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2017年01月07日

『Another Archive Online〜ハハッワロス〜』第六話【下準備と名前変更】

―――食堂
 「はいはーい!どんどん運んでくださいね!今日はアグロのパンとルルさん特製シェチューと山野菜のサラダです!」
 「はーい!」

 ルルさんの呼びかけに答えてシンク君(仮)が食事を並べていく。自分より小さい子が準備しているのにぼさっと座っているのが心苦しく、手伝おうとするも、シンク君(仮)にこれは俺の仕事なんでダメです!と注意されてしまった。軽くしょんぼりしつつも食事を配られていく様を眺めているだけである。

 「うーむ。おう、おはよう諸君」
 「ボス!おはようございます!」
 「おはようございます。ボス!ってあー、また寝巻のまま来て、みりんさんもいるんですよ!」
 「えー、いいじゃねーか、減るものもないし。着替えるのめんどくさいし…」
 「またそんなこと言って!シンクがボスみたいになったらどうするんですか!」
 「………なんか心にグサッと来たぜ…」

 考えながらやってきたのか腕を組みながらやってきたのはジョーカーさんだった。寝間着姿のままでしっかり頭の帽子まで被っているのが可愛らしい。こんな風景を現実世界で見ることは間違いなくなかっただろう。こういうのなんか良いな…。

 「(おはようございます。なんか考え中ですかね)」

 紙にささっと挨拶を書いてジョーカーさんに見せると、ジョーカーさんはそのまま俺の席の横に座った。

 「いやー、みりんの状態のこと色々考えてたんだが、うーむ。言っていいものか悪いものか。悩みどころだぜ…」
 「(それを本人の前で言うなら言ってくださいよ…)」
 「それがなー、半信半疑のところもあるし考えもまとまってないからな。まとまったら伝えるぜ!」
 「(非常に聞きたいところですが、分かりました。)」

 そのまま4人が席に着き食事をとる。 
 6人掛けの大テーブルが3つ、テーブルも椅子も一つ一つつやがあり、コーティングされていることが分かる。ナイフにフォークも形が均一で現実世界で生きていた時と食事のとり方に違和感がない。これだけのものが作れて何故紙が高価なのか、電子ネットワーク文化がないのか。残念である。

 ギルドへの潜入は準備に7日ほどかかるとのことから、その間に自身の戦闘力の加減を調べるために、訓練用スペースを借り、思いつく限りのことを試してみた。
 それにしてもこのアジト広すぎる…。以前一度野球を見に行った福岡ドームくらいの広さはあるのではないだろうか。訓練スペース自体がサッカーグラウンド位の広さがある。
 地面は土。入り口から入って右手を見れば弓か何かの的のようなものが見える。この広さの中、一人で訓練は寂しい気もするが、いろいろ試すには一人のほうがやり易いからありがたくはある。

―――訓練場
―――1日目―――
 体力の続く限り、黒の木刀を振り続ける。
 一に素振り、二に素振り、三四も素振りで五も素振り。
 仮想敵はおらず、ただただ上段から下段に、下段から上段に振り続ける。
 全力で振り続けてなお、スタミナがなくなるまでに3時間ほどの時間を費やした。最大スタミナが多いため、それに比例して回復するスタミナ量も多く、減っていくそばからスタミナが回復するため、スキルを使いまくらない限りはスタミナ切れになることはなさそうである。
 昼食をとり、再び体力が回復すると今度は緩急をつけたり、飛び跳ねたり、自身の移動速度を試してみた。
 走るのが楽しくなってきたので途中から『縮地』のものまねなどもやってみた。慣れてくると1歩で5mほど進むことができた。『スリップ』を使わずとも前に進むだけなら『縮地(仮)』が一番早く動けそうである。
 最後に全力疾走で体力が尽きるまで訓練場を走ってみることにした。途中から砂埃が舞い始めたがそのまま続行。やっている途中に目を開けていられなくなったので、隅っこに避難していると様子を見に来たルルさんが扉を開けてすぐなんですかこれはー!と言いながら咳込み始めた。

