2022年06月07日
懐かCDを買うI 田中美佐子「夢売りのピエロ」
夢売りのピエロ
田中美佐子
今回は女優もの。
田中美佐子の「夢売りのピエロ」を購入。
今や芸歴40年越えという大ベテラン女優の田中美佐子さまが、駆け出し時代の1983年にリリースした唯一のアルバムとのこと。当初発売されたLP盤が数年で廃盤になった後は、長らくCD化されることもなかったため、しばらくの間、激レアものとして君臨してきたアルバムだったようだが、ありがたいことに現在は一部ショップで復刻版CDが売られてまして、久々に中古ではなく新品での購入です
さて、さっそくアルバムの中身についてだが、この「夢売りのピエロ」、とりあえず脇を固める作家陣がすごい。作詞は全曲とも阿久悠氏が手がけており、作曲陣には、萩田光雄、戸塚修、川口真、奥慶一、大野克夫などなど、こちらもまた昭和ポップス界選りすぐりの精鋭たちを一挙にかき集めたような錚々たる面々が名を連ねている。これで曲が良くないはずがないわけで、実際聴いてみても、期待にたがわぬ珠玉の楽曲がずらりと収録されている。そうなると気になるのは肝心の歌唱の方なのだが、これがまた、美佐子さまは意外と歌が上手なので驚く。アルトボイスの、独特な味わいある歌唱といいましょうか・・・。路線的には山口百恵や初期の頃の中森明菜を彷彿とさせる感じでなかなかいけている。
収録曲は全10曲。基本的にはヨーロピアンムードをたたえたアンニュイな曲が多い印象だが、ときにアーバンシティーポップ風の曲もあれば、百恵ちゃんの「ロックンロールウィドウ」ばりのやけっぱちロック歌謡なんかもある。どの曲も聴きごたえがあり、久々に捨て曲なしの名盤に出会った気分なのだが、やはり目玉は、デビューシングルでもあるという「スペインへ行きたい」でしょうか。何やら泥沼の恋愛にはまっているらしい女性が、現実から逃避すべく、情熱の国スペインへ思いを飛ばす内容の曲なのだが、この歌詞がもう笑いたくなってしまうほどおもいっきり暗い。こんな歌をうら若き女性の、しかも記念すべきデビュー曲で歌わせるなんて。つい似たような事例である北原ミレイさんのデビュー曲「ざんげの値打ちもない」(阿久悠作詞)を思い出さずにはいられなかった。さすがは昭和歌謡曲界きっての鬼才、サディスティック阿久悠先生である
デビューシングル「スペインへ行きたい」のジャケット写真が封入されてました。かわいい。
思い起こせば、私が女優・田中美佐子の存在を初めて知ったのは小学生の時だった。その後程なくして到来したトレンディードラマ全盛の時代には”連ドラの常連”としてテレビで見かけない日はなく、最近では、女優さんというより、バラエティ番組などで見せる「おっさん釣り師」のような姿が面白いが、何にせよ、生き馬の目を抜くといわれる芸能界で、長きにわたってコンスタントに第一線を走り続けていらっしゃるのはすごいことだと思う。これからのますますのご活躍、お祈りしております。
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