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2024年11月30日

護衛艦「いなづま」事故報告書発表について

『完全な初歩中の初歩のミスじゃねえか!』
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2023年1月10日に発生した、護衛艦「いなづま」座礁事故の報告書が公表されました。

予想以上の単純な凡ミス連鎖により、重大事故になったことが判明しています。

図1 護衛艦いなづま
図1 護衛艦いなづま.jpg
引用wiki

海図を見てなかったって?!標識を認識できないってなんだよ!

本気で水上艦の練度が心配になる結果でした。
(前回記事):『ロシアがICBMを使いやがったか?!
\こちらもご参考にPR!/
(1)原因は暗岩(あんがん)を認識していなかったから!

結論から言うと、護衛艦「いなづま」は暗岩の存在を知らずに突っ込んだことです。

図2 暗岩
図2 あんがん.jpg
引用URL:https://blog.canpan.info/oprf/img/sima-setu.jpg

船乗りとしてありえんミスを、実際にやってしまったことになります。

1.1 ありえんミスが起きてしまった

以前の記事で、機器のミスかな?という感じで書いていました。
(関連記事):『「いなづま」の修理費があ!修理費がああ!!【海上自衛隊】

船務士として護衛艦に乗ってた経験から、暗岩を認識できないなんてないだろう?と思っていました。

図3 副直士官
図4 副直士官.jpg
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/bosyusien/semaru/yamagiri/hirashiro.jpg

海図を見てる副直士官が、海図から暗岩を見つけて報告するはずです。

だけども、暗岩を最高速力で突っ切るという事故が起きてしまいました。

1.2 予定航路を変更したミスが出た!

国交省事故調査報告書を見ると、いくつもの凡ミスが重なっていることがわかります。
(JTSB事故調査報告書):https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2024/MA2024-11-7_2023hs0004.pdf

図4 事故調査報告書
図4 事故調査.jpg
引用URL:https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2024/MA2024-11-7_2023hs0004.pdf

@予定航路は航海長が作成して、艦長承認したが事前研究会が開かれていなかった。(第1のミス)
A事故1時間前に、速力試験の予定航路変更を艦長が指示。電子海図変更を確認せず。(第2のミス)
B事故10分前に進路変更、電子海図を確認せず速力アップ(第3のミス)
CCICや副直士官から再三にわたり標識の報告があるが試験中止せず(第4のミス)
D事故2分前に針路変更(決定打となった第5のミス)

中間報告などで示された、謎の針路反転の理由がようやくわかりました。

試験予定航路を変更したため、妙な航跡となったのです。

図5 航跡図
図5 航跡図.jpg
引用URL:https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2024/MA2024-11-7_2023hs0004.pdf

予定海域で試験を続行していれば、事故は起こらなかったでしょう。

1.3 マジに海上自衛隊は大丈夫か?

海上保安庁は、航行に支障がある暗岩に「孤立障害標識」を設置しています。

図6 孤立障害標識
図6 孤立障害.jpg
引用UURL:https://www.kaiho.mlit.go.jp/04kanku/safety/item/navi_koritu1.jpg

海図にもちゃんと記載され、事故発生前に標識があることが艦橋に何度も報告されています。

候補生学校で、徹底的に航行標識の見方を叩き込まれたはずが何で最高速力でぶっちぎるかなあ!

信じられない凡ミスの嵐で、事故が起きてしまいました。

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(2)正規分の正規さえ守れない!

正規分の正規という言葉があるのに、全く守られていない現状です。

図7 ミサイル艇
図7 ミサイル艇.png
引用URL:http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2005/2005/image/17p31404.png

最高速力を出す試験なのに、事前研究会さえ開いていなかったとは!

2.1 艦橋音響等情報記録装置の情報が無いのはなぜ?

