支援期間の過ごし方を、本人によく話しておくことです。

「支援期間の過ごし方」
@生活スタイルの設計
自治体で決めている支援期間をきちんと把握し、それが終わるまでの間に、支援期間の満了後にどうやって時間外や休日出勤を分担しつつ子供を育て、暮らしていくのかについて、家族でよく話し合っておくこと。
A支援期間中の仕事分担
子育て職員はこの先20数年、自治体の重い仕事も背負っていく立場にある。重要な仕事もどんどん覚えなければいけないことを自覚すること。
なので、支援期間中は自分の担当する仕事を一時的に代行可能なサブリーダーを職場から必ず付けてもらって急な休みにも対応できる体制をとり、重要な仕事も担っていくこと。
B支援期間満了後の職場での立場
支援期間が満了したら、今度は自分が育児支援を願う若い職員を支える番であることを自覚し、彼らの仕事を分担し、良き理解者となるよう努めること。

こうした過ごし方を事前にきっちり説明せず、居合わせた管理職が組織としての一貫性を持たせないまま、思い思いに目の前の子育て職員に対応してしまう。
組織的な対応が準備されていないから、物分かりのいい上司と思われたいという心理が優先し、「どんどん休んで」とか「できる仕事だけしてもらえればいいから」と耳障りのいい言葉に終始してしまう。
そんな目先の対応で済ませてしまうから、復帰しても新人さん程度の仕事しかできない子育て職員がたくさん出来上がってしまうのです。

子育て職員の複数年に及ぶステップアップの道筋を設計して各職場の管理職に行わせる。これは管理職を統括する立場にある県庁主幹課の課長の仕事。
そしてきちんと引き継ぎを行い、主幹課長の設計した道筋どおりの一貫性のある対応で子育て職員のステップアップを図る。これが各職場の管理職、つまり食肉衛生検査所の所長、保健所の課長の仕事です。

だから各職場の人事権限のある管理職は、必ず職場マネジメント能力のある人物が担わなくてはならないのです。
能力のない人物にやらせるぐらいだったら、そのポストを獣医さんから分取って、スパスパ捌ける事務方に明け渡した方がずっとずっとましだ、と私は思ってます。
posted by 拓一人 at 04:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略

再任用職員には最初に引導を渡しておく

「子育て世代と再任用職員が職場活性化の鍵」の続きです。)
まずは再任用職員から。

最近は再任用ではなく定年延長の方向に向かっているようです。目の前では65歳までの定年延長への議論が具体化していますね。

仕事分担の見直しを考えるにあたり、まず、再任用職員として食肉衛生検査所に勤務している先輩方の働きぶりや他の年代の職員との関係性について私が感じたことを挙げてみます。

ひとつめはと畜場での現場検査。
酷暑や厳寒期は若手でもそうとうつらいものですが、体力的にシフトをこなせないという方はいませんでした。しかし、老眼が進んで照明が暗いと手元がよく見えない、とっさの動きが鈍くなる、手首や足腰を痛めると長引く、といった加齢による生理的変化は、みなさんが訴えていました。そのため、十分な休養や通院加療がとれるよう、現場シフトや勤務日程への配慮が必要でした。

ふたつめは事務室での知識と判断力。
こちらは全く問題ありません。話の振り方に気を付けさえすれば、どなたも新たな案件にも耳を傾け、助言してくれました。

三つ目は他の年代層の職員との協調性。
これが最も個人差が大きかったです。
もう現役を引退したのだから、責任が生じる仕事はやりたくない、と畜検査しかやりませんと言う人。
逆に現役時代、特に管理職時代のクセが抜けず、万事手も出すしクチも出す人。

四つ目に気になったのは、どの方も現役時代に経験していない業務には手を出したがらないこと。特に現役時代に経験のなかったと畜場や食肉処理場のHACCP監視指導は嫌われていました。
加えて試験室内検査は、若手にお任せします、という態度を決め込む傾向が強かったようでした。

私の勤めていた自治体では、着任した公所でどんな仕事を担当させるかは、それぞれの公所の管理職に任されていました。しかし、再任用職員の配置には厳然たるルールがあり、自宅から通勤可能な公所にしか配置しない方針を貫いていました。

私の経験した再任用職員の方々。
それですべてを論じるつもりはありませんが、このような性向を持った方々に対してどういう仕事をどのように分担してもらうか。
これをお話ししていこうと思います。

