2009年12月27日
ケガ克服、夢舞台へ新たな一歩…高橋大輔
選手生命をも脅かすケガから1シーズンのブランクを経ての五輪切符獲得は、見事な復活劇と言って良いだろう。
しかし滑り終えた直後の高橋の控え目な笑顔は、出場決定があくまで通過点であることを物語っていた。「悔いが残るフリーだったが、優勝という形をとれて、心からうれしく思う」。喜び半分の心情を率直に語った。
この日も宣言通り、4回転ジャンプに挑んだ。何とか転倒は免れたものの、両足着氷で回転不足の判定。そのほか、後半の3連続ジャンプが単発になるなどのミスもあった。ただ失敗を引きずらず、他のジャンプをまとめた上、主に芸術面を評価する演技構成点で高得点をマーク、カバーした。
昨年11月の右ひざの手術後、必死のリハビリを経て復帰した今季。実戦の舞台に戻ったものの、試合勘を取り戻すところから始まり、試行錯誤が続いた。プログラムを滑り切る体力が、不足していることも明らかになった。山積する課題を克服しながら、五輪代表の座をものにしなければならない重圧とも戦った。自らに課した「五輪で金」の最終目標と、支えてくれた周囲への感謝の思いを胸に、ここまでたどり着いた。
「今日の演技では日本代表として恥ずかしい。これ以上の演技をしていきたい」。その約束を果たすため、高橋が夢の舞台、バンクーバー五輪に向かって新たな一歩を踏み出した。
「真央スマイル」解禁、大技に復調の兆し
「やっと出来たって感じです」。今季初めてSPで大きなミスのない演技を披露した浅田が、「真央スマイル」を解禁させた。
最大の収穫は、「一番得意だけど、一番難しい」最大の武器、トリプルアクセルの復調だ。惜しくも回転不足と判定されたものの、きれいに着氷し、プラスの評価をつける審判もいた。その後の2種類のジャンプも成功。国際大会での点数とは単純比較は出来ないものの、今季自己最高となる69・12点をマークした。
不調に苦しんだ今季序盤。トリプルアクセルは、GPシリーズ2戦で計6度跳び、フランス杯のフリーで1度成功しただけだ。不調が成績に直結し、五輪イヤーにして最大の試練に直面した。
それから2か月、浅田は1日10回以上、ひたすら大技を跳び続けた。審判席の目の前で跳ぶ位置取りだったのを、精神的な負担を減らすため、反対側に変更したのも奏功した。加えて、余裕を持ってジャンプを跳べるよう構成を手直ししたことで、スピードと流れが生まれた。「(ジャンプの後の)後半は楽しく滑れました。そうですね、今季初めて」。SPのテーマ「華やかな舞踏会」のイメージを、氷上に描き上げた。
小差ながらも首位発進で、初の五輪に一歩近づいた。「(五輪)切符を取るつもりでやってきているので」と浅田。得意技と一緒に、持ち前の強気も、取り戻しつつある。
【15秒バージョン】
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