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2023年01月12日

「いなづま」の修理費があ!修理費がああ!!【海上自衛隊】

『むらさめ型護衛艦ってよくプロペラ吹っ飛ばすよね(怒)!』
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2023年1月10日に発生した護衛艦「いなづま」の座礁にて、海上自衛隊のあわただしい新年が始まりました。

浅瀬を突っ切って、プロペラと舵・さらには艦首ソナーラバーウィンドも損傷した模様です。

まあ事故原因の調査は、これから進められていくのでしょうが単純ミスだったら目も当てられない状況です。

思えば「むらさめ型」護衛艦って、しょっちゅうプロペラ破損をやらかす問題児だったなあ〜。
(関連記事):『【海上自衛隊】特定秘密漏洩の先陣を切ってどうする!
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(1)うお〜い何しとんねん!

最初にニュースを聞いたときは、「じんつう」事故に続いて何しとんねん!と思う状況です。

図1 プロペラ破損
図1 プロペラ破損.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FGlXtLZWQAgaJaw?format=jpg&name=900x900

舵とプロペラ破損と聞いて、こんな状況になんでなるねん!と思いました。

1.1 年次検査の機関公試での事故かな?

情報を総合すると、JMU因島での検査で出港した護衛艦「いなづま」が、周防大島の南の海上で暗岩に接触して航行不能となったと思われます。

図2 護衛艦いなづま
図2 護衛艦いなづま.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/pco/hiroshima/event/20210731/105_03l.jpg

母港が呉の4護衛隊群所属になっており、活発に活動していた「むらさめ型」護衛艦です。

それなりに古いとはいえ、まだまだ現役バリバリの艦艇が派手に事故ったものです。

1.2 なんで浅瀬を突っ切てるねん!

海上自衛隊の船乗りとしては、周防大島周辺と言えば江田島の近くでもありホームグランドとも呼べる場所です。

図3 周防大島
図3 周防大島.jpg
引用URL:https://kotobank.jp/image/dictionary/nipponica/media/81306024008424.jpg

進路ミスなのか?海図(チャート)確認不足なのか?外力で流されたのに気づいていなかった?

想像される原因は多数ありますが、『なんで深度7mラインがある浅瀬を突っ切てるねん!』

これはもう、徹底的に事故原因を調査するしかないでしょう。

1.3 呉造修補給所の嘆きが聞こえそう・・・

海上自衛隊の関係では、非常に頭の痛いところとなっているかと思います。

図4 多用途支援艦
図4 多用途支援艦.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ams/hiuchi/img/main_4301.jpg

現場には、えい航をするための多用途支援艦が到着したようなので何とかえい航して呉港に入港させる形になるでしょう。

呉造修補給所の艦船部は、現在てんやわんやの状況となっているのが目に浮かびます。

ただでさえ2022年度予算の時期内なので、ここから修理費をかき集めてドック入りはかなり厳しい状況かもしれません。

年次検査中であれば、JMU因島工場に引き返すという手段も取れるでしょうが因島工場ではプロペラ軸系の工事はちょっと難しい状況でしょう。

予算があ!予算があああ!と激しく慟哭の涙が流れる状態です。(しらね火災でえらい目にあった)
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(2)むらさめ型護衛艦ってホントにプロペラ飛ばすことが多いなあ!

むらさめ型護衛艦というと、現職時代はほんとに「プロペラ折れました〜(涙)」となることが多かった印象があります。

図5 米海軍プロペラ
図5 米海軍.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/CZyPxy_WYAAZEvB?format=jpg&name=4096x4096

米海軍もたまにやらかすけど、むらさめ型はほんとにペラ破損が多かったです。

2.1  可変ピッチプロペラは複雑!

護衛艦では標準装備となった可変ピッチプロペラ(CPP)については、かなり複雑な機能です。

図6 CPP
図6 CPP.jpg
引用URL:https://www.khi.co.jp/mobility/marine/machinery/img/propeller_im01.jpg

護衛艦用CPPについては、通常の可変機構に加えていろんな細工がしているため非常に扱いが繊細です。

1枚のプロペラ翼製造に3か月はかかるため、艦船補給処で予備のプロペラ翼を保管しています。

しかしながら、景気よくぶっ壊すので現職時代に「むらさめ型」の予備品が底をつきそうになったことがあります。

補給本部が、大量に予備品を注文したおかげで何とかやりくりできた部分がありました。

2.2 ソナードームはマジで予備品が少ないぞ〜

問題は、ソナードームも損傷しているという情報があることです。

図7 ソナードーム
図7 ソナードーム.jpg
引用wiki

写真は、米海軍イージス艦に搭載しているSQS-53のソナードームです。

むらさめ型護衛艦に搭載しているOQS-5は、船底装備ですが強化ゴム(補強用ワイヤー入り)で製造されています。

一応交換年数が定められており、予備品もあるのですがなかなか交換費用が厳しいことになるでしょう。
(中のソナー素子も点検交換が必要かも?)

2.3 運動性が良くなった弊害?

むらさめ型護衛艦は、船体設計が良くなり凌波性も向上したため荒波を乗り超えていきます。

図8 凌波性
図8 波乗り越え.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FUjTjcAVEAAAD_x?format=jpg&name=large

こんな感じで、派手に乗り越えた結果「プロペラ曲がった〜!・折れました〜!」と造補所・艦補処に連絡が来ることがよくありました。

はつゆき型・あさぎり型・イージス艦やDDHではそんなになかったのに、なぜかむらさめ型だけペラ交換が多かったんですよ。
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(3)さらに事故が続かなきゃいいけど・・・

2022年には、護衛艦「じんつう」が横須賀港内で接触事故を起こしており事故が続く印象があります。

図9 護衛艦じんつう
図9 じんつう.jpg
引用wiki

船の事故は結構連続して起きるから、本気で注意が必要です。

3.1 ジャイロコンパスの狂い補正ミスだとやべえぞ!

海図を見ると、一直線に浅瀬を突っ切った航跡になっているようです。

図10 ジャイロコンパス
図10 ジャイロコンパス.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/D_AuQcvVUAE9ldP?format=jpg&name=large

艦橋での操艦では、ジャイロコンパスを見ながら操艦を行います。

厳正に狂いが無いようにチェックをしながら、航行を行いますがコンパスチェックを忘れていたなら大問題です。

どうも航跡を見ると、ジャイロコンパスの狂いを放置したまま全速航行したような感じしかしません。

今後の徹底的な原因究明が望まれます!
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2022年12月26日

【海上自衛隊】特定秘密漏洩の先陣を切ってどうする!

