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2021年05月13日

小説

連載中小説「いただきまーす!」 NEW!
<あらすじ>
首都圏の獣医大学を出た東京出身の田中一平。ふとしたきっかけで親元を離れ、とある田舎の自治体、里崎県の公務員獣医師の道を選択する。
里崎県の郷浜食肉衛生検査所に勤務することになった一平が、個性的な面々に振り回されながら仕事や一人暮らし、はたまた恋にも励んじゃう、獣医さんのお仕事エンターテイメント小説!

・小説「衛生獣医、木崎勇介(食肉衛生検査所編)」

食肉衛生検査所という職場を少しでも感じてもらいたい。
実体験をもとに拓一人が書いた小説(フィクション)です。

<あらすじ>
木崎勇介、44才。里崎県の獣医師。
平成16年、勇介はと畜検査員として勤務する里崎県郷浜食肉衛生検査所で、職場の仲間達と検査技術の組織的な管理や次世代への引継ぎに取り組むが、団塊世代の大量退職を契機に始まった組織のうねりに、自らも押し流されていく。
不信、再会、別れ。すれ違う多くの獣医師達と共に食肉衛生検査所に勤務する勇介の日々を描く。
posted by 拓一人 at 12:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2021年05月11日

自分の診た肉を食う、ということ。

「出かけよう、外へ。」の続きです。)

いただきまーす!第3話で豚の頭検査覚えたての一平が、近所の居酒屋で豚の頭のハズシ肉をほうばるシーン。
私の好きな場面のひとつです。

あのですね、こればっかりは体験してもらわないとわかんないと思います。

ふらりと立ち寄ったスーパーで「今日はすき焼きにしよ。」とか「豚しゃぶがいいかな」とか言いながら、自分が検査したはずの肉をみんなが楽しそうに買っていくのを目の当たりにする。
そして自分が検査した肉を、自分で食べる。
こんなこと、獣医じゃなきゃ、そして自治体に入ってと畜検査員や食鳥検査員になってなけりゃできない体験です。
ああ、俺は間違いなく獣医だったんだなあという瞬間です。

日本全国、ご当地ブランドの牛や馬、豚、鶏、羊がありますよね。
それらはほぼ、地元のと畜場や食鳥処理場で解体されたものです。地元スーパーやお肉屋さんで扱ってくれていますよね。
検査所勤めを始めたら、ぜーったい、食べないとダメですよ!
きっと見え方も、味の感じ方も変わります。
また、よく分かんないなりに、他のブランドの肉と比べるようにもなります。

こうやって食肉にぐいっと興味が出てくると、ふらりと立ち寄った食品売り場のお肉コーナーも、なんとなく素通りできなくなっちゃったりします。(笑)

私は家畜保健衛生所と保健所も経験しました。
なので、そのブランド肉を生産している畜産農家さんからお肉屋さんまで、仕事で出入りさせていただいてたりします。
そうなっちゃうともう、お肉コーナーで地元ブランドのパック肉を手に取っただけで、農家さんの顔から自分の検査シーン、と畜場から出荷していく食肉業者の若い運転手さんの顔からパック肉を小売りしているお肉屋さんの若社長の顔まで、ぜーんぶ繋がって見えてきちゃうんです。

こんな体験は、と畜検査員と家畜保健衛生所の家畜防疫員、保健所の食品衛生監視員を渡り歩いた人間だけにしかできません。大学とかでも「from farm to table」なあんてカッコいい言い方で紹介されますが、それを現場で実地に体験し、実態も課題もぜーんぶ目の当たりにする。
そして体験を踏まえ、食肉の作り手と売り手がどう結び付いていけば、地域で暮らすみんながおいしいと言いながら幸せに楽しく暮らしていけるかを一生懸命考える。

大方の獣医学生さんは動物の診療をしたいと考えて大学に入ったのだから、なかなかイメージが湧かないかもしれません。
けれど今ご紹介した仕事が、昔々から獣医さんが地方公務員という身分でやってきていた、おっきな仕事なんです。
前の時代を大きく引きずりながら今に至りますが、今の時代だって、やんなきゃいけない仕事なんていくらでもあります。

あまり考え込まないで、まずは自分で食肉の生産と流通の現場を見てみて、食べてみる。
その上で、いろんなことを感じていただけたらいいなあと思います。

出かけよう、外へ。

「断言します。日本には素敵な街がたくさんある!」の続きです。)

いただきまーす!」第2話で、一平は車を買うことにしました。
別記事でも書いてますが、地方での暮らしには車が必須。
今回のテーマは「出掛けよう」です。

この先の仕事を考えていると、心のバランスにあまり考えが回らなくなってしまうことがあります。
仕事は大事。お金も大事。
けれど、心のバランスを保つことも大事です。

私が見かけた若手の獣医さんに、少し気になった方がいました。

仕事にまっすぐで、いつも仕事のことが頭から離れない。あるいは仕事のことしか考えることが思いつかない。自分の仕事はこれでいいのか、このままでいいのか、と自分に問いかけ続ける。職場以外の時間をずっとそんな風に過ごしているように思えました。
そしていつの間にか考えが極端になりすぎたり、感情の起伏が大きくなったりしてしまっていることに気が付かなくなってしまうようです。
特に、知り合いもいない小さな街で、職場とアパートの往復ぐらいしか行動範囲がなくなってしまった方に、その傾向をよく見かけました。
小さな街ですから、刺激も少なくて余計に出不精になりがちだったのでしょうね。

学生の時もいろいろ思い悩むものですが、周りに家族や友人、知人、研究室のメンバーなんかがいて、一人きりになることは、まあ、ありません。
時には煩わしいと思う彼らが、実はあなたをリフレッシュしてくれてたんです。
独り暮らしで仕事をやり始めると、自分から動かない限り、誰もアパートに訪ねてきてくれないし、面白そうな話も舞い込んできません。
そこが学生の時のアパート暮らしとの一番大きな違いです。

自分への問いかけはとても大切なプロセスですが、そればかりになってしまうと自分で自分を疲れさせてしまいます。
こんな時に自分をきちんとリフレッシュできる術を身に付けた人。
そんな人が社会人生活に適応していってるみたいだな、と感じています。

思い当たる所がある方。
ふらりとあなたの住む街へ出掛けてみませんか?
できる限り、一人じゃない方がいい。
誰も知り合いがいないなら、思い切って、職場の同僚や新採研修で知り合った同期を誘いましょう。

お風呂が好きなら近くの温泉施設。
音楽好きなら野外イベントやライブハウス。
食べるのが好きなら食べ物屋さん巡り。
料理が好きなら地元スーパーや産直。
アウトドアなら海や山。スポーツもいいし、自然探索もいい。
滝とか巨木巡りなんてのも。
どんなに小さい街だって、あなたの行動半径に必ずどれかはあります。

どこだって、なんだっていいんです。
誰かと一緒に歩いてみると、
「なんだこれ?」っていう発見、必ずありますよ!

