新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2018年08月26日
コミュニケーションのカギとなる「スター的存在」
組織の内外をつなぐ役割
ゲートキーパーとは門番のことです。
アレン氏は『技術の流れ管理法』の中で、
コミュニケーション・パターンが
研究開発パフォーマンスに与える影響を調べました。
すると、どの研究開発組織にも、
コミュニケーションのカギとなる
スター的な人間がいることが分かったのです。
彼らは一般の技術者よりも
技術専門紙の読書量が圧倒的に多く、
外部情報との接触頻度が多かったのです。
このコミュニケーション・スターこそが
ゲートキーパーというわけです。
各研究開発組織には、その組織固有の文化、
考え方、用語があり、それらの違いが
セマンティック・ノイズ(意味上の雑音)となり、
外部とのコミュニケーションを阻害していたのです。
ですから、組織内部と組織外部との
コミュニケーションの文字通り門番として
機能していたのが、このゲートキーパーだったのです。
つまり、ゲートキーパーは、組織内の誰とでも
何らかの形で接触しているスター的な存在であるとともに、
組織外部との接触もきわめて多い人間だったわけです。
アレン氏は、ゲートキーパーの特徴として、
@高度の技術者、A大半は第一線の管理者、
B技術系の経営者なら、ちょっと気をつければ
正確に見分けられるとしています。
ただ、ゲートキーパーとパフォーマンスの関係は
よくわかっていません。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
競争ではせっかくのイノベーションが潰されることも
人が新しいことを拒絶するメカニズム
環境や周囲が大きく変わるとき、
人は殻に閉じこもろうとします。
それを自己概念や自己アイデンティティを用いて
擁護することもできます。
例えば自動車ディーラーの経営者が
プロセス重視を宣言して、
いろいろな仕組みの導入を図ったとしても、
「結果がすべて」の営業の世界で
個人業績を上げてきた現場の営業スタッフにとっては
自己概念、自己アイデンティティを脅かすような
仕組みなので、結局は拒絶されて
うまくいかないことがあります。
放っておけば、どんなに良いイノベーションも
自然淘汰されて生き残れないことも多いのです。
ディマージオ氏とパウエル氏は1983年の論文で、
同型化のメカニズムとして
同型的組織の変化の源泉を挙げています。
同型化には、
@競争的同型化と、
A制度的同型化の2つに大別されますが
@では優れた形質で同型化が進まないこともあるのです。
経営者がAを人為選択しないと、
良いイノベーションは生き残れないかもしれません。
植物の世界でも、例えば、
野生のバナナには種があるが
いま我々が食べているバナナには種がありません。
もし自然淘汰であれば種のないバナナは
すぐに途絶えたはずです。
ところが、突然変異でできた種無しバナナを
人間が根の脇から出てくる新芽を利用して
株分けして意図的に増やしていったのです。
変化に対応して競争優位を築く能力
いつまでももやもやしている動的能力概念
ティース氏らの論文はなかなか出版されず、
原稿のまま引用されて有名になりました。
結局、1997年に出版された論文では、
環境変化に適応するために自らの資産の
新結合を生み出す能力を動的能力と
呼んだと理解されています。
ただ動的能力そのものに関する明示的な
定義・議論はありませんでした。
それ以降、資源ベース理論の研究者が大量に参入し、
とりあえず「変化(動的)」「競争優位」「能力」
というキーワードをいれて、「動的能力に関係している」
と書くことが広く行われるようになりました。
2011年になって、ヘルファット氏とウィンター氏は、
業務能力、動的能力に加えて、両者に共通する能力も
存在することが混乱の原因にだと考えます。
業務能力を除いた純粋な動的能力だけを考えることにし、
それが観察される例として、ウォルマート、
スターバックス、マリオットのチェーン展開や、
新しい油田・ガス田の開発を例として挙げたのです。
このように純粋な動的能力が企業成長に
必要な純粋な能力であるとすると、
その主要部分は、かつてペンローズ氏が
『会社成長の理論』で考えた
「規模の経済性とは異なる成長の経済性」をもたらす能力
と同じである可能性が高いと思われます。
この組織はどのような存在か
組織は多重アイデンティティ
そもそも組織は変わることができるのです。
自分たちらしさ、組織アイデンティティ自体も
変えられるのです。
従来は、個人のアイデンティティのイメージを
組織にもそのまま当てはめ、
組織アイデンティティも同様に、
@1つの組織にはただ1つ、
A他の組織と比べユニーク、
B時を経ても変わらない、と
いう暗黙の基準を満たすものだと思われてきました。
ところが1985年に、
アルバート氏とウェッテン氏の
画期的な論文が登場します。
この論文では、
組織アイデンティティは、
@宣言されていれば、
1つでなくて複数存在してもいい、
A他者と比較可能で自己分類できれば、
ユニークでなくてもいい、
B連続的であれば、
時が経つにつれて変化してもいい、
とアイデンティティ概念を大幅に拡張したのです。
多数の人間からなる組織ですから。
例えば、2つのアイデンティティをもつ組織が、
一方から他方へと
アイデンティティに連続的に変化させて、、、
組織アイデンティティが
変化していくというわけなのです。
この考え方により、
組織アイデンティティに
関する実証的に研究が一気に
展開していくことになるのですが、
革新的すぎたのか、
この論文を引用する研究の多くが、
未だに個人アイデンティティの
イメージから脱し切れていません。