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2020年02月18日

海上自衛隊いずも型を空母に改修ていうけどさあ〜

『いずも、かがを空母に改修するって言ってもねえ?』
(2018年投稿記事です。)
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2017年末からいずも型が空母に改修される!F35Bを搭載する!と騒がれてます。

中には、すでにF35Bが運用できるようになってる!なんて論調も存在します。

16DDHから24DDHまで関与した身としては、いろいろと言いたいことが・・・

この記事では、建造に関与したものとしての情報のご紹介をしてみます。
(前回記事):『北朝鮮軍事パレードに登場する兵器人物で見えてくるもの!
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(1)ひゅうが型からF35Bの運用を考慮した艦艇設計

今回いずも型護衛艦の空母化が騒がれ、諸外国の反応も激烈なところも多くあります。

ただ、16DDHから関わった者としては、
『何をいまさら・・・』といったところです。

<元々16DDHの基本設計時には、将来的な発展要素としてF-35B戦闘機の運用が考慮されていました。

そのため甲板上の昇降機の性能要求について、F-35B戦闘機が搭載できることが求められました。

図1 ひゅうがの昇降機(後部)
ひゅうが後部.jpg
引用URL:https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-dd-50/gunkanmaki23/folder/1278367/10/33636610/img_0?1256916007


特に後部昇降機は、改造なしで搭載できるよう設計要求が行われています。

1.1 F35Bはスキージャンプ台不要!

空母化が論議されるとき、いつも話題に上るのがスキージャンプ台です。

図2 オーストラリア『キャンベラ』級強襲揚陸艦
キャンベラ.jpg
引用URL:https://iwiz-chie.c.yimg.jp/im_siggPlvh4YgNofMdTdjx36rAiw---x320-y320-exp5m-n1/d/iwiz-chie/ans-370178169

AV−8B「ハリアー」では必要な装備でしたが、STO(短距離離陸)機能に優れるF35Bには不要です。

無理をすればひゅうがでも、F-35B戦闘機の離陸は可能です。

1.2 アウトボード化したいずも型

ひゅうが型ではインボード型の昇降機を使用しましたが、やはり使い難さがあります。

そのため、初めてアウトボード型の昇降装置が採用されました。

図3 『いずも』後部アウトボード型昇降装置
いずもkoubu.jpg
引用URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f2/DDH-183_%E3%81%84%E3%81%9A%E3%82%82%2811%29.jpg/250px-DDH-183_%E3%81%84%E3%81%9A%E3%82%82%2811%29.jpg

ここまで見るといずも型が、空母に改修されそうな感じがしてきます。
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(2)艦隊防空?島嶼防衛の投射能力強化?

いずも型の空母化報道には、重大な疑問点があります。

それは主任務目標が艦隊防空なのか?島嶼防衛の投射能力強化なのか、はっきりしていないことです。

2.1 艦隊防空という考え

米英仏露のような、正規空母を保有する国であれば艦隊防空というはっきりした目標があります。

今回のいずも空母化改修報道では、艦隊防空を例に挙げる報道があります。

その場合今まで海上自衛隊が主任務と位置付けてきた、対潜・対水上艦戦はどこに行ったのでしょう?

イージス艦と航空自衛隊、米海軍の支援による艦隊防空という考えを変更するのは、海上自衛隊の作戦用務全般を見直す必要が出てきます。

すぐに実施するのは無茶な考えではないかと・・・

2.2 島嶼防衛の投射能力強化について

現在海上自衛隊に一番不足している能力が、島嶼防衛の投射能力です。

陸上自衛隊が創設する水陸機動団への射撃支援について、海上自衛隊には能力が不足しています。

しかし88艦隊体制を放棄してまで、DDHにF35Bを搭載するメリットが存在するのでしょうか?

島嶼防衛のための水陸両用戦は、第1輸送隊の指揮下で実施します。

護衛隊群は、HVU(最重要目標)である輸送艦の護衛に必要です。

わざわざ、対潜ヘリを削減してF35を搭載する必要性がありません。

現状のいずも空母化改修は、現実性が低くコストもかかる物ばかりです。

何しろ、パイロットがいません。

2.3 戦闘機パイロットという大きな壁

海上自衛隊では発足以来、戦闘機パイロットの養成はされていません。

ジェット機パイロットは存在しますが、戦闘機パイロットの養成・戦力化には時間がかかります。

図4 F35B夜間着陸
やかんF35.jpg
引用URL:platform.com/gizmodo/dist/images/2013/08/130828F35.jpg


一案として、
・初期(5年後〜10年まで):航空自衛隊F−4パイロットの転換・要員育成課程の習熟化
・中期(10年〜15年後):航空自衛隊の戦闘機課程への要員教育委託・艦上訓練の習熟
・後期(15年後をめどに):海上自衛隊の戦闘機パイロット要員の経歴管理体制の完成

といった長期的な視点が必要です。

戦闘機だけがあっても、パイロット・整備員・支援体制の構築に時間がかかります。

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(3)今回の報道は多目的汎用輸送艦への布石!

今回いずも型改修の報道にて、反対意見、賛成意見など多種多様に意見が飛び出しました。

いずも型の空母化改修報道は、飛ばし記事とは言いません。

防衛省・海上自衛隊からの、観測気球記事と考えるべきでしょう。

昔16DDHの初期案が発表されたころは、かなりひどいものでした。

図5 16DDH初期案
初期DDH案.png
引用URL:http://www.maroon.dti.ne.jp/klan-klang/pic/rev/rev_koda02_figure06.png

その後修正されて、全通甲板型が容認されることになりました。

今回も検討が進められる多機能艦艇への、F35B搭載の布石と考えられます。

『空母はともかく、輸送艦だったら・・・』

そんな考えを考慮した、事前報道であった可能性もあります。

いずれにしても国民の劇的な支持無しには、空母は無理と考えています。

今後の動向にも留意が必要です。
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posted by sstd7628 at 11:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 軍事技術
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