「自分の診た肉を食う、ということ。」に続きます。)

断言します。日本には素敵な街がたくさんある!

と畜場や食鳥処理場はごく一部を除いて、ほとんどがあまり人目に触れることのない郊外に建っています。また、日本全体でみれば消費地である大都市圏ではなく、家畜生産が盛んな地方都市またはその周辺市町に数多く設置されています。
食肉衛生検査所は、と畜場や食鳥処理場内で解体される家畜や家禽を検査する機関。なので大半の食肉衛生検査所は、と畜場に隣接して整備されます。

という訳で、日本全国、大半の食肉衛生検査所は、人里を離れた郊外にあるんです。そして最寄りの市街地の規模だって、小さな市や町がせいぜいです。

「いただきまーす!」の主人公、田中一平の勤務先も田んぼの一本道を進んだずっと奥。
住むことになった街は、ごくありふれた小さな街。
都会で生まれ育った一平は、「本当になんにもないところに来ちまった」と思ったに違いありません。

と畜検査をしているたくさんの公務員獣医さんが、日本のいろんな場所で毎日、と畜場に向かって車を走らせています。
燃えるような夕焼け。突き抜けるような青空。海かと錯覚してしまうぐらい広い田んぼや牧草地。かなたに雄々しくそびえ立つ秀峰。
たとえ通勤途中では見えなかったとしても、暮らしの中で四季折々、とある瞬間に、圧倒的スケールの鮮烈な風景を目にしているはずです。

そして暮らしている小さな街。
さてして、そこにはホントに「なんにもない」のでしょうか?

実はいろんなものがあって、いろんな人がいる場所なのかもしれません。
実はとても素敵なものを見つけることができたり、魅力的な人に出会える場所なのかもしれません。
けれど運悪く何も見つけられず、結局去ることになってしまう場所なのかもしれない…。
それは実際にそこに行ってみて、住んでみなきゃあ分かんないのです。

私は小さな田舎街で生まれ育ち、自然豊かな土地で獣医学生生活を送った後、首都圏や地方都市生活を経て再び生まれた土地に舞い戻って暮らし始め、今もここにいます。
そんな私が生まれ育った小さな街で再び暮らし始めた当初、つくづく思ったこと。それは、

「ここってこんな所だったんだ。俺は何も見えてなかった。」
ということです。

自分の地元の魅力にもっと早く気付いていれば、首都圏や地方都市に行くこともなかったかもしれない。いや逆に、他所を見てきたからこそ、生まれ育った街のいい部分を見つけることができるようになったのかもしれません。
そしてそんな魅力に溢れた街が、私が生まれ育った街だけ、なんてことは、絶対あるはずがないのです。

声を大にして言います。

「日本という国には、小さくたって素敵な街が、たっくさんあるんだぞお!」

田舎の食検に入ったばかりの一平は、妙な上司や同僚に振り回されつつ、小さな街を少しずつ歩き始めているようです。

一平が今後何を見つけていくのか。
どうか見守ってあげて下さいね。

「出かけよう、外へ。」に続きます。)

獣医さんの本

ぼんやりと獣医師になろうかなと思ったけど、具体的な仕事のイメージがない。
獣医師になる、と決めたものの、何をしていけばいいのか分からなくなってきた。
獣医師として今、仕事をしているけど、自分はこのままでいいのかな?
ふとそう思った時、ありませんか?
そんな時は、いろんな獣医師さんの歩んできた道のりをちょっとだけ探検。
何かが見えてくるかも。
このページでは色んな分野で活躍している獣医さんの本や、獣医師を主人公とした小説を取り上げていきます。
私が全部読んでいるわけではないので、いわゆる著作のレビューではありません。
そんな獣医さんがいるのか、あるいは、そんな獣医の生き方も素敵だな、と、みなさんが気付くきっかけ作りになればと思っています。

地方公務員獣医師を検討している方はこちらも参考にしてくださいね。

「しっぽの声/夏緑 ちくやまきよし 杉本彩」 NEW!










【予約商品】しっぽの声 全巻セット(1-7巻セット・以下続巻)ちくやまきよし


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ペットショップやブリーダーの負の部分、多頭飼育崩壊に向き合う獣医師を描くこの作品。この分野に関心のある人や公衆衛生獣医さんなら一度は手に取ったことがあるのではないでしょうか。
事案の重さや状況の違いこそあれ、保健所で動物行政を担当している公衆衛生獣医師なら、ここに書かれたエピソードのどれかに近い体験をしているはずです。

福祉行政、警察との連携なしには事態が前進しない案件は数知れず。
また、この作品の主人公が真逆の信念を持つ2人の獣医師であることから分かるように、ひとつの哲学だけでは目の前の事案に対応しきれないことが、動物行政の難しさと言えます。

自分はどういう哲学を持って、このテーマに向き合うのか。
これは公衆衛生獣医師だけでなく、すべての分野の獣医さんの課題です。
自分の哲学を見つめ直す。
そういう意味で、内容の賛否はともかく、この作品はぜひ一読していただければと思います。

また、志のある方々が既に着手し始めている「シェルターメディスン」という分野がありますね。
この分野の普及に尽力している田中亜紀先生が言うように、動物の保護収容施設に最も必要なのは、個々の実情に合わせた運営方針の確立です。

そしてその運営方針を途絶えさせることなく維持管理できる人材を職員の中から発掘して育て、その職員が誇りを持って働き続けていけるような職場環境を整備する。
これが動物保護収容施設を主催する自治体の大きな責任だと思います。

いずれにせよ、重くて敬遠されがちなこのテーマに果敢に挑戦し、一般のみなさんの目にも触れやすいマンガという形にしていただいた小学館の編集スタッフの方々のジャーナリズムと勇気には大感謝です。

ありがとうございます!

ビックコミックオリジナル(小学館)で連載中です。

「ドッグメン 第三軍犬小隊 (柏艪舎文芸シリーズ)/ウィリアム・W.パトニー」 NEW!