『イージス漏洩の二の舞いを海自がやるとは!』
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2022年12月26日、海上自衛隊での特定防衛防衛秘密漏洩事件の処分が下されました。

流出元となった、I1等海佐については懲戒免職となりましたが大元の海自OB元海将の名前は最後まではぐらかされた感じになりました。

図1 海幕長
図1 海幕長.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/about/topmessage/img/sakairyo_2.jpg

まあ防大派閥の関係もあり、言いたくなかったんでしょう。

色々怪情報が飛び交う前に、知りえる情報を流しておきましょう。
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(1)ペンギンはI1等海佐の元部下でした。

私ペンギンも海上自衛隊にいましたので、関係情報やいろんなバックグラウンドを知る立場にあります。

今回の懲戒免職事案について、ちょこっとばかり関係者が混じっているので驚いています。

1.1 ペンギンは、I1海佐の元部下でした。
実のところを言うと、懲戒免職となった「I1海佐」の元直属部下だったことがあります。

直属の部下として、1年以上勤務しているため結構いろんなことを知りえました。

海の世界だと、1年ほど上司と部下の関係を続けると結構後々濃いつながりとなります。

そのため良い面も悪い面も知ることになります。

元部下という関係上実名を避けることで、最低限の義理は果たそうと思います。

1.2 あんまりよい上司じゃなかったんだよね・・・

結論から言うと、I 1海佐はあんまり良い上司ではなかったというのが元部下ペンギンの結論です。

実際に同僚だった幹部自衛官が、2名ほどツブされたのを目の当たりにしました。
(パワハラではないけどやりにくい人だったなあ・・・)

ペンギンはほとんど箸にも棒にも引っかからなかったのか、ツブされることはなかったです。

他にI1海佐の部下になった人からも、あんまりいい評判はなかったんですよね。

1.3 I1海佐は一般大出身者の幹事付経験者

知っている正確な情報として、I1海佐は防大出身者ではなく一般大出身で幹部候補生学校に入った経緯があります。

なんだか防大出身の先輩後輩関係が〜なんて、まるで防大出身者であるような情報が出回っていますが全くの間違いです。

ただ優秀だたっため、海上自衛隊幹部候補生の「幹事付」(通称:赤鬼・青鬼)になるほど優秀だったのですが・・・

元部下として、この人情報保全意識大丈夫かな?と思ったことがあります。(任務艦)

だから元部下で1佐クラスまで上がってきた人間に、後ろから刺された状態になったのかもしれません。
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(2)漏洩先のOBはあの人かな?

今回特定秘密の漏洩先として、元自衛艦隊司令官を経験したOB(元海将)の情報があります。

ネットでK提督だろう!なんて情報がありましたが、別の元海将が思い当たる節があります。

2.1 I元海将じゃないだろうか?

思い当たる節として、I元海将(防大出身)ではないかな?と個人的には思っています。

図2 自衛艦隊
図2 自衛艦隊.jpg
引用wiki

アノ人に心酔していたから、ついつい漏洩してしまったのかも・・・

Twitterで情報発信をしている、空自で情報職域の幹部をしていた「Sonoda Hiroki氏」が思いっきり呆れています。
(いつもTwitterでの知己のある情報発信に感謝しかありません!)

図3 Sonoda Hiroki氏のTwitter
図3 Twitter.png
引用URL:https://twitter.com/SonodaHiroki/status/1606866724393222146

I元海将って不思議と人を引き付ける魔力みたいなものがあったので、心酔する幹部は結構いたんですよね。

防大・一般大出身の垣根を越えることができた、不思議な魔力を感じる人でした。
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(3)OB問題は根が深いぞ〜?

自衛隊OBが現職に情報を求めてくることはよくあるんですよね。

私の場合、装備幹部でしたので入札・予定金額の話・検討中の装備情報を求めてくる人が多かったですね。

特に「M重工(名航宇宙)」って、的確に元上司だったの顧問(将官クラス)をあてがってくるのですげえ嫌でしたね。

イージス情報漏洩事件で、あれだけ海上自衛隊へのバッシングが起きたのにまた情報漏洩をやらかすとは情けないにもほどがあります。

情報保全の再度規律徹底を望みます。
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2022年05月29日

護衛艦じんつうやっちまったなぁ〜【海上自衛隊】

『船越岸壁って結構狭いのよねえ〜!』
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2022年5月22日に、海上自衛隊横須賀基地船越地区にて護衛艦じんつう(DE230)が掃海母艦うらがに衝突する事故がありました。

図1 じんつう事故
図1 護衛艦じんつう事故.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FTbbJ5hacAA7h24.jpg

護衛艦じんつうは艦首がへこみ、衝突された掃海母艦うらがも船体中央部に大きなへこみと亀裂が入る事故となりました。

横須賀造修補給所船体科大激怒案件ですが、船越岸壁の出入港はかなり難しいものがあります。

運用性を取るか、騒音対策を取るかの問題となるでしょう。
(前回記事):『【世界情勢】スラヴァ級巡洋艦撃沈ってマジかよ・・・(汗)
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(1)船越岸壁は特殊だからね〜?

今回の事故については、横須賀のいつもの吉倉岸壁とは違う場所で発生しています。

図2 吉倉逸見岸壁
図2 横須賀基地.jpg
引用wiki

自衛艦隊司令部などがある、奥の岸壁で発生しています。

1.1 船越岸壁はめちゃくちゃ複雑!

船越地区にある岸壁には、吉倉岸壁に泊まれなかった艦船が集まってきています。

図3 船越岸壁
図3 船越岸壁.png
引用URL:https://www.google.com/maps/@35.300644,139.6370869,893m/data=!3m1!1e3?hl=ja

少し前の航空写真ですが、岸壁の様子が分かるようになっています。

今回発生したのは、特に大型艦が係留する岸壁(画像右上)のところで発生しています。

広いように見える水域ですが、意外と狭い水域なので出入港に苦労する場所です。

1.2 結構難しい場所!

最初に護衛艦じんつうがうらがに突っ込んだと聞いたときは、「おいおいどんな操艦したらぶつけるんだ?」と考えてしまいました。

図4 昔の船越
図4 船越係留.JPG

昔やってや係留であれば出船係留でぶつける要素があまりないように感じていましたが、最近は民間地区にエンジン排気音をぶつけないように、入船係留していることが多くなっているのを忘れていました。

図5 入船係留
図5 入船係留.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FTXgMpqVIAAWquM.jpg

この状況で、港内にて方向転換するのに各艦ともかなり苦労していたのを覚えています。

1.3 ブイ係留保管船があると狭い!

船越岸壁地区には、掃海艦が停泊する艦船補給処の桟橋と船越岸壁の間に浮標(ブイ)があり、退役した船が係留されていることもあります。

図6 浮標係留
図6 あきしお係留.JPG

ほんとに回転する水域があるとしたら、掃海母艦「うらが」の横しか海域が無い状況です。

護衛艦じんつうの事故は、そんな中で操艦ミスの部分が大きいといえます。

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(2)曳船使い・機械の使い方・艦橋での遅れ?

出入港については、事故が起きやすい部分であるので最も注意しているのですが事故は起きてしまいます。

図7 曳船との連絡
図7 曳船との連絡.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/E-lXY9vVgAIiILS?format=jpg&name=medium

いくつものミスが発生した可能性があります。

2.1 出港前ブリーフィングの伝達不足?

可能性の一つとして、出入港での艦長のインテンション(意図)を周知する出港前ブリーフィングにて意思疎通不足があったのかもしれません。

図8 出港前ブリーフィング
図8 出港前ブリーフィング.jpg
引用URL:https://fanblogs.jp/sstd7628/file/E587BAE6B8AFE5898DE38396E383AAE383BCE38395E382A3E383B3E382B0E381AEE9A2A8E699AF.jpg

参考記事):『【海上自衛隊】船務士も出港時にはお仕事いっぱいだよ!

このコロナ過で密集することがあまり好まれない状況で、的確にインテンションを伝達できたのかという問題があるでしょう。

ここで、意思疎通不足があったのかもしれません。

回頭する位置や、回転スピードの細かい指示が十分でなかったのかもしれません。

2.2 艦橋が騒がしい船は事故る!