今回の護衛艦「いなづま」の事故調査報告書について、少し疑問に思ったことがあります。

2008年の護衛艦「あたご」の事故以降、全艦艇に「艦橋音響等情報記録装置」が設置されました。

図8 あたご事故
図8 あたご.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ddg/atago/img/main_177.jpg

2020年の掃海艇「のとじま」事故では、衝突に至るまでのエグイ情報が公表されています。

図9 のとじま事故
図9 のとじま.jpg
引用URL:https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2020/MA2020-11-2_2019tk0015.pdf

結果として、掃海艇「のとじま」は損傷が激しく早期退役となります。

図10 損傷写真
図10 のとじま損傷.jpg

引用URL:https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2020/MA2020-11-2_2019tk0015.pdf

しかしながら、今回の事故では音響情報の公表がありませんでした。

聞くに堪えない罵声が飛び交う状況だったのか、だれも会話してない異様な状況だったのか?
(まさか装置を作動させていなかったなんてことは・・・)

2.2 幹部中級艦艇用兵課程の弊害が出てきたか?

艦長の指揮能力低下の裏には、幹部中級艦艇用兵課程の弊害が徐々に表れたと考えています。

現在は、幹部中級艦艇用兵課程は廃止済みです。

成の時代に10〜15年ほど教育課程としてありましたが、弊害が大きかったと考えます。

江田島1術校の歴史からも、艦艇用兵課程は闇に葬られてしまったんですよね。

今度書いていようかと思います。
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(3)再訓練を急げ!

海上自衛隊は、2000年代のような不祥事の連鎖となりました。

どこかで負の連鎖を止めないと、また事故が起きるでしょう。

海外派遣・展開訓練が日常となり、変革をしなくてはいけません。

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2024年11月23日

ロシアがICBMを使いやがったか?!

『もっとひでえことが始まるぞ!』
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2024年11月21日の夕方に、ロシアがICBM使用の速報が入り肝が冷えました。

通常弾頭(訓練弾頭?)により、軽微な被害で済んだようです。

図1 RS-26
図1 RS-26.jpg
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/553/DRI44.jpg

ロシアは中距離弾道弾(IRBM)と主張していますが、ほぼICBMでしょう。

問題は核のエスカレーションが進んで、核兵器使用のハードルが下がってしまったことです。
(前回記事):『拝啓内閣総理大臣閣下への懇願
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(1)何を撃った?なぜここから?という疑問へ

ICBMが実戦で使用されるのは、史上初めてのことになります。

図2 SS-18
図2 SS-18.jpg
引用URL:https://missiledefenseadvocacy.org/wp-content/uploads/2015/11/ss-18-770x385@2x.jpg

戦略核を運ぶICBMの使用は、核戦争の勃発以外には無いと思っていました。

1.1 RS-26「ルベジ」が有力か?

各種専門家からの指摘で、発射されたのはRS-26「ルベジ」の可能性が高いと思われます。

図3 想像図
図3 想像図.jpg
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/553/WAsOO.jpg

あくまで想像図として出回っているのは、3段式固体燃料ロケットです。

SS−27「シックルB」の小型版として、開発中でしたがあまり活発ではありませんでした。

弾薬不足で急遽試験機を、再生造して使用したのかもしれません。

1.2 「オレシニク」中距離弾道弾というロシアの主張

ロシアプーチン大統領は、11月21日午後に中距離弾道弾(IRBM)「オレシニク」を発射したと公表しました。

図4 アヴァンギャルド
図4 アバンギャルド.jpg
引用URL:https://k-politika.ru/wp-content/uploads/2020/12/YS7LxIcKrJg-415x300.jpg

マッハ10以上の極超音速ミサイルとロシアは主張していますが、SS−19に搭載した「アヴァンギャルド」極超音速飛行体と誤認させる狙いかもしれません。

このときは、ICBMをベースに速度マッハ28以上としています。

ICBMはさすがにアメリカを刺激するので、IRBMとしてごまかすことにしたのかもしれません。

RS−26は、脱法ICBMなんて呼ばれるほど射程が短いものであり今後の報道が注目されます。

1.3 なぜアストラハン州から発射されたか?