ドッグメン 第三軍犬小隊 (柏艪舎文芸シリーズ) [ ウィリアム・W.パトニー ]


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著者は第二次世界大戦時の軍用犬の獣医。ガダルカナル、グアム島での軍犬任務を描いたノンフィクションです。
どんなエピソードがあるのか。
聞きたいような、聞きたくないような…。
しかし軍用犬の獣医さんのお話は、まあ聞けることはありませんよね。
その意味で、一読の価値、あるかもです。

「アメリカ動物診療記 プライマリー医療と動物倫理/西山ゆう子」 NEW!










アメリカ動物診療記 プライマリー医療と動物倫理 西山ゆう子/著


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アメリカで獣医師として開業している西山さん。
各種講演会でお目にかかった方もいらしゃるのではないでしょうか。
西山さんがアメリカに行ったきっかけや、アメリカの獣医師免許を取得し、開業に至るまでの道のりは、アメリカでの獣医師を目指そうとしている獣医さんや獣医学生さんの参考になると思います。
現在はフリー獣医師として幅広く活躍されています。
こちらに開業した頃のインタビュー記事がありました。
西山さんのブログはこちら

「もういちど宙へ 沖縄美ら海水族館人工尾びれをつけたイルカフジの物語 /岩貞るみこ」










【中古】もういちど宙へ 沖縄美ら海水族館人工尾びれをつけたイルカフジの物語 /講談社/岩貞るみこ(単行本)


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沖縄、美ら海水族館のイルカ、フジ。
1回の手術では尾びれの壊死が止まらず、沖縄県立北部病院の医師の協力の下、2回目の手術でようやく壊死を食い止めます。しかし尾びれの4分の3を切除する結果に。
「ただ浮かんでいるだけのイルカ」となってしまったフジ。
担当する同館の獣医師植田啓一さんやスタッフが何かできないかと奔走し、ついにあのタイヤメーカー、ブリヂストンと「イルカ人口尾びれプロジェクト」を立ち上げます。
本書はその顛末を岩貞るみこさんが綴ったノンフィクション。

水族館スタッフの情熱が、日本が世界に誇るメーカーの技術屋さんの心の琴線に響いて実現した世界初のプロジェクト。水族館のパネルにプロジェクトコンセプトが書いてあります。

「かわいそうだから、を先行させず、今後の鯨類飼育につながる科学的検証と治療のためのデータ蓄積を目指して」

思わず拍手!
だからこそ、これだけの技術屋がひとつに集結できたのだ、と思います。

苦闘の末に尾びれは見事に完成。
多数のメディアに取り上げられました。
植田さんもひっぱりだこだったようです、

植田さんが書いた一般向け著述はほとんどありません。けれど科学論文は精力的に多数出されています
イルカの全身麻酔や水中でのマンタの超音波妊娠診断にも成功
今も獣医の本業を突っ走る、根っからの獣医さんです。

イルカ人工尾びれプロジェクトに関わったブリヂストンの技術者さん達のコメントも、とても素敵でした。
(2019/12月、ブリヂストンHPでの掲載が終了。残念です。)
人口尾びれは石川県のどじま水族館のカマイルカ、ラナンにも装着され、成功しています。

美ら海水族館とブリヂストンが協同で作り上げた技術は、確実に次につながったのです。

これが科学の力。
技術屋冥利に尽きますね。

フジと美ら海水族館のエピソードは映画化され、大きく話題になりました。








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「ヒトと生き物 ひとつながりのいのち 旭山動物園からのメッセージ/坂東元 」










ヒトと生き物 ひとつながりのいのち 旭山動物園からのメッセージ [ 坂東 元 ]


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北海道旭川市、旭山動物園の園長、坂東元さん。
動物の生き生きとした姿をみてもらおうと「空飛ぶペンギン」「アザラシプール」「ペンギンの散歩」などの「行動展示」を展開し、これが大好評に。
いまや国内外から人が押し寄せる動物園として有名になりました。

みんなに喜んでもらえることにとても感謝している坂東さん。
その一方で、坂東さんの中にいろんな思いが沸き上がってきます。

「命に対する価値観」とは。(インタビュー記事

「命を感じる感性を育む場所でありたい。」(インタビュー記事

坂東さんの思考はまだまだ続いているようです。

旭山動物園のエピソードは映画やドラマになってます。
まだ観てない方、旭山動物園についてまだよく知らない方はこちらを一度観てみるのもおすすめです。








旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ【Blu-rayDisc Video】 [ 西田敏行 ]


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「竜之介先生、走る!/片野ゆか」










竜之介先生、走る! 熊本地震で人とペットを救った動物病院 (ポプラ社ノンフィクション 35) [ 片野 ゆか ]


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(2021/4/7 04:02時点)
感想(3件)




熊本地震の際に自ら経営する動物専門学校をペット同伴避難所として開放し、メディアにも大きく取り上げられました。本書ではその顛末を綴っています。

竜之介動物病院は365日年中無休。夜間も診療しています。
その上、動物の専門学校、トリミングサロン、無線機を取り扱う会社まで経営し、実業家として精力的に活動しています。

獣医師としての社会活動も実に精力的。

2017年、インドネシアのバリ島の狂犬病撲滅キャンペーンに参画
2019年11月には、ノラ猫1500匹のTNRを実施

いやいや、この方のバイタリティには頭が下がります。

竜之介先生の活動だけでなく、その強烈な個性を支える原動力は何か。
いつか垣間見える時があるのかもしれません。

「プロフェッショナル 仕事の流儀 勝俣悦子 海獣医師 かあちゃん、命と向き合う/勝俣悦子」


プロフェッショナル 仕事の流儀 かあちゃん、命と向き合う 海獣医師 勝俣悦子の仕事 [DVD]

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(2021/5/9 05:04時点)
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鴨川シーワールド、勝俣悦子さん。

平成15年、日本初のイルカの人工授精に成功し、海獣専門の獣医師として世界的にも有名な方です。

勝俣さんは鴨川シーワールドの入社が一度決まったものの、自分がイルカを診れるのか不安になり、1年間入社を保留していたというエピソードがあったとか。

未体験ゾーンに飛び込む。
迷い、悩むのはみんな一緒なんですよね。

悩んで決断し、再びドアをたたいた勝俣さん。
ドアの向こう側を進み続けた勝俣さんの今の姿、ぜひご覧いただきたいと思います。

「命のものさし/今西乃子」










命のものさし 動物の命・人間の命・わたしの命


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(2021/4/23 04:47時点)
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日本児童文学者協会新人賞を受賞している児童文学作家、今西乃子(いまにしのりこ)さんの作。
愛媛県立とべ動物園の園長、渡辺清一さんの経験を取材して書いたノンフィクションです。