 「ハハッワロス(なんかごめん)」

―――2日目―――
 仮想敵をイメージし、スキルを交えて戦ってみる。
 イメージがうまくできず、スキルのぶっ放しになってしまった。やはり実戦経験不足だろう。ゲームの中ではいくらでもイメージが出来ていたのだが、実際の自分の動きと全くもってかみ合わない。しかし、実際戦闘で使いやすいスキルを言うものがある程度理解できた。
 予想通り、出の早く隙の小さいスキルがやはり一番使いやすい。
 攻撃にスキルを組み合わせ動いていると、さすがに昨日より早くで疲れてしまった。
 途中様子を見に来たジョーカーさんが食べ物の差し入れを持ってきてくれて感動した。良く分からないパンを俺に渡すとすぐにどこかへ行ってしまった。女の子の差し入れは実際されるとものすごく嬉しい。ハイテンションで剣戟を飛ばすスキルを使っていると、加減を間違え壁に大穴を空けてしまった。音を聞きつけてやってきたルルさんに怒られた。
 
 「ハハッワロス(ごめんなさい)」

更に怒られた。

―――3日目―――
 戦闘系以外のスキルを色々試してみた。
 結果として魔法系は使えるスキルなし。錬金術スキルは使えたため、『ゴーレム錬成』し、戦闘相手にすることにした。どうやってゴーレムを錬成しているのか分からないが、なんかイメージしながら地面にマナを送るとできた。
 ゴーレムを操るならゴーレムに意識を向け続けないと動かせなかったため、ただの的にしかならなかった。しかし、剣戟と飛ばすスキルの的になってくれたため、錬成しまくって的にした。
 全力の『エアスラッシュ』でも3体重なっていれば防ぎきれるため、いざと言うときの壁にはなりそうである。ゲームでは同時に錬成できるゴーレムは1体だけだったが、この世界ではマナのある限り錬成できそうである。これなら壁を壊すこともないと、昨日怒られて辞めてしまった剣戟飛ばしを再開した。

 「ハハッワロス(剣戟を飛ばすの楽しすぎ)」

 ゴーレムを錬成しまくり、地形がでこぼこになってしまったため、ルルに怒られた。

―――4日目―――
 地形を戻すために試行錯誤。つぎ込むマナの量を多めにするとそれにつれて錬成できるゴーレムの大きさも大きくなるようである。結果、3〜4m位の天井ぎりぎりの巨大ゴーレムを錬成することができた。今度は意識して操ってみた。
 穴が開いているところには土を被せ、デコボコのところは通称『ゴーレムローリングアタック』でごろごろして綺麗にした。残ったゴーレムを錬成解除すると土の山が出来た。これではまた怒られると思い、さらに試行錯誤。30cmほどのミニゴーレムを大量に錬成し、移動させて錬成を解除した。この位の大きさのミニゴーレムだと操りやすく、移動だけなら同時に10体くらい行けた。これは訓練すると見せかけの兵士軍団が作れそうである。
均等に小さな土のもっこりが大量にでき、畑を耕したみたいになった。

 「ハハッワロス(畑耕しに使えるな)」

 やってきたルルさんになんで畑にしているのかと怒られた。その後、足場がふわふわしてるのも逆に訓練になるかもですねとの判断から畑は放置で良いことになった。
 
―――5日目―――
 弓系スキルを使ってみることにした。
 『アイテムボックス』を使えるのは俺だけのようなので自前の弓と矢を出すわけにはいかず、ジョーカーさんに借りてやってみた。
 スキルレベル自体はかなり高いほうではあるのだが、弓を扱うというのが実際非常に難しく、何度やっても狙ったところにとんでくれなかった。命中率が死んでおり、使い物にならない。弓の狙いに関してはエイムアシスト機能も働かない模様である。
 止まっているゴーレムにさえなかなか当てられず、高威力スキルを使った際、見事にゴーレムの横を通り抜けて壁に大穴を開けた。音を聞きつけてやってきたルルさんに怒られた。本格的に使うなら反復練習が必要である。
 
 「ハハッワロス(アーチャーにはなれなかったよ)」
 
―――6日目―――
 ジョーカーさんがどこにいるか分からなかったため、ルルさんに頼んで魔法を自分めがけて撃ってもらった。ルルさんはサポート魔法メインで攻撃魔法は中級クラスまでを納めていたため、初級と中級の魔法をルルのマナが尽きるまで撃ってもらった。まず初級から始まり、初級魔法の『ファイアボルト』は熱いですんだ。『アイスボルト』は冷たいピンポン玉あてられた感じ。『サンダーボルト』は静電気でビリッとした感じだった。やはり魔法耐性のようなものがあるようだ。でないと『ファイアボルト』―――炎の塊を当てられて熱いで済むわけない。
 次に中級魔法に移る。ルルさんの様子がおかしかったが続行。中級も同様に受けてみようとも思ったが、痛いのはやっぱりやめておこうとの判断で、全て剣の一振りで無効化してしまった。ルルさんがどうせ私は一生サポート役なのですと涙目でいじけてしまった。