今回ミサイル発射地点は、カスピ海沿岸のアストラハン州です。

図5 アストラハン州
図5 アストラハン州.png
引用URL:https://www.travel-zentech.jp/world/map/russia/image/Map_of_Astrakhan_in_European_Russia.png

近隣に固定ICBMミサイルサイトはない!という意見もあるようですが、重要な施設があります。

ロシア軍のミサイル射撃試験施設である、「キャプシン・ヤール」という施設があります。
(関連記事):『イスカンデルのデコイ機能がついに露見?!【軍事技術】
図6 イスカンデル
図6 イスカンデル.jpg
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/816/ERe55.jpg

ここからであれば、いろんなミサイル部品を集めて発射することも可能です。

RS−26を保管して、発射できるようにしたのかもしれません。

ただ着弾地点のドニプロまで、直線距離約1000kmというのは留意すべきかもしれません。

中距離弾道弾(IRBM)にしては、短すぎるのでロフテッド軌道での発射かもしれません。
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(2)ポストINF条約時代の恐怖が現実に!

2019年にINF(中距離核戦力全廃)条約が、失効しました。

図7 条約調印
図7 条約調印.jpg
引用wiki

冷戦時代の核の恐怖が、こんなにも早く蘇ることになります。

2.1 日本・欧州を射程にしたSS-20セイバー

中距離弾道弾といわれても、北朝鮮のミサイルに慣れてしまってピンと来ないかもしれません。

図8 火星14
図8 火星14.jpg
引用URL:https://i.namu.wiki/i/L-BFJEAErqYFJHo_U5m9RZ-eCZZylfCc47MH_ZmuejOEW3RKEN6kyLvwtKe3_jZro1tudb_pT2rUgNp6c_0UEA.webp
しかし冷戦時代は、日本もソ連のSS-20「セイバー」中距離核ミサイルの射程内でした。
図9 SS-20
図9 SS-20.png
引用URL:https://alternathistory.ru/wp-content/uploads/2024/06/0-SS-20-01.png

『ソ連の核はきれいな核兵器!』

そんなプロパガンダが日本で流され、隣国が核兵器を配備したことを正当化されていました。
(関連記事):『グロテスクな核弾頭のタワーだ!【軍事技術】
あの時の恐怖が蘇ります。

2.2 有識者の警告は正鵠を得ていた。

2020年に発売された書物で、ポストINF条約時代への警告がされていました。
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RS-26についても、事実上のIRBMであることが小泉先生から指摘されていました。

もう一度、BMDを含めたミサイル防衛を考えるべきでしょう。
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(3)IRBM対策を急げ!

RS-26については、事実上のIRBMと判断すべきでしょう。

図10 イスカンデル核兵器
図10 イスカンデル核弾頭.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/Dpfo-EEW4AEs1F8?format=jpg&name=large

イスカンデルに続き、核弾頭搭載可能弾道ミサイルが使用されたことを重視すべきです。
(関連記事):『イスカンデルMに戦術核を搭載できるのか?

もはや核使用は、寸前まで来ているとみるべきです。
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posted by sstd7628 at 10:25| Comment(6) | TrackBack(0) | 世界情勢

2024年11月18日

拝啓内閣総理大臣閣下への懇願

『掃海艇うくしま乗員への慰労を!』
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2024年11月10日に、掃海艇「うくしま」が火災・沈没という事態が発生しました。

不明隊員1名は、まだ発見されておらず懸命な捜索活動が行われています。

図1 うくしま火災
図1 うくしまma.jpg
引用URL:https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/202411/20241110at70S_p.jpg(時事通信)

原因究明を急ぐことは重要ですが、責任問題で犯人捜しをするより重要なことがあります。

総理大臣自ら、残された掃海艇「うくしま」乗員の慰問を早急にすべきです。
(前回記事):『NSMミサイル搭載が話題のようで!
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(1)火災の責任を免責せよという意味ではない。

勘違いしてほしくないのは総理の慰問をもって、「火災の責任を免責せよ!」という意味ではありま
ん。


図2 観閲式
図2 観閲式.jpg
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/fbHOyhaNITA/hq720.jpg?sqp=-oaymwEhCK4FEIIDSFryq4qpAxMIARUAAAAAGAElAADIQj0AgKJD&rs=AOn4CLCoXwRRsI9ILeKiSpJ6qvP8o83Opg

総理大臣は自衛隊の最高指揮官であり、隊員を指揮する職務です。

1.1 うくしま乗員の戦力回復を急げ!