渡辺さんは公務員獣医師。
保健所、食肉衛生検査所、動物愛護センター、動物園獣医師の勤務経験で感じた命の尊厳。
野犬狩りで殺処分される犬、食用でと殺される家畜、みんなから愛される動物園の動物たち。

みんな同じ命。
これだけの命にプロの獣医師として向き合う。

動物園では人気者の動物が死ぬと一般に公表していますが、渡辺さんは園長時代、子供たちに命の重さを考えてほしいと、人気のあった動物以外の動物が死んだことも積極的に公表して話題になっています。

渡辺さんの見てきたもの、感じたこと。
獣医を目指す方々にぜひ読んでいただきたいと思います。

今西乃子さんのHPはこちら
渡辺清一さんのインタビュー記事はこちらです。

「獣医師の森への訪問者たち/竹田津実」










獣医師の森への訪問者たち 集英社文庫 / 竹田津実 【文庫】


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(2021/4/27 04:35時点)
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竹田津実さん。
北海道で大動物診療をしながら野生動物の生態を追うその姿に、私は「これだ!」と思いました。
私に本気で獣医を目指すきっかけをくれた方です。
学生時代、無我夢中でフィールドワークをしていた時の記憶は、未だに私の根っ子になっています。
本書は2018年発刊のエッセイ。
これまでにも多くの著作がありますので、そちらも手に取られてはいかがでしょうか。
竹田津さんが企画に携わった映画「キタキツネ物語」は、その映像の美しさとゴダイゴの挿入歌で、当時大きな話題となりましたね。








キタキツネ物語 [DVD]


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(2020/12/31 04:10時点)
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声のキャストや挿入歌を一新した公開35周年記念デジタル再編集版が、2013年に出ています。








キタキツネ物語 ―35周年リニューアル版― [DVD]


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(2021/4/18 04:42時点)
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「動物病院24時 獣医師ニックの長い長い1日/ニック・トラウト」


(商品リンクなし)

アメリカの大きな動物病院での格闘の日々。
日本も大きな動物病院がたくさんできてきました。
同じように激務をこなしている方も多いでしょうね。
医師の分野同様、労働環境がブラックだと言われることが多いですが、そこに自分の存在価値を見つけている方もいることは確かです。
まさに激務と戦っているが、ふと辺りを見回してみたい気持ちが湧いてきた。
せっかく獣医になったんだから、己の腕一本でのし上がっていったろうやないか、と野心をたぎらせている。
この際、せまい日本を捨てて、海外で一旗揚げようか。
そんなみなさん、一読してみてください。

「獣医さん走る/吉川泰弘」










[書籍のゆうメール同梱は2冊まで]/獣医さん走る 家畜防疫の最前線 (単行本・ムック) / 吉川泰弘/著


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(2021/4/20 04:11時点)
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吉川さんはこの道の代表格の方。
獣医疫学って、なかなか一般の方々には認知されていませんよね。
若い獣医さん、こういう分野で世界を股にかけて活躍するのも獣医師の醍醐味だと思いますぞ。
メディアに取り上げられたら一躍脚光を浴びられるかも、です。(笑)

「往診は馬にのって/井上こみち」


往診は馬にのって―淡路島をかけめぐる獣医師・山崎博道 (感動ノンフィクション)
井上こみち 著 佼成出版社 (2009/9/1)


淡路島で大動物診療をしている獣医師、山崎さん。
なんと馬で往診に出かけています。
鞄一つで往診する獣医師。私もあこがれていた姿です。
しかし馬で往診するとは、考えもしませんでした。(苦笑)
本作は2011年、児童文芸ノンフィクション賞(福田清人賞)を受賞しています。
山崎さんは、島に住み着いた山下さんと共に「あわじシェアホースクラブ」を設立し、淡路島で馬とのふれあい活動も行っています。
すごいバイタリティですね。興味のある方、ぜひネットで調べてみてください。

「災害にあったペットを救え 獣医師チームVMAT/高橋うらら」


[書籍のゆうメール同梱は2冊まで]/災害にあったペットを救え 獣医師チームVMAT (ノンフィクション・いまを変えるチカラ)[本/雑誌] / 高橋うらら/著

価格:1,650円
(2021/5/9 05:06時点)
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熊本地震で出動したVMAT。
こうした活動は、これからどんどん獣医師に求められてくるはず。
災害時という特殊環境で発生する様々な難問を、獣医師としてひとつずつ解決に導いていく。
そのためのノウハウを平時に着々と研究し、積み上げて準備しておく。
獣医さんがやらないといけない仕事は、まだまだありますね。

「野生の猛禽を診る 獣医師・齋藤慶輔の365日/齋藤慶輔」










野生の猛禽を診る 獣医師・齊藤慶輔の365日 齊藤慶輔/著


価格:1,833円
(2021/4/22 04:04時点)
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国の機関、環境省釧路湿原野生生物保護センターに勤務し、そこに猛禽類医学研究所を設立。
野生動物相手に仕事をする獣医さん。
かっこいい!
素敵です。
もっと彼のような人が増えてくれればいいなあ。
そうですね。
私がまだ知らないだけで、日本のどこかで野生動物と向き合ってる優秀な獣医さんが沢山いるんでしょうね。いやあ、楽しみだなあ。
スポーツや学問、それこそ囲碁の世界まで、とても若い世代が次々とせまい日本から飛び出して世界で活躍しています。そんな令和の時代、アクティブに活動するニッポンの獣医さんがどんどん現れることでしょう。
お若いみなさん、獣医さんの生き方、お金だけで決めちゃあいけませんよ!
野生動物相手に一仕事、どうです?
公務員獣医師のみなさん。
とりあえず飯は食えているんだから、うつむいていないで、本業の傍らフィールドワークに取り組んでみるとか、いっそ地方自治体にフィールドワーク獣医師の職場を作っちゃったりなんかしてみては?
キラキラした学生さんがわんさか押しかけて、それこそえらいことになるかもです。
え、リタイアしたお前こそなんかやれ?
本人はフィールドワークしてるつもりですが、傍から見ると、空眺めたり浜で釣りしてるだけのただのおっさんです。(大笑)

「バスター先生と小さな仲間たちーイギリス獣医師の動物日記」


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小児マヒというハンデを持ちながらペット先進国イギリスで獣医師として精力的に活動した自叙伝です。イギリスでは発売と同時にベストセラー。