まず何より、最初から楽な仕事をもらえるもんなんだ、また、楽な仕事を預けなきゃ、という発想を、労使ともに捨てないといけません。「再任用初年度はまずフルで働くものなんだ」というスタンスに立つことにするのです。
定年を迎える職員のほとんどが各公所の管理職なので、彼らを統括し指導する立場にある県庁主幹課の課長が、こうしたスタンスをあらかじめ明言しておく。

そして先に書いたように、やったことのない仕事には抵抗感がある一方で、自分の経験した仕事には一家言ある方々です。ならば再任用初年度は、体力的事情や家庭事情に配慮しつつ、経験を生かした仕事を分担してもらうのが良い。
食肉衛生検査所が長かった人なら検査所、保健所での経験が豊富なら保健所、県庁が長いならこの際県庁、といった具合です。この場合、自宅から通勤可能な公所に限定してしまうと、他の現役職員との兼ね合いから、経験を活かせる職場に行ってもらうことができない。
なので、勤務する公所を自宅から通勤可能な範囲に限定せず、全県下としたい。
そして現役を終えた先輩だからと遠慮なんかしない。現役職員と同様に、突発した有事案件も含めた時間外対応もお願いし、現役職員と共に働く良き相棒であり、良き助言者として活躍してもらう。

再任用職員は1年契約。勤務公所や仕事の内容は、本人事情や家庭事情を毎年確認した上で、1年ごとに見直せばいいのです。

初年度からご隠居暮らしを決め込んで、自宅から通える公所で軽いルーチンワークしかしたくない、という人には、それでは現役職員のお荷物になるだけです、現役職員と同等に仕事してもらうのがまず出発点です、と、引導を渡しておくのです。
その方が、ああ、公務員職場だって厳しいのは知ってた、勤まりそうもないなら自治体に残るのは諦めないと…。と、思ってくれるはずです。

これができない主幹課の課長は、なんだかんだ言っても、年金をもらえる65歳までのんびり勤められる職場を自分も確保したいだけなんだな、と、後輩職員から陰口を言われてもしょうがないのかなと、私は思います。

「子育て世代職員にはステップアップの道筋を示す」に続きます)
posted by 拓一人 at 04:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略

子育て世代と再任用職員が職場活性化の鍵

「人材の確保」の続きです。)

子育て世代の支援と年金受給年齢の引き上げに伴う定年職員の再雇用。これらは現代社会の大きなテーマです。

日々の仕事をこなしつつ組織の中での仕事分担の見直しを進めろ、ということになるので、官民問わず、どの職場でも右往左往しながら試行錯誤をしている最中ですね。
これらのスローガンの旗振り役である国は、民間企業よりもむしろ下部組織である地方自治体に対して、お前らがまず真っ先に実践しろ、というプレッシャーを強烈にかけてきます。

そして国の意を受けた県庁上層部のプレッシャーに耐えきれず、仕事分担の見直しを置き去りにしたままで、管理職が子育て世代支援と再任用職員の採用をまず優先してやってしまう。
こうして多くの公務員職場が悲惨な状況に追い込まれているのです。

公衆衛生獣医さんの職場も全く同じ構図です。

保健所は食中毒事件や不良食品調査、動物案件や旅館・ホテルのレジオネラ案件対応等で、日常的に突発的な時間外業務があります。
食肉衛生検査所では四季を通じ、と畜検査で物理的な体力を求められます。また酷暑や厳寒期のと畜検査は、健常な人にとっても過酷な労働環境の所がほとんど。
加えて、マイクロレベルを扱うような繊細な検査技術や日進月歩の試験室内検査もやれと言われます。
また、保健所、検査所ともに、仕事に一貫性を持たせるため、1年間通じて特定の担当者を立てて進めなければいけない仕事も数多くあります。

公衆衛生獣医師職場に限らず、さまざまな係ごとにあるこれらの「重い仕事」は、複数いる部下の資質や家庭事情を見極めた上で、係長や部門の課長といった中間管理職が仕事を割り振り、仕事を進める。
これがこれまでの業務管理のスタイルでした。

そして今。仕事の割り振りを考えなければいけない係長や部門の課長はこう考えます。

子育て世代には、これからは重い仕事を預けられない。
新たに職場に登場した再任用職員をどう取り扱っていくのかは暗中模索の状態だし、上司から特に指示はない。
かつての上司や先輩方なので、怒りを買わないよう、とりあえず無難な仕事だけやってもらおう…。

