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学生時代から毎日 DVDをレンタルし鑑賞。今ではVODサービスを利用し見まくっている映画オタクです。
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2024年09月20日

【渇き。 (2014)】

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映画『渇き。』(2014年)は、役所広司主演で、衝撃的かつスリリングなストーリーが展開されるサスペンス映画です。原作は「告白」で知られる作家・深町秋生の小説『果てしなき渇き』。この映画は、正直言ってかなりダークでエグい展開が続くので、万人向けではないかもしれませんが、その分、観る人を強烈に引き込むパワーがあります。

物語は、元刑事の藤島昭和(役所広司)が、突然失踪した娘・加奈子(小松菜奈)を探すところから始まります。娘を探し求める父親という、よくある設定かと思いきや、この映画ではそこにとどまりません。むしろ、物語が進むにつれて明らかになる加奈子の正体や、彼女に関わる人物たちがどんどん異常で、狂気に満ちているんです。

藤島は元刑事ということで、暴力的で手段を選ばないタイプの男。娘の行方を追う中で、次々と闇の深い世界に足を踏み入れていきます。加奈子の学校の同級生や、関わりのある人々に話を聞いていくうちに、次第に娘の表の顔と裏の顔が浮かび上がってくるんですけど、その裏の顔がもうヤバい。加奈子は単なる被害者ではなく、むしろ彼女自身が他人を破滅に導くような存在だったことが徐々に分かってきます。

映画の進行は、テンポが速くて、どんどん謎が明らかになっていく展開にはハラハラさせられます。でも、その反面で、藤島が直面する真実があまりにも過酷で、観ているこちらも時々「ここまでやる?」って引いてしまうくらいの衝撃があります。とにかくエグい描写が多いので、そういうのが苦手な人にはキツいかもしれませんが、逆にスリル満点の映画を求めている人にはピッタリです。

藤島役を演じる役所広司の演技は、圧倒的な存在感。彼の演技は、娘を探す必死さと狂気が入り混じっていて、観ていると胸が苦しくなるほど。娘を思う父親の愛情と、次第に明らかになる娘の狂気、そのギャップに翻弄される藤島の姿が見事に表現されています。役所広司って、どんな役でもこなせる名優ですが、今回は特にその「追い詰められた父親」の演技が際立っていました。

そして、小松菜奈演じる加奈子。このキャラクターがまたすごい。小松菜奈は、この作品で一気に注目を集めましたが、彼女の不気味さや妖艶さがしっかりと加奈子というキャラクターに反映されています。加奈子は一見、普通の女子高生に見えるんですが、実際は周りを破滅に追い込むような存在で、その異常性が次第に浮き彫りになっていきます。小松菜奈の演技力があってこそ、この役が成り立っていると言っても過言ではないです。

他のキャストも個性的で、特に藤島が出会う人物たちがまた狂ってるんですよね。加奈子の同級生や彼女に関わる大人たち、みんながみんなどこかしら異常な面を持っていて、藤島の娘探しはどんどんカオスな状況に巻き込まれていきます。特に、二階堂ふみ演じる加奈子の同級生は、彼女もまた異様な雰囲気を持っていて、観ているこっちを不安にさせる存在感でした。

物語が進むにつれて、藤島は加奈子の失踪の真相に近づいていくんですが、その過程で暴力や裏社会、薬物、性的な描写など、かなりショッキングなシーンが次々と登場します。映画全体が暗くて重たい雰囲気なので、観ていると気持ちがどんどん沈んでいく感じがしますが、それでも最後まで目が離せない。藤島が娘に対してどんな答えを見つけるのか、そして娘は本当にどこに消えたのか。その謎が気になって、どんどん引き込まれていきます。

ただ、この映画、観終わった後には結構ズシンとくるものがあります。藤島がたどり着いた真実は、決してスッキリするものではなく、むしろ後味の悪さが残る結末です。観る人によっては、この終わり方に賛否が分かれるかもしれませんが、それこそがこの映画の持つ独特の魅力なんだと思います。簡単に「良かった」とか「感動した」とは言えないけど、観た後に深く考えさせられる作品です。

この映画の面白いところは、ただのサスペンスやスリラーで終わらないところ。テーマとして描かれているのは、親と子の関係や、現代社会に潜む闇、そして人間の本質的な悪。藤島は娘を愛しているからこそ、彼女の失踪に必死になるけれど、最終的に彼が見つけたのは、彼女の真の姿であり、それは想像を絶するものでした。親としての藤島の葛藤や苦しみが、映画を観ているこちらにも強く伝わってくるんです。

総じて、『渇き。』は、ダークで激しい映画です。暴力や狂気、破滅的な人間関係が中心に描かれているため、決して明るい気持ちで観られる映画ではありません。でも、スリリングで衝撃的な映画が好きな人や、役所広司や小松菜奈の演技が見たい人には、一見の価値ありです。

観終わった後にズシンと残る重さと、どこか虚無感さえ感じるラスト。そんなエッジの効いた映画を観たいと思う人にとっては、まさにぴったりの作品。逆に、軽い気持ちで観るにはちょっとヘビーすぎるかもしれませんが、刺激を求めるならこの映画、ぜひ挑戦してみてください。
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