大戦中という激動の時代に彼が行ってきた活動は、日本で今、ペット愛好家に対峙している開業獣医師さん達にもきっと響くものがあるんじゃないか、と、勝手に思っています。
電子書籍に押されて肩身が狭くなっている昨今ですが、たとえ絶版になっても、中古本流通で入手できるのが紙媒体のいいところ。(笑)

中古本ならあるようです。
興味のある方、ぜひ探してみてください。

「住んでみたザンビア 獣医師のアフリカ不思議体験記/佐藤良彦」


(商品リンクなし)

長野県で開業している佐藤良彦さん。
大学出てからタンザニア中央獣医研究所勤務を経た後、長野県職員として農林分野に勤務する中、JAICA専門家としてザンビア大獣医学部に勤務していました。
本業だけでなく、執筆活動もエネルギッシュです。
動物病院のホームページで紹介されています。

本書はザンビアでの体験記です。

子育て世代職員にはステップアップの道筋を示す

「再任用職員には最初に引導を渡しておく」の続きです)

幼い子供さんを抱えて仕事をするのはとても大変。
子育てを終えた職員にとってはかつて自分が経験した道。
子供さんのいない職員にとっては、これから自分が直面するかもしれない状況でもあり、たとえそうならなかったとしても、今後自分の仕事を強力に支えてくれるパートナーとなるかもしれない存在。
お互い様なんだからと、一致団結して臨まなくてはなりません。

各自治体では職員に対し、さまざまな子育て支援策を打ち出しています。
本記事では子育て支援と職場の仕事マネジメントのバランスをいかにとるかがテーマなので、特に時間外勤務や休日出勤を中心に書いていきます。

各自治体の職員への子育て支援では、生まれた子が小学校に入学するまでは時間外や休日出勤をさせるな、とする自治体が多いようです。なので育休明けから数年程度、時間外勤務や休日出勤を免除することになります。
本記事ではこの期間、時間外や休日出勤を免除してもらっている職員のことを「子育て職員」と呼ぶことにします。
また、所属する自治体が時間外や休日出勤を免除している期間を「支援期間」と呼ぶことにします。

数年に及ぶ支援期間。本人としても組織としても、決して短い時間ではありません。
各職場の管理職は支援期間中、残された職員の負担をなるべく小さくすると同時に、子育て職員に上手く職場復帰してもらえるよう仕掛けておかなければなりません。

1 残された職員の負担軽減策
@急な休みの時のバックアップ要員
子供は病気やケガをするのが仕事。そのたびに子育て職員は急に休みをとらないといけなくなります。
だからと言って、軽い仕事や誰でも代わりが勤まる仕事ばかりを預けてはいけません。
責任のある重い仕事をきちんと背負ってもらうのです。
子育て職員に急な休みが入った時のために、子育て職員を補佐するサブリーダーを必ず付けます。子育て職員に急な休みが入った場合、サブリーダーが第一義的にピンチヒッターとなるのですが、サブリーダーが代われない場合は、各公所の管理職やその次のポストの者が率先してバックアップ要員を担うのです。要は食肉衛生検査所なら「所長や次長」、保健所なら「課長や課長補佐」ですね。

私の現役時代は、「所長は現場に出させるな!」とよく言われたものです。
まあ色んなニュアンスを含んでそう言ってたのだと思いますが、どの職場もギリギリのスタッフで回している昨今、所長だろうがイワシの頭だろうが、使えるものは使うのです。
所長と一緒に組む係の担当者も、気い使っちゃうし変な所を見られても困るから組むのやだな、なあんて言わないで、人手が足りないんだからお前も仕事しろ、と、どんどんやってもらおうとする気構えが大事です。
組織で仕事してるんですよ。
全部自分達で被ろうとするから追い込まれるのです。

A時間外対応要員の確保
子育て職員は毎日、夕方には帰宅しないといけません。しかし様々な有事案件が日常的に突発する保健所では、時間外勤務が避けられません。
サブリーダーがフォローしきれない時間外勤務は、管理職がバックアップします。
なので保健所の管理職の権限を行使し、子育てで夕方帰らないといけない職員の数を、管理職がカバーしきれる人数まであらかじめ減らしておくのです。

手段は人事異動。そして、よく使われるやり口は2つです。
ひとつ目は、子育ての時期、食肉衛生検査所のような時間外勤務の発生しにくい公所に異動させる。二つ目は、生活支援を期待できる近親者の生活圏に異動させる。このふたつは、すでにいろんな職場で支援策としてやられていますね。

いずれにせよ保健所の管理職は、自分がバックアップしきれない人数の子育て職員を抱え込んではいけないのです。

2 支援期間の過ごし方を共有
ここからがこの記事の本題です。
子育て職員は保健所や検査所で何年かの経験を積んでくれた、貴重な即戦力。育児しながら仕事を続けたいと考えてくれる職員の復帰は大歓迎です。

しかし、子育て支援を受けている人の中には、子育てを理由にしさえすれば、そのままずっと組織から守ってもらえるんだ、と勘違いする人が必ず出てきます。
肝心なのは、子育て支援を開始する一番最初の時期、つまり女性職員なら産前休暇の前、男性職員なら育児休業の前に、育児休業が明けてからの支援期間の過ごし方を、本人によく話しておくことです。

「支援期間の過ごし方」
@生活スタイルの設計
自治体で決めている支援期間をきちんと把握し、それが終わるまでの間に、支援期間の満了後にどうやって時間外や休日出勤を分担しつつ子供を育て、暮らしていくのかについて、家族でよく話し合っておくこと。
A支援期間中の仕事分担
子育て職員はこの先20数年、自治体の重い仕事も背負っていく立場にある。重要な仕事もどんどん覚えなければいけないことを自覚すること。
なので、支援期間中は自分の担当する仕事を一時的に代行可能なサブリーダーを職場から必ず付けてもらって急な休みにも対応できる体制をとり、重要な仕事も担っていくこと。
B支援期間満了後の職場での立場
支援期間が満了したら、今度は自分が育児支援を願う若い職員を支える番であることを自覚し、彼らの仕事を分担し、良き理解者となるよう努めること。

こうした過ごし方を事前にきっちり説明せず、居合わせた管理職が組織としての一貫性を持たせないまま、思い思いに目の前の子育て職員に対応してしまう。
組織的な対応が準備されていないから、物分かりのいい上司と思われたいという心理が優先し、「どんどん休んで」とか「できる仕事だけしてもらえればいいから」と耳障りのいい言葉に終始してしまう。
そんな目先の対応で済ませてしまうから、復帰しても新人さん程度の仕事しかできない子育て職員がたくさん出来上がってしまうのです。

