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2022年08月25日
懐かCDを買うM レイラ・ハサウェイ「NIGHT AND DAY」
NIGHT AND DAY
Lalah Hathaway
1991年リリース(現在廃盤)
アメリカのソウルシンガー、レイラ・ハサウェイ(Lalah Hathaway)の1991年のシングル盤。表題曲の「Night and Day」は、ジャズの定番曲で知られるスタンダードナンバーのカバーで、当時たばこ(JT)のCMソングに使われていた。だいぶ後になって知ったのだが、この「Night and Day」はシングル盤でしか発売されなかったらしい。しかも日本限定とのこと。おそらくはJTのCM用に単発で作られた曲だったのだろう。アルバムには未収録だった。私もCMで気に入って以来、この曲のことは当時ずいぶん探したつもりなのだけれども、その頃の自分の情報収集力の拙さもあって、結局このシングル盤の存在には気づけずじまいだった。
そんなこんなであれからずいぶんの時が経ち、レイラ・ハサウェイのことも「Night and Day」のこともすっかり忘れかけていたのだけれども、最近ひょんなことから思い出し、件の日本限定シングル盤を今さらながら探し求めての購入です。もちろんオリジナルはすでに廃盤。中古盤でのゲットとなりました。
収録曲は4曲。@とCが「Night and Day」(Cはアカペラバージョン)他2曲はファーストアルバムからの抜粋という内容。「Night and Day」はさすが有名曲だけあって、古今東西、実にさまざまなカバーバージョンが存在するが、ジャズのボーカルものに限っていえば、個人的にはヘレン・メリルとこのレイラ・ハサウェイのものが気に入っている。いずれもこれぞジャズの基本という感じの、4ビートのオーソドックスなアレンジなので、私のような万年ジャズ初心者には親しみやすくてちょうどいいのだろう。それにしても改めて聴くとやっぱりいい。低音でハスキー。レイラ・ハサウェイは声がとても魅力的だ。
私の記憶ではたしかレイラ・ハサウェイは、その類稀なる才能や申し分ない血筋(ダニー・ハサウェイの娘さん)とは裏腹に、さほどメジャーにはなれぬまま、90年代に一度表舞台からフェードアウトしている。でもその後、不死鳥の如き大復活を遂げ、今ではグラミー賞の常連になるほどのスーパーシンガーになっているらしい。知らなかった。永らくアルバム未収録だった「Night and Day」も、2019年についにアルバムに収録された模様(初期2作品の再発盤である「It's Somethin' - The Virgin Years」にボーナストラックとして収録)。「売れる」って、やっぱり大切ことなんすね♪
今後ますますのご活躍をお祈りいたします。
タグ:懐かCD
2022年08月03日
懐かCDを買うL ディック・リー「When I Play」
When I Play
Dick Lee
懐かしのワールドミュージックもの。
シンガポールのミュージシャン、ディック・リー(Dick Lee)のアルバムを購入。
今や韓流が主流のアジアンポップスだが、ひところはアジアンポップスといえば、イコール香港、東南アジアの音楽というイメージだった。90年代前半頃のことだ。当時、巷ではちょっとしたアジアンポップスブームが巻き起こっていて、その火付け役的存在だったのがディック・リーだった。京劇メイクのジャケット写真が印象的な「マッド・チャイナマン(The Mad Chinaman)」というアルバムがおそらく一番有名なアルバムだったと思うが、東西入り混じりのかっこいいんだかダサいんだかよくわからない個性的な音楽は、当時かえって斬新に聴こえたのをおぼえています。
さて、今回購入した「When I Play」は、ディック・リーが「マッド・チャイナマン」以前に発表した曲を集めて作られた、ディック・リーの初期のベスト盤と位置づけられているアルバム。1991年リリース。日本デビューは1990年のディック・リーだが、本国シンガポールでは1974年、17歳のときからすでに歌手として活動していたらしい(ディック・リーは1956年生)。ディスコグラフィーを覗いてみるとたしかに「マッド・チャイナマン」以前にもけっこうな数のアルバムがリリースされている。しかしCDの解説によると、ディック・リーの楽曲のマスターテープは、当時の所属レコード会社の管理がアバウトすぎてほとんど残っていないのらしい。つまり、過去に発売した作品を再イシューするということはまず無理らしいのだ。
「When I Play」は、「マッド・チャイナマン」の大ヒット後、ディック・リーの過去の曲も聴いてみたいというファンが急増したことで急きょ制作されることになったらしいのだが、前述のような状況があってなにしろ音源が十分でない。そこで辛うじて残っていたマスターテープや、保存状態の良い商品アルバムなどから使えそうな音源をかき集めるだけかき集めて作ったのがこのアルバムなのだそうだ。なので、厳密には「ベスト盤」とはいえないのかもしれない。実際、解説にも「決して最良の選曲とはいえないが、これしかないのだから仕方がない」とか、けっこう辛口なことが書かれてある。でも、実際聴いてみるとそんなに悪くはない印象。たしかにサウンド的にはまだまだ性能の低かった時代の音響機材で作ったんだろうなあというチープ感はあるけれど、耳なじみの良いシンプルな曲が多く、BGM的に聞き流すのにちょうどいい。収録曲は欧米の正統派ポップス調のものが大半で「マッド・チャイナマン」以降のようなアジアンテイストのものは少なめ。たしかディック・リーはシンガポールの裕福な華僑の家に生まれ、アフタヌーンティーを日々の習慣にするようなおばあ様がいる非常に英国ナイズされた家庭環境で、幼い頃からクラシックや欧米のポップスに親しみながら育ったと、昔インタビュー記事か何かで読んだ記憶がある。収録曲には10代の頃に作ったという曲も含まれているが、彼の作るとても王道的で洗練されたメロディーからは、幼少の頃から培われてきた音楽センスだけでなく、そういう彼のバックグラウンド的なものというか、生来の育ちの良さのようなものも伝わってくるように感じられる。
個人的に好きなのは「Flower Drum Song」「Fried Rice Paradise」あたり。日本では田中星児でおなじみの「ビューティーフル・サンデー」のカバーもリゾートミュージック風に仕上がっていてなかなかいいです。
いつの頃からか日本のメディアではその姿をほとんど見かけなくなってしまったディック・リーだが、本国シンガポールでは現在も変わらぬ精力的な活動を続けているもよう。Instagramのページもあったのでのぞいてみたら、すっかりロマンスグレーの素敵なおじさまになっていた。けど、相変わらずファッションはド派手&奇抜だった。音楽もそうだったけれど、この昔からカッコいいんだかダサいんだか今ひとつよくわからない感じがいいんだよなあ・・・。