掃海職務の乗員は、プロフェッショナルな職務であり簡単に代替できない隊員です。

自分たちの掃海艇「うくしま」が火災沈没して。ショックを受けています。

図3 モスクワ撃沈
図3 モスクワ撃沈.jpg
引用URL:https://ichef.bbci.co.uk/ace/ws/640/cpsprodpb/13C04/production/_124200908_c759bd1f-254f-4106-8a3f-0b52d7fe1403.jpg.webp

軍艦の撃沈・沈没は、海軍や海上自衛隊全体の士気を消沈させるほどです。

うくしま乗員にとっては、ショックであり意気消沈しています。

彼ら掃海艇「うくしま」乗員の士気回復や、僚艦・第43掃海隊(下関)を早期に戦力回復させる必要があります。

一番簡単に乗員の士気を回復させるのが、最高指揮官の慰労です。

火災と戦い疲労した隊員を、慰労するのも指揮官の役目です。

1.2 巡洋艦モスクワ乗員慰労を公開した理由を考えよ!

2022年4月16日に、ロシア海軍巡洋艦「モスクワ」が撃沈されました。

その後すぐに、ロシア海軍最高司令官が乗員を慰労する映像が報道されました。

図4 乗員慰労
図4 乗員慰労.jpg
引用URL:https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/04/20220417-OYT1I50066-1.jpg?type=large

軍艦乗員はすぐに替えが効かない人材であり、士気維持のため撃沈された乗員の慰労は必要なのです。

さらに「軍艦は国家なり」とも呼ばれ、国家が隊員を守るという意思の表れです。

掃海艇「うくしま」乗員を慰労することはけしからん!なんて思うかもしれません。

撃沈され救助された乗員を粗末に扱うのは、帝国海軍の悪習慣を引きずることになります。

1.3 シビリアンの力で海自を改革してくれ!

制服を着た官僚となった、海自上層部では体質改革は無理でしょう。

抜本的な改革を断行できるのは、シビリアン(文民)である総理大臣や防衛大臣だけでしょう。

石破総理大臣閣下、防衛に知見がおありであればぜひとも自ら足を運んでください!
(外遊後に真っ先に行くべきは、下関の「うくしま」乗員のところです。)
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(2)護衛艦「あたご」の失敗を挽回する機会ですよ!

石破総理が、2008年の防衛大臣時代に護衛艦「あたご」事故の際にやらかした事実は消えません。
(当時横須賀で関わったものは、みな唖然としました)
図5 護衛艦あたご
図5 あたご.jpg
引用wiki

あのとき大臣は、航海長を防衛省に呼びつけずヘリで直接横須賀に乗り込むべきでした。

2.1 指揮官の事後対応も立派な勤めです。

指揮官先頭!と写真映えのする行動は、マスコミには受けるでしょう。

しかし隊員にとっては、その後も対応してくれる指揮官を頼ります。

隊員から激情をぶつけられても、受け止めるのが最高指揮官の務めです。

2.2 ゼレンスキー大統領は負傷兵慰問を続ける

ウクライナのゼレンスキー大統領は、負傷兵の慰問で病院を訪問しています。

図6 病院訪
図6 病院訪問.jpg
引用URL:https://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/c/d/810wm/img_cd428ad1be50175f6e227dcb3ddf5c2f149148.jpg

大統領として防衛戦争を指導する、ゼレンスキー大統領は国家のあるべき姿を見せています。

負傷兵がまた戦場へ復帰するための士気高揚を、病院訪問によって行っているのです。

石破総理大臣がいま行うべきことは、「うくしま」乗員の士気を回復させることです。
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(3)中谷防衛大臣は何をやっておる!

あきれるのは、元陸自幹部だった中谷防衛大臣の動きです。

図7 中谷防衛大臣
図7 防衛大臣.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/images/kisha_nakatani.jpg

防大卒なのに、動きが遅いな!(周辺の人間も進言しなかったのか?)

3.1 北京大官主義(マンダリズム)に飲まれたか?

古い言葉ですが、北京大官主義(マンダリズム)という言葉があります。

高官が報告待ちになり、軽々しく行動するのはみっともないという意味です。

防衛大臣の行動は、マンダリズムの極みとも言えます。

11月11日に特別国会・内閣組閣があったとは言え、お粗末すぎます。

これが防衛大で教える「指揮官の心構え」なら、防衛大学校なんぞ不要だ!