練習艦隊や護衛艦勤務の時によく言われたこととして、出入港作業における艦橋の在り方です。

『艦橋が騒がしい船は、必ず事故になる!』


図9 艦橋
図9 艦橋.jpg
引用URL:https://www.hiroshimapeacemedia.jp/blog/wp-content/uploads/2018/02/6f77947fad1a2a20454880c963fb6829.jpg

艦長の操艦号令が、正確に伝達されなければ事故の元になります。

部下の報告も、艦長の仕事の邪魔をしないようにて適格に行う必要があります。

2.3 緊急投錨の時間もなかっただろうな〜

出入港の際には、艦の動きが予想より大きく動いてしまうこともあります。

そんなときに船を止める手段として、緊急投錨という手法があります。

図10 釣り錨
図10 釣り錨.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/news/02/img/08/03.jpg

出入港作業において、必ず錨の一個については「釣り錨」として船を止める最後の手段として緊急投錨にて止める作業をします。

一瞬の時間なので、緊急投錨する時間もなかったかもしれません。
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(3)昔が豪快すぎた?

昔の船乗りの話を聞くと、多少こすっても許されたおおらかな時代がありました。(おおらかすぎた?)

しかしながら最近では、ぶつけたら即時に大問題となってしまいます。

3.1 駆潜艇のような哨戒艦の早期配備を望む!

最近の護衛艦は大型になりすぎて、若い時代に艦艇長勤務経験ができる駆潜艇が無くなったのも経験を積める機会が少なくなったといえます。

図11 駆潜艇
図11 駆潜艇.jpg
引用wiki

今回の事故は艦長の操艦ミスとして、簡単に片づけていい話ではないと考えます。

艦艇の十分な経験がしっかり詰める環境として、哨戒艦などの早期配備が必要になってきているといえます。

今後の計画をしっかりとしてほしいものです。
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2021年12月31日

我所望哨戒艦!多数中国空母監視船舶!【海上自衛隊】

『護衛艦いずもを出さなきゃ艦艇やりくりが間に合わないんだよ!』
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2021年12月に中国海軍空母遼寧を中心とした、空母打撃群が再び太平洋に進出するという事態となりました。

図1 発艦シーン
図1 発艦シーン.jpg
引用URL:http://military.cnr.cn/ycdj/20211230/W020211230726793485477.jpg

中国空母の戦闘機発艦シーンを撮影することができましたが、中国側からも撮影されるという状況となっています。

単艦での防御力が低い護衛艦「いずも」を洋上監視に駆り出すのには、海上自衛隊内の艦船やりくりで悲痛な状況も関わってきます。

早く哨戒艦を多数建造して、洋上監視業務を交代してくれ〜!
(前回記事):『【防衛省】MV-22オスプレイを見た感想!
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(1)護衛艦「いずも」中国空母と対峙する!

2021年12月15日に、宮古海峡を通過した空母遼寧を中心とする部隊は太平洋上にて訓練を実施いたしました。

12月30日に母港に帰還して、写真や動画を多数公開しています。

1.1 撮られたら撮り返す!倍返しだ!

12月19日には、中国空母からJ-15戦闘機の発艦シーンを撮影することに成功した護衛艦「いずも」については、大変な功績となったといえます。

図2 戦闘機離陸
図2 戦闘機発進.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/js/Press/press2021/press_pdf/p20211221_01.pdf

なかなかお目にかかれない、中国空母からの戦闘機離陸シーンは今後の役に立つでしょう。

さらには、貴重なJ-15戦闘機の武装形態を見ることができました。

1.2 センターパイロンにミサイル搭載できたんか!

別の日には、J1-5戦闘機が飛行している状況を撮影している中でほとんど見かけない構図がありました。

図3 J-15ミサイル搭載
図3 J15戦闘機.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/js/Press/press2021/press_pdf/p20211221_03.pdf

『J-15!お前センターパイロンにミサイル搭載できたんかワレェ!』

なかなかお目にかかれない貴重な情報を提供していただいたといえます。

1.3 しまいにゃ中国艦隊に合流してみたり!

護衛艦「いずも」については、洋上監視で色々頑張ってみたようです。

中国側もあまりにしつこかったのか、わざわざ動画付きで護衛艦「いずも」を紹介するほどです。

図4 艦隊行動
図4 いずも艦隊行動.png
引用URL:https://twitter.com/i/status/1476554009133518849

本来ならば、個艦防御力の低い護衛艦「いずも」は単艦で送り出すのはおすすめできないのですが海上自衛隊の事情からも贅沢は言えません。

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(2)船が足りないんだよお〜!

海上自衛隊の慢性的な悩みとしては、海賊対処派遣行動やらインド太平洋方面派遣訓練(IPD)などで、長期に艦艇が取られ可動艦艇不足が起きています。

2.1 海上自衛隊演習の後は年次検査になだれ込む!

毎年11月には、海上自衛隊演習や自衛隊統合演習などで多数の艦艇が訓練に参加します。

図5 海上自衛隊演習
図5 海上自衛隊演習.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FE9euonaQAAnMrV.jpg

その後は、年1回行われる年次検査を実施する艦艇も結構あります。

図6 艦艇年次検査
図6 年次検査.jpg
引用URL:http://www.hakodate-dock.co.jp/jp/03_repair/img/takanami-goeikan.jpg

年次検査について、歳出での検査を行うとなると12月には造船所へ入る必要があるためどんどんと艦艇がいなくなります。

その結果、即応艦として待機する船について訓練支援艦や動ける船なら何でもいい!となってしまいます。

2.2 船がいね~んだよ!(総監部運用幕僚ガン泣き)

そんな中で、中国空母などがひょっこり出動してくると少ない可動艦の中からさらに緊急出港して対応することになります。

護衛艦「いずも」は、2021年6月に定期検査と第1次改修工事を終えて出てきたばかりです。

2021年度中には年次検査に入る必要が無いため、ちょうどよい可動艦艇だったといえます。

横須賀地方総監部運用幕僚が、
『船がいないんじゃ〜(泣)!とにかく行ってこいや〜!』

そんな感じで送り出されたかもしれません。
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(3)はよ哨戒艦整備しようせ!

計画が進んでいる哨戒艦12隻については、これから基本設計となりますがもっと早期に配備が進んでいれば護衛艦「いずも」を単艦で洋上監視に送ることもなかったかもしれません。

3.1 30大綱の想定通り?!

うがった見方をすれば、30大綱にて「いずも」型護衛艦を改修してSTOVL機運用可能にする理由を見せつけたとも言えます。

図7 30大綱パンフレット
図7 30大綱.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/pdf/20190801.pdf

いずも型護衛艦を改修する理由を宣伝するために、わざわざ護衛艦「いずも」だけで空母打撃群の監視に向かわせたとも考えられます。

財務省へのアピールとしては、この上ない宣伝材料になるでしょう。

まあ、ほんとに横須賀港から動ける艦艇が「いずも」だけだった可能性もあるでしょう。

なかなか年末にかけて、人騒がせな空母遼寧の出港だったといえます。

今後の中国空母の動きに注目いたしましょう!
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2021年07月28日

図上演習本番ついに開始!【図演本番@】

『アニメじゃない!これが本当の戦うということだ!』
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いままで、図上演習の準備を重ねてきましたがついに図上演習本番が開始となります。

TG21.1は、理不尽と法律のはざまで戦うことになります。

図1 対空射撃
図1 対空射撃.jpg
引用wiki

対空戦だけかと思ったら、いろんな戦闘がまとめて同時進行する事態に!

果たしてどこまで生き残れるか!
(前回記事):『【海自】運用者に怒られそうな話がいっぱい!
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(1)図上演習開始!防衛出動待機命令発令!

