(2017年投稿期です。)
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海上自衛隊の遠洋練習航海にて、訪問国に入港するとき礼砲を発射します。
これは、国際儀礼にて慣習的に敵意はありませんということを表します。
しかし、実際やっているときは、双方とも結構大変です。
今日はそんな礼砲について、あまり知られていないこともご紹介!
(前回記事):『海上自衛隊潜水艦の話は秘密がいっぱい?!』
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海上自衛隊の練習艦隊が、外国の港に入港する時は礼砲を発射します。
礼砲なのでむろん実弾ではありません。
発祥は、いくつかの説があります。
大航海時代の軍艦は、先ごめ式の大砲であったため、連射すると砲身が熱を持ち使用不能になります。
これを持って、敵意はありませんよということを相手国に示す国際儀礼です。
現在では、英国海軍が17世紀に定めた礼砲発射回数の規定がそのまま国際儀礼となっています。
慣習を大事にする海軍であるため、大英帝国海軍のやり方が踏襲されます。
最大で、国旗・元首に対して21発するのが礼式となります。
この間、甲板上に乗員が登舷礼として甲板上に整列しています。
図1 礼砲発射と登舷礼(「かしま」にて)
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/CORQ39IU8AEGWi7.jpg
練習艦「かしま」には、2門の40mm礼砲が装備されています。
2〜3隻の船が入港する場合でも、礼砲を発射するのは旗艦1隻のみです。
入港する船が先に礼砲を発射してから、受け入れ国が返礼の礼砲を発射します。
5秒間隔で発射が行われ、相手国の礼砲が終わるまで登舷礼を行います。
ちなみに、登舷礼のときに礼砲の音は非常に大音響で響きます。
そのため、登舷礼中の実習幹部は耳栓をしています。
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通常、入港時は21発及び返礼の21発で終わるのが普通です。
動画:ブラジル入港時の礼砲発射
本来は、入港後の歓迎行事などの時間が決まっているため21発で終了します。
2.1 礼砲撃ちまくり!?
私が、遠洋練習航海の時に、珍しいことがありました。
入港する相手国が、独立以来初めて日本の練習艦隊を迎えるので張り切っていたそうです。
そのため、国際儀礼に基づき、規定の礼砲を全て撃ちたい!との要望がありました。
頑張って発射した結果、
・国旗に対して「21発」
・元首の大統領が入港歓迎行事に出席するため「21発」
・その国に駐在する日本大使も参列するため「17発」
・海軍司令官(中将)が参列するため「15発」
・練習艦隊司令官(将補:少将)に対して「13発」
計87発もの礼砲を発射することになりました。
実際に経験したものとして、かなり厳しかったですね。
礼砲は大音響と煙が凄いし、登舷礼の時間は長い〜!
礼砲が21発でたいてい終了する理由が良〜くわかりました。
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そんな感じで礼砲を体験していた実習幹部からこんな疑問が・・・
『OTOメララ76mm砲で撃てばいいんじゃね?』
それに対してかしま砲術長から、
『出来ないんじゃボケえ!出来たら苦労しとらんわ!!』
以前の艦砲の主力であった「54口径5インチ砲(MK42)」での礼砲は存在しました。
動画:5インチ砲での礼砲射撃
この場合は、有人砲であり専用の装薬包(礼砲用空砲)があるため実施可能とのこと。
図2 5インチ砲礼砲用装薬包
引用URL:http://999p.sakura.ne.jp/999p_blog/wp-content/uploads/2014/07/CIMG24981.jpg
現在は、無人砲が普通のため、急なトラブル対処に対応出来ないという問題があります。
さらにOTOメララ76mm砲の砲は、空砲発射を考慮していない設計です。
そのため、空砲の薬きょうを入れると、異常と判断して自動停止する機構になっています。
(導入当時に(当時の)装備実験隊で実験をやったことがあるそうです)
最近の62口径5インチ砲(MK45)も同様に、空砲は撃てません。
専用の礼砲で射撃した方が安上がりとのこと。
こんな感じで、いろいろ礼砲に関してもいろんな逸話が残ってます。
礼砲射撃は、国際儀礼で重要とされ、失敗したら大変な恥さらしとなるため、各国もいろいろ周到に準備します。
とある国は礼砲発射の大砲が故障した場合、手榴弾で対処するそうです。
そんな話を聞くと、国際儀礼(プロトコル)の重要性が良くわかります。
遠洋練習航海は、いろいろと学ぶことも多いですよ〜!
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