現場は隊員が不足しており、早急に「うくしま」乗員の戦力回復が必要です。

責任追及ばかり優先して、「あたご」事故のように隊員を使い捨てしますか?

早急に隊員慰労に向かうべきです!
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2024年11月08日

NSMミサイル搭載が話題のようで!

『弾ヨコセ!弾ヨコセ!!弾ヨコセぇ〜!!』
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最近次期オーストラリア海軍艦艇のコンペで、日独艦艇が有利になってきたようです。

その中で、搭載する対艦ミサイルはNSMミサイルが有力となっています。

図1 NSMミサイル
図1 NSM.jpg
引用wiki
日本もFFMへの搭載を検討して、国産誘導弾と競合する懸念があるようですが・・・

すぐ撃てる対艦ミサイルなら、国産でも外国産でもどっちでもいい!すぐにヨコセ!
(前回記事):『陸自輸送艦「にほんばれ」進水したけどこれから大変!
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(1)新世代の対艦ミサイルNSM

NSMについては、ノルウェーが原産国である次世代ミサイルです。

図2 JSM
図2 JSM.jpg
引用URL:https://milterm.com/wp/wp-content/uploads/2019/03/JSM%E3%82%92%E7%99%BA%E5%B0%84%E3%81%99%E3%82%8BF-35-768x525.jpg

F-35Aから発射するJSMも、NSMの派生品であり自衛隊に導入が始まっています。

1.1 ハープーンの後継として使いやすい!

アメリカや西側各国では、長らくハープーンミサイルが対艦ミサイルの主力でした。
図3 ハープーン
図3 ハープーン.jpg
引用wiki
1965年から開発が始まり、1971年に試射成功・1975年には量産開始となっています。

日本も1981年就役の護衛艦「いしかり」から、ハープーンを搭載しています。
(はつゆき型護衛艦より早く搭載した)

図4 護衛艦「いしかり」
図4 護衛艦いしかり.jpg
引用wiki

しかし古い設計と、射程の短さ(艦対艦で約150km)が次第に足を引っ張る形になります。

そんな中で、ノルウェーのコングスベルグ社が1990年代に開発したNSMが注目されます。

1.2 やや軽量だが射程は長くなる!

重量約650kgほどのハープーンに比べると、約400kgのNSMミサイルは軽いかもしれません。

しかしながら、ハープーンSSMが届かなかった射程200kmを狙えるものです。
図5 YJ−83
図5 YJ83J.jpg
引用wiki
中国のYJ−83Jなど長射程対艦ミサイルが続々登場する中、長射程ミサイルが必要でした。

ウクライナ戦争でのネプチューンミサイルなど、長射程対艦ミサイルは今後も必要です。

1.3 国産90式だ!17式だ!12式改善型だ!

中には国産誘導弾こそ性能が優れている!と思うかもしれません。
図6 90式
図6 90式.jpg
引用wiki
まあ国産誘導弾を信じたい気持ちはわかるのですが、使ってた側としてはねえ?

弾は高額だし備蓄は少ない、戦時の増産は絶望的というところがあります。

統合演習で自衛艦隊後方幕僚をやった身としては、性能比較より重要なものがあると思います。

(関連記事):『艦補処自衛艦隊司令部後方幕僚に派遣!(その1)
『とにかく今すぐ撃てる長射程の弾いっぱい持ってこい!』
(体験すると、弾薬キチにもなるよぉ〜)
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(2)戦いは数だよ兄貴ィ!!

後方幕僚として、自衛隊統合演習を経験したものとしては「弾数こそパワー」と断言します(狂)!
(関連記事):『幕僚編B演習開始!交戦多発に苦戦するJTF!
図7 ドズル
図7 ドズル.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EfnRpQ1UMAErBz2.jpg

数がそろうなら、外国産誘導弾も積極的に取り入れるべきです。

1.1 共通性があるNSMは魅力的!