悲しいことに、子育て世代や再任用職員の仕事の質と量を軽くしてくれるんだったら、係の人数を増やしてあげますよなんてことは、上司は絶対言わない。
それに重たい仕事背負える人減ったんだから、もうやんなくてもいいですよ、なんてことも言わない。住民や関係者の細かいニーズにもっと柔軟に応じろ、という考え方が主流の昨今、重たい仕事はむしろ増える一方だ…。

とにかく仕事回さないといけないんだから、今いる残りのスタッフで背負えるもの背負ってもらったら、残りの重たい仕事は全部俺が被るしかない…。

これが数多くの係で仕事の分配と進捗管理を任されている係長や部門の課長の実態です。

できる人でもそうとう厳しい状況ですが、資質や能力ではなく完全年功序列で係長や部門の課長を決めてる職場では、できる人だから「長」の役職を勤めてる、とは限りません。こなしきれずに係長や部門の課長が崩壊した職場では、あっという間に仕事が止まってしまいます。
見かねた部下の中から自己犠牲の精神のある人が助け船を出し、仕事が再び回り始めることもあるでしょうが、今度はその人がオーバーワークで破綻してしまう…。

仕事に前向きに取り組む人と中間管理職に雪ダルマ式に仕事が覆い被さり、疲れ果ててしまう。
さらに悪いことに、仕事が軽くなった子育て世代や再任用職員の中には、「誰かがやってくれるさ」「言われたことだけやってりゃいいんだ」と、その職場状況から目を背ける人まで出てくる。

俺達が全部背負ってやってんのに、こいつらは組織に守られてさっさと帰っちまう…。
真面目にやってんの、アホらしくなってきた…。

そして職場が全員、無気力な集団と化す。

どうしてこんなことになってしまうのか。
その元凶はただひとつです。
「子育て世代、再任用職員には重たい仕事を背負わせることはできない」と画一的に考え、仕事を割り振ってしまったことにあります。
子育て世代、再任用職員と言っても、個々の能力や資質、家庭事情は全部違うのです。そこをひとつひとつ見極め、仕事を分配しなければなりません。

しかしそもそも係長や部門の課長などの中間管理職は、目の前にいるスタッフをどう組み合わせれば仕事が回るのか、それを考えるのが仕事。中間管理職が必死に個々を見極めて仕事を分配しても、仕事の担い手が全然足りず、係の仕事が回らないケースの方がむしろ多い。
そんな時は、同じ公所の他部門からのトレードや他公所とのトレード、つまり人事異動で新たな担い手を確保したり、個々の事情で重い仕事を背負えなかった子育て世代や再任用職員の個人事情を解消してあげて新たに仕事を担えるように仕向け、仕事の行き詰まりを解消しなければなりません。

そうです。
これは本来、各公所の中間管理職の仕事ではありません。人事権のある管理職の仕事です。

公衆衛生獣医師の職場に立ち戻るならば、人事を統括する主幹課の課長の1局集中管理の下で、食肉衛生検査所の所長、保健所の課長など、人事権限のある役職に就いている管理職こそが対処しなければならない問題なのです。

職場活性化の鍵を握る子育て世代の職員と再任用職員。
公衆衛生獣医師職場での彼らの仕事分担の見直しを、管理職はどう進めるべきか。これを考えていきます。

「再任用職員には最初に引導を渡しておく」に続きます。)
posted by 拓一人 at 04:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略

人材の確保

「公衆衛生獣医師の人事管理システム構想」の続きです。)

人事ルール設定と同時にやらないといけないのが、人材の確保です。

人材の確保にはふたつあります。人数の確保と、質の確保です。

人数の確保=新規採用者を増やす


現在主流になっているのは奨学金制度、初任給調整手当、インターンシップ(職場体験実習)といったところ。
しかし前の記事でも書きましたが、何せ職場の知名度が低すぎます。
どこだかわかんない、何やってるかわかんない、物がない、不便だとか、悪い情報ほど広がりやすく、良い情報はなかなか広まっていかない。
ここにテコ入れしなければなりません。