図上演習については、幹部中級学生に対して幕僚要務を習得させるために行います。

事前訓練とは違う前進配置にて、図上演習本番を迎えます。
(参考記事):『【図上演習D】第1回事前演習はボコボコやぁ〜(涙)!
1.1 開始と同時の防衛出動待機命令!
『図上演習はじめ!』と審判部から開始の合図が流れたあと、

(審判部)
『訓練・防衛出動待機命令発令!X国の攻撃が予測される。各部隊は警戒を源となせ』

図2 図上演習のイメージ
図2 図上演習イメージ.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/navcol/msc/images/mdgs/mdgs11.jpg

今回の図演本番は、随分と早い段階にて防衛出動待機命令が発令されました。

図演の本番では、教官たちもあっさりと作戦が進んでもらっても困るのでいろいろな手段で妨害行動をかけてきます。

TG21.5の航空部隊(P-3C)が哨戒飛行を開始して、続々と周辺海域の情報が入電されていきます。

(TG21.5航空機)
「X国潜水艦らしきもの南北に1隻ずつ探知!」
「中立国商船1隻離島北部を航行中」
「敵X国漁船を装ったAGI(情報収集艦)と思われる船舶1隻確認!」

図3 開始直後の情勢
図3 図上演習開始直後.png
事前の図上演習とは少し違う形で、敵国や中立国の商船漁船が確認されていきます。

1.2 防衛出動が出るまで武器使用はかなり厳しい!

まず最初に発令された自衛隊法第77条の「防衛出動待機命令」では、すぐに武器使用ができるというわけではありません。

以前の海上自衛隊演習シリーズにおいても、かなり厳しい状況となっています。

(参考記事):『【艦補処】自衛艦隊司令部後方幕僚に派遣!(その1)

単刀直入に言うと防衛出動待機命令の間は、
「撃たれるまで撃つことはできない」

刑法第36条の「正当防衛」及び刑法第37条「緊急避難」による、自己防御のための射撃しか認められません。

その他自衛隊法第95条における「武器等防護」のために武器使用を認められるだけです。

さらにROE(部隊行動基準)により、各種の縛りがあるため慎重に行動する必要があります。

ギリギリのつばぜり合いが続くことになります。

1.3 中立国商船がX国の攻撃対象になってしまう?!

現状の状況としては、中立国商船を早く戦闘海域から離脱させる必要があります。

中立国商船は、攻撃対象とはなりませんが状況次第では敵X国からの攻撃対象とみなされてしまう可能性があります。

TG21.1の判断で中立国商船に退避を呼びかけます。

(TG21.1)
「中立国商船へ、本海域は戦闘海域となる可能性がある。ただちに退避を要請する!」

あくまで「お願い」として中立国商船へ呼びかけます。

(中立国商船)
「こちら中立国商船、目的地はα港であり現在の海域をただちに離脱する。警備をお願いしたい。」

さてちょっと困ったことになったぞ〜?

中立国商船は、目的地が我が国のα港であり急速に退避すると宣言しました。

戦時国際法で陸戦については、民間人もしくは民間施設を攻撃するのは国際法違反となります。

ただ、海戦にいてはちょっと考えが異なります。

攻撃目標としては
@敵国艦船・潜水艦
A敵国航空機
B敵国の軍事行動を補助する船舶
そのほかに、
C敵の軍事行動に込みこまれた中立国船舶


というものがあります。

図4 中立国商船
図4 中立国商船の立場.png

中立国商船であっても、戦争当事国の軍事物資等を運送している場合などは攻撃対象に含まれてしまいます。

イランイラク戦争にて行われた「タンカー戦争」では、第3国の石油タンカーに対し両国が攻撃対象としてミサイル攻撃などを行っています。

この図上演習についても、中立国商船は我が国α港に入港すると宣言したため、X国から攻撃目標と認定されてしまいます。

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(2)敵X国のアボルダージュがキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

あれやこれやしてるうちに、敵X国のスパイ船(AGI)らしき船が動き出します。

図上演習の交戦の初手は、まさかのアボルダージュからの攻撃?!

2.1 敵X国スパイ船・潜水艦動き出した〜!

中立国商船との交信が終わると、敵X国スパイ船と思われ船舶が怪しい動きを始め中立国商船に近づく動きをします。

図5 スパイ船
図5 スパイ船.jpg
引用URL:https://www.cnn.co.jp/storage/2019/12/19/625ee5ca22df66b6f340ad24de746118/russian-ship-sailing-off-us-coast.jpg

さらに探知した敵潜水艦もTG21.1に近寄ってきます。

とりあえずは、中立国商船を守る形で敵X国スパイ船の行動を妨害する動きに出ることを決心します。

しかし、事態は一気に急変します。

2.2 X国スパイ船が中立国商船にアボルダージュ―(移乗攻撃)!

なんと敵X国スパイ船が中立国商船に接弦して、武装人員を送りこみ始めました!

図6 武装要員が乗り込んできた!
図6 武装要員乗り込み.jpg
引用URL:https://ac.namu.la/20210620/07bae134918efd814fd1b2ca6d35b408e4ee73a81228911e71c4b40164014289.jpg

「ウラー!」「X国船舶から武装部隊が乗り込んできた!(中立国商船)」

(TG21.1)
「ウソだろ!アボルダージュをしやがった!」

まさかの中立国商船へ、X国がアボルダージュ(移乗攻撃:臨検)を開始しだしました。

しかしこの海域は、我が国のEEZであるためX国の行為は断固として認めるわけにいきません。

(TG21.1指揮官役学生)
「X国船舶に警告発令!本海域は我が国のEEZである!違法行為をやめなけければ実力行使を行う!」

X国船舶に対して、警告を発しますが武器使用に関しては慎重にならざるを得ません。

さらに事態は悪化します。

2.3 RPG発射!はたかぜ被弾!

状況がさらに悪化して、どうやら中立国商船はX国によって制圧されたようです。

甲板上には、武装したX国の人員が見えており中にはRPG発射機を持った人間も確認できます。

(TG21.1)
「状況が危険だから、少し商船から距離を取ろう」

進路を割り込ませた護衛艦が、商船に近づきすぎてRPG射程圏内から距離を取ることにしました。

さらに、離島北部に潜伏している潜水艦の警戒も必要です。

商船から距離を取りつつ、護衛艦搭載のHSを飛行させて警戒を行うことにしました。

まずはHSを離陸させ、その後護衛艦を後退させていこうとした時ついに発生します。

(審判部)
「想定付与!X国がRPGをTG21.1に向け発射!」

図7 RPG発射
図7 RPG発射.jpg
引用URL:https://cdni.rbth.com/rbthmedia/images/2018.11/original/5bf3c3c185600a10230a850d.jpg

いきなり審判部から想定が付与されます。

TG21.1は大騒ぎになり、慌てて全護衛艦を中立国商船から遠いところまで避難させ被害状況を確認します。

(「はたかぜ」担当学生)
「はたかぜ被弾!はたかぜ被弾!ミサイル発射機が炎上!」

ついにX国からの攻撃で、味方に被害が発生して貴重なDDGに損害が出る事態となります。

(DD担当学生)
「HS潜水艦探知!TG21.1近くまで接近!まもなく敵魚雷射程圏内!HSから攻撃許可要請!」

敵X国空母艦隊と航空機の空襲を待っていたはずが、
@対空戦(AAW):敵X国空母艦載機
A対水上戦(ASuW):敵X国スパイ船
B対潜戦(USW):敵X国潜水艦

というまさかの3つの戦闘を同時に行う複合戦に突入することになりました。

TG21.1の決断はいかに!
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(3)図演本番は序盤から大荒れ!

海上自衛隊演習以来の、指揮所を想定した図上演習はのっけから大荒れの予感がする形になりました。

自衛艦隊司令部での経験がありましたが、実際に自分たちで作戦を組みたたて行くのはなかなか難しいところがあります。

国際法と国内法を整合させながら、作戦行動を判断していくにはかなりの労力が必要となります。

図上演習本番は、これからもっと大荒れになりますよ〜!
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2021年07月01日

海自運用者に怒られそうな話がいっぱい!