NSMについては、西側で共通性のある対艦ミサイルとして数が見込めます。

まあ生産量がどのくらいになるか、まだ不明なところもあります。

図8 工場
図8 工場.jpg
引用URL:https://www.kongsberg.com/globalassets/kongsberg-defence--aerospace/3.-news-and-media/news/2024/nexus/dsc_5274_edit_liten.jpg?width=1040&quality=99&rxy=0.5,0.5

ノルウェーのほか、オーストラリアでも新工場が完成して増産体制が構築されています。

FFMについても、NSMを搭載できる技術的共通性を持てば有事の際に海外からの緊急輸入ができます。

2.2 弾が無いよう!弾ヨコセ弾ヨコセ!

演習時には何度も、対艦誘導弾の不足に苦しむ体験をしました。

演習前は『まあ備蓄弾薬でなとかなるだろう』と、楽観視していました。

いざ演習が開始され、何度も発生する海戦!不足する弾薬!すぐになくなる即応弾備蓄!
(関連記事):『幕僚編F反撃のJTF!第1次対艦総攻撃開始!

図9 弾ヨコセ!弾ヨコセ!
図9 妖怪.png
引用URL:https://www.irasutoya.com/2014/09/blog-post_739.html

妖怪首おいてけならぬ、妖怪弾ヨコセ!と狂気に舞い落ちる後方幕僚部の人間が続出します。
(関連記事):『幕僚編H再補給・JTF再編成、離島奪還への作戦準備!
米海軍からハープーンを分捕っても、まだ足りない!

トマホーク装備となり、現有弾薬ブロックWを強奪する海自の魂は弾薬不足からか?!

現場にいた人間としては、とにかく長射程の対艦弾がいっぱい欲しい!

国産だ!輸入弾だ!性能比較ガ〜!という前に、まずが数をそろえてほしいです。

2.3 アルゼンチンのエグゾゼ運用のような柔軟性が欲しい!

対艦ミサイルについては、陸海空で共通して使用できるような共通性も欲しいものです。

ハープーンのように、空対艦から艦対艦に転換するのに1発に3日かかるようではいけません。

1982年のフォークランド紛争でアルゼンチンは、艦対艦誘導弾を地上発射に転換しました。

図10 簡易発射台
図10 簡易発射台.jpg
引用URL:https://weaponsandwarfare.com/wp-content/uploads/2024/01/Exocet-in-Stanley.jpg

空中発射型エグゾゼMM40が5発しかなく、艦載型MM38を改造して陸上に設置しました。

すぐにぶっ放せる仕様になっていたからできた、苦肉の策です。

米軍のNMESISの原型といえる、汎用性の高い対艦ミサイル運用です。

図11 NMESIS
図11 .jpg
引用URL:https://media.defense.gov/2021/Sep/14/2002853114/780/780/0/210816-M-LC313-2226.JPG

17式艦対艦誘導弾や、23式空対艦誘導弾にここまでの汎用性はないでしょう。
(ブースターポン付けで艦載・航空機搭載に展開できるようにしてほしかった!)

NSMは汎用性と、価格の面で国産弾と勝負できる余地があります。
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(3)国産と輸入は並行していくべき!

弾薬備蓄については、国産と輸入を平行して行うべきでしょう。
図12 ウクライナ
図12 ウクライナ.jpg
引用URL:https://www.twz.com/wp-content/uploads/2023/08/10/ukraine-patriot-pac-2.jpg?strip=all&quality=85

ウクライナやイスラエルへのペトリ供与で、PAC-2ミサイルが枯渇して日本が米国に売却する状態になっています。

3.1 輸入途絶は厳しいよ!

有事の際は、輸入弾が迅速に納入されず枯渇する可能性もあります。

日米安全保障条約があるとは言え、どこまであてにできるか不明です。

図13 備蓄
図13 備蓄.gif
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/press/wp/wp2024/image/zuhyo03010601.gif
各種弾薬の備蓄が大増強されましたが、どこまで備蓄できるか?

とにかく想像以上に、有事の際は弾薬消耗が激しくなります。

3.2 まずは数を揃えよう!

<国産弾や輸入弾での性能比較は、平時の暇なときにでも行っておけばいい!
『アメリカ〜!そいつ(対艦誘導弾)をヨコセぇ!!』
NSMもとにかく安くて数がそろうなら、国産弾より優先して配備してもいいと思われます。

できれば長射程かつ威力があり数を揃えられる弾薬こそ、いま必要なものです!
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