2024年09月23日
【ステキな金縛り (2011)】
映画『ステキな金縛り』(2011年)は、三谷幸喜が監督・脚本を務めた、笑いと感動がたっぷり詰まった法廷コメディです。幽霊が証人となる裁判という、一風変わった設定で進行していくストーリーは、ユーモア満載ながらも心温まる展開が魅力。主演は深津絵里が演じる弁護士・宝生エミで、裁判を巡るドタバタ劇の中で、幽霊・更科六兵衛(西田敏行)との奇妙なコンビネーションが繰り広げられます。
主人公の宝生エミは、若手の売れない弁護士。失敗続きで弁護事務所からの信頼も薄く、崖っぷちに追い込まれています。そんな中、彼女が引き受けたのは、殺人事件の被告人・矢部鈴子(竹内結子)の弁護。矢部は、夫を殺した容疑で起訴されていて、エミは彼女の無罪を証明しなければなりません。
でも、この事件、普通の事件じゃありません。矢部は、事件当時、自分の部屋で金縛りにあって動けなかったと主張。その金縛りを証明するために、なんとエミは、金縛りの張本人である幽霊・更科六兵衛を証人として法廷に立たせることに。六兵衛は、かつて江戸時代に処刑された落ち武者で、現在は山奥の旅館で幽霊としてのんびり暮らしているという設定です。
しかし、幽霊を証人に立てるなんて前代未聞!もちろん、法廷は大混乱。相手の検察官・小佐野徹(中井貴一)や裁判長(小日向文世)も最初は信じられず、法廷はシリアスな雰囲気とは程遠いドタバタ劇に発展します。それでも、六兵衛の人柄の良さや真面目さに触れていくうちに、次第に法廷内の人々も彼の存在を受け入れ始めます。果たして、エミはこの奇想天外な証言を元に、無罪を勝ち取ることができるのでしょうか?
まず、この映画の魅力は、何と言っても三谷幸喜らしいコメディセンスです。幽霊が証人として法廷に立つなんて、普通なら突飛すぎる設定ですが、三谷作品ではそれがすごく自然に感じられるんです。エミと六兵衛のかけあいは、テンポが良くて笑いが止まらないし、どんなに真剣なシーンでもどこかコミカルに仕上がっているので、観ていて飽きる暇がありません。
深津絵里が演じるエミは、不器用でちょっと抜けてるけど、どこか応援したくなるキャラクター。彼女の真っ直ぐさと、どん底から這い上がろうとする頑張りが、映画を通してとても魅力的に描かれています。エミが六兵衛という幽霊を信じ、彼を法廷に立たせるという突拍子もないアイデアに挑む姿は、まさに「不可能を可能にしようとする」強い意志を感じさせます。
そして、六兵衛役の西田敏行。このキャラクターがまた最高に愛らしい!江戸時代から現代にやってきた落ち武者という設定ですが、彼の素朴で純粋な性格が滲み出ていて、観ているうちに幽霊なのにどんどん親しみが湧いてくるんです。特に、六兵衛が法廷で証言するシーンでは、江戸時代の言い回しや彼の独特の風格が笑いを誘いますが、その一方で、彼の真剣な姿勢に心を打たれる瞬間もありました。
また、中井貴一が演じる検察官・小佐野徹も、この映画では重要な存在です。小佐野は、エミや六兵衛に対して終始冷静で、彼らを追い詰めようとするんですが、次第に幽霊の存在に半信半疑になっていく姿が面白い。小佐野のキャラクターもどこかコミカルで、法廷シーンに緊張感を与えつつも、軽快なやり取りで笑いを誘います。
『ステキな金縛り』のもう一つの魅力は、ただのコメディではなく、心温まるストーリーがしっかりと描かれている点です。エミが六兵衛を信じて彼と共に戦う姿は、ただの笑いだけではなく、人と人との信頼や絆がテーマになっています。また、幽霊という設定を使いながらも、六兵衛がエミに見せる優しさや、過去に囚われながらも彼女を助けようとする姿には、ちょっとホロっとくるものがありました。
法廷というシリアスな舞台で、幽霊というあり得ない存在を証人に立てるという奇想天外な展開ですが、それでもどこかリアリティを感じさせるのがこの映画の凄いところ。最後には「正義とは何か」「真実とは何か」という、ちょっと深いテーマも感じさせつつ、観客に心地よい余韻を残します。
個人的にこの映画を観て感じたのは、何事も最後まで諦めずに信じ続けることの大切さです。エミが幽霊の存在を信じて突き進んでいく姿は、現実的にはあり得ないかもしれないけれど、観ていると「信じる力って本当に大事だな」と思わされました。そして、そんなエミの姿を見守り、時に助けてくれる六兵衛の存在が、映画全体に温かさを与えています。
総じて、『ステキな金縛り』は、笑って泣ける最高のエンターテイメント映画です。法廷ものとしての面白さに加え、コメディとしてのユーモア、そして心温まる人間ドラマが絶妙にミックスされています。三谷幸喜ならではの独特の世界観とキャラクターたちの掛け合いを楽しめる一作なので、まだ観ていない人はぜひチェックしてみてください!幽霊との友情が、こんなにも温かく感じられるなんて思わなかったはずです。
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