2018年08月26日
変化に対応して競争優位を築く能力
いつまでももやもやしている動的能力概念
ティース氏らの論文はなかなか出版されず、
原稿のまま引用されて有名になりました。
結局、1997年に出版された論文では、
環境変化に適応するために自らの資産の
新結合を生み出す能力を動的能力と
呼んだと理解されています。
ただ動的能力そのものに関する明示的な
定義・議論はありませんでした。
それ以降、資源ベース理論の研究者が大量に参入し、
とりあえず「変化(動的)」「競争優位」「能力」
というキーワードをいれて、「動的能力に関係している」
と書くことが広く行われるようになりました。
2011年になって、ヘルファット氏とウィンター氏は、
業務能力、動的能力に加えて、両者に共通する能力も
存在することが混乱の原因にだと考えます。
業務能力を除いた純粋な動的能力だけを考えることにし、
それが観察される例として、ウォルマート、
スターバックス、マリオットのチェーン展開や、
新しい油田・ガス田の開発を例として挙げたのです。
このように純粋な動的能力が企業成長に
必要な純粋な能力であるとすると、
その主要部分は、かつてペンローズ氏が
『会社成長の理論』で考えた
「規模の経済性とは異なる成長の経済性」をもたらす能力
と同じである可能性が高いと思われます。
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