『海幕は現場を見て考えてるのか〜(怒)!』
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海上自衛隊で勤務していると、海幕中央で考えられたことが実際の現場から乖離していることが結構あります。

何度もまあ聞くとドキッとする話が、これでもかと登場知ることがあります。

護衛艦で勤務する乗員から何度怒られたことでしょう、ドキッとするような話を何度も持って行ってすみません!

そんな、聞いたらドキッとして怒りだしそうな話が結構あります。

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(1)船乗りが聞いたたドキッとするようなセリフいっぱい!

Twitterにて、「男の子が言われてドキッとするセリフ」なんてものが存在していました。

なかなか面白そうなセリフがあったりしますが、ちょこっとネタを拝借してこんなのが実際に言われた話にも応用できそうです。

船乗りが言われてドキッとして怒りだす話は結構あります!

1.1 射撃・水雷向け「新しいものが増えました!」

射撃や水雷など、攻撃分野の人にとっていきなり聞くと嫌な話は、新しいものが増えました!でしょう。

図1 5インチ速射砲
図1 5インチ速射砲.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/whatsnew/images/y682.jpg

あたご型護衛艦から搭載が始まったMk45mod4 5インチ速射砲の配備が決まったときは、まあえらい目に遭いました。

ただでさえOTOメララ127mm速射砲があるのに、弾薬が共用できるとはいえMK45の導入です。

導入が射撃屋さんの要望とはいえ、部品管理も違うので偉い苦労となりました。

水雷装備では、97式魚雷の艦艇搭載が始まったも苦労話でいっぱいでした。

図2 97式魚雷
図2 97式魚雷.jpg
引用URL:http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2000/photo/img/ap123025.jpg

最初はHS搭載用が先行して配備されていましたが、配備が始まった当時は73式魚雷(B)やらMK46mod5魚雷もあり、いろいろ管理が大変だったりします。

ヘリ用の魚雷は、水上艦用の3連装短魚雷発射管でも扱えるのが理想なんですが・・・

図3 3連装短魚雷発射管HOS-302
図3 HOS-302.jpg
引用wiki

当時現用で使っていた、HOS-301及びHOS-302発射管では97式魚雷の運用ができませんでした。

たかなみ型護衛艦や、あたご型護衛艦といった新鋭艦でもHOS-302でした。

97式魚雷がすぐに水上艦用として使われなかった理由は、
「発射管に収まらないくらい長くなったから!」

97式魚雷製造が軌道に乗ってから、ようやく97式魚雷に対応できるHOS-303が開発され、ひゅうが型護衛艦(16DDH)から搭載されるようになっています。
(10年ほどHOS−303の開発計画は、放置状態だったそうです。)

射撃や水雷の人が聞いたら、ほんとにドキッとして怒りだす話です。

1.2 通信の人向け「・・・来ちゃった♡(RRC-32無線機)」

通信に人にとっては、いきなり扱う無線機が増加するって言われるとドキッとするでしょう。

そんなことがほんとに起こったのが、立入検査隊用に大量調達されたRRC-32無線機です。

図4 RRC-32無線機
図4 RRC-32.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/E3gS5PmUYAElIk8?format=jpg&name=medium

ちょうど立入検査隊の隊員が背中につけているのが、RRC-32無線機です。

似たような小型携帯無線機は、海上自衛隊にいくつかありましたが、
・「付属品も含めて数がそろう」
・「防水性がある」
・「すぐに納入できる」

ということで、急遽RRC-32無線機の大量調達となりました。

急遽調達と大量配備となったので、
「どこに格納すればいいんじゃあ〜(怒)!」
と、通信科が一苦労することになります。

今でも通信関係の人間にとっては、RRC-32無線機はトラウマの器材といえます。

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1.3 機関科向け「エンジン2基とも故障!(LM2500)」

機関関係の人にとって、言われたらドキッとするセリフとしては
「機関故障!予備エンジンありません!」
でしょう。

この話は海上自衛隊で使用するLM2500エンジンに関して、ほんとに言われたことがあります。

当時、インド洋派遣と遠洋航海・リムパックが重なり多くの護衛艦が海外に出ていました。

図5 LM2500エンジン
図5 LM2500.jpg
引用wiki

オーバーホールで修理するLM2500ガスタービンエンジンも、なかなか確保が厳しい状況でした。

そんなときに限って、故障が連発してどんどん予備エンジンが少なくなっていきます。

残りの予備エンジンが1基とまでなったときにインド洋派遣部隊から、
「LM2500エンジン2基故障!!」
という凶報が飛びこんできました。

「予備エンジンありませ〜ん!!」と本当に叫ぶ事態になりました。

むらさめ型護衛艦の高速用エンジンとなっていたLM2500が、燃料の関係で2基同時に故障という不運でした。

結局、LM2500エンジン1基を送って交換して帰国までしのいでもらったということがあります。

なかなかスリリングな状況でした。
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(2)自衛隊はドキッとするセリフがいっぱい!

自衛隊での勤務は、ドキッとするセリフがいっぱいあります。

私も勤務中にドキッとするセリフを聞いたことがあります。

2.1 演習中「迫撃砲落下〜!!」

ある日、自隊警備訓練中の時に用事があり建物の外に出たとき、陸自の人が何か投げるのを見つけました。

図6 陸自投擲
図6 擬砲煙筒.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EaNSyY8UMAA3L-y.jpg

なんだ?と思ったときに、

「(効果音)ヒュー〜〜〜〜!!」
(動画):https://www.youtube.com/watch?v=JsDZyKxSZWI

(警備隊)
「迫撃砲落下〜!伏せろぉ〜!」

いきなり演習用の擬砲煙筒(ぎほうえんとう)が近くに転がってきて、思いっきり伏せることになりました。

あれは、思い出してもかなりドキッとするセリフでした〜。

なかなか自衛隊は、ドキッとするセリフを聞くことが多い世界ですよ!
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2021年03月26日

海自ダメコン応急工作は奥が深いよ〜!

『火を消し浸水を止めるだけがダメコンじゃない!』
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改自衛隊で奏でた交響曲を書いていると、皆さまのコメントにいろいろ気づかされることも多くあります。

この前は、FFM進水とダメコンの話でいろいろなコメントをいただきました。

省人化はダメコンを切り捨てることと同義語か?という問題など結構興味が出てくる分野です。

戦闘と同レベルで重要な、ダメコンの本質についてご紹介いたします。
(前回記事):『【中級課程】図上演習のため東京へ移動!
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(1)ダメージコントロールトは何か?

海上自衛隊や世界の海軍において、戦闘と共に重要視されているのがダメージコントロール(通称:ダメコン)です。

図1 スターク
図1 スターク.jpg
引用wiki

ダメコンの世界は、一度はまると面白いですよ〜!

1.1 防火防水だけじゃない!

ダメコンと言うと、防火や防水を行う映像が多く使われます。

図2 防水
図2 防水.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/ccf1/1ed/ikazuchi/topic/20090627/index.files/image008.jpg

ダメコンのわかりやすい事例として、浸水を防ぐ防水作業などがあります。

そのほか、船にとって一番怖い火災に対処する消火作業を行うのもダメコンの範囲です。

図3 防火
図3 防火.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/oominato/gallery/setogiri/img/3005/5-45.jpg

火災において果敢に消火作業を行う応急班の勇気は、日ごろの訓練の成果です。

ただ、ダメコンは単に防火や防水を行うだけの仕事と思われてしまう一面があるでしょう。

艦艇の省力化省人化において、ダメコン要員(応急王作員)を削減して自動化すればよいというものではありません。

1.2 応急工作の本質!