子育て職員の複数年に及ぶステップアップの道筋を設計して各職場の管理職に行わせる。これは管理職を統括する立場にある県庁主幹課の課長の仕事。
そしてきちんと引き継ぎを行い、主幹課長の設計した道筋どおりの一貫性のある対応で子育て職員のステップアップを図る。これが各職場の管理職、つまり食肉衛生検査所の所長、保健所の課長の仕事です。

だから各職場の人事権限のある管理職は、必ず職場マネジメント能力のある人物が担わなくてはならないのです。
能力のない人物にやらせるぐらいだったら、そのポストを獣医さんから分取って、スパスパ捌ける事務方に明け渡した方がずっとずっとましだ、と私は思ってます。
posted by 拓一人 at 04:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略

再任用職員には最初に引導を渡しておく

「子育て世代と再任用職員が職場活性化の鍵」の続きです。)
まずは再任用職員から。

最近は再任用ではなく定年延長の方向に向かっているようです。目の前では65歳までの定年延長への議論が具体化していますね。

仕事分担の見直しを考えるにあたり、まず、再任用職員として食肉衛生検査所に勤務している先輩方の働きぶりや他の年代の職員との関係性について私が感じたことを挙げてみます。

ひとつめはと畜場での現場検査。
酷暑や厳寒期は若手でもそうとうつらいものですが、体力的にシフトをこなせないという方はいませんでした。しかし、老眼が進んで照明が暗いと手元がよく見えない、とっさの動きが鈍くなる、手首や足腰を痛めると長引く、といった加齢による生理的変化は、みなさんが訴えていました。そのため、十分な休養や通院加療がとれるよう、現場シフトや勤務日程への配慮が必要でした。

ふたつめは事務室での知識と判断力。
こちらは全く問題ありません。話の振り方に気を付けさえすれば、どなたも新たな案件にも耳を傾け、助言してくれました。

三つ目は他の年代層の職員との協調性。
これが最も個人差が大きかったです。
もう現役を引退したのだから、責任が生じる仕事はやりたくない、と畜検査しかやりませんと言う人。
逆に現役時代、特に管理職時代のクセが抜けず、万事手も出すしクチも出す人。

四つ目に気になったのは、どの方も現役時代に経験していない業務には手を出したがらないこと。特に現役時代に経験のなかったと畜場や食肉処理場のHACCP監視指導は嫌われていました。
加えて試験室内検査は、若手にお任せします、という態度を決め込む傾向が強かったようでした。

私の勤めていた自治体では、着任した公所でどんな仕事を担当させるかは、それぞれの公所の管理職に任されていました。しかし、再任用職員の配置には厳然たるルールがあり、自宅から通勤可能な公所にしか配置しない方針を貫いていました。

私の経験した再任用職員の方々。
それですべてを論じるつもりはありませんが、このような性向を持った方々に対してどういう仕事をどのように分担してもらうか。
これをお話ししていこうと思います。

まず何より、最初から楽な仕事をもらえるもんなんだ、また、楽な仕事を預けなきゃ、という発想を、労使ともに捨てないといけません。「再任用初年度はまずフルで働くものなんだ」というスタンスに立つことにするのです。
定年を迎える職員のほとんどが各公所の管理職なので、彼らを統括し指導する立場にある県庁主幹課の課長が、こうしたスタンスをあらかじめ明言しておく。

そして先に書いたように、やったことのない仕事には抵抗感がある一方で、自分の経験した仕事には一家言ある方々です。ならば再任用初年度は、体力的事情や家庭事情に配慮しつつ、経験を生かした仕事を分担してもらうのが良い。
食肉衛生検査所が長かった人なら検査所、保健所での経験が豊富なら保健所、県庁が長いならこの際県庁、といった具合です。この場合、自宅から通勤可能な公所に限定してしまうと、他の現役職員との兼ね合いから、経験を活かせる職場に行ってもらうことができない。
なので、勤務する公所を自宅から通勤可能な範囲に限定せず、全県下としたい。
そして現役を終えた先輩だからと遠慮なんかしない。現役職員と同様に、突発した有事案件も含めた時間外対応もお願いし、現役職員と共に働く良き相棒であり、良き助言者として活躍してもらう。

再任用職員は1年契約。勤務公所や仕事の内容は、本人事情や家庭事情を毎年確認した上で、1年ごとに見直せばいいのです。

初年度からご隠居暮らしを決め込んで、自宅から通える公所で軽いルーチンワークしかしたくない、という人には、それでは現役職員のお荷物になるだけです、現役職員と同等に仕事してもらうのがまず出発点です、と、引導を渡しておくのです。
その方が、ああ、公務員職場だって厳しいのは知ってた、勤まりそうもないなら自治体に残るのは諦めないと…。と、思ってくれるはずです。

これができない主幹課の課長は、なんだかんだ言っても、年金をもらえる65歳までのんびり勤められる職場を自分も確保したいだけなんだな、と、後輩職員から陰口を言われてもしょうがないのかなと、私は思います。

「子育て世代職員にはステップアップの道筋を示す」に続きます)
posted by 拓一人 at 04:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略

子育て世代と再任用職員が職場活性化の鍵

「人材の確保」の続きです。)

子育て世代の支援と年金受給年齢の引き上げに伴う定年職員の再雇用。これらは現代社会の大きなテーマです。

日々の仕事をこなしつつ組織の中での仕事分担の見直しを進めろ、ということになるので、官民問わず、どの職場でも右往左往しながら試行錯誤をしている最中ですね。
これらのスローガンの旗振り役である国は、民間企業よりもむしろ下部組織である地方自治体に対して、お前らがまず真っ先に実践しろ、というプレッシャーを強烈にかけてきます。

そして国の意を受けた県庁上層部のプレッシャーに耐えきれず、仕事分担の見直しを置き去りにしたままで、管理職が子育て世代支援と再任用職員の採用をまず優先してやってしまう。
こうして多くの公務員職場が悲惨な状況に追い込まれているのです。

