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クルアーンとハディース / イスラーム神学・哲学・神智学・人間科学・歴史…雄弁の道(ナフジュルバラーガ)書籍邦訳など
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2022年06月24日

預言者とアフルルバイトの歴史 中学1年生 第1課

بِسْمِ اللَّهِ الرَّحْمنِ الرَّحیمِ
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名によって

الّلهُمَّ صَلِّ عَلی مُحَمَّد وَآلِ مُحَمَّد وَعَجِّل فَرَجَهُم
おぉ、アッラーよ!祝福くださいムハンマド様を
彼の御一門の人々を彼らの救済を近づけてください

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著者:علی بمان ملک احمدی

≪祝福された結婚≫
アブドゥッラーは既に25歳を過ぎ、結婚相手を探していました。部族の有力者や女性の多くは、この名誉ある運命に与ることを望んでいました。
アブドゥルムッタリブ、つまりアブドゥッラーの父は偉大な学者でしたが、彼は息子アブドゥッラーにとって最適で相性が良く、そして知性的で貞操な女性を探していました。

一方で、ワハブ、彼はメッカで偉大な人物アブドルマナーフの息子であり、貞操で精神的に成熟した、当時最良の女性とされていたアーミナという名の娘がいました。彼女にはお見合い相手が沢山いましたが、彼女は誰も受け入れず、父には未だ結婚は早いです、と伝えていました。

ワハブは、娘のアーミナのために最適で成熟した夫を見つけたいと希望を抱いていました。そのため、とある日に狩猟場へ出向き、そこでアブドゥッラーを見かけました。
まさしく彼の視線がアブドゥッラーに注がれると、彼の脳裏にアブドゥッラーの青年時代の記憶が蘇ってきたのでした。
アブドゥッラーの父アブドゥルムッタリブには息子が1人しかおらず、もし唯一神が10人の息子をお授けくださったならば、そのうちの一人を唯一神のために犠牲に捧げますと誓願していたのでした。それは、まるでまさに昨日のように思い出されたのでした。

≪アブドゥッラー、唯一神の道において犠牲となる≫
唯一神はアブドゥルムッタリブの望みを聞き入れました。年を経るごとに徐々に彼の息子の数は増えて、遂に10人へと達しました。
アブドゥッラーはその最後の息子でした。
アブドゥルムッタリブは全ての自分の子供たちをマスジドルハラーム(カアバ神殿)へ連れていき、子供たちの名前で籤引くじびきをしました。
それは1人を犠牲に選び唯一神へ生贄として捧げる為でした。
3回この籤引きを繰り返しました。その3回とも最も幼く誰もが愛してやまないアブドゥッラーの名前が挙がったのでした。
アブドゥルムッタリブはアブドゥッラーの手を取り、彼を犠牲に捧げるためにナイフを取り出しました。
マスジドルハラームに集まっていた大衆から嘆願の悲鳴が飛び交います。何故ならアブドゥッラーはとても美しい若者で皆から愛されていたからです。
同じ母親から生まれていた彼の兄弟《アブーターリブ》は泣きながら駆け寄り、父アブドゥルムタッリブの手を取って自分をアブドゥッラーの代わりに犠牲にしてくださいとお願いしました。
彼の母親も遠くから熱い涙を流して、アブドゥッラーが助かることを望んでいました。
マスジドルハラームの広場は、アブドゥルムッタリブが本気で息子を犠牲に捧げるのか?ということで騒然としていました。

≪アーティカの提案≫
マスジドルハラームの広場は動揺し不安で沈み切っていました。
すると突然アブドゥッラーの姉の《アーティカ》が急いで走って前へ出てきて、そこにいたあるグループの提案を述べました。
「お父さん!アブドゥッラーと10匹のラクダで籤引くじびきをなさってください。もし、再びアブドゥッラーの名前が挙がれば、またラクダの数を10匹ずつ増やしてください。籤引くじびきでラクダの名前がでるまで」
この提案は受け入れられ、一回目、二回目…九回目、つまり90匹のラクダとアブドゥッラーで、すべての籤引くじびきはアブドゥッラーの名前が挙がりました。しかし、第10回目、100匹のラクダとアブドゥッラーでは、100匹のラクダに軍配が下ったのでした。
アブドゥルムッタリブはこのことに納得せず、三回この籤引くじびきを繰り返しました。そして三回とも10回目にはラクダ達に軍配が下ったのでした。このようにしてアブドゥッラーは死の淵からの生還を確かなものにしたのでした。
 女性の歓声と人々の喜びの叫び声はメッカ全体を包み込みました。直ちに兄アブーターリブと姉アーティカは弟アブドゥッラーの手を取り、父の手から引きずり出したのでした。

≪祝福された結婚≫
あのマッカの日の回想から今日に至り、アブドゥッラーは成人となって数年が過ぎていました。ワハブのアブドゥッラーに対する考えは、幾つかの過去の記憶が重なり合い、崇高なアブドゥッラーに自分自身すっかり魅了されていました。その後、直ぐに家に戻ると妻に言いました、
「娘のアーミナの為にアブドゥッラーよりふさわしい者はいない。彼は最も美しく、最も善い行いをするクライシュ族の若者である」
アーミナもアブドゥッラーのような夫を自分のために受け入れました。ワハブは妻に言いました、
「アブドゥルムッタリブの許へ行きなさい、そして娘のアーミナをアブドゥッラーの妻にするための用意があることを伝えなさい」
アーミナと高貴なる彼女の家族を全て知っていたアブドゥルムッタリブは直ちにこの申し出を受け入れて、
「今まで、私の息子アブドゥッラーのためにアーミナ以上に相応しい娘からの申し出はなかった」と言ったのでした。

このようにしてアブドゥッラーはアーミナと結婚しました。そして当時の多くの女性は、このような栄誉に与ることが禁じられた為に病の床に臥せてしまったのでした。
彼女たちの一団は嫉妬によりアーミナを殺害する決心さえしたのでしたが、唯一神は彼女を御守りになられたのでした。

≪問題≫
※訳者註:ムハンマド様はアブドゥッラーとアーミナの間に生まれました。

1.ムハンマド様のお父様とお母様の名前を答えなさい。
2.幼少期のアブドゥッラーつまりムハンマド様のお父様にどのような出来事が起こったのかを答えなさい。
3.アブーターリブとアーティカはムハンマド様とどのような関係であったかを答えなさい。
4.アーティカはアブドゥッラーが犠牲にならないために、父のアブドゥルムッタリブにどのような申し出をしたのかを答えなさい。
5.アブドゥルムッタリブはアーティカの申し出をどのように行ったのかを答えなさい。
6.ワハブの娘アーミナと息子のアブドゥッラーの結婚について、アブドゥルムッタリブの考えはどのようなものであったかを答えなさい。

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