ダメコンの本質としては、
@艦艇の戦闘損傷を局限して、戦闘を継続させること。
A修理を行い基地に帰投する能力を維持すること。

この2点に尽きるでしょう。

どんなに乗員の数が削減されても、この2点が軍艦のダメコンの本質です。

応急工作では、溶接作業や潜水作業で修理も行います。

図4 溶接作業
図4 溶接作業.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/D6WWRdHUIAAlhQD.jpg

機関科に所属する応急工作員の中には、潜水員の訓練を受けさらに水中溶接という難しい技術を習得した要員もいます。

図5 水中溶接
図5 水中溶接.jpg
引用wiki

船を動かし続けるために、あらゆる手段を尽くすのが応急工作の本質です。

1.3 事前準備がダメコン作業の9割を占める!

ダメコンについては、事前準備がダメコン作業の9割を占めるとされています。

図6 角材
図6 角材.jpg
引用wiki

日ごろから、応急資材消火機器の事前蓄積・水密気密処理の徹底・教育訓練の実施が重要であるとされています。

実際に被害が発生したときの処置作業・修理作業は、応急工作作業の1割であるとまで、言い切っています。

日常から準備しておけば、いざというとき対処できるのです。

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(2)応急工作員だけでダメコンをやるわけじゃない!

ダメコンは、応急工作員だけで行っており何人も応急工作員がいると思われるかもしれません。

実際は、応急工作員が中核となり運用員・電機員など各所の人間が集まり応急班が作られます。

2.1 200名の護衛艦で40〜50人が標準!

1艦での応急班及び応急指揮所については、その船の特性に合わせて人員が増減します。

図7 応急指揮
図7 応急指揮.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/mocs/mocs/news/education/sub19/img/01.jpg

はつゆき型護衛艦では、戦闘時にダメコンに従事するのは40〜50名程度になります。

前中後部応急班に応急指揮所・艦上救難班などが合わさった状況です。

ヘリを多く搭載するDDHだと、応急班や艦上救難班の人数が多くなるでしょう。

この人数が多いか少ないかは、一概に言えませんがあらゆる対応ができるようにするのがダメコンです。

さらに当該被害箇所で負傷がいたら救助して、応急手当ができる安全な箇所まで連れ出すのもダメコンの仕事です。

「機器の自動化で人数を削減できるじゃないか!」という反論も出てきそうですね。

2.2 複合化した被害対処ができるのは人力しかない

ある局面を想定してみましょう。

『応急指揮指揮官として、あなたは自動化が進んだ応急指揮所でダメコン指揮をしている』
『戦闘中において、ミサイル破片が被弾して浸水・火災の警告灯が点灯した』
『監視カメラで確認すると、浸水と共に機器から電気火災(C火災)が発生』
『火災を起こした機器の近くにまだ生きている負傷者が倒れている』
『数人がまだいたはずだが状況が確認できない』
『手元では自動海水消火機器ボタンと二酸化炭素消火ボタンがあり操作ができる』
『すぐ近くには応急班が待機しており被害箇所への進入可能』
『あなたがこの場合行うべき行動は何か?』

選択肢としては、3択となるでしょう。

@区画閉鎖を確認して、自動消火ボタンを押す。
A区画の電源を遮断して、機器火災を局限する。
B応急班の進入・状況偵察及び防水防火処置を行う。

正解はBになります。

浸水と火災が発生しているのであれば、まずは浸水対処を優先すべきでしょう。

火災についても、電気火災であるものA火災(一般火災)の発生も起きているかもしれません。

負傷者が生きているのに、二酸化炭素消火器を作動させるなんてもってのほかですが自動化で人員がいない場合は、消火を優先してボタンを押すべきでしょう。

しかし浸水に対処できなくなり、やがて区画水没処置をとらざる得なくなります。

自動化が進んでも、複合化した被害対処にはやはり人力が何よりも勝ります。

特に防水作業は、非常に労力と酸素を使いますので、空気確保が必要になります。

図8 防水作業
図8 防水作業.jpg
引用wiki

安易に何も事前準備を行わず、ダメコン要員を削減すると防水作業もままならなくなります。
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(3)少人数化=ダメコン放棄じゃない!

艦艇の少人数自動化については、ダメコン放棄と考える人が結構いるようです。

その発想は、応急工作の本質を知らず防火防水の場面しか知らない人の発想といえます。

3.1 事前準備を万全にすることで、少人数化できる!

応急工作の本質である「事前準備が9割!」を徹底することにより、艦艇の少人数化自動化は可能と考えます。

今後人口減に対応するため、少人数化は避けられません。

もがみ型護衛艦(FFM)についても、相応の応急班編成が行われて事前準備作業を陸上で準備する形になるでしょう。

決して少人数化=ダメコン放棄ではありませ〜ん!
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2021年03月17日

中級課程図上演習のため東京へ移動!

『図上演習は東京幹部学校で行うよ!』
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幹部中級課程の最大行事といえる図上演習について、本番の演習は東京の幹部学校で行います。

みんなでなんやかんやと、東京への大移動!

しかし東京で待っていたのは、まさかの自宅通勤?!

ほんとに図上演習実施は大丈夫か?
(参考記事):『【図上演習E】何が悪かった?!事前演習反省会!
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(1)事前演習が終わって東京に行くぞ!

江田島での事前演習は何度か行い、形となったところで東京に向かいます。

江田島から久々の移動となるよ〜!

1.1 本番は東京で!

中級課程の図上演習については、本番の演習は東京にある幹部学校で行います。

図1 幹部学校
図1 幹部学校.jpg
引用wiki

東京目黒区にある、海上自衛隊幹部学校の図上演習装置を使って本番を行います。

図2 図上演習装置
図2 図上演習装置.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EN1Hwp9UcAQq1qE?format=jpg&name=4096x4096

大規模にコンピューター上で行うためには、やはり東京で行うしかありません。

1.2 総勢100名以上の移動になるね〜

幹部中級課程の共通教育になると、かなりの人数が在籍しています。

それほどの人数が一気に移動となるため、結構な大人数の移動となります。

図3 移動
図3 団体移動.jpg
引用URL:https://www.rirekisyodo.com/wp-content/uploads/2017/10/171009_employee-travel-clothes-01.jpg

一度に大人数で動くと迷惑になるため、教育班ごとに移動ということになります。

幹部自衛官であるので教官たちも気楽に、
「●〇日の〇時までに幹部学校着で計画立てとけ〜」
「旅費は前払いで出すんで、早めに申請しろよ〜」
「旅客機の使用は出張なんでつかえないからな〜」


というようにほとんど丸投げ状態です。

他の班と時間調整しながら、新幹線で東京まで行くことになります。

1.3 1週間ほどの出張だよ!

東京幹部学校への図上演習は、教育目的の出張となります。

関係資料やら生活用具やら結構な荷物を持っていくことになります。

図上演習関連の荷物は、事前に部内郵便で送付して着替えなどを持っていく形です。

横須賀から来た中級艦船装備課程の人間も、当初は横須賀には戻らず東京で過ごす予定でした。

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(2)ここは空自の基地だったの?!

どうにかこうにか広島県江田島を出発して、東京目黒区にある幹部学校に到着します。

しかしそこには驚きの展開が待っていた!

2.1 出発!乗り遅れ!の移動ハプニング!