公衆衛生獣医さんの職場も全く同じ構図です。

保健所は食中毒事件や不良食品調査、動物案件や旅館・ホテルのレジオネラ案件対応等で、日常的に突発的な時間外業務があります。
食肉衛生検査所では四季を通じ、と畜検査で物理的な体力を求められます。また酷暑や厳寒期のと畜検査は、健常な人にとっても過酷な労働環境の所がほとんど。
加えて、マイクロレベルを扱うような繊細な検査技術や日進月歩の試験室内検査もやれと言われます。
また、保健所、検査所ともに、仕事に一貫性を持たせるため、1年間通じて特定の担当者を立てて進めなければいけない仕事も数多くあります。

公衆衛生獣医師職場に限らず、さまざまな係ごとにあるこれらの「重い仕事」は、複数いる部下の資質や家庭事情を見極めた上で、係長や部門の課長といった中間管理職が仕事を割り振り、仕事を進める。
これがこれまでの業務管理のスタイルでした。

そして今。仕事の割り振りを考えなければいけない係長や部門の課長はこう考えます。

子育て世代には、これからは重い仕事を預けられない。
新たに職場に登場した再任用職員をどう取り扱っていくのかは暗中模索の状態だし、上司から特に指示はない。
かつての上司や先輩方なので、怒りを買わないよう、とりあえず無難な仕事だけやってもらおう…。

悲しいことに、子育て世代や再任用職員の仕事の質と量を軽くしてくれるんだったら、係の人数を増やしてあげますよなんてことは、上司は絶対言わない。
それに重たい仕事背負える人減ったんだから、もうやんなくてもいいですよ、なんてことも言わない。住民や関係者の細かいニーズにもっと柔軟に応じろ、という考え方が主流の昨今、重たい仕事はむしろ増える一方だ…。

とにかく仕事回さないといけないんだから、今いる残りのスタッフで背負えるもの背負ってもらったら、残りの重たい仕事は全部俺が被るしかない…。

これが数多くの係で仕事の分配と進捗管理を任されている係長や部門の課長の実態です。

できる人でもそうとう厳しい状況ですが、資質や能力ではなく完全年功序列で係長や部門の課長を決めてる職場では、できる人だから「長」の役職を勤めてる、とは限りません。こなしきれずに係長や部門の課長が崩壊した職場では、あっという間に仕事が止まってしまいます。
見かねた部下の中から自己犠牲の精神のある人が助け船を出し、仕事が再び回り始めることもあるでしょうが、今度はその人がオーバーワークで破綻してしまう…。

仕事に前向きに取り組む人と中間管理職に雪ダルマ式に仕事が覆い被さり、疲れ果ててしまう。
さらに悪いことに、仕事が軽くなった子育て世代や再任用職員の中には、「誰かがやってくれるさ」「言われたことだけやってりゃいいんだ」と、その職場状況から目を背ける人まで出てくる。

俺達が全部背負ってやってんのに、こいつらは組織に守られてさっさと帰っちまう…。
真面目にやってんの、アホらしくなってきた…。

そして職場が全員、無気力な集団と化す。

どうしてこんなことになってしまうのか。
その元凶はただひとつです。
「子育て世代、再任用職員には重たい仕事を背負わせることはできない」と画一的に考え、仕事を割り振ってしまったことにあります。
子育て世代、再任用職員と言っても、個々の能力や資質、家庭事情は全部違うのです。そこをひとつひとつ見極め、仕事を分配しなければなりません。

しかしそもそも係長や部門の課長などの中間管理職は、目の前にいるスタッフをどう組み合わせれば仕事が回るのか、それを考えるのが仕事。中間管理職が必死に個々を見極めて仕事を分配しても、仕事の担い手が全然足りず、係の仕事が回らないケースの方がむしろ多い。
そんな時は、同じ公所の他部門からのトレードや他公所とのトレード、つまり人事異動で新たな担い手を確保したり、個々の事情で重い仕事を背負えなかった子育て世代や再任用職員の個人事情を解消してあげて新たに仕事を担えるように仕向け、仕事の行き詰まりを解消しなければなりません。

そうです。
これは本来、各公所の中間管理職の仕事ではありません。人事権のある管理職の仕事です。

公衆衛生獣医師の職場に立ち戻るならば、人事を統括する主幹課の課長の1局集中管理の下で、食肉衛生検査所の所長、保健所の課長など、人事権限のある役職に就いている管理職こそが対処しなければならない問題なのです。

職場活性化の鍵を握る子育て世代の職員と再任用職員。
公衆衛生獣医師職場での彼らの仕事分担の見直しを、管理職はどう進めるべきか。これを考えていきます。

「再任用職員には最初に引導を渡しておく」に続きます。)
posted by 拓一人 at 04:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略

人材の確保

「公衆衛生獣医師の人事管理システム構想」の続きです。)

人事ルール設定と同時にやらないといけないのが、人材の確保です。

人材の確保にはふたつあります。人数の確保と、質の確保です。

人数の確保=新規採用者を増やす


現在主流になっているのは奨学金制度、初任給調整手当、インターンシップ(職場体験実習)といったところ。
しかし前の記事でも書きましたが、何せ職場の知名度が低すぎます。
どこだかわかんない、何やってるかわかんない、物がない、不便だとか、悪い情報ほど広がりやすく、良い情報はなかなか広まっていかない。
ここにテコ入れしなければなりません。

またターゲットは、獣医さんとしてやりたい仕事のイメージが固まりつつある現役の獣医師や獣医師になろうとしている人だけでなく、働いてお金をもらって生きていく、ということを意識し始めた中高生など、広く一般の人達を対象とすべきです。
「こんなことを感じながらこんな所でこんな仕事に向き合い、日々はこんな暮らしをしているんだよ。」
こういった、地方で暮らす公務員獣医師の仕事ぶりや暮らしのイメージが作れるような情報を、食肉衛生検査所、保健所、家畜保健衛生所などといった職場ごとに、手を替え品を替え、あらゆる手口で発信し続ける。
これに尽きます。

みんながネットで繋がってる時代です。
動画とかあらゆるメディアを駆使して、バンバンアピールしてください!今どきは国の職員ですら動画発信している時代なんですよ。地方ならではの発信があるはずです。
某県ではウェブ上で現役職員が受験希望者の相談を受け付ける、なんて取り組みも見かけましたね。

また、獣医学生を対象にインターンシップと称して多くの自治体が実施している職場体験実習。
ここでは、きれいごとしか見せてあげないようにしよう、などと考えてはいけません。入ろうかなと考えている人はそんなうわべ事が知りたいのではないのです。
どんな悩みを抱え、どんな苦しみを感じているのか。またその一方で、たとえどんなに小さくささやかなものだとしても、喜びや楽しさを感じる瞬間があったとするなら、それは一体、どんなものだったのか。
そういうことを知りたがっているのです。

