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2018年08月05日
本国からの派遣を減らすべきか
カルチャーショックと帰国ショック
同じ多国籍企業とはいても、
日本企業は欧米企業と比べて
人の管理面では違いがあるといわれてきました。
例えば、1970年代から、日本企業では
海外子会社における日本人の海外派遣者が多いと
海外から指摘されるようになりました。
それは次第に批判に変わり、
日本人研究者も批判に同調するようになりました。
ただ、もともとこうした指摘は、
逆にアメリカ企業の早すぎる現地化と
海外派遣者の減らしす過ぎに警鐘を
鳴らしていた反面もあったのです。
本社とのパイプ役を果たす本国人材がいなくなり、
アメリカン・ジレンマと呼ばれるような
難しい状況に陥っていたのです。
その原因の一つにアメリカ人海外派遣者の失敗率
つまり途中帰任率が一貫して高いことにありました。
しかも、本国から海外に派遣されると
派遣先でカルチャー・ショックを受けることは
知られていましたが、アメリカの研究で帰国した際には
帰国ショックを受けることがわかっています。
実はアメリカ企業では海外帰任者の25〜50%が
帰国後1〜2年以内に離職するという研究結果まであります。
活動ごとのグローバル分散・集中
価値の連鎖の活動ごとに配列を決められる
多国籍企業化が進み世界中に拠点ができると
今度は、どこの国にどの活動を配置するのか
ということに関心が向き始めます。
20世紀前半は、各国が自国の産業を守るために
輸入品に関税等を掛けていました。
例えば自動車です。
第一次世界大戦前、アメリカは45%の関税をかけていました。
イギリスは1915年委33.5%、フランスは1922年に45%の関税を課し、
それを1931年には、90%に引き上げています。
ここまで関税障壁が高くなると、
自動車メーカーは世界各国の国内で自動車工場を持って
現地生産をしなくてはならなくなります。
これをポーター氏はマルチドメスティック産業と呼びました。
しかし、戦後になってグローバル化が進み、
関税障壁が低くなると、もっと価値連鎖の活動ごとに
自由に配置を決める事ができるようになります。
例えば、アメリカの航空機メーカーは、
部品調達やサービスは各国に分散させますが、
規模の経済が効く製造はアメリカ国内に集中。
スタッフに高度の熟練が必要で商談の頻度が低い販売も、
必要な時だけ出張すればいいので集中です。
つまり活動によっては左右されず、
グローバルに集中させるほうが効率的なのです
これをグローバル産業といいます。