広島県からは、新幹線で移動となりますが当時はまだ出張で「のぞみ」を使わせてもらえない時代でした。
(今は改善されて合理的な手段で「のぞみ」を利用できます。)

そんなわけで、途中の新大阪で乗り換えが必要でした。

大人数で移動すると当然発生するハプニングとして、乗り遅れが発生します。

図4 乗り遅れ
図4 乗り遅れ.png
引用URL:https://www.civillink.net/sozai/images/pics3517.png

私のいた教育班もまた、半数の人間が乗り換え駅で乗り遅れをやらかします。

そんなハプニングを予期して、時間の余裕と切符を分散して購入するなどしておいた苦労が報われます。

なんだかんだで、ようやく東京目黒の幹部学校にたどり着きます。

2.2 ここ空自の基地ってなってるぞ?

何とか目黒の幹部学校があるところまでたどり着きます。

そんな一行に立ちふさがったのは、正門の光景です。

図5 目黒基地正門
図5 目黒正門.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/asdf/meguro/kichigaiyou/images/mon.jpg

『お〜い、航空自衛隊目黒基地ってなってるぞ?』
『入口を間違えて、空自の幹部学校に着いちゃった?』
『地図だとここが、幹部学校への入口になってるぞ?』


そんなことをしていると、空自の隊員が

「海自の学生さんですか〜?幹部学校はここであってますよ〜!」

と声をかけてくれて、そのまま入門して幹部学校に到着しました。

後で聞くと、(当時の)目黒の基地業務は航空自衛隊の管轄になっているとのことでした。

ここで初めて幹部学校が陸海空同じ建物に入っていることを知った次第です。
(陸自幹部学校は2018年に、組織改編により教育訓練研究本部に名称変更)

やれやれと、到着報告を行い学生用宿舎にて荷物を下ろします。

大人数となって狭いですが、1週間ほどですので我慢です。

とりあえず、次の日は休日なのでゆっくりできるかと思いきや!
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(3)まさかの自宅通勤に変更!

中級学生全員が到着した後、一度全員が教務講堂に集められました。

何事かと思いきや、驚くべき指示が待っていました。

3.1 自宅通勤をしてくれないか?
幹部学校に先に到着していた統率科教官から意外な指示が出されました。

・「1週間ほど目黒で生活するが、今の時期目黒地区は人数が多い」
・「幹部隊舎の割り当ても少ない状況になっている」
・「関東周辺に自宅があるものは、自宅通勤をしてくれないか?」

図6 通勤
図6 通勤.png引用URL:https://www.irasutoya.com/2017/02/blog-post_722.html

ちょうど図上演習に行った時期は、幹部学校でも他の課程が開講して人数が多くなっている状態でした。

特に偉い人向けの課程(幹部特別課程)が行われていました。

そのため、しわ寄せが若手(?)幹部に行く状態です。

結婚して自宅を構えた幹部も多くなっているため、そんな指示となりました。

結局、横須賀に宿舎を借りているペンギンなど30人ほどが目黒まで自宅通勤となる結果となりました。

3.2 午前4時起きかぁ〜!

遅刻がないように午前7時頃に目黒幹部学校に到着するように逆算すると、

「起床は午前4時かよ〜!」

ということになります。

躊躇したけども、狭い隊舎で寝泊まりよりはましかもしれません。

乗り換え1回のみで、目黒地区まで行けることもわかりましたから選択することにしました。

3か月ぶりに、自宅からの通勤を行うことになります。

「海幕勤務の予行のつもりで体を慣らしとけ〜」

教官の激励(?)を受けて、横須賀の自宅に帰宅します。

まさかの東京通勤になるとは、ほんとに何があるかわからんぜ〜!
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2021年03月06日

海自新型護衛艦はもがみ型となるんやね〜!

『もがみ型護衛艦はいい響きだね〜!』
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2021年3月は、新型艦艇の就役や進水式などいろいろ大忙しな時期になりました。

遅れていた30FFM1番艦は「もがみ」と名付けられ、無事に進水いたしました。

29年ぶりの音響測定艦「あき」の就役や、護衛艦「はぐろ」の就役も控えています。

いろいろ忙しい水上艦ラッシュとなりますよ!
(前回記事):『【自衛隊】因幡のよっちゃん氏の本はおすすめだよ!
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(1)護衛艦「もがみ」命名進水式!

30FFM1番艦として、三菱長崎で建造されていた護衛艦が3月3日に「もがみ」として命名・進水式を迎えました。

ようやく「もがみ型」護衛艦(FFM)として呼び名が定着します。

1.1 もがみ命名進水式!

護衛艦「もがみ」は、2番艦「くまの」の進水式から遅れること4か月でようやく進水しました。

図1 護衛艦もがみ
図1 もがみ進水.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EviIYFfUYAEhIJ6?format=jpg&name=large

一時はどうなることかと思いましたが、何とか年度内に進水したことになります。

これから大至急でぎ装に入ることになり、何かと大変でしょうが頑張ってほしいものです。

1.2 01FFMの進水はどうするのだろう?

三菱長崎では、01FFM2隻が建造中でありますが、命名進水式はどうするのでしょうね?

まさか2隻同時に行うことになるのでしょうか?

図2 進水式支綱切断
図2 斧.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EviIahgUcAIyUwg?format=jpg&name=large

もしくは時間差をつけて進水ということになるのか、今後楽しみになります。

1.3 エンジントラブルでの遅れを取り戻せるか!

今回新搭載するMT30ガスタービンエンジンは、ロールスロイス社の船舶用エンジンです。

図3 MT30
図3 MT30.jpg
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/ITk3gLkrB38/maxresdefault.jpg

不運な異物吸入事故により搭載が遅れましたが、むしろよく4か月の遅れだけで済ませたことに驚きです。

必死にエンジン修理をしたのか、予備用エンジンと入れ替えたのか気になるところです。

今後主力として使っていくMT30エンジンにも注目です!

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(2)音響測定艦「あき」就役!

2021年3月4日には、29年ぶりの音響測定艦「あき」が就役しました。

ひびき型音響測定艦の3番艦という位置づけになります。

2.1 29年ぶりの特殊船体!

ひびき型音響測定艦は、1・2番艦は1987年に建造が決定したものです。

対中国の潜水艦情報収集能力強化のために増強されることになりました。

図4 音響測定艦「あき」
図1 音響測定艦「あき」.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EvoY9cfVcAUUSh-?format=jpg&name=4096x4096

SWATH船型という、珍しい船型の船ですのでかなり変わった船といえます。

2.2 中国でも大型化してきたSWATH船型

SWATH船型の音響測定艦については、中国海軍でもいくつか建造が行われています。

最近だと、927級音響測定艦が登場しております。

図5 927型音響測定艦
図5 927級音響測定艦.jpg
引用URL:http://www.mdc.idv.tw/mdc/navy/china/ags-782.jpg

以前の639型が1000トン程度だったのに対し、927型は5000トンクラスまで大型化しています。

しかも艦尾からえい航口が開いているタイプに設計変更されたようです。

図6 927型艦尾
図6 艦尾.jpg
引用URL:https://i1.kknews.cc/SIG=1ogrh84/568q00044980467q603o.jpg
中国の造船技術が進化してきたことを示す、わかりやすい事例といえます。

日本と中国が同じ時期に音響測定艦を増強するのは、お互いが潜水艦音響に力を入れ始めたといえます。

2.3 SURTASSって見たことないんですよね〜

海上自衛隊にいたときに、見たことのない装備の一つがSURTASSでした。

図7 SURTASS
図7 SURTASS.png
引用URL:https://4.bp.blogspot.com/-mLL-r1Tulhw/VfEwI_7neUI/AAAAAAABFYU/GfA0UP52XCw/s1600/SURTASS%2BTL-29A.png

略図は見たことがあっても、実物を見る機会は最後までありませんでした。

ほんとにどんな形をしていたのか不思議です。
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(3)あ〜!改良型チャフ弾やん!

