2023年05月08日
懐かCDを買うN ファビアン「TOPALO」
TOPALO
Fabian
1994年リリース(廃盤)
フランスの女性シンガー、ファビアン(fabian)
その昔、FM(J-WAVE)から人気に火がつき、「Paradiso(パラディゾ)」というデビューアルバムを、異国の無名新人シンガーながらいきなり日本で5万枚も売り上げてしまったという稀有な人です。
Paradiso
Fabian
1992年リリース(廃盤)
タイトルトラックのフレンチボサ「Paradiso」は殊に有名となり、当時毎日呪文のようにラジオから流れていました。私もすっかりその魔力?に魅入られ、あわててCDを買いに走った者の一人ですが、残念なことに「Paradiso」以降はめっきり名前を聞く機会が少なくなり、いつしかその存在を忘れてしまってました。最近ふと思い出して調べてみたら、なんとセカンド・アルバムも出してるではないですか。しかも1994年リリースて!知らなかったー。遅ればせながら聴きました。
おそらくジャンル的にはジャズ寄りのポップスの人。ネット上で「フランス版のシャーデー」と表現している方がいましたが、たしかにそんな雰囲気があります。デビュー盤の「Paradiso」は、ジャズありボサノバありラテンありと、海外の大箱キャバレーのようなゴージャで色気のあるムードのアルバムでしたが、セカンドの「TOPALO」はガラリと雰囲気が変わって、全般的にクールというか、だいぶ当世風(といっても30年前の作品)のサウンドにシフトした印象です。正直、一作目ほどのインパクトはないですが、悪くはありません。プロデュースはイギリスのアシッドジャズバンド、インコグニートのブルーイ(Jean-Paul “Bluey” Maunick)が手がけたようです。
というわけで内容的には概ね満足してるのですが、今回の一番の収穫は、二作目にしてようやくファビアンの詳細なプロフィールがわかったこと。普通この手の情報はデビュー盤でこそ詳しく紹介されていそうなものですが、「Paradiso」のライナーノーツには「はたしてファビアンの正体やいかに!・・・と行きたいところだが、資料が届かない〜」とかで、経歴に関することがほとんど触れられてません。昔の洋楽CDの解説文はけっこうテキトーなものが多くて困りますが笑います。
さて、「TOPALO」の解説文によると、ファビアンの前職は、パリの老舗ミュージックホール「パラディ・ラタン」のダンサーだったとのこと。10代の頃からショーガールになるべく研鑽を積んだ彼女は、メインダンサーを務めるほどの逸材だったようです。デビュー盤から新人とは思えぬ老練さを感じてましたが、なるほどそういうわけだったのかと溜飲が下がりました。音楽の道に入ったのは、同僚ダンサーがレコードデビューすることになった際、コーラスシンガーとして参加したのがきっかけだったよう。このときにのちに「Paradiso」をプロデュースすることになる人物との出会いがあり、それが歌手デビューへと繋がったようです。
結局、リリースした作品はこの「TOPALO」が最後らしく、それ以降の活動状況は全く不明。ネットで調べても、ヒットするのはたいていCDの商品情報ばかりで、近況が知れるような情報にたどり着くことはできませんでした。今もどこかで元気に歌っていることを祈ります。
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