またターゲットは、獣医さんとしてやりたい仕事のイメージが固まりつつある現役の獣医師や獣医師になろうとしている人だけでなく、働いてお金をもらって生きていく、ということを意識し始めた中高生など、広く一般の人達を対象とすべきです。
「こんなことを感じながらこんな所でこんな仕事に向き合い、日々はこんな暮らしをしているんだよ。」
こういった、地方で暮らす公務員獣医師の仕事ぶりや暮らしのイメージが作れるような情報を、食肉衛生検査所、保健所、家畜保健衛生所などといった職場ごとに、手を替え品を替え、あらゆる手口で発信し続ける。
これに尽きます。

みんながネットで繋がってる時代です。
動画とかあらゆるメディアを駆使して、バンバンアピールしてください!今どきは国の職員ですら動画発信している時代なんですよ。地方ならではの発信があるはずです。
某県ではウェブ上で現役職員が受験希望者の相談を受け付ける、なんて取り組みも見かけましたね。

また、獣医学生を対象にインターンシップと称して多くの自治体が実施している職場体験実習。
ここでは、きれいごとしか見せてあげないようにしよう、などと考えてはいけません。入ろうかなと考えている人はそんなうわべ事が知りたいのではないのです。
どんな悩みを抱え、どんな苦しみを感じているのか。またその一方で、たとえどんなに小さくささやかなものだとしても、喜びや楽しさを感じる瞬間があったとするなら、それは一体、どんなものだったのか。
そういうことを知りたがっているのです。

今現在その仕事をしている、自分にしか話せないこと。
それを一生懸命考えてあげてください。
実習が終わってしまったらもう会えないかもしれない彼らに、どうかそんな話をしてあげてくださいね。

さらに獣医学生だけでなく現役の獣医師さんにも伝わるように、学会や研修会、雑誌投稿で現場の課題や新機軸となりうる概念や技術の提案をせっせと行い、その分野で「とんがってる」自治体なんだぞとアピールするのです。
本来ならば臨床獣医師さんと同様に、現職の公務員獣医が自分の専門分野を深めるために何らかの形で大学に戻って学生さんと触れ合う。そのぐらいまでにならなければ、獣医学生さんが現場の空気を直接体感することなんかできないのです。

「忙しいから仕事の見直しや組み替えなんて考えるのやめよ。」
「予算がないから調査研究なんてやめよう。」
「学会や研修会出席旅費なんて削っちゃえ。」
「そもそも財政厳しいんだから、調査研究なんて無駄な仕事そのものやめちゃえ。」

こういう声を私はうんざりするほど聞きました。
でもそれをやってしまっては、
「うちは仕事や職場を改善しようなんて気力はありません。既に目の前にあるルーチンワークをただひたすらやっつけている職場ですから、ほっといてください。」
と、全国の同業者や獣医学生に声高らかに宣言しているようなものです。
こんな職場、今働いている獣医さんは受け入れているとしても、これから入りたいと思う獣医さんなんて、いると思いますか?
いいから言われた通りに黙ってルーチンこなしてろ!って、これから入ってくる人達に言うんでしょうかね?

よりよいものへ向かおうとする気力のない技術の職場。
そんなものはいっそ、落ちるところまで落ちて、崩壊してしまう方がいいです。

そしてビジョンのない組織には誰も来ません。
例えば「うちの自治体はfrom farm to table、one healthを実践する獣医師の集団を目指している。だから必ず公衆衛生と家畜衛生の二つを経験させる!」などと宣言し、複数年に渡る明確な育成スケジュールを作成して学生さんへの説明会で提示し、厳格に実施すべきです。

今いる職員の質を底上げ


新規採用者を増やす努力と同時に、今いる職員でもっと仕事を分担してもらえる人はいないのか、もう一度見渡してください。
私は、再任用職員と育休が明けた子育て期の職員に活路があると考えています。

次の記事でさらに書いていきます。

「子育て世代と再任用職員が職場活性化の鍵」に続きます。)
posted by 拓一人 at 04:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略

公衆衛生獣医師の人事管理システム構想

「志を共にする同志か、傲慢冷酷になれるトップが欲しい」の続きです。)

私が考える公衆衛生獣医師の人事管理システム構想です。

(このシステムで運用されている架空の県、里崎県を舞台にした小説「いただきまーす!」を、ただいま連載中です。)

「公衆衛生獣医師人事管理システム構想」(作成:2020/6/13、最終更新2020/7/30)

1 基本的考え方
年功序列人事を完全廃止。担当業務の質に着目した区分を設定して人事管理し、組織目標への貢献度に応じて昇給・昇格を行う。

2 区分
(1)定型業務担当者
人事評価基準:定型業務消化
昇格・昇給ペース:最低。
本人希望のほか、業務に取り組む姿勢が消極的な者と上司が判断する者をあてる。マニュアルに沿った仕事のみ担当させ、本人希望に依らず1〜2年で全県下の食検と保健所へ転勤。「長」の付く役職への昇格は不可。