 「ハハッワロス(ものすごくごめん)」

 泣いて訓練場から飛び出し、ジョーカーさんがブチ切れて登場。ひたすら謝った。結局事情をすべて説明し、何とかおさまった。シンク君の咎めるような目線が痛かったが、事情を説明したところ。頭をなでてくれた。シンクちゃんは女の子でした。何故女の子と分かったかは察してほしい。
 落ち着いたルルさんとお話をしていると、まだちょっと目の奥に涙も見えるのに笑いながら

 「毎回ルルさんルルさん書くのもなんかこそばゆいですし、ルルでいいですよ!」

 なんだこの女神は―――料理もできて可愛い。ユーモアもある。もう結婚してください。なんて馬鹿な事考えながらルルと呼ぶことになった。口に出して呼べないのが悲しい。

―――6日目夜―――
 俺はジョーカーさんに魔法に関する本を1冊借りて、寝る前に読んでいた。そして何故軽装の人が多いのかを理解した。そもそもジョーカーさんやルル、ギルマスのおっさんにローザは『魔力障壁』と言うものを張れるのだ。
本で読む限りでは薄い膜状のもので、達人になると目には見えないらしい。ただ、『魔力障壁』は使う人間次第で鋼よりも固い壁になるようで、戦闘中は『魔力障壁』を展開し、素早く移動するのが主流という事が分かった。
 シルバーレギンとの戦闘中は俺も『魔力障壁』を張っていたと思われているんだろうか。でないとこんな軽装であんなバカでかいライオンのひっかきを受け止めるなんて考えないよな。俺の素の防御力と物理耐性という謎のものが高かっため防げたなんて言えない。
 布団の中で『魔力障壁』の張り方を練習するも使えず。練習が必要のようである。

―――7日目―――
 昨夜『魔力障壁』が張れないことが分かったが、張らなくてもそこまで大きなダメージを受ける気がしない。しかし、不意を突かれたり急所攻撃の場合もあることから対策を考えることにした。
 対策としていざと言うときの防御をどうするか悩んでいたところ、『気功』スキルがかなりよさそうなことが分かった。ゲーム中では、気功使用中はのけぞり効果減少、スタミナ1秒間に1使用、被クリティカル攻撃率減少といったスキルだった。
 しかし、実際に使ってみると中々応用法があり、ゴーレムに近づいた状態で『気功』スキルを内から外に放出するイメージで使ってみるとゴーレムを吹っ飛ばすことができた。緊急時の危機一髪などなど色々な用途に使えそうである。エフェクトが何故か黒かったため、闇落ちした剣士みたいで中二病心をくすぐられた。威力が上がるわけではないが、『エアスラッシュ』に黒いエフェクトを纏わせることもできた。

 「ハハッワロス(闇の炎に抱かれて消えな)」

 途中からシンクちゃんがこっちを見ており、ものすごくかっこよかったです。と目をキラキラさせながら近づいてきた。思わず頭に手を載せてみると気持ちよさそうな顔をするため、なでなでしてみた。抱きしめたい衝動にかられたが、さすがに自重した。


 7日間で色々あったが、自分の居場所的なものを確保でき、精神的にもかなり助かったというのが本音だ。葛藤もあったが、やはり盗賊団に入ってよかった。特に仲良くなったのはルルだろう。なんか毎日怒られてばかりで肩身が狭いが、楽しいと本気で思っている自分がいる。今が楽しくて元の世界に帰らなくてもいいかなとも思い始めた。住めば都ということだろうか。
 訓練の合間に色々調べてみたが、俺は世界屈指の実力者であることを理解した。問題は戦闘経験だけである。多少の手加減はできるようになったが、いざと言うとき10全の力を発揮し、過剰攻撃をしてしまいそうである。後、気を付けるのは人質や毒などの搦め手位なものだろうか。いや、虫系のモンスターとかも無理だな。
 突然割って拭いた圧倒的な力。他者と一線を画した力を持つことによる優越感。このように考えている時点で慢心しているのかもしれないが、慢心せずに、上から目線にならずに生きていきたいものである。
 まだ早い時間ではあるが、明日に備えてそろそろ寝ようとしていると部屋をノックする音が聞こえた。