いろいろと写真を眺めると、突然思いもよらぬ写真が飛び込んできます。

護衛艦などに搭載されるチャフ弾について、改良型チャフ弾キャニスターが映っていたりします。

3.1 護衛艦「しらぬい」訓練にて

2021年3月1日から行われていた日米共同訓練に参加していた、護衛艦「しらぬい」のチャフ弾装填にて驚いたことがあります。

たぶん、あんまり写真に登場したことのない改良型チャフ弾が映っていました。

図8 改良型チャフ弾
図8 改良型チャフ.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EvtSzH-UcAUNH4W?format=jpg&name=medium

3本のオレンジラインが引かれた筒状のものがチャフ弾キャニスターです。

3.2 Mk−214 ではオレンジ1本

通常米軍などが使用している、Mk−214チャフはオレンジライン1本になっています。

図9 Mk−214
図9 MK214チャフ.jpg
引用wiki

改良型チャフについてはほとんど出ていない情報ではないでしょうか?

3.3 情報チェックはやめられない!

意外とこういった情報があるからこそ、SNSでの広報写真はチェックしておくべきものになります。

意外と広報写真には、とんでもない情報が待ち受けているかもしれませんよ〜!
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2021年01月26日

図上演習E何が悪かった?!事前演習反省会!

『我々はまだ戦闘を完全に理解していなかった!』
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前回の図上演習第1回事前演習では、学生側部隊は完全にボコボコに打ちのめされてしまいました。

何が悪かったのか?作戦経緯の事後研究にて真の課題が突きつけられます。

「作戦・戦闘を完全に自分の中で理解していない!」と教官からの厳しい指摘が飛びます。

次回の事前演習に向けて、作戦修正だ!
(前回記事):『【図上演習D】第1回事前演習はボコボコやぁ〜(涙)!』 
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(1)SFでもやってた大荒れ事後研究会!!

第1回事前演習が終了後、各TGは作戦経過を戦闘報告書にまとめて事後研究会に備えます。

図1 会議
図1 会議.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EJKooDwVAAApAYX.jpg

1.1 世にも恐ろしい事後研究会!
海上自衛隊の勤務の中でも、事後研究会はなかなか恐ろしい経験をすることになります。

作戦行の結果について検証し、課題を次回の作戦立案に生かす目的で行われます。

自信を持って実施した作戦が、事後研究会で見事に欠陥を指摘されショックを受けることもよくあります。

図2 絶望
図2 絶望.png
引用URL:https://www.irasutoya.com/2016/06/blog-post_154.html

中級課程のころは、ちょっと天狗になってきている時期ですので良い薬になるところもあります。

ただ、SF司令部での事後研究会の大荒れ具合を知ってる私としては心配です。

(参考記事):『【幕僚編完】統合演習終了!浮上する海自の課題!

1.2 大荒れ!事後研究会は反省会に変化!
第1術科学校長や主要教官が勢ぞろいした事後研究会は、大反省会と変化しました。

(1術校長)
『これは海上作戦の組み立て方自体に問題がある!』
『重大な事実誤認が先行して作戦が進んでいたぞ!』 
 
しょっぱなから、群司令を経験した1術校長の喝が飛び交う事態となりました。

事後研究会については、淡々と損害報告が読み上げられ作戦失敗の事実をいやでも実感させられます。

『TG21.1、8隻中5隻被撃沈 作戦目標未達成』

(主任教官)
『護衛艦1隻に何人乗っている?TG21.1だけで1000名近い戦死者だぞ!』

図3 撃沈
図3 撃沈.jpg
引用URL:https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/8/1/811e4d6f.jpg


幕僚は、どこかで作戦立案というものを机上の話で進めてしまい、現場が見えなくなるところがあります。

具体的な損害を突き付けられて、ようやく目が覚めたといえます。

1.3 敵の視点で作戦を考えたか?
敵X国空母機動部隊を操作した、統率科教官から鋭い指摘がありました。

(教官)
『敵X国空母機動部隊側の視点で、作戦展開を考えていたか?』
作戦経過の検証と共に、教官側の意図が明かされます。

(教官)
『今回の展開図を見て、あえてTG21.2攻撃を先行した理由を考えてみろ?』
図4 作戦展開図
図4 各TG作戦展開図.png

離島北側に3個TGが展開しているのに対し、離島南側はTG21.2のみとなっています。

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(2)正面決戦を挑んでくる前提になっていないか?

統率科教官からは、鋭く重大な指摘が作戦展開図に対して行われました。
(統率科長)
『離島北側に空母機動部隊の攻撃があると思い込みしていないか?』

教官の指摘があって、初めて重大な見落としに気づかされました。

学生全員が、立案した作戦に満足してしまい南側への攻撃はないと考えたのです。

2.1 各個撃破しやすい状況

敵X国空母機動部隊側の視点に立ってみると、まともに3個TGと戦うことになる離島北側を攻撃する必要がありません。

そればかりか、進出してきたTG21.1及びTG21.2を各個撃破しやすい状況です。

図5 空母部隊としての作戦
図5 空母からの攻撃.png
先に、TG21.2を先制攻撃しながらTG21.1には潜水艦を接敵させることで動きを拘束できます。

TG21.2への味方支援は、航空部隊のTG21.5(P-3C)のみになってしまいます。

まんまと罠にはまったTG21.2は撃破されてしまいます。

2.2 TG21.1は東進して接敵すべきだった

統率科教官が動かす空母機動部隊について、防衛出動発令後の動きにも注意すべきでした。

教官側の作為としては、
『航空機南下後に、TG21.1が東進して空母駆動部隊に接敵するのを期待していた』
というものでした。

TG21.2への攻撃を終了して帰還する戦闘機を阻害しつつ、第2次攻撃阻止をTG21.1ができるか期待していたようです。

図6 教官側が求めていた状況判断
図6 教官期待状況判断.png

しかしながら、潜水艦の攻撃に混乱したTG21.1は東進せず第2次攻撃を受ける結果になりました。

武力行使命令を待ちすぎたため、必要な作戦行動を実施できなかったことが課題であると指摘されました。
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(3)連携を保ちながら攻撃に備える!

TG21.1については、防衛出動が発令されていたため航空機発艦の段階で行動を起こすべきでした。

TG21.1の任務目標は、
『陸上部隊の輸送・揚陸を行うために、離島のA港沖合北東に展開して敵航空攻撃を阻止する』

であったはずです。

(参考記事):『【図演準備@】図上演習の詳細と作戦任務付与されたよ!

3.1 任務目標を再確認!

TG21.1の任務目標である航空攻撃の阻止を最優先に行うため、機動的に展開位置を変更することで対処することにしました。

図7 護衛隊群(TG)
図7 護衛隊群TG.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/2el/images/sp/index/slide04.jpg

潜水艦の行動に対しては、TG21.5の応援により行動の自由を確保します。

3.2 第2回事前演習に備えるぞ〜!

第1回事前演習では、ボコボコにやられていいところが全くありませんでした。

次こそは、しっかりとやってみせるぞ〜!

(図上演習関連記事)
『【図演準備A】揚陸場所を巡って演習作戦会議が大紛糾!』 
【図演準備B】戦闘準備と立ちはだかる国内法の壁!
【図演準備C】TG21.1の戦闘準備!激しい防空戦になるぞ!

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