(2)専門技術担当者
人事評価基準:専門技術を要する業務の管理と技術向上、当該業務担当の後継者発掘・育成。
昇格・昇給ペース:中。
専門技術に長じた者の中から本人希望を確認の上選任。各公所での専門技術の継承が途切れないよう、県内の別エリアの公所での当該専門技術を担当することがあることも予め了承していることが前提。

(3)地域コミュニケーション担当者
人事評価基準:地域事情に精通し地域の関係者との良好な関係を構築・維持、各種政策の啓発普及と当該業務担当の後継者発掘・育成。
昇格・昇給ペース:中。
コミュニケーション能力に長じた者の中から本人希望を確認した上で選任。転勤範囲は同じエリアの食検と保健所。

(4)総合調整担当者
人事評価基準:各公所及び県庁主管課での政策立案と所属する公所の各担当者の統括・調整、当該業務担当の後継者発掘・育成。
昇格・昇給ペース:最高。
プレゼンテーション能力や政策立案能力、組織マネジメント能力に長じる者の中から本人希望を確認した上で選任。県内の食検、保健所業務を経験させた上で順次県庁を経験させる。

3 運用
(1)適用対象
当該自治体の公衆衛生分野に所属する獣医師職員全員を対象とする。再任用職員、子育て世代職員も他の職員と同等に取り扱う。
(2)新規採用者
新任者は定型業務担当者としてスタート。機械的に1年ずつ食検、保健所を経験させ、3年目は適性と本人希望を上司が確認し、配置する。
(3)3年目以上職員
3年目は基本的に、本人の希望する職域および担当に配置する。組織目標に合わせた個人目標を自ら設定させ、設定した個人目標の組織への寄与度と達成度を上司が評価する。組織寄与度及び達成度が低いと判断された者は次年度の配置に当たり本人希望への配慮を下げ、上司判断を優先する。正当な理由なく自ら設定した目標を達成できなかった者は、次年度、昇格昇給レベルの低い別の担当へ移す。
(4)昇格
組織マネジメント能力があると上司が認めた者のみ、「長」の付く役職に就かせる。
(5)自己都合による担当の変更
各担当者は家庭事情、本人都合に限り、本人が申し出れば上司、県庁と調整の上、他の担当へ代わることができる。

「人材の確保」に続きます。)
posted by 拓一人 at 04:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略

志を共にする同志か、傲慢冷酷になれるトップが欲しい

「マンガ、アニメ、ドラマが公務員獣医師を救う!」の続きです。)

公衆衛生獣医師職場を個性あるスペシャリストが誇りを持って働いていける職場に。
そんな職場になったね、と若い世代に認めてもらえれば、辞める人もぐっと減るし、公衆衛生獣医師になってもいいかな、と考える獣医学生さんも集まってくるはず。
獣医学生さんたちが入ってこない理由は、お金だけじゃない。

そして職場を変えるためには、公衆衛生獣医師の人事管理システムを変えていかなければならないと、私は考えます。

まず求められる人事管理システムの基本的考え方を整理します。

1 組織目標にきちんと向き合って責任ある仕事をやり遂げた者に対して、組織が誠実に対価(権限の付与、昇格・昇給)を払う
2 組織目標への貢献度の低い者には、勤務年数に依らず昇格・昇給に明確に差をつける
3 職域選定に際しては基本的に本人希望を尊重するが、個人目標を設定させ、結果責任は取らせる
4 システム運用に個人のライフプラン見直しに寄り添う自由度を持たせる
5 1〜4の基本ルールを、各職場の人事権限を持つ者で共有して運用

何のことはない、優良な民間会社でよくやってる、ごく普通の内容です。
けれどそれが公務員獣医師職場では全く意識されていない。
ここが致命的なのです。

基本ルールの運用には人事評価制度を活用する。
平成の時代、全国の地方自治体にも人事評価制度が導入されましたが、形式的なもので終始し、まともに機能していないのが実情でしょう。
人事評価制度は、あくまでも自治体というどでかい組織の人事管理の骨格に過ぎません。
この骨格に、公衆衛生獣医師という組織だけに焦点をあてて考えた時に、職場を構成する一人ひとりの公衆衛生獣医師さんをどういう観点で査定し、どんな特性・性向の人物を公衆衛生獣医師組織のどこに組み込んでいくのかという、基本ルールで肉付けするのです。