 「みりんさん、ちょっといいですか?」
 「ハハッワロス(どうぞ)」
 「うーん…入っていいのかどうなのか分かりにくいですね。入ります!」
 
 現在俺がハハッワロスとしか喋れないことを知っているのはジョーカーさん、ルル、シンクちゃんの3人である。ルルは俺の「ハハッワロス」が蔑笑ではなく、別の意味の言葉を喋ったものだとしてあとの言葉を続けてくれた。本当にありがたいものである。
 普通なら「ハハッワロス」しか喋れませんなんて信じないだろうが、少なくともこの3人は信じてくれている。ファングさんは出会ったその日のうちに『ルーラン』の調査に行ってしまったようで全く話していない。

 「おじゃましまーす!」
 「邪魔するぜ」
 「ひゃっ」

 ルルの後ろからジョーカーさんがぬるっと現れたため、ルルが吃驚している。顔を赤くしてジョーカーさんに怒る姿は何とも可愛らしい。そしてジョーカーさんも寝巻も相変わらず恰好可愛らしい。つまり両手に花である。

 「(お二人とも、今日はどうしたのですか?)」
 「いやー、俺はただルルがいたんでからかいに来ただけだぜ」
 「もう!…んん、私は明後日からのギルドでの打ち合わせに来ました」
 「龍殺し自体には俺も参加すると思うがそれまではよろしく頼むぜ!」

 冗談を交えながら今後の対応を決めていく。

 「まず当日ですが、精霊の森の比較的町から近い場所に『ゲート』を開いて転移します。町に着いたらみりんさんに冒険者としての手続きをし、私とパーティーを組み、早い段階でランクが上がるように仕事を選びながら行動していきます。後は山狩りが開始されるまで普通に働くだけですね!」
 「メインとしてはみりんのギルドランク上げとお金稼ぎだな。ルルは冒険者としてはルイス・ルーカスで登録してある。さすがにみりんをみりんとして登録するわけにはいかないからな。何か名前を考えなきゃいけないが、何か名前あるか?」
 「ふっふっふ、私考えておきました!黒くて強いのでブラック・ディザスターとかどうでしょうか?」
 「…え?本気で言ってんのか?」
「な、なんですかその憐れむような目線は!」

 あれにしようこれにしようとルルとジョーカーさんで話しているが、決まりそうにないな。うーむ。この世界でも一般的な名前が分からん。ゲームの登場人物的な名前ばっかりだから何かのゲームのキャラ名にしておけば違和感もないだろうか。AAOが出る10年ほど前にAAOと同じ世界観を共有していたゲーム―――ゼロの迷宮の隠しボスの名前で行ってみますか。
 
 「(ケイオス・クロウとかどうでしょうか(`・ω・´)ドヤッ)」
 「「!!!!!」」
 「こ…この顔は…!」
 「な、なんだかすごく使ってみたいです!」
 「(注目してほしいのは名前なんですが(ノД`)・゜・。)」
 「あ、あぁ、悪いみりん」
 「ごめんなさい。あまりにも斬新過ぎて…」 

 ただ文で会話するのは感情が伝わりにくいかなと思い、顔文字で心境を表現してみたが、どうやら顔文字という文化?がないため、いつも何気なしに使っている顔文字が魅力的に感じるようである。女の子とチャットするときも、2,3文に1回は顔文字を入れていたからな。俺の顔文字レパートリーは軽く1000を超える。
 くっくっく、なんか女の子二人が興味津々で身を乗り出してくるのは非常に楽しい!ただのエロオヤジな感じもするが、俺はそんな男である。

 「(これは顔文字と言いまして…(*‘ω‘ *))」
 
 その後顔文字トークで盛り上がり、名前そっちのけになったので俺の提案したケイオス・クロウで決定した。

 「あとこの腕輪使ってみて下さね。みりんさん用に大きさを調節してみました」
 「(ありがとうございます。どうやって使ったらよいので(´・ω・`)?)」
 「実際付けて、マナを流し込みながら相手に見せたい自分を想像することだな。後顔文字使うと話し進まなくなるから禁止な」
 「(なんかすいません。ではやってみます!)」

 さっきまでノリノリだった顔文字も禁止されてしまった。今度シンクちゃんと話すときに使ってみよう。話も進まないと時間も時間なのでさっくり変身してみますか!
 いくぞ―――装着!