今現在その仕事をしている、自分にしか話せないこと。
それを一生懸命考えてあげてください。
実習が終わってしまったらもう会えないかもしれない彼らに、どうかそんな話をしてあげてくださいね。

さらに獣医学生だけでなく現役の獣医師さんにも伝わるように、学会や研修会、雑誌投稿で現場の課題や新機軸となりうる概念や技術の提案をせっせと行い、その分野で「とんがってる」自治体なんだぞとアピールするのです。
本来ならば臨床獣医師さんと同様に、現職の公務員獣医が自分の専門分野を深めるために何らかの形で大学に戻って学生さんと触れ合う。そのぐらいまでにならなければ、獣医学生さんが現場の空気を直接体感することなんかできないのです。

「忙しいから仕事の見直しや組み替えなんて考えるのやめよ。」
「予算がないから調査研究なんてやめよう。」
「学会や研修会出席旅費なんて削っちゃえ。」
「そもそも財政厳しいんだから、調査研究なんて無駄な仕事そのものやめちゃえ。」

こういう声を私はうんざりするほど聞きました。
でもそれをやってしまっては、
「うちは仕事や職場を改善しようなんて気力はありません。既に目の前にあるルーチンワークをただひたすらやっつけている職場ですから、ほっといてください。」
と、全国の同業者や獣医学生に声高らかに宣言しているようなものです。
こんな職場、今働いている獣医さんは受け入れているとしても、これから入りたいと思う獣医さんなんて、いると思いますか?
いいから言われた通りに黙ってルーチンこなしてろ!って、これから入ってくる人達に言うんでしょうかね?

よりよいものへ向かおうとする気力のない技術の職場。
そんなものはいっそ、落ちるところまで落ちて、崩壊してしまう方がいいです。

そしてビジョンのない組織には誰も来ません。
例えば「うちの自治体はfrom farm to table、one healthを実践する獣医師の集団を目指している。だから必ず公衆衛生と家畜衛生の二つを経験させる!」などと宣言し、複数年に渡る明確な育成スケジュールを作成して学生さんへの説明会で提示し、厳格に実施すべきです。

今いる職員の質を底上げ


新規採用者を増やす努力と同時に、今いる職員でもっと仕事を分担してもらえる人はいないのか、もう一度見渡してください。
私は、再任用職員と育休が明けた子育て期の職員に活路があると考えています。

次の記事でさらに書いていきます。

「子育て世代と再任用職員が職場活性化の鍵」に続きます。)
posted by 拓一人 at 04:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略

公衆衛生獣医師の人事管理システム構想

「志を共にする同志か、傲慢冷酷になれるトップが欲しい」の続きです。)

私が考える公衆衛生獣医師の人事管理システム構想です。

(このシステムで運用されている架空の県、里崎県を舞台にした小説「いただきまーす!」を、ただいま連載中です。)

「公衆衛生獣医師人事管理システム構想」(作成:2020/6/13、最終更新2020/7/30)

1 基本的考え方
年功序列人事を完全廃止。担当業務の質に着目した区分を設定して人事管理し、組織目標への貢献度に応じて昇給・昇格を行う。

2 区分
(1)定型業務担当者
人事評価基準:定型業務消化
昇格・昇給ペース:最低。
本人希望のほか、業務に取り組む姿勢が消極的な者と上司が判断する者をあてる。マニュアルに沿った仕事のみ担当させ、本人希望に依らず1〜2年で全県下の食検と保健所へ転勤。「長」の付く役職への昇格は不可。

(2)専門技術担当者
人事評価基準:専門技術を要する業務の管理と技術向上、当該業務担当の後継者発掘・育成。
昇格・昇給ペース:中。
専門技術に長じた者の中から本人希望を確認の上選任。各公所での専門技術の継承が途切れないよう、県内の別エリアの公所での当該専門技術を担当することがあることも予め了承していることが前提。

(3)地域コミュニケーション担当者
人事評価基準:地域事情に精通し地域の関係者との良好な関係を構築・維持、各種政策の啓発普及と当該業務担当の後継者発掘・育成。
昇格・昇給ペース:中。
コミュニケーション能力に長じた者の中から本人希望を確認した上で選任。転勤範囲は同じエリアの食検と保健所。

(4)総合調整担当者
人事評価基準:各公所及び県庁主管課での政策立案と所属する公所の各担当者の統括・調整、当該業務担当の後継者発掘・育成。
昇格・昇給ペース:最高。
プレゼンテーション能力や政策立案能力、組織マネジメント能力に長じる者の中から本人希望を確認した上で選任。県内の食検、保健所業務を経験させた上で順次県庁を経験させる。

3 運用
(1)適用対象
当該自治体の公衆衛生分野に所属する獣医師職員全員を対象とする。再任用職員、子育て世代職員も他の職員と同等に取り扱う。
(2)新規採用者
新任者は定型業務担当者としてスタート。機械的に1年ずつ食検、保健所を経験させ、3年目は適性と本人希望を上司が確認し、配置する。
(3)3年目以上職員
3年目は基本的に、本人の希望する職域および担当に配置する。組織目標に合わせた個人目標を自ら設定させ、設定した個人目標の組織への寄与度と達成度を上司が評価する。組織寄与度及び達成度が低いと判断された者は次年度の配置に当たり本人希望への配慮を下げ、上司判断を優先する。正当な理由なく自ら設定した目標を達成できなかった者は、次年度、昇格昇給レベルの低い別の担当へ移す。
(4)昇格
組織マネジメント能力があると上司が認めた者のみ、「長」の付く役職に就かせる。
(5)自己都合による担当の変更
各担当者は家庭事情、本人都合に限り、本人が申し出れば上司、県庁と調整の上、他の担当へ代わることができる。

「人材の確保」に続きます。)
posted by 拓一人 at 04:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略
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プロフィール
拓一人さんの画像
拓一人
拓一人(たく かずと、ペンネーム) 某県で20数年公衆衛生獣医師として勤務し、退職しました。 食肉衛生検査所、家畜保健衛生所、保健所、県庁での勤務経験があります。 獣医師としての進路に迷っている方、これから公務員獣医師になろうと考えている方や、今現在公衆衛生獣医師として勤務している方々に、何かの形でお役に立てればいいかなと思ってます。 今は家族と共に、地元の豊かな自然の姿と旬の食材を楽しむ日々を送っています。
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