さあ、しかし。

基本ルールを実行していくためには5が特に重要です。
各職場の人事担当者を、志を共にする同志で固めることができるかどうか…。

若い時から親しくしている仲間がいれば、そのうちみんなそれぞれの職場で人事を担当する年代になります。
ずっとみんなであっためておいてその時を待つ、それもいいでしょう。

あるいは職場改革を強烈に志向し、独断専行で反対者を粛正するぐらいの実行力のある人物が突如現れて県庁トップに君臨し、自分の息のかかったもので各職場の人事管理担当者を構成する。
いや、そのトップに俺がなる、と宣言する若手職員が出現する。
それもあり、です。

そんなマンガみたいなこと起きないってば、なんて思う方へ。

今、獣医学部にいる学生さんは、昭和、平成の常識を軽々とひっくり返していく令和の時代に生きる世代ですよ。
こんな公務員獣医さんが出現したって、なんにも不思議じゃないです。

次の記事では、私の試作した人事管理システムのプランをお話しします。
令和の時代を生きる公衆衛生獣医師さん、そして獣医学生さんに向けた、私からの提案です。

「公衆衛生獣医師の人事管理システム構想」に続きます。)
posted by 拓一人 at 04:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略

マンガ、アニメ、ドラマが公務員獣医師を救う!

公務員獣医師のなり手がいない。
さあどうする?

暮らしの利便性が高いという理由で人気のある首都圏の自治体はともかく、地方の自治体は本当に深刻です。

そこでひとつご提案。
「公務員獣医師を主人公にしたマンガかエンタメ小説、誰か書きませんか?」

獣医師の仕事が世間の脚光を浴びたいくつものイベントを思い出してみて下さい。

私の大学受験の頃は、北海道のキタキツネを美しい映像で映画化した「キタキツネ物語」が公開されて大好評となり、竹田津実という獣医さんの存在が広く伝わりました。
そして佐々木倫子さんのマンガ「動物のお医者さん」で小動物臨床を目指す学生さんがそれこそドカンと増えました。
世間一般の獣医さんのイメージって、まあ「動物のお医者さん」であったり、「獣医ドリトル」だったりするんですよね。
私自身、獣医の大学を受験した時はおろか卒業するまで、公務員獣医師を目指そうとなんてこれっぽっちも思ってませんでした。

なぜか。

家畜保健衛生所、食肉衛生検査所、保健所、動物愛護センターに勤務している公務員獣医師の存在を、世間の人がほとんど知らないから。
そして公務員獣医師の仕事の中にあるキラキラしたものが、世間一般の小さな子供やお年寄りに全然伝わっていないからです。

まず伝えなきゃ、誰もなろうとなんて思うはずもないのです。

お話は、重いテーマやメッセージなんてのは、この際二の次。
記憶に残る強烈なキャラクターが仕事の中で時折壁にぶつかりながらも生き生きと成長していくお話。
お笑い満載で、ちょっとエッチでもいい。
小さい子にも伝わりやすくて楽しく読めるエンターテイメント性が何より大切だと思います。

そして原作が世間の耳目を集めたら、今度はアニメ化、ドラマ化、いやいや映画化!(妄想爆走中!)

マンガ原作を公募している小説サイトもあります。
公務員獣医師という職業に興味のある漫画家さん、ライターさん、あるいは腕に覚えのある現役獣医さん、ぜひぜひチャレンジしてみて下さい!

ひょっとしたら大当たりするかも。
そんときは企画料でも下さいね!(ウソウソ、大笑)

「志を共にする同志か、傲慢冷酷になれるトップが欲しい 」に続きます。)
posted by 拓一人 at 04:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略
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プロフィール
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拓一人
拓一人(たく かずと、ペンネーム) 某県で20数年公衆衛生獣医師として勤務し、退職しました。 食肉衛生検査所、家畜保健衛生所、保健所、県庁での勤務経験があります。 獣医師としての進路に迷っている方、これから公務員獣医師になろうと考えている方や、今現在公衆衛生獣医師として勤務している方々に、何かの形でお役に立てればいいかなと思ってます。 今は家族と共に、地元の豊かな自然の姿と旬の食材を楽しむ日々を送っています。
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