 「………」
 「………」
 「(何も起こらないですね)」
 「うーむ。みりん、ちょっと貸してみてくれ………っと、俺だと普通に変身できているということはみりん自体に何か問題ありということか。魔法耐性がありすぎるのか?」
 「どうしましょうか………」
 「こうなっちゃ仕方ない。フルプレートの鎧でもつけるか」
 「そうですね!みりんさんなら多少重量のある鎧でも関係なしに動けそうですし、武器庫に行きましょう」
 
 ―――武器庫
 
 フルプレートの鎧を装備することになり、武器庫に移動することになった。壁には剣と斧と槍がずらりとかけられており、パッと見て30近くのフルプレートの鎧が見える。このアジトはやはりおかしい。俺含めてメンバーは10人とか言っていたが、資金源は一体どうなっているのか。盗賊団だけに盗みだろうか。

 「この鎧なんてどうでしょうか?」
 「いーや、甘いなルル、鎧なんてものは相手を威圧してなんぼだぜ。つまりだ。この全身トゲトゲしているこの鎧が一番いい!」
 「(さすがにトゲトゲしすぎな気がします)」
 「そうか?普通だと思うんだが」

鎧と言っても色々あったので、できるだけ黒い鎧を選び、マントも折角なので黒色のマントを選んだ。ジョーカーさんにそれを選ぶのか?みたいな目線で見られたが、ルルも大賛成だったのでとりあえず装備してみることにした。
 頭から首周りを完全に覆う狼をイメージした兜。肩の可動域を残しつつしっかりと腰まで覆う胴鎧。腕部と脚部においては、膝と肘の部分だけわざと外し、動きやすさを重視した装備としてみた。視界が狭いのが難点である。

「なかなかかっこいいですね!ボス!」
 「うーむ。折角だからこっちのもう少しトゲトゲした感じの方が強そうじゃないか?」
 「あんまりトゲトゲして不用意に転んだら大変じゃないですか?」
 「(この鎧で良いと思います!)」
 
 俺はそう即答した。
 転ばないけどジョーカーさんの趣味の鎧はいやだ。そう―――ジョーカーさんが選んだ鎧は頭に大きな一本角、膝と肘にもトゲ、肩にも胸にもトゲトゲ、とにかく全身がトゲトゲしい装備だった。最後までトゲトゲしい鎧を進めてくるジョーカーさんだったが最後には俺とルルで選んだ鎧に決まった。
 かくしてフルプレートの鎧を纏ったみりん改め―――ケイオス・クロウがここに誕生した。料金は出世払いにしてもらった。
 
 「よし!これで準備は整ったな!」
 「(ありがとうございます。ルル、よろしくお願いします!)」
 「かぁー!俺様を仲間はずれにするなんて…泣いちゃうぜ…」
 「ハハッワロス(いやーそんなつもりは)」
 「みりんさん、じゃなかったケイオスさん、それはひどいと思いますよ」
 「(すいません。違うんです!)」
 「くっくっく。分かってるよ。まぁ、しばらく会えなくなるが、ルルを頼むぜ」
 「(分かりました)」
 「ふふっ、ケイオスさん、よろしくお願いしますね!」

 お二人とも俺の「ハハッワロス」にある程度慣れてくれたようだ。ありがたい限りである。
 鎧も本当は暑苦しいので装備したくはないが、下手にギルマスのおっさんやローザさんにばれると厄介ごとに成りかねないから仕方がない。

 日は巡り、ついにギルドへと潜入する日が訪れた。
 実は冒険者としてギルドで働くのが楽しみでしょうがなかったんだぜ。
 うっきうっきしながら布団にもぐっているとジョーカーさんがやってきて、頼みごとをされた。そんなことがおこるのかと疑問に思いつつも引き受け、再び布団にもぐって眠ることにした。
 ジョーカーさんとシンクちゃんにしばらく会えないのは寂しいが、みりん改め、ケイオス・クロウ頑張りますよ!

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posted by あまちゃ at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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