アフィリエイト広告を利用しています

広告

posted by fanblog
SD BLOG
  1. Situation design
  2. SD BLOG




『殺人罪で死刑になった豚 ―動物裁判にみる中世史』

エドワード・ペイソン・エヴァンズ著 / 遠藤徹 訳
青弓社 1995年12月9日第1版第1刷

たかがネズミ、されどネズミ…。
大真面目な教会も滑稽なのだが、弁護人シャスネの意見も滑稽だ。しかし、言われてみればごもっともで、ネズミもかなりの危険にさらされて生きているみたいだ。
動物裁判恐るべし…。
こんな事柄に対して、笑ってしまうこともなく、大の大人が真面目に戦っていたとは、ヨーロッパ中世というのは不思議な時代だ。
日本だと動物は「畜生」扱いされていたから「畜生道」なんて言葉があるわけだが、ヨーロッパ中世の場合は、人間と動物との関係が対等ということになっているのか。
豚が赤ん坊を食べてしまったから裁く、という考え方は分からないこともない…のだが、ちゃんと裁判が開かれて、被告として豚が現れ、弁護人がつき、人間同士の裁判となんら変わらず進むところが、面白いけれど謎だ。
どんな動物(ex.ネズミ)でもちゃんとした形式に則って裁判が開かれる。彼らの意見は弁護人に委ねられ、弁護人以外の味方はいない。そのため必ずといっていいほど負けてしまう。裁判を開く以前に罪が確定しているようなものなのに、敢えて開いているわけだ。この裁判には大勢の市民が駆けつけるので、一種、イベント感覚で集まってきている感がある。人間の裁判や死刑の現場もお祭り騒ぎで観ていたのだから、死刑になるのが豚やネズミであったとしても、当時の人たちにとっては、けっこうな娯楽だったのだろう。
動物裁判という面白くて滑稽な出来事を、世界史の授業で紹介してくれなかったとは残念極まりない。試験に、「動物裁判についてどう思うか」を書かせる問題を出して欲しかったな。。。

この記事へのコメント

 
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。