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2020年02月21日

ロシアが北方領土に対艦ミサイルを増強する真意を見抜け!

『ロシア軍が北方領土に対艦ミサイルを設置する真意は』
(2018年投稿記事です。)
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北朝鮮・中国など西方の脅威に対抗する時代になった現代でも、ロシアの脅威は変わりません。

最近では、北方領土に対艦ミサイルを増強して、より軍事化を図っています。

なぜ、ロシアは新型長射程対艦ミサイルを北方領土に置くのか?

対北朝鮮以後のロシア軍事戦略が垣間見えます。
(前回記事):『艦発隊には当直士官も入れない秘密の部屋がある!
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(1)北方領土に増強されたロシア対艦ミサイル

ロシアは、近年対艦ミサイルを北方領土に増強しています。

一時期の経済的混乱を経て、近代化・質の増強へとロシア軍は変化しています。

その中で、北方領土に新たに対艦ミサイルを配備するという軍事化を進めています。

図1 ロシア対艦ミサイルの射程範囲
バスチオン射程.jpg
引用URL:http://www.mod.go.jp/j/approach/surround/pdf/rus_d-act_20180126.pdf

特に、P-800(ヤホント)を地上発射型に改良したバスチオン対艦超音速対艦ミサイルの長射程が目を引きます。

図2 バスチオン対艦ミサイル
バスチオン対艦ミサイル.jpg
引用URL:https://blog-imgs-120.fc2.com/r/y/b/rybachii/18-0307e.jpg


ロシア軍は、第18機関銃砲兵師団を北方領土に展開させていました。

そこに新たな対艦ミサイル部隊を増強した形になります。

図3 北方領土に展開するロシア軍
北方領土展開ロシア軍.png
引用URL:https://rpr.c.yimg.jp/im_siggr4yhV.ZROSWvlaIwtBGCww---x467-n1/amd/20170330-00069323-roupeiro-001-2-view.png

1.1 北方領土への近接阻止だけが目的か?

ロシア軍の対艦ミサイルの配備について、図1の射程を考えると北方領土への近接阻止が目的に見えるようです。

しかし、それだけが目的でしょうか?

択捉島に展開したバスチオン対艦ミサイルは、北方領土奪還作戦にとっては脅威となるものです。

しかし北方領土のみに注目し続けると、ロシアの本当の軍事化の目的に気づくことができません。

少し視点を広げて、千島列島全体を見てみましょう。

図4 千島列島全体図
Demis-kurils-russian_names.png
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/北方領土問題#/media/File:Demis-kurils-russian_names.png


千島列島には、北方4島のほかに多くの島々が存在することがわかります。

1.2 北方領土の先にある得撫島(うるっぷとう)が問題の本質

ロシアが北方領土の2島返還論や面積による分割といった、4島全面返還をかたくなに拒む理由とは何でしょうか?

理由として挙げられるのが、北方領土の軍事的価値です。

ロシアにとってオホーツク海は、SSBN(弾道ミサイル原子力潜水艦)の貴重な聖域になります。

そのため聖域化の為には、北方領土は絶対返還できないというのが、ロシアの論理です。

しかし、ロシアにとって絶対に近接阻止したい島を隠す意図があります。

ロシアが本当に、聖域化のために守りたい島は、
・得撫(うるっぷ)島
・新知(しるしむ)島
この2つの島です。

得撫(うるっぷ)島は択捉島の隣にある島であり、この島こそ、ロシアが本当に守りたい島なのです。
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(2)ロシアのチョークポイント北得撫水道!

ロシアにとって本当の弱点となるチョークポイントは、北得撫水道です。

図5 北得撫水道の位置
北得撫水道の位置.png
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/北方領土問題#/media/File:Demis-kurils-russian_names.png

この海峡は、水深2000m以上にもなる場所がある部分があります。

ロシア潜水艦にとって、最も通峡しやすい場所となります。

図6 ロシア原潜SSBN(ボレイ級)
640px-K-535_Yuri_Dolgorukiy_at_sea_trials.jpg
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/ボレイ型原子力潜水艦#/media/File:K-535_Yuri_Dolgorukiy_at_sea_trials.jpg

ロシアにとって、オホーツク海をSSBNの聖域として使うには一番都合の良い海峡です。

2.1 ロシアにとって一番防備したいチョークポイント

ロシアにとってオホーツク海を聖域とするとき、一番防備をしたい場所が北得撫水道なのです。

北得撫水道から日米潜水艦が侵入してSSBNが撃沈されることを、ロシアは最も恐れています。

その為、海峡防備として、ロシアは深深度機雷の開発・配備により防備しようとしてきました。

図7 ロシア軍深深度機雷(PMR-2機雷と思われるもの)
引用URL:wiki

2.2 掃海艦(MSO)は、北得撫水道の機雷掃海を目的としていた。

海上自衛隊では、深深度機雷の掃海を任務としていた「やえやま型掃海艦」がいました。

この掃海艦は有事の際に、北得撫島水道の機雷掃海を任務としていました。

ロシアの脅威が冷戦期より減少した今では、西方での掃海が主任務となってきました。

冷戦期は長射程対艦ミサイルが北方領土に配備されていないため、このような戦略が行えました。

しかし、現代においてロシアは、再びオホーツク海の聖域化を狙った動きを始めています。
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(3)再度、対ロシア戦略の見直しを!

現代の日本は、西方からの脅威(対北朝鮮・対中国)に対する対処が中心になっています。

しかし、ロシアの潜在的脅威は依然として存在しています。

限られたリソースの中で、どこに重点を置くのか戦略的思考が求められます。

対北朝鮮対処後というときに、対ロシアへの備えが後手に回る可能性もあります。

プーチン露大統領政権以後のロシアは、不確定要因が大きいところがあります。

今後、日本が対応すべき問題の一つとなるでしょう。

今のうちに、対ロシア戦略の練り直しが必要です!
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posted by sstd7628 at 15:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界情勢
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